IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第14話

臨海学校二日目。この日は専用機持ちは装備のテストをその他の生徒は浜辺でのIS実習である。ちなみに専用機持ちである簪は機体が完成していないため一般生徒たちと同じくIS実習の方に向かっている。そして専用機持ちではない箒が専用機持ちたちの居る場所に来ていたため、鈴が担当教員の千冬に

 

「織斑先生、どうして箒がここにいるんですか?」

 

そう聞くと千冬は

 

「それは…」

 

彼女が言葉を続けようとした途端

 

「ちーーーーちゃーーん」

 

そう言いながら千冬のもとにウサギの耳飾りを頭に着けた女性、ISの開発者である篠ノ之束が千冬のもとに走りながらやって来て千冬に抱きつこうとするが千冬はアイアンクローでそれを止める

 

「いたたた、痛いよちーちゃん」

 

彼女がそう言っていると今まで言葉を発さなかった箒が

 

「それで…姉さん…頼んでいたものは」

 

「もちろん、用意してあるともそれではみなさん上をご覧あれ!!」

 

彼女がそう言うと空から一つのコンテナが落とされ、そして中から一つのISが姿を現す

 

「これこそがこの束さんが用意した箒ちゃんの専用機、その名も紅椿だよ」

 

そう彼女が言うと、その光景を見ていた他の生徒たちから不満の声が上がる

 

「なに、開発者の妹だからって専用機がもらえるの?」

 

「それってずるくない」

 

そう言っている生徒たちに対してその言葉を聞いていた束が

 

「なにをいってるのかなそこのお馬鹿さんたちは?世界が平等だったなんてことは一度でもないし、それはこれからもずっとだよ。そんなこともわからないなんてよっぽど頭がわるいんんだね」

 

その言葉を聞いた生徒たちは罰が悪そうにその場を早々に引き揚げようとする、そして彼女の言った言葉に一夏は納得が出来なかった

 

「確かに、束さんの言う通りかもしれません、努力が報われる人もいればそうでない人もいる。そんなのは当然です、ですけどそれを理由にして彼女たちの努力を否定していい理由にはなりませんよ」

 

「どうしたのかな、いっくんがそんな事を言い出すなんて熱射病にでもかかっちゃった?。それともあのへんな金髪の女に何か吹き込まれたのかな。だから外人は嫌いなんだよ私。」

 

「あなたが嫌いなのは自分にとって関係のある人以外全員じゃないですか」

 

「そうだよ、何をわかりきったことを今更、本当にいっくん大丈夫?少し休んだほうが良いよ」

 

そしてそのやり取りを見ていた千冬は

 

「織斑、その辺にしておけ。それと束、篠ノ之、早く調整をするんだ」

 

「わかりました」

 

「了解だよちーちゃん。その間にいっくんはゆっくり休んでね。この日差しじゃ立ちっぱなしはきついでしょ?」

 

そして束と箒はISの性能実験をし始め、その圧倒的性能に全員が驚いていた

性能実験が終わると、麻耶が走って千冬の方に向かってくる

二人のやり取りが終わると千冬は全員に旅館へ帰るように指示をだし、専用機持ちは全員が強制的に千冬に連れて行かれる形となった

そして旅館の大広間で千冬から聞かされたのは衝撃の事実だった

それはアメリカがイスラエルと共同開発したIS、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)が暴走し日本へと向かっていることであり、国際IS委員会は学園都市ではなくIS学園の専用機持ちにこれを対処するようにと言う指示が来たのだ。目的としてはISの有用性をここで示そうという国際IS委員会の考えだえろうと一夏は予想する。なぜならば学園都市の技術にかかれば、間違いなく機体、そして搭乗者を安全に回収できるであろうと一夏は考えていた

 

そして一夏達には福音のより細かいスペックが伝えられていく。その結果偵察は無理であることから攻撃に特化した機体、つまり一夏とその白式が最適であることが伝えられ、一夏は作戦に参加することにした、そして話の途中に束が部屋に乱入して来てこの作戦には箒と紅椿が最適だと伝える。なぜならば彼女の機体は世界初の第4世代型であり、ありとあらゆる状況に合わせ、最適な状態にできる展開装甲が搭載されているとのことであり千冬も機体の性能を認めたために、作戦は一夏と箒の二人で行う事となってしまう。そしてそれが決まると千冬、箒、束は紅椿の調整のために部屋をでたので部屋には一夏、シャルロット、鈴、セシリア、ラウラ、麻耶がいる

 

すると一夏は

 

「全く、本当に胸糞悪いな」

 

「一夏、どうしたの今日はなんか変だよさっきも博士にいきなり悪態つけるし、本当に大丈夫?」

 

「この作戦では常に冷静さが求められる。気分が悪いならば早めに辞退することを進めるぞ」

 

そうシャルロットとラウラが言う、彼女たちに限らず、あの場にいた箒、束麻耶、以外の全員が今日の一夏は様子が変だと思っている

そして麻耶も

 

「織斑君、私としてもこの作戦には納得できませんし辞退するならば今の内です。仮に辞退しても誰も咎めませんよ」

 

「いえ、大丈夫です。ちょっと頭冷やしてきますのでここから出てもいいですか?」

 

「はい、作戦開始が近くなったら、さっきの集合場所にいれば大丈夫ですよ。ですがこの作戦の事は他言無用でお願いします」

 

「分ってます」

 

一夏はそう麻耶に言うと部屋を出て、いったん旅館の外に出ることにした。

そうして彼は外の空気を吸い、呼吸を整えていると後ろから

 

「一夏、随分と面倒くさい状況になってるのね。昨日の悪い予感的中って所かしら?」

 

そう言いながらティナがやってくる

 

「悪い予感的中だよ全く…、そのせいなのか、気分は最悪だよ」

 

「まぁ私は何も言わないにしても、気分が悪くなったからね、一夏のあの言葉が無ければほかの生徒相当士気が下がったんじゃないかしら?私たちの今までの努力はなんだったんだーってね」

 

「それもあるし何でこんな重要な作戦を曲がりなりにも初心者の俺と箒に任せるんだか…はぁ、これが地上戦なら一人でも楽勝なんだけどな」

 

「まぁ、魔術師には縁がない空中戦だからそう思うのもわかるけれどね」

 

「あーあ。ティナが海上に結界張ってくれればなぁ、そうすればティナや神裂さんも作戦に参加できるのになー」

 

「アホ、そんなことしたら大騒ぎじゃない。って言うかそんなに篠ノ之さんと組むの嫌なの?」

 

「初心者よりは信用できる人たちと組みたいだろ?と言うか神裂さんならマジで福音倒しそうで怖いけどな」

 

「そう言う事。それと一夏のその話には私も同意するわ。っていうかあなたも召喚爆撃とか使えば倒せるんじゃないかって思うわよ」

 

一夏達がそう話していると、作戦開始まで残り30分を切る。そのため一夏もそろそろ集合場所に向かおうとするが、その途中ティナが

 

「一夏、旅館は私たちがいるから安心して暴走機を倒してきなさい」

 

「おぅ、なんか話したら気が楽になったよ。ありがとな」

 

一夏はティナにそう言い、集合場所に向かう事にした

そして集合場所に着くとそこにはすでに箒がいた。どうやらゆっくり向かった結果開始まで残り10分弱になっていたようだ

そして箒と軽く話すが、一夏は箒は間違いなく浮かれていると思いこの作戦に不安を覚える

作戦開始まで残り5分を切った所で二人はISを展開、戦闘場所までは箒が一夏を背負っていくことになった

作戦開始時間となり二人は飛び立つとすぐに福音の居る場所に到着し戦闘が開始される。この辺は最新型と言った所であろう。

戦闘が始まるとすぐに二人は福音に切りかかっていくが、福音は搭載されている射撃武器を使い二人を撃墜しようとするが二人はそれを回避

 

「(成る程スペックはさっき見たとはいえ、相当な数の弾を撃てるのか。流石は殲滅型の機体と言った所か。こうなると距離を取らせるとこっちが圧倒的不利なのは確実、エネルギーを節約しつつ接近して切りかかるのが無難だな)」

 

一夏は敵の機体を戦闘しながらも自分なりに理解し、接近戦を挑もうとするが弾幕を張られうまく近づく事が出来ない。そして箒の場合は機体の性能に任せて攻撃をしていくがこちらもうまく決まらない。しばらくこう着状態が続いていると箒がしびれを切らしたのか、一気に接近していき隙を作ろうとすると、これが功をなし一瞬だが隙が出来る

 

「一夏、いまだ!!」

 

箒がそう一夏に伝えるが一夏は福音とは全く逆方向に行く。そうしているうちに福音は箒を弾き飛ばし弾幕を張るが一夏はそれをすべて雪片で切り伏せる。すると箒が

 

「一夏、どうしたのだ一体!?」

 

「密漁船がいるんだ、この領域は封鎖しているはずなのに…っと!!」

 

一夏は箒の問いにそう返しながらも福音の攻撃を器用に回避していく。そして箒は一夏に

 

「一夏、そんな犯罪者など見捨てればいいものを…!!」

 

「(状況は最悪だ、確かにここで船を見捨てれば船の乗員が犠牲に、下手に船を俺たちが誘導すれば追ってきた福音が海岸にある旅館を狙い、旅館にはティナ達がいるとはいえけが人は免れない。箒をここで黙らせれば箒はともかく船の乗員が犠牲となると…答えは一つしかないか…まぁ絶対防御があるし大丈夫…だよな?旅館にはティナがいるし)箒…」

 

「どうしたんだ一夏!!」

 

「確かに、ここで見捨てるっていう判断もある…けどな。そんな犠牲を出す判断を真っ先に出すことができるお前は、密漁船の乗員以上、正真正銘の悪人だよ(まぁ魔術師の俺がどうこう言う立場じゃないってのは分かってるんだけどな)」

 

「なっ!?、違う…私は…」

 

一夏がそう言うと福音は攻撃を始めるが、一夏はあえてそれをよけずに密漁船を守るように攻撃を受けたためシールドエネルギーはゼロになり海上へと落下していった。

ちなみにその後どうなったかと言うと、二人のやり取りは聞こえてはいなかったが。状況を見ていた千冬が海上を封鎖していたISを装着している教員に一夏と箒の回収、密漁船の誘導を指示する。ちなみにその際福音はまるで興味がなくなったかのように攻撃をやめ、戦闘空域から離脱していったという


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