「君はあの織斑千冬の弟なんでしょ!?」
「どうしてこんな簡単な事が出来ないんだ!?」
「千冬様の弟の割には随分とできないのね」
彼、織斑一夏の周りではこんな言葉が飛び交う、両親に捨てられ彼を育ててきた、彼の姉、織斑千冬はISの世界大会で優勝しており間もなく開催される第二回の世界大会でも優勝候補筆頭と言われるほどの実力者である。
(どうして、みんな俺の事を織斑千冬の弟としてしか見てくれないんだ!!)
そうして彼はいつも苦悩している中で学校をすごしているが、彼にも少なからず理解者はいる、それが
「全く、どうしてあいつらはああいう考え方なのかね…、それよりも一夏、放課後どっかに遊びに行かないか?」
「そうそうあんな連中なんか無視しておけばいいんだよ」
そう言いながら彼に声をかけてきたのは友人の五反田 弾(ごたんだ だん)と御手洗 数馬(みたらい かずま)
「ごめん、俺明日から学校休むじゃん、その準備もあって今日は遊べないんだ・・」
そう彼は明日からドイツで開かれる第二回モンド・グロッソに参加する姉の応援に行く事になっているが、もちろん一夏本人はあまり乗り気ではない、が一応未成年なので一人にしておくわけにはいかないという理由のためである
「そうか・・気を付けてな」
「お土産、楽しみにしてるぜ!!」
もちろん彼らの言うお土産とは現地のお菓子などである、それを理解した一夏も
「あぁ、楽しみにしててくれよ!!」
そう言い残し家に帰って行った
そして帰宅途中で街中のモニターでは
「さていよいよ第二回のモンド・グロッソの開催が近づいてきましたね・・・」
「はいその中でも注目はやはり、織斑千冬選手でしょう・・・」
そんなニュースが流れている中家に着くと
「お帰り一夏」
そう言い彼の姉織斑千冬が出迎える
「ただいま、千冬姉、荷物まとめるからちょっと待ってて」
そう言うと彼は部屋に行き荷物をまとめ始める、とはいっても荷物は前日までにまとめてあるので、後は忘れ物がないかどうか確認するだけであるのだが・・
「これで良しっ・・あとは・・あっそうだ、これも持って行かなきゃな」
そうして彼は一冊の本を鞄に入れたほんのタイトルは
{近代魔術のすべて}
これは彼がひそかにはまっている本である、最初はよく分らなかったが読み進めていくうちに興味が出てきたとの理由ですっかりはまっている。
そうして準備が終わったところで
「一夏、用意はできたかー?」
「あぁ、今いくよー」
そうして彼は鞄を持ち、玄関へと向かっていく
この時彼はこの後に起こるであろうことなど持ったく予想していなかった
彼の読んでいた本のおかげで自分が実際に使う立場になると言う事も
そして、運命の針は少しづつだが動き始めた