IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第11話

彼女ラウラ=ボーデヴィッヒは普通の人間ではない。これは少々言い過ぎではあるが、彼女の場合普通に人間として生まれたのではなく、ドイツが学園都市の技術協力のもと極秘で作り出したデザインベイビーなのだ。とはいえ学園都市がドイツに教えた技術もすでに学園都市内では旧型の技術となっているのだがそれでも学園都市の技術は魅力的であったのだ。

こうして生み出された彼女は軍の中で優秀な成績を収めるに至ったのだが、ISの登場によりそれは一変。彼女にISとの適応能力向上のためにヴォーダン・オージェ生みこんだ所、その力を制御することができず軍のトップガンの座を下ろされる羽目になってしまう。

彼女が自分の存在意義を見失っている時に現れたのが織斑千冬でその出会いが彼女の運命を変えた。

千冬の指導により彼女は再び軍のトップガンにまで上り詰め、名実ともにドイツ最強の名を手に入れることができた。

 

だが、この時千冬、そしてドイツ軍は致命的なミスを犯していた。

それは千冬やドイツ軍はラウラに戦い方を教えている一方で、彼女に人間関係や軍人としての心構えを一切教えていなかったのだ。

この原因はドイツ軍は千冬に、千冬はすでに教わっているものと思い込んでいたため彼女に教えることはなかった。その結果ラウラは力=強さと思い込んでしまうことになり、彼女は所属するで孤立。しまいには「ドイツの冷水」とまで呼ばれることになったのだ。これでも彼女の所属する部隊が機能しているのは日本の少女マンガを愛してやまない副官クラリッサ・ハルフォーフがうまくラウラへの不平不満をうまく抑えているからだ。もし彼女がいなければ実質部隊は内部崩壊をしていたとまで部隊内の人間からは言われている。ラウラがドイツの候補生になれたのは実力があったからなれたようなものである

 

そんな彼女は今ISの暴走により意識を失い学園の保健室で眠っていたのだが、目を覚ますと、そこには千冬がいた。

 

「教官、一体何がおこったのでしょうか?」

 

「ボーデヴィッヒ、VTシステムは知っているな、どういうつもりか、あれがお前の機体に搭載されていた。そしてモデルは私だった。言いたいことは分かるな?」

 

「VTシステム教官の姿に…ですか、つまり私が教官になることを望んだという訳ですね。」

 

「そう言う事だ。ラウラ・ボーデヴィッヒお前は誰だ?」

 

「わっ、私は…」

 

「3年間と言う時間の中でそれを見つけろ、そして今までのお前の考えを改めるんだ、もちろん私にも責任はあるから協力はする。いいな?」

 

そうして千冬は保健室から出て行き、保健室にはラウラ一人だけが残されていた。そして今の会話は保健室の外には聞こえていなかったのだが、一夏達はその会話を聞くことができた。何是なら一夏が千冬が来る前に保健室に行きわずかな隙間に即興の盗聴用の護符を貼り内部の会話を聞くことができたのだ。そして一夏とティナは夕食前で生徒が誰もいない学食でその会話を聞いていた。するとティナが

 

「だいぶ音声が悪くて詳しくは聞き取れなかったのだけれど…根本的な解決は彼女に任せたのかしらこれ?」

 

「多分…な、と言うか自分で言うのもなんだけどかなり聞きにくいな」

 

一夏は自分の作った護符の出来の悪さに自分で呆れている。この護符の音声の聞こえにくさを例えるならば、周波数があっていなく音声のほとんどが雑音のラジオと言った所であろう。するとティナが

 

「まぁあなたは戦闘要員だしこういう事には縁がないから気にしなくていいんじゃないかしら?」

 

「いやそれでも出来て損はないだろう?」

 

「まぁ私の怪我が完治した時にでも教えてあげるわよ」

 

二人がそう話している間に、夕食の時間が近づいてきたのか多くの生徒が学食にやってくる。

そして相川や谷本、鷹月、布仏、簪も学食にやってきて一夏達の所にやってくる

 

「織斑君、それにハミルトンさんも…早いね」

 

「まぁオリムーはさっきまで試合だったし、お腹もすいてるだろうからねー」

 

そう簪と布仏が言いながら一夏達の近くの席に座る。そうして一夏達が夕食をとっていると谷本と鷹月が

 

「そう言えばさ清香ちゃん、よくデュノア君相手にあそこまで粘れたよね」

 

「瞬殺されるって思ってたのよ私達」

 

そう相川はシャルル相手に必死で食らいついていったのだ。シャルルの攻撃を必死で回避しながら反撃をしていた。結果、シャルルの武装を二つ破壊し、彼女は武器をすべて失いながらも機体のエネルギーが残ったのだ。

 

その状況を一夏はラウラと戦っていたため見れなかったのだ。一夏達がそう話していると鈴とセシリア、シャルルが学食にやってくる。

 

「あれ、一夏それにティナ…ここにいたのね。道理で部屋を探してもいないわけだ」

 

「一夏さん何か一言、言って欲しかったですわ」

 

「ずっと探してたんだからね、一夏」

 

そうしてその後一夏達はセシリアたちも加えて夕食をとっていると、麻耶が一夏達のところにやって来て男子の大浴場使用の日程調整がようやく終わったことを告げたのだ。

 

そして一夏達が夕食をとっている中、千冬は校舎の屋上である一人の人物に連絡を取っていた

その人物は…

 

「もしもし、ちーちゃん久しぶりだね!!私が恋しくなったのかな?」

 

電話の相手は篠ノ之 束(しののの たばね)ISを生み出した超本人であり、現在は指名手配されている人物だ。すると千冬は束に疑問をぶつける

 

「束、お前は今回の事件には関係しているのか?」

 

「今回?はてさて、なんの事かな?」

 

「VTシステムだ」

 

「あーあれね、あんなもの私が作ると思う?それにその研究施設を潰そうと思ったんだけどね…」

 

「どうした?」

 

「どういう訳かは知らないけれど、その施設は全部燃えてなくなっちゃたよ。もちろん私は何もしてないよ。」

 

「そうか」

 

「それじゃあねちーちゃん、近いうちにあいにいくからねー」

 

そう言い彼女は一方的に電話を切る。千冬は彼女の言っている意味をすぐに理解し呆れながらも職員室に戻って行った

そして箒も夜のアリーナで自らの姉に電話をする。箒は姉を避けているため普段は自分から連絡することはないのだが、今回は事情が違っていた。もちろん束は箒からの電話にはすぐに出る。そして上記は電話に出たことを確認すると

 

「姉さん…その…」

 

「うんうん、わかってるよ箒ちゃん。欲しいんだよね専用機が」

 

「はい…」

 

「もちろん用意してあるとも、君にしか使えない、世界最強のIS、その名も紅椿。近いうちにもっていくからねー」

 

「お願いします、姉さん」

 

「うんうん、それじゃぁまたねー」

 

束がそう言うと、箒は電話を切る

 

「(これでようやく私も力を手に入れることができる、一夏達にも後れを取らない力が…!!)」

 

 

その頃、イギリスでは一夏やティナと同じイギリス清教の魔術師であり世界に20人しかいない聖人でもある神裂 火織がイギリス清教のトップであるローラ=スチュアートに呼び出されていた

 

神裂は

 

「それで何のご用でしょうか?最大主教」

 

「神裂、お主にはこの後学園都市にいる土御門とともにこの場所に向かってもらうなり」

 

「ここは…確か織斑一夏とティナ・ハミルトンがいる街ですね。彼らとともに任務をこなせ…と」

 

「違うておる、お主たちには彼らの護衛をしてもらうなり」

 

その言葉に神裂はますます疑問に思う、彼女は彼らの実力をしっており護衛などは必要ないとおもっているからだ、そしてローラは

 

「そろそろ、余計なウサギが動くころだと思っているなり、ここらで釘を刺しておこうとおもっているなり。」

 

「分かりました。では土御門にもその趣旨を伝えます」

 

「たのんだのである」

 

そうして神裂はローラから学園都市性の最新型の携帯電話を受け取り部屋を出たのだが、部屋を出るのと同時に深いため息を吐く

 

「(なぜ、今更護衛など…いやそれよりも問題は)」

 

そう彼女にとって一番の問題は先ほど渡された携帯電話だった。彼女の場合ステイルと違い極端な機械音痴であり使い方に悪戦苦闘していたのだ。

 

 

その頃一夏は夕食を食べ終え、一足先に部屋で休んでいると学園都市にいる土御門から突然電話が入る。

一夏は部屋の前に人払いを張り土御門の電話に出る

 

「どうした土御門、お前から連絡してくるなんて珍しいな」

 

「いや、ちょっと急用でな」

 

一夏は土御門がいつもの口調ではないことから要件の重要性を悟る

 

「どうした?」

 

「さっき、ねーちんから連絡があってな何でもねーちんと一緒にお前達の護衛をしろだそうだ」

 

「なっ、聖人の神裂さんとお前が俺たちの護衛!?」

 

一夏も彼女たちの実力を知っているので護衛と聞いた時には一瞬信じることができなかった

そして土御門はいつもの口調に戻り

 

「まっ、そういう訳だから近いうちにお前たちの居る街までいくから楽しみにしてるぜよー」

 

そうして土御門は電話を切ってしまう

その後一夏は人払いを解くとすぐにシャルルが大浴場から戻ってくる。

 

「一夏、僕はもういいから次は一夏が入ってきなよ。」

 

「分ったありがとな」

 

そして一夏は洗面用具と携帯を持ち、大浴場に向かいながらティナに連絡を入れる

 

 

<ティナ、ちょっといいか?>

 

<どうしたの?>

 

そして一夏は土御門から来た連絡の内容を伝えると、ティナも一夏と同じような反応だった

 

<聖人が私達の護衛に来るって…どういう事?よっぽど大がかりな魔術師がこのあたりに潜んでいるって事?>

 

<さぁ?近いうちに来るって言ってるんだ、その時にでも聞けばいいだろ、それより怪我の調子はどうだ?>

 

<ギブスはまだ外れないわ、完治するには恐らく後一か月弱って所かしら?>

 

<というと大体8月の上旬ってことになるな>

 

<そう言う事。それじゃぁ私もそろそろシャワー浴びるから切るわね、偵察の護符とか仕掛けて覗こうとしてもも無駄よ私の部屋は魔術防御は完璧なんだから>

 

<いきなり何言いだすんだか…ってもう通信切ってるし>

 

その後、一夏も大浴場に行き久しぶりの入浴を満喫した

 

そして次の日、シャルルは自らが男性ではなく女性であることと本当の名前はシャルルではなくシャルロット・デュノアであることを告げたが、一組のメンバーはいつも通りに彼女を受け入れた

そしてラウラもあの一件の後相川に謝罪しセシリアと鈴にも過剰な挑発を謝罪した。

セシリアに関しては納得していなかったが、一応ラウラの事を許したみたいだ。

 

 

 




ローラの口調こんな感じであってますかね?古典苦手な僕としてはローラの言葉は天敵です
とりあえず今月中には福音終わらせて、夏休みに入りたいなーと思っています
その前哨戦としての神裂さんと土御門の登場です

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