IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第6話

クラス対抗戦が一週間後に迫ってきていることもあり放課後セシリアと箒と共にアリーナで行っている特訓も厳しさを増してくる。

そうして今日の特訓が終わり更衣室で休んでいると、不意に後ろから鈴が声をかけてくる

 

「やってるわね、一夏調子はどう?」

 

「鈴か、久しぶりに会うような気がするな。こんな所まで来てどうしたんだ?」

 

「アンタの様子を見に来たのよ。その調子だと特訓も順調そうね」

 

「まぁな」

 

そんなやり取りをしていると鈴が

 

「そう言えばさ、アンタって今個室なの?」

 

「いや、幼馴染の箒と同じ部屋だぞ…って言わなかったっけ?」

 

「言ってないわよ!!初耳なんだけどっていうか女子と同じって気まずくないわけ?」

 

「何に怒っているのか知らんけど、幼馴染と同じ部屋だから気は楽だな」

 

「そう…用は知り合いだから良いのよね?」

 

「ん、まぁ見ず知らずの人よりはな」

 

「分ったわ!!一夏、今晩部屋で待っていなさいよ!!」

 

そう言うと鈴は更衣室から出て行き、一夏も何か嫌な予感がしたがいったんは部屋に戻ることにした。

そうして夜になり、夕食を食べ終え一夏と箒も部屋に戻るとティナから霊装で通信が来る

 

<一夏、あなた凰さんに何言ったの?>

 

彼女の質問の意図を理解した一夏はティナに特訓終了後にあった出来事を話すと

 

<成る程、そういう訳ね。鳳さん今荷物まとめてあなたの部屋に行ったわよ>

 

<マジで!?>

 

<マジよ、おおマジ、もうそろそろ部屋に着くんじゃないかしら>

 

彼女がそう言うのと同時に

 

「一夏!いる?」

 

鈴が一夏を呼び、何事かと思い箒が部屋のドアを開けに向かう

一夏もティナとの通信を切ると箒と鈴が部屋の入口あたりでもめていた

 

「どうして私が部屋を変わらないといけないのだ!!」

 

「いや、年頃の女の子が男子と一緒の部屋っていうのもまずいじゃない。それに私そう言うの気にしない派だからさ」

 

「(無茶苦茶だな)」

 

一夏がそう思っていると箒は何を血迷ったのか突然竹刀を持つとそれを鈴に向かって振りかざす

 

「危ない…!!」

 

急いで彼女の竹刀を止めようとするがそれよりも早く鈴がISの腕部を展開して竹刀を受け止める

 

「このくらい受け止めるのなんて余裕よ。それよりもあんた私が専用機持ってたからよかったけど、普通の生徒にこれやったら怪我するわよ。」

 

彼女が箒にそう言うと箒はおとなしくなったので、一夏は彼女に

 

「あのな鈴、部屋の事に関しては俺じゃなくて寮長の千冬姉に言ってくれ。さすがに無断で変われば千冬姉に殺されるぞ」

 

一夏がそう言うと彼女は寮長の事をすっかり忘れていたのか、一瞬表情が固まるがすぐに

 

「それじゃぁ一夏、次のクラス対抗戦で私があんたに勝ったら一緒に頼みに行くわよ!!」

 

「分ったよ。それよりも早く戻ったほうが良いんじゃないのかもうそろそろ消灯時間だぞ」

 

「そうねそれじゃぁ一夏、約束忘れないでよね」

 

そう言うと鈴は自分の部屋に戻って行った。

そして一週間後いよいよクラス対抗戦が幕を開ける。このクラス対抗戦が一年生のIS学園行事初参加な事もあり1年生はもちろん上級生も試合開始前からテンションが上がっていた

そしてアリーナの観客席には元気な女子生徒の放送が流れてくる

 

「さーて始まりましたクラス対抗戦!!今年度のIS学園初行事と言う事もあり試合が始まる前から全校生徒テンションMAXであります!!おっと自己紹介が遅れました実況は私、3年3組の放送委員長天野瑞希(あまの みずき)がお送りいたしまーす」

 

このIS学園の行事の中でもISの試合に関しては毎年放送委員の有志が教師陣の許可をとってアリーナの放送室を使って実況をしている。そして教師陣もその実況に関しては特に何も文句は言っていない。それもISはスポーツで利用していると言う事もあり、何もないのもつまらないと言う理由で数年前から取り入れられている

 

「さぁまずはクラス対抗戦1年生の部から始めようと思います。おっとその前に試合の組み合わせが決まったようですので発表します!観客席の皆さん、モニターをご覧ください」

 

 

そうして1年生の部の組み合わせ表が表示されるそこには

 

{第一試合 1組織斑一夏vs2組鳳鈴音 第二試合 4組更識簪vs6組霜川京子 第三試合 3組田中美空vs5組麻野真理}

 

 

と表示されていた 

そうして選手控室にいた一夏と鈴もその組み合わせを見て驚く

 

「まさか初戦で当たるとはな」

 

「約束の事もあるけど、それよりもいい勝負をしましょ」

 

そう言いお互いピットに入って行った。

その組み合わせをアリーナの管制室にいる千冬や麻耶、そして担当教員と箒、セシリアも見ていた

すると麻耶が

 

「織斑君は第一試合ですか…緊張してないといいんですが」

 

「あいつに限って緊張などするか」

 

そんなやり取りを千冬と麻耶がし

 

「一夏、特訓の成果を見せるのだぞ」

 

「一夏さん頑張ってください」

 

お互いに一夏の健闘を祈る箒とセシリアちなみになぜ本来一般生徒立ち入り禁止の管制室にいるのかと言うと、行事機関に限り担任の許可が下りた場合のみ立ち入りが許されているからだ

 

観客席にいる生徒も組み合わせを見た途端1組のスペースでは

 

「織斑君、大丈夫かなぁ?」

 

「相手は代表候補生だもんね、でも織斑君なら大丈夫だよ」

 

「オリムー、頑張ってー!!」

 

そう相川、鷹月、布仏が言っている。それ以外にも多くの生徒が一夏を安じていたり応援している

 

 

その頃放送室では

 

「さぁ第一試合から専用機持ちの激突と言う事もあり、二人のクラスはもちろんそのほかのクラスも盛り上がってまいりました。まだ両選手ともに準備が終わっていないので、対戦する両クラスからこの場に応援に来ていただいた生徒の紹介をします1組からは谷本癒子さん、2組からはティナ・ハミルトンさんにお越しいただきました。…二人とも急なお願いして来てもらってごめんなさいね」

 

「いえいえ、私一回でいいからこうやって放送席に来てみたかったんで構いませんよ」

 

「私も気にしてませんからいいですよ、それよりも私たちは何をすれば?」

 

そうティナが聞くと

 

「なぁに、お互いこの場で応援していればいいのよ、それと私が途中で話題を振るからそれに答えればいいだけ。でもあまり大声は出さないでねマイク振り切れちゃうから」

 

「「分りました」」

 

彼女たちがそう返し終わるのと同時に一夏と鈴がピットから飛び出して来る

 

「さぁ、それでは今年度のクラス対抗戦いよいよ試合開始です!!」

 

ちなみにこの音声はアリーナの観客席にしか聞こえておらず、実際に試合をする両者には音声が一切聞こえていない

 

 

一夏と鈴はお互い向き合ったまま動かない

 

すると突然鈴が通信を入れてくる

 

「一夏、言っておくけど私手加減はしないからね、覚悟しなさいよ」

 

「分かってるよ」

 

そうして

 

「それでは両者、試合開始!!」

 

と管制室から試合開始の声が聞こえてきたので一夏は真っ先に鈴に突撃して行く

 

が鈴は一夏の攻撃をを持っていた二つの大剣で押し返すとそこから一気に一夏に連続攻撃を叩き込んでいくが一夏は何とか受け止める

 

「(くそっ、思ったよりも一撃が重いな…だが鈴のISの武装がわからない以上、ここでエネルギーを減らす明けにはいかない)」

 

一夏は鈴の攻撃を受け止め、そして回避しながら鈴のISの武装を見極めようとしていると鈴が

 

「成程、私のISの武装を見極めようとしているわけね、なら見せてあげるわ!!」

 

そうして彼女のISの肩にある二つの門が開くと同時に一夏は直感的に避けようとするがは上手く避けられず被弾してしまいバランスを崩してしまう

 

その光景を管制室で見ていた箒は

 

「なっ、何が起きたんだ!?」

 

そう言うと麻耶が箒に解説を入れる

 

「あれは鳳さんのS甲龍(シェンロン)の武装である衝撃砲です。空間そのものに圧力をかけ砲身を作り、それを衝撃として打ち出すので、砲弾だけではなく砲身も目に見えないので避けるのはかなり難しいんですが…」

 

そして麻耶に続きセシリアも言葉を発する

 

「直感的に回避行動をとったのが正解でしたわね、そうしなければ直撃して地面に叩きつけられていましたわ」

 

そして放送室でも

 

「おぉーっと織斑君、何とかして攻撃をよけたもののバランスを崩してしまい、その隙を鳳さんは見逃すはずもなく確実についている、衝撃砲と近接戦闘の攻撃の雨にさらされ織斑君大ピーンチ!!」

 

そう実況者が言っているとその横でも

 

「織斑君!!がんばれー」

 

「(風の魔術を使えたのが功をなしたわね。あれに似たような攻撃を一夏は使えるのだからね、それでも実際に避けるとなると難しいのだけれど一夏、ぎりぎりで回避したわね)鳳さん織斑君がひるんでいる内に一気に攻めなさい!!」

 

谷本とティナはお互いのクラス代表を応援する

 

 

そして一夏も鈴の攻撃を何とかよけながらも必死で反撃の機会をうかがう

 

「(砲弾は見えないけれど、鈴の目を見ていればどこに打つのか分るから、なんとなく避けれるそれに砲弾が撃たれた時にわずかにだが風の流れが変わるからそれも頼りになる。後は何とか隙をついて懐に飛び込めば俺の勝ちだ!!)」

 

一夏は必死で鈴の攻撃をよけ何とか彼女の背後に回るとそこで一瞬だが彼女の動きに隙が出来る。

そして一夏は特訓で身に着けた瞬時加速(イグニッション・ブースト)を利用して一気に鈴に迫るがその瞬間、突然アリーナのバリアーが破壊され大きな爆発が起こったため一夏も動きを止め爆発の起こった方向を見ると、一機の黒いISが一夏達の居る方向に向かってビーム攻撃を放ってきた

 

管制室でも麻耶が必死にアリーナにいる一夏と鈴に通信を送る

 

「織斑君、凰さん聞こえていたら返事をしてください!!…ダメですジャミングされていて通信がつながりません」

 

「観客席や放送室はどうなっている?」

 

「どちらも閉じ込められたようです。観客席に限ってはその場にいた担当教員がシステムにアクセスして扉をこじ開けようとしていますが、放送室に関しては完全に手詰まりです」

 

麻耶がそんな事を言っているとセシリアが

 

「私にもISの使用許可をください!!」

 

そう言うが千冬は

 

「だめだ」

 

「なぜですの!?」

 

「お前のISは一人で多人数の機体を相手にするように作られてはいるが、あの中に入ったところで二人の邪魔になるだけだ。それに味方が多人数の場合の連携訓練の時間は何時間だ?」

 

「分りました、言い返せない自分が情けないですわ…ところで織斑先生」

 

「まだ何かあるのかオルコット?」

 

「篠ノ之さんの姿が先ほどから見えないんですが…」

 

「なんだと!?」

 

セシリアがISの使用許可の話をする前にはすでに箒の姿が管制室から消えていたのだ、そしてそれを確認した千冬は管制室のドアを開けようとするが再びロックがかかってしまいドアを開けることができなかった

 

その頃一夏と鈴は突然乱入してきた機体と交戦をしていたのだが、ここで一夏が敵と距離を取り動きを止め鈴に一つの疑問をぶつける

 

「なぁ鈴、何かおかしくないかあいつ?」

 

「IS学園の行事に乱入する時点で十分おかしいわよ、それ以外に何がおかしいっていうのよ」

 

「何であいつは動きを止めている俺たちに攻撃してこないんだ?今なんて俺たちを仕留める絶好のチャンスじゃないか」

 

「言われてみればあいつ私たちが動いている時しか攻撃してこないわね」

 

「もしかしてあいつは無人機で、動いているものにしか攻撃できないんじゃないのかって俺は思うんだがどう思う?」

 

「無人機って言う時点で十分怪しいけれど、その予想が本当だとして、なんか方法はあるの?」

 

「とっておきの方法があるんだよ、鈴とりあえず俺が合図したら俺に衝撃砲をフルパワーで撃ってくれ」

 

「はぁ!?あんた自分が何言っているのか分ってるわけ?」

 

「分ってるよ、だけどこれ以外に勝つ方法がないんだ、大丈夫俺を信じろ」

 

「分ったわよ…どうなっても知らないんだからね!!」

 

そうして鈴と一夏が作戦を実行しようとすると

 

「一夏!!」

 

突然アリーナのスピーカーから箒の怒鳴り声が聞こえてくる

 

一夏と鈴も何事かと思い周りを見渡すと、アリーナの放送席でマイクを持って声を出していたのだがそれよりも一夏と鈴が驚いたのは彼女は手に竹刀を持っており近くには3人が倒れていた

 

そして無人機も一夏達ではなく放送席に向けて両腕についているビーム兵器の砲門を向けエネルギーをチャージする

 

「箒の奴何やってるんだよ…鈴、急げこのままだと放送室にいるみんなが危ない!!」

 

「分ってるわよ…!!」

 

そうしている間にも無人機は砲門にエネルギーをため狙いを定めているがそれと同時に鈴も衝撃砲にエネルギーをためている

 

そして鈴が

 

「一夏、受け取りなさい!!」

 

そして衝撃砲のフルパワーを一夏の機体のぶつけ一夏は一つの仮説を立てる

 

「(瞬時加速って言うのは簡単に言えば外部のエネルギーを取り込んでの加速だから、こうやって衝撃砲のエネルギーを吸収だってできるはずだ。あの砲弾も要は空間を圧縮した際に発生するエネルギーだからな)」

 

そうして一夏が衝撃砲のエネルギーを吸収し終わると一気に無人機めがけて一気に加速し切り伏せようとするが

 

一夏が切り終わるその寸前で無人機はビームを放送席に向かって放ち放送席に当たってしまう

そしてその後、糸が切れたかの用に無人機は倒れてしまうが、一夏と鈴はそれどころの話ではない

 

「谷本さん!!ティナ!!箒!!天野先輩!!」

 

「そんな…うそでしょ。返事しなさいよ!!」

 

一夏達はいそいで放送席に向かうとそこには放送席は半壊しているものの、とりあえずは無事な四人がいたので一夏達はひとまず安心する

 

そして一夏は付近にあった簡単な魔法陣を確認すると

 

「(ティナの奴あの一瞬で簡単な結界を張って攻撃の威力を落としたのかそれが無けりゃバリアーが破られて全員お陀仏だったな。とは言っても形からしてほとんど無意識のうちに書いたんだろうな…一先ず全員生きててよかったよ)」

 

その後、駆け付けた教員たちによって放送席にいた四人はすぐに保健室に運ばれたが命に別状はなかったものの直撃した場所の中でも最もアリーナ側にいたティナが左腕の骨折と谷本は後ろから殴られた際に右肩にひびが入ってしまった。それでもまだ被害は軽かったのであろう、もしティナが結界を張らなければ全員確実に死亡していたのだから。




箒ファンの皆さん箒の扱いが悪くてすいません
でもなるべフォローは入れ(入れられるかなぁ)、彼女がクラスでいじめられると言ったことにはしません

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