IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第111話

9月30日 時刻は午後7時を過ぎた位であろうか

 

IS学園では授業や生徒会活動、放課後の訓練などがすべて終了し生徒たちは夕食を済ませ寮の自室でくつろいだり食堂で雑談したりと比較的自由に過ごしており、鈴とティナもそれに当てはまる

 

「はぁ~疲れた。生徒会ってこんなに疲れるのね」

 

「お疲れ様、今日も生徒たちの苦情整理?」

 

「そんな所。後先生方に提出する書類かしらね…アリーナの破損部分とか教室の備品とか。ごくまれに寮の破損なんかも来るわね。これが本当に面倒で…」

 

鈴はそう言う。

ちなみに生徒たちの苦情と言うのは深刻な物からつまらないものまで多々あり、それらを一つ一つチェックしていくのだから大変な仕事である

そんな事を話していると突然大きな地鳴りのような音が響く

 

すると鈴は

 

「誰よ、こんな時間にアリーナで模擬戦してる馬鹿はここまで聞こえてるじゃない」

 

「…ッ(新しく張った結界に反応!?これは…!!)」

 

ティナが表情を変えるのに鈴は気づかず

 

「全く、役員として注意して来るわ」

 

「待って!!」

 

「どうした…のっ!?」

 

鈴がティナに聞き返そうとした瞬間、今度は寮のすぐそばでも大きな爆発音が響き、寮全体に警報音が鳴り響く、そして一般生徒には避難命令が出され、専用機持ちや教師部隊は直ぐに現場に向かうようにアナウンスが流れる

 

「それじゃ行ってくるわね」

 

「行ってらっしゃい、気を付けて(念のため一夏にも連絡しておこうかしら)」

 

二人はそう言い、寮の部屋を後にするのだった

 

 

そして寮の外では大変な事態が起こっていた

 

10機の無人機が破壊活動を行っていたのだ

幸いなことに寮に向けて攻撃は放たれていないが、このまま行けば寮に向かってしまう可能性が有る

それだけに現場に来た専用機持ちや教師部隊は何時も以上に気合を入れていた

 

「しかしなぜこのタイミングで襲撃が来る?場所も時間も不可解だ」

 

そう言いながら無人機と戦闘を行っているのはラウラだAICを駆使し攻撃を仕掛けてはいるものの、無人機の連携の前に不発に終わる事が多い

 

暫くその状態が続くとラウラの背後に一機の無人機が回り込む

正面にも無人機は居るため実質ラウラは敵に挟まれたと言う事になる

 

そして無人機は攻撃を仕掛けようとするが、背後に回った無人機に攻撃が当たり、横に吹き飛ばされる

 

「ラウラ、大丈夫?」

 

そう言いながら専用機を展開しやってきたのはシャルロットであった

 

「シャルロット…!!他のメンバーは?」

 

ラウラがシャルロットにそう尋ねると彼女は

 

「箒とセシリアは学園の方に、鈴は寮の近くでフォルテ先輩と一緒に防衛線を張ってる。教師部隊はもう少ししたら応援に来るって」

 

「鈴が拠点防衛?セシリアの方が向いていると思うが、鈴と箒は仲が悪かったし、妥当と言えば妥当か…」

 

「学園の方も心配だし、早く終わらせようか」

 

「そうしたいのが生憎敵はそうはさせないようだ」

 

ラウラがそう言うのと同時にISのセンサーに反応がでる

ココと学園の方にそれぞれ5機の無人機が新たに向かったらしい

 

「ちょっと、マズイかな」

 

「数に物を言わせる物量作戦か、しかも一機一機のスペックも高い。最悪だな」

 

そう言い、彼女たちは戦闘を行うのであった

 

 

 

その頃一夏達はと言うと、自宅での掃除も終わりひと段落し、後は出発を待つだけとなっていたのだが、一夏が突然

 

「ッ(なんだ今の感覚?さっきからこまめに感じるこれは…)」

 

「どうしました織斑さん?」

 

「いや、何でもない。(気のせい…なのか?)」

 

少年と一夏がそんな事を話していると、一夏の通信用霊装に反応が有る

 

<どうしたんだ、ティナ?>

 

<一夏、自宅の近くで騒ぎとか起きてる?>

 

<いや、起きてないけど。何かあったのか?>

 

<今、IS学園が大量の無人機に襲われてるのよ…!!>

 

<マジで、大丈夫なのか!?>

 

一夏は心配そうにそう尋ねると彼女は

 

<今避難してるけど、まずいわね。廊下は人でいっぱいで進めないし、私は今、誰かの部屋に隠れて通信してるのよ>

 

<そっか>

 

<そう言う事、それと朗報かどうか分からないけど亡国機業の魔術師は今のところ来てないわ。それだけ。そろそろ切るわね>

 

彼女はそう言うと一方的に通信を切ってしまう

それだけ余裕が無いと言う事だろう。

 

すると一夏は

 

「クソッ、まさか夜に襲撃してくるなんてな!!」

 

「どうします?僕たちが下手に介入すれば問題になります。さすがにこの戦闘の介入にはあまり賛成できませんね。やると言うならフォローもしますし報告も誤魔化しますが」

 

「私は女だし学園に入る位なら問題なさそうだけど。」

 

ジュノンはそう言いつつ、笑みを浮かべている

つまりこの二人は判断を一夏に任せると無言で言っているようなものだ

 

すると一夏は

 

「様子見…ヤバかったら陰で援護」

 

「そうじゃなかったら」

 

「学園の人たちに任せるよ。下手に見つかれば大変な事になる。戦闘が激しけりゃ終わったどさくさに紛れて天草式と合流も出来るしな。あの辺りは海だし問題ないだろ」

 

「理由もなく助けに行く、とはいかないんですね」

 

「そんなことが出来るのは俺の知ってる中じゃ”一人”だけだ。俺はあいつみたいな行動は出来ないよ…きっと。今回だって学園に魔術師のティナや学園時代の友達が居るから行くだけだ。ただの襲撃なら俺は行かないよ…きっと」

 

「(仲間を助けるために危険な場所に行くし危険を冒す、そのために行動できる織斑さんを僕は尊敬できますよ。うちの魔術師にそれを出来る人間は片手で数えるぐらいしかいませんし)」

 

「(ふーん、結構いい男の子じゃない。こりゃ好感度アップよ♪)」

 

一夏は”学園都市に居る不思議な右腕を持つ一人の少年”を思い浮かべそう言う。

そして一夏は彼とは違うと断言する。

それを聞き、少年やジュノンはそれぞれ考える

 

「さて、それじゃ行きますか」

 

「はい」

 

「ISの性能拝見と行きましょ」

 

彼らはそんな事を言いながらIS学園へと向かうのであった


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