IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第107話

ピット内では現在簪を除く一年生の専用機持ちがレースの準備をしていた

準備と言っても堅苦しいものではなく話をして緊張を和らげる位である。

このレースに参加するに当たりシャルロットとラウラは機体に計3基の増設スラスターを装備しセシリアは福音事件で使用される予定であった高機動戦闘専用のパッケージであるストライク・ガンナーを装備、箒は第4世代であり展開装甲を高機動ようにすればよく、鈴もセシリアと同様高機動パッケージを装備している。

ただ、鈴のパッケージに関してはキャノンボール・ファスト仕様の為か衝撃砲が正面ではなく横を向いている。

 

するとシャルロットが鈴に

 

「それが鈴の言ってた甲龍用の高機動パッケージなんだね」

 

「そうよ、名前は風{フェン}。最高速度ならセシリアにも引けを取らないわよ」

 

「へぇ、でも負けないからね」

 

「それはこっちのセリフよ」

 

彼女たちはそんなやり取りを行っているとちょうどいい時間になったのか麻耶がピット内に入ってくると

 

「みなさーん。スタートポイントまで移動しますよー」

 

その声に各々がうなずくと、その後はマーカーの誘導に従いスタート地点まで移動する

 

「それでは皆さん、一年生専用機持ち組のレースを開始します!!」

 

アナウンスが響き、専用機持ちはスラスターを点火

スタートの合図とともに一斉にスタートする

 

先頭に躍り出たのはセシリア、次に鈴、ラウラ、箒、シャルロットと続く

このレースはただのレースではない。ISの武装も使用が許可されていると言う事もあり時折戦闘で発生するような爆発音も響く。

そのような中レースは続いていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

それを遠目で見ていた一夏達はと言うと

 

「随分と過激なレースだな…」

 

「まぁ武器の使用が許可されてますからね。素人目だと中国の候補生がこのレースでの戦闘に関しては有利かもしれませんね」

 

「結構面白そうね。これ」

 

各々そんな感想を言う。

一夏にしてみればシャルロットが最下位なのは予想外であったが彼女は器用であるため後半に勝負をかけるつもりなのだろうかと思っていた

そして一夏の予想はある程度当たる事になる

 

一週目の終盤に差し掛かったところでシャルロットとラウラがけん制攻撃をうまく利用しトップに躍り出る。セシリアと鈴は彼女たちの攻撃を受けた事でいったん順位を落とし、箒は攻撃をかわしたため3位になる。

それを見ていた一夏は

 

「成る程、レースの序盤はやっぱり様子見だったか」

 

「ある程度手の内を見た所で攻撃を仕掛けトップに躍り出て、逃げ切ろうと言う魂胆ですね。あの二人、巧いですね」

 

少年は素直に彼女たちを称賛する

そうしてレースが二週目に差し掛かったところで異変が起こる

 

上空から突然レーザーが発射されトップの二人を撃ち抜く

するとその攻撃に誰よりも早く気が付いたジュノンはと言うと

 

「レースに参加したいお客さんって所かしら?」

 

「参加表明にしては物騒だと思うけどな!!」

 

一夏はそう言い上空の機体を睨む。あいにく現在自分は表向き死亡扱いであり変装しているとはいえボロを出すわけにもいかず召喚爆撃を使用し攻撃を仕掛けると言う事は無い

少年は彼に

 

「どうします?今の内に会場から出ますか?」

 

「そうしよう。ティナとは外で合流だな」

 

「いいの、あの子たち放っておいて?一応仲間なんでしょ?」

 

「ここは俺の出る幕じゃない。アイツらで何とかするだろうさ」

 

彼はそう言うとこの騒ぎに紛れて会場を後にする。

 

 

そして会場内では生徒会長のサラが会場の生徒たちを避難誘導しつつ

 

「(また襲撃ですか。今年の学園は随分と不審者に好かれていますね…!)」

 

内心そんな悪態を付いている。するとそこに丁度いい人物が現れる

 

「ウェルちゃん、私も誘導を手伝うッス」

 

そう言って現れたのは生徒会副会長のフォルテ・サファイアである

すると彼女はそれを制し

 

「ここは任せてください。それよりも貴方には頼みたいことが」

 

「頼みたいこと?」

 

「えぇ。会場内をもう一度見て来て欲しいのです。具体的には一般席を」

 

「どういう事ッスか?」

 

「先の攻撃ですが突然の奇襲にしてはタイミングが良すぎます。私の予想では会場内にいる人物が何らかの方法で上空のあの機体に連絡し攻撃をさせたのだと思っています。」

 

「その連絡人物を探し出せと」

 

「はい。ただ相手も相当な実力者であると思います。厳しい状況ですがお願いできますか」

 

「もちろんッス。生徒会長決定戦じゃいいとこ見せられなかったけど今回はその汚名挽回するッス!!」

 

「お願いします。後、布仏さんと更識さん、田中さんに連絡して避難誘導を行うようにと伝えてください」

 

「鈴ちゃんはどうするッスか?」

 

「彼女は上空で戦闘中ですので呼び戻さなくて結構です。”ただ無理な追撃はするな”とだけ伝えてください」

 

「了解ッス」

 

彼女たちはそう話したのちそれぞれ行動を始めるのであった

 

 

 

そしてアリーナではセシリアが襲撃者の纏う機体。サイレント・ゼフィルスを見るや否や

 

「学園祭の借りは返させていただきますわ!!」

 

「貴様。今度こそ!!」

 

そう言い向かっていく。そして鈴も追撃を行おうとするとそこに通信が入る

 

<鈴ちゃん大丈夫ッスか!?>

 

<私は大丈夫ですよ。ただ学園祭の件もあるからかセシリアと箒の二人が追撃し始めましたけど。シャルロットとラウラは私が見る限りじゃ戦闘に加わるのは不可能じゃないかと…>

 

<そうッスか…とりあえず会長からの伝言を。無理は追撃はするなとの事ッス>

 

<善処するわ。>

 

そう言うと鈴は通信を切る。

 

「(さて、私も生徒会役員である以上無様な負け方は出来ないわね…)」

 

そう思うと鈴も戦闘に参加するのであった

途中シャルロットから通信が入り、自分とラウラの機体は無事であるがスラスターが大破したため直接戦闘に参加できないと言う事が伝えられる

 

 

 

そして戦闘を行っているサイレント・ゼフィルスの操縦者であるエムはと言うと

セシリアと箒の攻撃をシールド・ビットで防ぎつつハイパーセンサーで会場を見渡しながら

 

「(クスグが居ない…珍しいなあのバカが会場で騒ぎを起こさないなど。)」

 

そんな事を考えている。

すると箒が彼女に対し

 

「よそ見をしている暇が有るのか!!」

 

そう言い雨月を持ち切りかかってくるが

 

「暇が有るからよそ見をしてるのだ」

 

そう言いシールドビットを箒の前に持っていき攻撃を防ぐ

そして偏向射撃を行い箒とセシリアに攻撃する。

この偏向射撃と言うのはBT兵器の稼働率が上昇した時に行えるものであり、ビームを自由自在に屈折させることが出来るのだ。

これはセシリアの機体でも行えるがあいにく彼女はそこまで稼働率を上昇させることが出来ないのでこの技を使えない

 

するとエムはため息を一つ吐くと

 

「つまらん…」

 

そうして早々に決着を付けようかと思ったその時、機体から警報が鳴ったため自分の正面にビットを展開した直後何かがぶつかったかの様に爆発音が響く

 

「これは、衝撃砲か?」

 

「へぇ防ぐんだ初見で…」

 

そんな事を言いながら現れたのは鈴である

 

上空での戦闘はまだ終わりそうにない


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