IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

112 / 126
第106話

時刻は午前10時

現在、二年生のレースが行われており、抜きつ抜かれつつのデットヒートを展開している

そのような状況でもトップを維持しているのは新生徒会長のサラ・ウェルキンである

 

それを見ている鷹月達はと言うと

 

「やっぱ早いねーサラ先輩。」

 

「流石生徒会長ね。そう言えばイギリスの代表候補生なんだっけ?」

 

「そうね。結構優秀な人だって聞いているわ」

 

谷本がレースを見た感想を呟き、鷹月はティナと簡単なやり取りをかわす

先の生徒会長決定戦で優勝したサラはレースとは言えその実力を十分に発揮し見ている観客たちを大いに沸かせている

結局二年生の部はサラの優勝で幕を閉じ、次は一年生訓練機の部である

これには一組の夜竹や相川、三組の田中と言った訓練機三強と呼ばれる実力者や練習で好成績を残した者が参加する為国や企業の関心を集めている

すると谷本は

 

「確か夜竹さんと田中さんには専用機の話が来たって噂が有るんだけど本当なのかな?」

 

そんな事を言うと簪が

 

「専用機の候補として上がってる…と言うか訓練機3強は全員候補。後は学園の上層部と相談するらしい…」

 

「作るのは倉持?」

 

「違う…確か三葉製作所だったはず…」

 

「へぇ~」

 

谷本は素直に感心する

 

倉持と言うのは倉持技研の事でありココでは一夏の白式や簪の弐式を製作しており一夏の機体が盗まれたことで人員を簪の方に回せるが彼女は拒否、最低限のバックアップのみ頼み後は自力で完成させるつもりである。余談は置いておき倉持技研の特徴としては、第3世代のISの開発に力を入れており弐式の原案を作ったりしていることからも分かるようにに非常に優秀な所である

一方の三葉製作所と言うのは第3世代の制作では倉持に劣ってしまっているが機体が使用する武器の生産では非常に優秀であり噂では日本製のビット兵器の開発にも取り組んでいるらしい

 

三葉製作所では近年即戦力となる候補生よりも将来性のある一般生徒を欲しておりスカウトも一年の4月から行っている。

方や倉持技研は、候補生の機体は自然と担当することになるためこれと言ってスカウトに力は入れていない

 

すると本音は

 

「三葉の技術なら倉持にも負けてないからね~。機体も作れるようになれば、トップクラスなのだ~」

 

そんな事を呟いていた。一連の流れを聞いたティナは

 

「製作所にも得意不得意はあるって事ね。」

 

「そう言う事。訓練機の部、始まる」

 

簪がそう言うと同時に一年、訓練機のレースが開始される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそのレースを観客席の一番後ろで見ている一夏やジュノン、少年はと言うと

 

「速いですね~さすがレース」

 

「私なら追いつけるかしら?」

 

「聖人のお前と比べるのは間違いだろ…」

 

少年はISのレースに素直に見とれ、ジュノンはあの速度に追いつけるかどうか一夏に尋ねると。一夏は冷静にツッコミを入れる

そもそも聖人と比べるのはISが可愛そうである

するとジュノンは周りを見渡しつつ、一夏に

 

「観客は女性の方が多いと思ったけど意外と男性もいるのね。スーツ姿の人とか、仕事サボってるのかしら?」

 

「スーツの人たちは企業や国のスカウト、後は候補生と担当者じゃないのか?こういうのも立派な判断材料だろ」

 

「ISって意外と人員不足なんですかね?」

 

「詳しい事は分からないけどな」

 

一夏はそんな事を言う

彼はこうしている間も変装に使用している眼鏡がずれていないか頻繁に確認する。ISにはハイパーセンサーが搭載されており一夏の顔がレースの参加者に見られれば一発でアウトである

しかもレースには一夏の元クラスメイトも参加しており、この後の専用機の部では一夏の顔見知りしかいないため一層気使うハメになる

 

少年は一夏に対し

 

「一年のレースが終わったらハミルトンさんに連絡して荷物を渡そうと思うんですが、異議あります?」

 

「無いよ。それがいいタイミングになるだろうからな」

 

「私初めて会うわ、そのティナって子。可愛い?」

 

「僕的には可愛いと言うより綺麗って言う印象ですね」

 

「俺もそんな感じ。」

 

彼らはそんなやり取りを行いつつレースを眺める

訓練機の部では相川が優勝、二位が田中、3位は二組の猪狩であった。

 

次はいよいよ一年、専用機の部が始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

一方彼らのレースを一夏が居る所とは別な場所で見ていたクスグは

 

「(あのピンク髪、ありゃ聖人じゃねぇか旦那の話じゃ確かアイルランド出身だったっけか?村に引きこもってたはずなのに何でこんな所に…?バンダナ眼鏡は分から無いけど横のアイツは確かイギリスの案内人…こりゃマジイ。俺、何かしたらアウト確定かよ…)」

 

そんな事を思う

彼も組織に所属している魔術師である以上。要注意人物には注意しており少年とジュノンはもろ該当するため流石の彼でも無茶は出来ないことを悟る

と言うか彼らの組織は魔術がらみの問題を起こしておらずこんな所で睨まれるわけには行かないのだ

 

「(旦那かアトラクなら何かしら手はあるだろうが俺は無理だしなぁ…アレ使っても勝てる気がしねぇ。)」

 

危険を感じた彼は早々に会場を後にしたいのだが、何もしないで立ち去るとなるとこの後スコール達に影響が有る

正直言って、彼はスコールやオータムが嫌いである

だから別に彼女たちが死のうと彼には関係ないのだが、今回の作戦にはエムも参加する

エムが死ぬと姉のように慕っているオトゥーが悲しむ。+自分の魔術以外の遊び相手(あくまでもクスグの考え。エムにとってはいい迷惑である)が居なくなるのはなんとなくさびしい。補足ではあるがクスグはボッチでは無い。日本には来ていないが友達は比較的居る方である。

 

「(とはいえ魔術を大々的に使うのはダメ。どうしようかなーっと。待てよ魔術がダメだけど普通の道具使うのは有りだよな…一先ず会場から出るか。ばれたら大変だ。でも細工位はさせて貰うぞ)」

 

 

そんな事を考えながら彼は会場を後にするのであった


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。