第101話
9月25日午前7時
今日に限って一夏は何時もよりも早く起床していた
特にこれと言った任務も入っておらず実質オフなのだが、悲しい事にIS学園にいた時は全寮制と言う事や訓練が課せられており休日だろうがなんであろうが早朝に起こされることに体が慣れてしまったため休日でも早く起きてしまったのだ
「(まだ7時かよ…普通に早く起きすぎたな)」
ため息を吐くと彼は私服に着替え、朝食を取り、テレビではなくパソコンで情報収集を行う
彼の部屋にはテレビもあるがパソコンの方が多く情報を得られるためパソコンを利用する
そしてイギリスの情報を収集した後日本のニュースにも目を通すと
「IS学園生徒会長決定戦が終了、優勝者はサラ・ウェルキン…この人、セシリアと同じイギリスの代表候補生なのか」
そこには日本で行われた生徒会長決定戦終了のニュースが紹介されていた
IS学園は仮にも国際機関、そこの長が決まる事はIS関係者にとっては重大ニュースであるのだから当然ともいえるであろう
そして記事に目を通していくと
「準優勝は更識さん…ベスト4は鈴と箒…ベスト8に訓練機の子たちも入ったのか…!!」
一夏は結果を見て素直に驚く。
専用機持ちは当然だと思っていたが、まさか訓練機の一般生徒も上位に食い込んでくるとは一夏も思っていなかったのだ
ちなみにニュースには優勝と言うニュースだけで役員は発表されていなかった
その他にも日本の情報を仕入れていると、家のチャイムが鳴る
「はいはーい。」
彼はパソコンの電源を切り、玄関のドアを開けるとそこには何時もの少年ではなく、法の書の時や彼や楯無がIS学園から脱走するときに学園都市まで送り届けてくれた天草式の東郷といつもの少年がいた
「お久しぶりです、元気にしているようで」
「どーも。織斑さん、おはようございます」
「君はあの時の…立ち話もアレだし入りな」
「どうも」
そうして一夏は彼らを家に招くと
「どうした、天草式の君が俺のところに来るなんて?もしかして他の天草式も?」
「いえいえ、今日は僕だけです。大半のメンバーは今キオッジアに居ます」
彼から出た地名に一夏は戸惑う。
一夏はそこそこ頭が良いが、マニアックな地名と言うのは全くと言って良い程分からない
ヨーロッパに渡り一か月たっていないのだから当然であろう
すると彼は一夏に
「イタリアにある都市ですよ。ちょっとした事情でオルソラや五和を含めた一部天草式は今は荷物まとめの最中だと思います」
「そう言えばオルソラは元ローマ正教だったな…」
そう言いながらも一夏は一つ疑問に思う
そのような報告をなぜ自分にするのか?引越しなら事後報告で良いのではないか?
そう思っていると彼は
「今のが近況報告です。今日中には荷物も纏め終わるのでもしかしたら近いうちに他のメンバーとも再会できるかもしれませんよ」
そして彼は一息つくと
「で、ここからが本題です。織斑さんも一度日本に戻りませんか?」
「はい?」
彼の言葉に一夏は驚く。話の趣旨が変わり過ぎていて付いて行けない。
すると彼は
「要はオルソラさんと同じです。この部屋に荷物は有りますが、やはり日本の…あなたの自宅にもゆかりの荷物はあるでしょうし、それらの荷物も回収してきた方が良いと思うんですよ僕は」
「いや…でもどうやって?」
「そこで僕たち天草式の出番です。造船関係の術式も豊富ですし、万が一のことを考えると術式加工した船で日本に行くのが安全じゃないですか?」
彼はそう言い放つ。確かに日本に行くためには飛行機を使うのが早いが、そのためにはパスポートを作る必要がある。学園都市に入る時とは違い、身元を偽装すれば入国できないこともないが、万が一ハッキングされて自分が生きていると分かれば面倒な事になると言うのは分かりきっているのだ
それならば彼の言うように術式加工した船で日本に渡るのが確実だと言えよう
すると一夏は
「俺は良いとして最大主教や、お前たちのリーダーがどう言うか…」
「ちなみにこれを提案したのは最大主教らしいですよ。僕はその伝言で。天草式の彼はその造船を用意する都合で来てもらいました」
すると今まで一言も発しなかった少年が口を開く
ちなみに彼は鞄からパンを取り出し呑気に食べていた
「マイペースだなお前…まぁ家には私物もあるし機会が有るなら戻りたいとは思っていたけどさ」
「私物…エッチな本ですか?」
「違うよ!!」
「ではメイド系のグラビア誌ですか?」
「違うって!!と言うか君も乗るな!!」
最初は、少年が次は東郷が言ったため一夏は纏めて否定する
すると東郷は
「どうでもいい情報ですが、うちの教皇代理は誰に着せるのか分りませんがエグイメイド服を購入しています」
「本当にどうでもいい情報だな、それ」
そんな話をしていると少年が不意に
「でも織斑さん、冗談抜きで自宅は無事なんですか?イギリスに来た経緯を聞く限りじゃ放火位はされてそうですが…」
「それに関しちゃ大丈夫だろ。あいにく身内は一応、世界最強なんでね。そんな有名人の自宅を燃やそうとはしないさ。」
「ならいいんですが…」
彼は一夏の言葉に一応納得する
すると東郷は一夏に
「時間もありません。直ぐに出発しましょう。日本で何か購入するなら円に換えて貰ってからの方が良いですよ。」
そう言う彼の手には懐かしの日本の通貨と、メモ紙が有った
「それは…?」
「代理やら他のメンバーに頼まれた買い出しです。なんだかんだ言いつつメンバー、日本になじみが有るんで、見ます?」
そうして見せられたメモには、カップ麺や日本のメーカーの洗顔用具など一見普通な物もあったのだが、下の方に入るにつれ
猫耳メイド服、魔女っ娘メイド服、大精霊メイド服、等々どう考えても可笑しいものが増えて来ていた。許せるのは新パックの箱買い位までであろう。さすがにメイド服は一夏も疑問に思う。たいていのメイド服は通販で買えるが。ここに書かれているメイド服は日本の超マニアックな店でしか買えないものばかりであるのだ
「メイド服は…術式に使うとかそうじゃなく…」
「代理の指令です。なんでも”あいつに着せてやるのよなー”だそうで。なので日本に付いたら数日間は別行動になりそうですね」
「そっ、そうか。って数日?」
「はい。僕は後二人位天草式を連れてこれらの買い出しと、今まで使ってたアジトの整理などを行うので…さすがに一日じゃ終わりません。まぁ今日行って、時差ボケで一日潰したとしても10月には日本を出られるかと」
彼はそう告げる。
すると一夏は一息吐くと
「分ったよ。こっちも霊装やらいろいろ準備するからちょっと待っててくれ」
そう言い彼は準備を始める
ちなみに準備最中にジュノンも現れ彼女も日本に付いていくことになった
そうして彼らは日本に向かうのだが、日本で世界的な大事件に遭遇するなどこの時の彼らは想像もしていなかった。
アドリア篇は見送ろうかと思います
IS編の後に禁書に戻りますね