IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第100話

イギリスの現在の日付は9月24日午前10時である

一夏は任務先から帰還後、そのまま熟睡、起きたのは今から30分ほど前である

彼の住むマンションは一通りの生活用具がそろっているため朝食を取り現在はパソコンで情報収集をしている。とはいえ集める情報は真面目な情報ではなく、彼が好んでいるカードゲームの公式サイトといった娯楽の情報である。

IS学園の動向についてはもう少し時間がたった後にティナに聞けばいいと彼は考えているのだ

 

「ふーんルール改定か。後は新規召喚…おっ、新規の天使情報。これで連続ドロー以外の事も狙えるるな」

 

彼が画面を見つつそんな事を思っていると、インターホンが鳴る

一夏は画面を閉じ、玄関に向かうとドアの向こうから

 

「織斑さん、僕ですよ。先の任務ではお世話になりました」

 

そう言って現れたのは先の任務でともに行動した少年であった

一夏は立ち話をさせる訳にも行かないので部屋に案内すると、彼は少年に

 

「飲み物は何が良い?コーヒー?紅茶?それともジュース?」

 

「ミルクでも…いえ。オレンジジュースでお願いします」

 

「そうか、ちょっと待っててくれ」

 

そうして一夏はキッチンに向かい少年用にオレンジジュースを自分用にコーヒーを入れるとテーブルへと運ぶ

すると少年は

 

「どうもです。今日はとりあえず任務の事後報告…と言うよりジュノンさんの事についての報告に来ました」

 

そう告げる

ジュノンと言うのは一夏達が任務先で救出した少女であり、魔槍を使う聖人である

彼女はあの後、必要悪の教会へと連れて行かれその後の事を一夏は知らないためその話に耳を傾けると少年は

 

「とりあえずはうちに所属させると言う事になりました。これに関しては現地の組織とも合意済みです。と言うより向こうは彼女と言う大きすぎる力を手放す事での安泰を望みました。村の方には上手くごまかすそうです。」

 

これに関しては一夏もある程度は予想出来ていた

無所属の聖人と言うのは比較的多い部類ではあるが、彼女のように初めから何処にも所属せず何もない所に身を隠すと言う例はごくまれであろう。

その中でのあの事件。本来なら現地の大がかりな組織に所属させるのが最もいい手であるが事件の解決を依頼してきた時点で現地の戦力と言うのにはある程度想像がついたのである

そして少年は

 

「ジュノンさん自身も納得です。後、彼女の魔槍なんですけどね。いくつかの検証結果によりアレはジュノンさんが使う事で初めて魔槍となると言う事もわかったので、霊装に関しては特にこれといった制限はつけないです」

 

「制限なし?神話に登場する”槍”だぞ?」

 

「槍で重要な本質はいくつもありますが彼女の槍は魔槍の殺傷力に関しては欠けている物もあるますがほぼ完ぺきです。しかしそれ以外の本質は何も備えていません。聖人の彼女や…神裂さんもですかね?が使って初めて本質に近くなる武器なのです」

 

「すまん、どういう事だ?アレは本物で合って本物でないって事なのか」

 

「簡単に言いますと威力は本物ですが、確実に当てるには術式ではなく自分の技術が必用って事です。あの槍を音速並の速さで放てるのは聖人ぐらいでしょうし、ジュノンさん結構コントロールが良いんで、狙った所に確実に当てれます。自分の霊装に限らずそこら辺にある槍でも剣でも極端な話ボールでも投げれば必ずど真ん中に命中します。神裂さんと比べてもコントロールは有りますね。アレは聖人以上に彼女の努力によって生み出された物でしょうね」

 

「成る程ね」

 

今の言葉で一夏は理解する。つまり彼女が完成させた魔槍はまさに彼女専用の武装であると言う事だ

極端な話奪われたとしても使いこなせなく宝の持ち腐れと化してしまう可能性が大いにあると言う事だ。ならば確実に使いこなせる彼女に持たせた方が良いと上層部は考えたのであろう

 

すると一夏は

 

「それでジュノンは今どうしてる?」

 

「彼女は今は女子寮に居ます。さすがに聖人を普段から野放しにはできないので…同じ聖人の神裂さんとは話が合うみたいですよ。後、彼女簡単な機械操作も出来るそうなので掃除機の使い方を教えてましたね」

 

「へっ、掃除機?」

 

「えぇ。僕も詳しい事は知りませんが帰り道でジュノンさん、神裂さんに掃除機の使い方を教えてましたよ…何ででしょうね?あの人日本出身とはいえここにいる時間も長いんですが…?」

 

「さぁ?日本とヨーロッパの国々だと使い方が微妙に違うのかな?」

 

最後の言葉に一夏も不思議に感じる。

魔術的な話ではなくなぜ掃除機の使い方を教えるのであろうか?一夏がその理由を知るのはもう少し先である。

 

すると少年が

 

「そうそう、もう少ししたらジュノンさん。ここに来るそうですよ」

 

「そうか…と言うかちょっと待てなんでそんな簡単に俺の家の住所がばれてるんだ?不動産屋のあの人に聞いたの?」

 

「まぁ組織なりの情報網って奴です。住所系統に関しては身内以外にはバレていないのでご安心を。押し売りもないので平和な生活を楽しめますよ」

 

「そうそう。ここは二階だし、こんな風に突入される心配もないってね」

 

「うんうん…って、え?」

 

一夏は女性の声のした方を振り返るとそこには何故かジュノンがいた

格好的に窓から入ってきたと考えるのが一般的であろう。一夏は換気の意味も含め窓を開けてはいたがまさかそこから入ってくるなど予想していないであろう。

 

すると一夏は彼女の方を向くと開口一番

 

「ジュノン…次からはちゃんと玄関から入って来てくれ」

 

「はいなー」

 

彼女は軽く返事をすると一夏は

 

「あれ、ジュノンそんな口調だっけ?村の時は丁寧な感じだった気が…」

 

「流石に初対面の人間にこんな口調はしてないってね。」

 

彼女はそう言って見せる。

村の時と比べ力が抜けた感じであり一日だけとはいえ環境にはすぐ馴染めたのだと一夏は思う

すると彼女は

 

「今日はとりあえず買い物に行こうと思ってたからそのついでに織斑君の家に来たの。」

 

「成る程…ってあれ?俺君に名前教えたっけ?」

 

「村の時に名字はそこの彼が、貴方の名前は神裂ちゃんに聞いたって感じね」

 

「そっか」

 

「さっきも言ったけどこの後買い物に行く予定でね。よかったらあなた達もどうって誘いに来たんだけど…行く?」

 

「行くいくー行きまーす」

 

彼女の質問に少年は元気よく答える

一夏は行こうかどうか迷っていたが少年は一夏の耳元で

 

「…いいじゃないですか。行きましょうよ、大丈夫ですって買いもの位じゃ怒られませんよ。僕も居ますし安心してください。キスの件も黙ってますから…多分」

 

「後半の言葉に俺は信用できないんだけどな!!…まぁいいやお前だけだと色々心配だから着いて行くよ」

 

こうして彼らは街へと買い物に向かうのだった

とは言え一夏は物を買うと言うより物を持たされる役目を担っていたりする

ジュノンは主に服や帽子を購入し、少年も懐に余裕があるのか漫画と言った娯楽品のほかに手帳やペンを購入していた

 

こうして一夏はイギリスに来て初めての買い物を現地で得た仲間たちと共に過ごすのであった




今回は完璧な日常会です
次回からは再び番外編に戻り生徒会長決定戦を一気に終わらせます

それにしても新規光天使には驚きましたね。一夏デッキの原案を見直さなきゃ…

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