IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第97話

一夏と少年は洞窟の最深部までたどり着く

途中にはトラップなどもなく簡単に進むことが出来た為彼らは怪しみながらも歩みを進めていたのだ

 

そうして最深部に到着したのだが、そこは一つの大広間のような場所であった

IS学園のアリーナほどではないが洞窟の一室にしてはとても広い場所である。

そしてその奥に一人の男が彼らを待っていたかのようにその場に存在していた。

 

一夏と少年は戦闘態勢を取るが男は余裕なのか戦闘態勢を取ろうとしない。

するとその男は一夏達に

 

「意外と速かったな。まぁあの二人はよくやってくれたさ」

 

「残りはアンタだけだぞ。良いのかそんな余裕で」

 

一夏はそう尋ねるが男は

 

「あぁ、コイツもちょうど完成したところだ。初の生贄が女じゃないのが残念だが…まぁいい」

 

そう言うと後ろから槍のようなものを取り出す。その形は非常に歪で禍々しいものを彼らは感じ取る

すると男は彼らに

 

「まだ未完成のコイツだが君たちを仕留めるには十分。では…いくぞ…!!」

 

そう言うと男は槍の穂先を彼らに向ける。

すると穂先から無数の棘が飛び出し彼らを貫きにかかる。

 

「これは…!!」

 

「うわわっ!!」

 

一夏と少年は別々の方向に回避する。

さらにその棘は草の根のように棘の先から新たな棘が飛び出し彼らを確実に仕留めにかかる

すでに一夏の左右からほぼ同時に棘が迫ってくる。当たれば確実に彼の内臓を破壊し死ぬであろう。

しかし彼は懐から短剣を取り出すと天使の力を込め短剣を振り下ろす。

 

するとその動作が終わるのとほぼ同時に爆発が起き迫ってくるすべての棘を破壊する

彼の得意技の一つ高速で繰り出す召喚爆撃である。しかしそれは彼の間近で爆発したため彼も爆風により後ろに吹き飛ばされる。

 

そして少年はと言うと一夏程の攻撃は出来ないが身軽な動きで棘を回避していく。

左右がダメなら棘の上に飛び乗り飛び出してくる前にまた別な場所に、そして本当に危なくなれば鞄からナイフを取り出し棘に向かって放つ。

すると棘は自壊し少年の周りから消え去る。

 

その回避を見た男は

 

「ほぅ、やるじゃないか私の魔槍。ゲイ・ボルグの攻撃をかわすとは」

 

「なっ…!?」

 

それを聞いた一夏は驚くその武器はジュノンの武器であったはずだ。それが侵入者の手に渡ってしまっている。これが意味するのはつまり

 

「まさか…ジュノンの槍を奪ったのか!!」

 

その事実は少年も思いついたのが非常に苦い表情をしている。

しかし男はその言葉を聞くと彼らを憐れむような目で見つめながら

 

「違うな、奪ったには奪ったが槍本体を奪ったのではない。さすがにあの小娘もそれには気が付かなかったようだがな。」

 

「(槍本体を奪っていない…それでもってさっきのあの棘…まさか…)」

 

男の言葉に一夏は一つの仮定を立てる

確かに形はどうであれ彼らが作り上げたものは同じもの。そして聖人の彼女を殺害ではなく拘束と言う形にしておいたのも、彼らは彼女を殺さなかったのではなく殺せなかったのだ、ある目的のために

それを一夏は言葉にする

 

「まさか…彼女に身体的な拘束を行い、弱らせることで精神的な防波堤を弱らせお前かお前たちの仲間の誰かが彼女の頭の中から霊装の術式だけを取り出していたのか…!!」

 

「ご名答。とはいえあの術式も万能ではなくてな。必要な術式を取り出すどころかいらない術式までも取り出してしまったのだ。おかげでまだ完成していないんだよ。」

 

男の言う事が真実ならば今の攻撃も彼女が作り上げようとした霊装の一つの攻撃パターンとして組み込む予定、もしくは組み込むつもりだが不必要なので本体に組み込まなかったものなのであろう。

そしてこれが事実ならい男は彼女の頭から取り出した術式から必要な物だけをくみ取った一種の完成系と言う事にもなる。

 

一夏達もそれが分かったからこそこの状況は非常にまずいと言う事も理解する。

だからこそ一夏はこの状況を打破できる手段を持つ人物も思いつく

 

「(ジュノン本人に聞くしかない…どれだけの術式を製造段階で用意していたのかを…だが今この場にあの子が来たとしても状況は悪化するだけだ。俺たちがこの村に来た時にあの子は拘束されていた。そしてアイツは対聖人用の術式を持っていることになる…こいつはやべぇな)」

 

そして彼がそう考えていると同時に人の気配を感じる。

一夏が後ろを振り返ると、そこには彼が思い浮かべていたこの状況を打破できる人物が黒を基調とした槍を持ちながらやって来ていた

 

「遅くなったわ。どうやら間に合ったみたいね」

 

すると彼女を見た男は

 

「やはり来たか。そう来なくてはなやはりコイツの生贄には女がふさわしい。世界をゆがめている人種を直接殺す。光栄に思え女、お前の犠牲によって世界は一ミリでも平和になるだからな」

 

歪な笑みを浮かべながらそう告げる

この言葉を聞いた少年とジュノンは意味が分からないと言った表情を浮かべるが一人だけ違っていた

一夏は彼の言葉を聞いたとたん驚くとともに彼の行動の背景に何が有るのかが分かった、と言うより分かってしまったのだ。つい最近まで彼はその歪めた元凶となるものを身に纏っていたのだから

 

すると一夏は男に

 

「お前…まさか白騎士事件の被害者…なのか…?」

 

その言葉を聞いた少年とジュノンは何の事かさっぱりと言った表情を男は一夏がその言葉を発したことに感心しながら

 

「ほぅ。事件を知っていたかまぁ世間一般の常識みたいなものだからなだ。私とてもともとはただの人間だあの事件が起こる前まではな」

 

そうして男は簡単に語りだす。本来自分は何処にでもいる人間であった事。

しかし白騎士事件によってそれは崩され会社を解雇されさらには女性から不当な暴力を受けたことも多々あったと言う。簡単に告げるがその表情からはかなりの憎しみを感じることから相当な事をされたのは容易に思いく。そしてその過程で魔術と出会った事も、そしてその途中で今回侵入した中も魔の魔術師とも会った事も告げる。

すると男は一夏に

 

「分るだろ?同じ男なら今の世界がいかに住みにくい事位。だから私は決意したのだ。世界を再構成しようと。歪な女をすべて始末し、元の世界に戻す。最高ではないか。どうだ少年…一緒に来る気はないか?君ならますますわかるだろう、ISなどと言うものがあるから君の生活は歪まされた。世界最強などと言う身内を持ち不当な扱いを受けてきただろう?挙句の果てには弟を見捨て裁判に出されそうになった、そんな君なら私の思い分かるはずだろ。この世界は作り直さなければならない」

 

男の言葉に一夏はわずかに笑みを浮かべる。するとそれを見た少年は

 

「織斑さん…?」

 

一夏を心配そうに見つめるが彼は気にせずに告げる

 

「確かに、この世界は腐ってる。お前の言うとおりだ。俺だってそうだ不当な差別も受けてきたし世間の評価何て下の下の下だ。挙句の果てには国に見捨てられて裏稼業だ。そうかと思えば動かせるってだけで女子校にぶち込まれる。恨まない訳ねぇ…」

 

その言葉に男は笑みを浮かべる

理解者がいたと、そう思ったのだろう

だからこそ次の言葉は予想外だったのかもしれない

 

 

「けどな、俺は今の状況に全く後悔なんてしてないんだ!!誘拐されなかったら出会わなかった人たちがいるしIS学園に言った事で合えた人達だってるんだ。魔術師になっても多くの人に会えた、少なくとも扱いに絶望して世界を作り直すなんて考えのもとで大量殺戮を計画するお前と一緒にすんな馬鹿野郎!!」

 

彼にとってみればいらない同情であった。

一夏にしてみれば今の今まで自分の状況を悲観的に考えたことなど無かった。

確かに中学時代は自分の状況を恨んだかもしれないがそれでも頼りになる友人がいたしその後も魔術の師である彼女たちに会えた、ましてや魔術師にならなければ学園都市の”あの少年”とも会えなかったのだから

 

そして彼の言葉にほかの人物も答える

 

「そんな考えは中学時代で終わりだぜおっさん!!」

 

「私の槍をお前のそんな下らない計画になんて使わせない…見せてあげる本物の”魔槍”の力を!!

 

すると一夏は言葉を発する。

自らの力を開放する一言を、これを言うのは夏の天使戦、学園都市でのオリアナ戦に続き3回目である

 

「iaceo231!!」

 

その言葉と共に一夏の付近には熱風が吹き荒れ始め、少年は鞄から札を、ジュノンは槍を構え戦闘態勢に入る

 

決着の時は近い




次回でようやく決着です
その後は番外編で生徒会長決定戦を行い、その後ISに合流です

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