IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第96話

ジュノンは今自分本来の霊装を取り戻すために一夏とは別行動をしている

そして彼女は現在何も武器を持っていない。

このような場所に武器を持たずに入るなど普通の人間ならばまずありえないが彼女は違う。

世界に20人しかいない聖人の一人なのだ。並大抵の人間ならば素手でも倒すことは可能である。

しかし彼女は油断しない。なぜならば彼女は一度敵の術式にはまり囚われてしまっているからだ。一夏達が来なければかなり危なかったと自覚している

 

そして彼女は暗い道の中でも正確に歩いていく。彼女や一夏達が突入した洞窟と言うのは地元の人の間では有名な洞窟である。それは呪いの類ではなく彼女たちの村に伝わる聖女伝説に置いて有名な土地なのだ。そのためこの洞窟の内部と言うのはこの村の住人であるならばある程度把握している。

ちなみに一夏達が入った場所と言うのは洞窟の中でも一番簡単に最深部に行くことが出来る道だったりする。

 

「(確かこの先に小部屋が有ったはず…)」

 

そう思いながら足を進めていくと突然正面から高速で何かが飛んでくる

近くに隠れられるような場所など無く本来ならば直撃していたであろう。

しかし彼女は違う、飛んでくる物体を冷静に見極め右に避ける。すると飛んできた物体はそのまま通り過ぎるかに思われたが、なんと彼女の背後を取ったところで飛んできた方向に戻り始める

彼女の背後を取ったソレは当たる事は無かった、彼女は後ろを見ずにその攻撃を回避したのだ

 

「今のは…ブーメラン…両端に刃が有るしブーメラン全体に飛行術式がかかってる当たると危なかったわね」

 

彼女は冷静に話すと彼女の正面のはるか先およそ200メートル先に一人の男が現れる

 

「お前どうやってあの拘束から脱出したんだ!?アイツが言うにはお前はあれから逃げられないんじゃなかったのかよ!」

 

男はそう言う。この距離でも声が正確に聞こえるのだから何らかの魔術もしくはスピーカーを用いているのだろう。彼としたらまさか彼女が脱出して来るとは思ってもみなかったのだろう

そう言いながらも彼は動揺を隠すと同時に彼女を憐れむような目で見つめる。それに気が付いた彼女は

 

「どうしたの…予想外の事が置きすぎて頭がおかしくなった?」

 

「まさか、あのまま捕まってた方が楽に死ねたのになって思ったんだ。」

 

男はそう言う。彼は彼女を拘束した術式を持ってはいないがそれでもこの自信彼はまだ奥の手を持っているのだろう。

対して彼女は素手。状況だけ見れば男の方に若干分がある

 

「(大丈夫だ、この場所には大量の罠が仕掛けてあるがアイツはそれに気が付いてない。しかも武器もなく素手。この女ただ力が強いだけに決まっている)」

 

男はそんな予想をする。彼にとっても聖人とは初めて会い、しかも初対面では拘束に成功している。

そのような事から彼女の実力を下だと言う風に簡単に判断してしまっているのだ。

 

すると男は今まで以上に彼女と距離を取る。長さにしておよそ

彼女もそれが戦闘態勢と取ったのか身構える、男はポケットに手を入れると一つの杖を取り出す。それを見た彼女は

 

「(杖…近代西洋魔術の火の象徴武器…遠距離攻撃を仕掛けてくる気…?)」

 

彼女はそう考えるがその予想は裏切られる。

何と男はその杖を地面に勢いよく突き刺す。

そして彼はジュノンに

 

「この洞窟がどういう場所か地元のお前なら知ってるよなぁ!!近道の方じゃなくてココは地盤が弱く少し刺激すればここがどうなるのかぐらい!!」

 

そう一夏達が言った場所ではなくこの通り道と言うのは非常に地盤が弱く少しの刺激で崩落してしまうほどだ。そして彼はその刺激を人工的に引き起こすことで彼女を生き埋めにしてしまおうと考えたのだ。

もっともこのままでは彼自身巻き込まれそうに見えるがそこは抜かりない。自分の周辺にのみ結界を張り崩落から逃れるつもりなのだろう。

現に崩落が始まった今でも彼の周囲だけは崩落が始まる様子は無い。

 

そして彼女の付近では岩が落ち始めてきている。

彼女との距離はおよそ200メートル。男はこの瞬間勝利を確信する。

 

しかし彼は一つ致命的なミスを犯していた。

それは術式に不備があるわけでもなく刺激が弱かったと言う訳ではない

 

致命的なミス…それはただ一つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖人と言うものを甘く見過ぎていたことだ

 

 

 

 

 

崩落が始まってからのジュノンの行動はいたって単純である

落ちてくる土や岩を回避し男との距離を詰め一撃でダウンさせる。

これだけ聞けば簡単であるが実際は違う。岩や土が堕ちてくるスピードは速く並の人間ならば回避する間もなく生き埋めに、避けられてもほんの一瞬ですぐに埋まってしまうことなど明確だ。

 

しかし彼女はそれを行う。

落ちてくる岩などを見切り回避してただひたすら距離を詰める。

彼女が走りにけると地面は軽く爆ぜる。それもそうだ彼女達聖人は音速で地面を掛けることも可能なのだ。

そしてあっと言う間に崩落から逃れ彼の張った結界に侵入する。どうやらこの結界崩落から逃れるだけで人の侵入は防げないようだ。

そして男が言葉を発する前に決着がついた。彼女は男の鳩尾に拳を叩き込む。とはいえ彼女としてもこの攻撃だけは加減をしたため男の内臓が破裂することなく気絶で済ませる。

 

すると彼女は倒れた男に対し一言だけ告げる

 

「まぁ武器が無いとはいえ聖人を侮った事。それがあなたの敗因よ」

 

 

かのじょはそう言い残し奥に進んで聞くとそこには小部屋がある

この付近はコンクリートなどで固められており強度はある。

 

そしてこの場所は彼女が霊装を隠した部屋でもあるのだ

隠し場所の付近に移動すると荒らされた形跡もなくまだ見つかっていないことに安堵する

 

壁を軽くノックし隠し扉が開くとそこには長い箱が箱の長さは3メートルほど。

そして箱を開けるとそこには彼女が作り上げた霊装である”影の魔槍”(ゲイ・ボルグ)が入っていた

色は黒を基調とし先端は鋭く刺されば間違いなく深手を負わせるほどであろう。

彼女は手に取ると軽く素振りをし体の周辺で振り回す。そのさまは一目見たならば綺麗の一言に尽きるだろう。動き一つ一つに無駄が無く洗練されたものだ。

 

そうしたところで彼女は一つ疑問に思う

なぜこの槍を相手は盗まなかったのだろうかと触れた感じこの槍事態に何か細工をされたと言うことは無い。

彼女としたらあの場に3人組の一人がいたのだからてっきり槍は盗まれたものだと言う風に思い込んでいたが違ったため彼女はますます混乱する。

 

とはいえ彼女としたらこのまま終わるわけには行かない。

自分を拘束した本命に借りを返しに行くために洞窟の最深部に行く決意をする。

道の一つは敵によりふさがれたがあいにく抜け道などいくらでもあるのだ

 

抜け道の一つを使い彼女もまた歩みを進めるのであった




更新遅れて本当にすいません
暫くこんな感じになりそうです



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