名探偵 怜-Toki-   作:Iwako

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こんにちは。こんばんは。

時間があるとき、咲キャラソートでアソートして遊ぶんですけど、
皆さんはやったことありますか?

この物語を始めたからには、私は当然園城寺怜は大好きなわけですが

実はおさげさんも、咲の中で1、2位を争うくらい好きです。

皆さんは、誰が一番好きですか?

決められないってのも、いい答えですよね。



三巡先、欺きの折り紙  第九話です。


三巡先 欺きの折り紙⑨

「面白そうな話ね」

 

おさげが交渉につく意思を見せると、怜も同じく対面に座って交渉が始まった。

オレと竜華は、いつでもバックアップするつもりで、後ろに控えとった。

 

「とまぁ、さっき言った通りやけど」

「ふむ……確認するわ、私が勝ったら700万円上乗せで、1000万、負けたら借用書はそっちに手渡す」

「ゲームの基本ルールは、清水谷さんから聞いてるとは思うから、いいわよね。その他、何かあるかしら」

 

「ゲームのルールを、少しだけ変えてほしい」

「え、条件じゃなくて、ルールの変更?」

「あかん?」

「…どういじるの?」

「紙に書くから、ちょっと待って」

 

そういって、怜はメモ帳にまた書き始めた。

 

「こんな感じや」

 

 

・正方形を『井』に9分割して、1~9まで数字を書くのは同じ

・ひっくり返して、物差しで切って、そこから『二人で順番に1枚づつ』取る

・同時にオープンして、数字の大きいほうの勝ち。もちろん大小は1<2<・・・・<8<9。

・ゲームは1回のみの勝負。二回戦はなし。

 

 

竜華から聞いたゲーム内容と、だいぶ違うな。

未来写しとか何にも関係ない、もはやいっせーのーせで引いての、ただの数比べや。

 

 

「数が大きいほうの、勝ち、ね。」

「どうや?」

「……条件が二つあるわ。それを飲んでくれるっていうなら、やってもいい」

「その条件は?」

「そうね…」

 

怜に対抗してか、さっきの新ルールの下に、二行を付け加えた。

心なしか、こっちの文字の方がやや大きく書かれているようや。

 

・1~9の数字は、私が記入する。もちろん、その様子をあなたたちも見てていい。

・私が、先に折り紙を引く。平たく言うと、先攻権はこっちにある。

 

「これならいいわよ」

「…」

 

この条件を聞いて、ここまでうっすらと心の中にあった疑念が、確信へと変わった。

やっぱりこいつはただのイカサマ師、もっと最低な言い方すると詐欺師や。

数字がわかって、先攻めやったら100%勝てると踏んでるから、こんな条件出すんや。

ということは、やっぱり裏返しとる状態でも、数字が見えとるっちゅうことやないか!!!

 

「怜、却下や! こんなアホみたいな条件、飲めるわけないやろ!」

「そ、そうやで。ウチが言うのもなんやけど、さすがにこれは――――」

 

「あら、外野は黙ってて。私は園城寺さんと話してるんだから」

「オレらは怜の親友や!!」

「ウチだって!!」

「……だから?」

「だ、だから怜が胡散臭い勝負に引きずりこまれるとあっちゃ、黙っとれるか!」

「そうやそうや!!」

「…別にいいわよ。もしこれが飲めないっていうなら、私はこのゲームを降りるだけだから」

 

呆れたようにため息をつくおさげ。

それにイラっときてまた殴り掛かりそうになったけど、

また怜が無理をしてオレを止めるかと考えると、手が止まった。

 

「………」

「どうするの、園城寺さん」

 

「――飲む。」

 

「はぁっ!?!??」

「と、怜! ウチのためにとは分かっとるけど、アカン!!!」

 

「……ぷっ」

 

おさげの奴、怜のことを小馬鹿にするような目で見とる。

それもしょうがないかもしれん、だっていくらなんでもこんな条件で闘おうなんて―――

 

「ふふっ、あなたってば、弱っちいなりをしてるくせに、なかなか大きいことを言うじゃない」

「受けてくれるん?」

「ええ。あなたのクソ度胸に免じてね」

「さよか」

 

全く、分からん。いくら怜でも、勝ち目のある勝負やあらへんのに。

それくらい、オレの頭でも分かる。

何を考えとるんかさっぱりや。それとも、オレや竜華の考えが及ばんだけで、

なんか秘策があるっちゅうんか?

 

「ただ、一個だけ、お願いしていい?」

「お願いできる立場だと思ってるのかしら…まぁ、話だけは聞いてあげるけど」

「いや、大したことやない。この勝負、闘うのはウチやない」

 

「ん?」

「へぁっ?!」

 

はぁっ?!

 

「どういうこと?」

「闘るんは竜華や」

「ええええええええええええっっ、ウチ?!?!」

「うん」

 

じゃあ、何か?

勝負の怜はお膳立てだけしてくれて、後は竜華に運命握らすってことか??

 

「…何を考えてるのか知らないけど、私は別にそれでもいいわよ」

「どうも。この試合、ウチは公平な審判役や、ってことで」

「審判役、ね。分かってると思うけど、審判役ってことは、当然手助けなんてなしよ?」

「分かっとる」

「負けたら、一千万よ?」

「こっちが勝ったら、借用書な」

「……」

 

 

(何なの、この余裕は…もしかしたら、このコ、勝算があるってこと…?)

(となると、私のこの『やり方』に気が付いている、ってことになるけど)

(そうとしか、思えない。でも、紙に数を書くのは私、先攻も私…介入の余地なんてないはず)

(私の勝利は揺るがない。ただ、ここは念には念を入れて―――――)

 

 

 

「…じゃあ、最終確認。勝負は、私VS清水谷さん。審判役は、園城寺さん」

「私が勝ったら、『借用書の三百万円を一千万円に更新』する」

「私が負けたら、『三百万円の借用書をなかったこと』にする」

 

「うん」

 

「もし、勝負の最中に『イカサマ』が有った場合は、その勝負自体を『無効』とする」

「それで、どうかしら」

「ウチはそれでいいよ」

 

あれよあれよと話は進む、竜華はプルプル震えとる、もう何と言ったらいいか。

もはや滅茶苦茶、勝負自体が荒唐無稽―――――先に、竜華に限界がきた。

 

「よーーーーーっくない、怜!怜!!!」

「竜華。あとは頑張って」

「頑張るとか頑張らないとか、そうやない!! ああ、もうなんて言えばいいんや!!」

「なんとななるよ、ガツンと頼むで」

「やーーかーーらっ!! こんな勝負自体、絶対やったらアカンって!!」

「大丈夫。竜華は勝負強いから」

「お願いやから話を聞いて!!!」

「それじゃ、おさげさん始めてください」

「とーーきぃぃぃいぃぃいいい!!」

 

おさげが新品の折り紙を取り出した。

裏返して、1~9までの数字をランダムに書いていく。

もうここまで来たらしょうがない、竜華、9や。9の位置を覚えるんや!! それか8!!

 

「よし、みんなちゃんと見たわね?」

「じゃあ、カットに入るわよ」

 

数字の記入後は、紙を裏返してのカット。

物差しで、丁寧に切っていく。手慣れたもんや、9個の綺麗な正方形があっと言う間に完成した。

形は全く一緒、目立ったシミとか模様もない。それが、次はシャッフルされる。

いよいよどこにどの数字があるか、全く分からん。少なくともオレには………

 

「はい、準備完了。用意はいいかしら」

「一応、審判として最後軽く混ぜてもいい?」

 

そうか、もしかして怜には数字が見えとって、さりげなく竜華に教えてあげるんやないか?

あるいは、分かりにくいようにシャッフルして、おさげの目をごまかすとか、まだ残された希望が―――――

 

「裏返したままならいくらやってもいいわよ…ただし、その間、清水谷さんは後ろを向いててもらうけどね」

「……」

「さらに、それが終わり次第、もう一度私もシャッフルするわ」

「……さよか」

 

あ、アカン。もしかしたら、怜がサポートできるチャンスがあるとしたら、

まさにこの時しかないのに―――――その最後の芽すら、おさげはつぶしにかかってきた。

 

 

(ふふっ、あなたの作戦は分かってるわよ。シャッフルするフリをして、大きい数字の紙を清水谷さんに伝える)

 

(どうやって数字の大きい場所を記憶したのか知らないけど…ともかく、清水谷さんが見てない以上、全くの無意味)

 

(プラス、私もさらにシャッフルすることで、後から教えてあげることもできない)

 

(ま、どのみち私が先攻な以上、そのあがきも無駄なことだけどね)

 

 

ダメや、せっかく怜がシャッフルしたのに、またおさげが

どこに何があるか確かめるように、じっくりと混ぜ始めた。

怜をチラっと見てみる。一見、顔色は普通に見える。

もしかしたら、めっちゃ動揺しとって、オレらに気を遣っとるのかもしれん――――

 

 

「それじゃ、私から引くわね」

 

迷うことなく簡単に運命の一枚がおさげの手の中に収まった。

あ、あ、あとは、竜華が引くだけや……

 

「うぅぅぅ…こんなん、分からんよ…どれを引けばいいかなんて…」

「いくら時間をかけてもいいわよ?ちゃーーんと、後悔しないように、選んでね♪」

 

悩み始めて、5分経った、竜華はそれでも決められずにおった。

段々、可哀想になってきた。こんな勝負、やっぱりおかしいんや―――――――

 

『と、怜…』

『ん?』

 

オレは、小声でばれんように怜に話しかけた。

 

『こんな…なんでこんなことしたんや…』

『……』

『こんな、100%負けるのが目に見えとるような勝負――――――』

 

 

怜らしくもない、と言おうとしたその時。

 

 

『大丈夫。ウチを―――――――竜華を、信じて』

『え?』

 

『―――――――87.5%。』

 

 

は、はちじゅうななてんご?

 

 

『人生三回目の――――神頼みや』

 

 

 





セーラの苦悩を超えて。

竜華の引いた数字は。

怜の秘策とは。

三人の運命は。


欺きの折り紙、次回、決着。


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