宇宙世紀へ強キャラ転生   作:健康一番

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海中の死闘

 UC79年5月、V作戦は順調に進展していた。

 

 マークを中心とした実戦データ収集部隊『ケルベロス』の活躍もあり順調にデータは集まり、そのデータを反映させることで新設計のモビルスーツ達は設計を見直され、更なる強化を目指して突き進んでいった。

 

 この月にエネルギーCAP技術が完成、ビームライフルを初めとした携行ビーム兵器の開発は進んでいったが、既にゴッグ・ズゴックという限定的ながらもメガ粒子砲を装備するモビルスーツをジオンが開発しており、連邦軍上層部は更に開発を急がせた。

 

 実戦データを収集して改良されているのは設計中のモビルスーツだけでは無かった、マーク達の乗っているザニーも随時バージョンアップをしており、その安定性を少しずつ改善していった。

 

「もうこれ量産でいいんじゃないか?」

 

「・・・あ~いや、俺たちなら問題なく運用できているが、ザクより出力やら機械的な信頼性なんかも低い、これを量産してもザク確実に倒せると思うか?」

 

「まあ、・・・そうだな」

 

「あくまでもザニーは実験機、こいつ等を使って新兵でもザクを仕留められる機体を作るのがこの作戦の肝だからなぁ」

 

 とある戦いの後、ミデアの中でのデブリーフィング中、彼らはこの時ばかりは遠慮も無く反省会を含めてだべっていた。

 

 既に同じ釜の飯を食った中、という所か、部隊結成時に比べて明らかに隊員たちの間には絆が確実に育まれていた。

 

 マークは威張りちらすことも階級を盾にすることも無くフランシス達年上達にも敬意を持って接し、更に良い意味での金持ちとして親分肌であり、気前がいいせいもあり隊員たちからの信頼を得ることに成功していた。

 

 フランシスはその天才的技量のせいもあり少々尊大であったが、彼らの中でも一番の年上であるということもあり、自分が一番の大人であるという自覚と共に良い兄貴分として振舞うようになっていた。

 

 ヤザンも自信家であり、未来ではクソ&クソな上官を謀殺してしまうなど傲慢で我が強い、だが、仲間と認めた者に対する信頼はきちんとするし、マークやフランシス、ミラ達の実力と性格は大きく評価しており、彼等との時間を心から楽しんでいた。

 

 ミラは残りの連中に比べればまともといっても良い娘であった、戦況分析、情報解析などはお手の物であり、彼らが無事に生きて帰ってこられるのも彼女のおかげといっても過言ではない。

 

 ただ、最近は空いた時間を使いモビルスーツのパイロットとしての訓練もさせられているのだが、教官役をヤザンが買って出たためにいいように玩具にされては絶叫を上げている。

 

 エルンスト(仮)はそんな彼らからは一歩離れた所から観察したり茶々を入れたりして胡散臭く楽しんでいる。

 

 何度かの実戦を越え、何度かの被弾を許したこともあるものの、彼らはしぶとく生き残り、宝石よりも貴重な実戦データを確実にジャブローに届け続けていた。

 

「そういえば」

 

「どうした?」

 

 ミラが疑問の声を上げ、マークがそれを受ける。

 

「ああいえ、・・・フェデリコ中佐、残念でしたね・・・」

 

「ああ、惜しい人を失った、セモベンテ隊は皆飲み込みも速かったし、生きて帰れれば教官役を任せて俺達は実践データを集めることに集中できたんだが」

 

(一応教導のときにそれとなく注意しておいたんだが・・・だが、しょうがないか、一応、完全に撃破するまで油断は出来ないとは伝えたんだがなぁ)

 

「ま、ザニーもまた改修作業でしょ?狙撃砲も新しいのを作ってくれてるらしいし、実戦の合間にはなるけど教導は出来てますよ・・・まぁ多分」

 

 5月9日、鹵獲したザクを使ったジオン補給線へのかく乱作戦を実施していたセモベンテ隊は、史実通りにヒルドルブに遭遇し、激戦の末相打ちになった。

 

 セモベンテ隊への教導は行うことが出来たが、彼らはV作戦とは指揮系統が違うためにそれ以上のことは出来ず、無為に散らせてしまうことになってしまった。

 

 せめてヒルドルブの残骸を回収できないかと目論んではみたものの、あまりにジオン勢力圏の只中でありすぎたためにそれもかなわなかった。

 

「話を変えるが」

 

 微妙な空気を振り払うようにマークが話題を変える、それは彼等の今後に関することであった。

 

「現在訓練させている教官候補達への教導が終わり次第、我々は実戦データの回収を最優先とし、他の基礎データは今教導している連中の中から選抜してV作戦に組み込み、彼らにやってもらうことになる・・・俺達だけでは手が足り無すぎるからな」

 

 モビルスーツ部隊の第一陣となる彼らは座学での研修は既に終わり、今は訓練用のザニーを使った実機による訓練と、モビルスーツに乗る体力をつけるためのトレーニング、対G訓練などに精を出しているところである。

 

 彼等の中にはユウ・カジマやマット・ヒーリーなどといった後の隊長やエースたちがひしめいており、彼等の中から優秀な上で名前を知らない奴を見繕い、V作戦のテストパイロットに引き抜くつもり満々であった。

 

「その肝心の設計中のモビルスーツ、いったいどこまで出来てるんです?もうこの戦争も半年続いてやすぜ?」

 

 エルンストは少し疲れた顔である、ホバートラックだけでなく、今乗っているミデアなどの操縦も彼が行っており、そのせいもあり少し疲れているのは間違いない。

 

「基本となるのは3機種らしいが、コアブロックシステムの要であるコアファイターの設計に問題があるらしいな、RTX-44から発展したRX-75はほぼ完成、中距離支援用の77も基礎設計は終わったらしいんだが・・・」

 

 口を濁すマークをみて、隊員たちは面白そうに、あるいは心配そうに見守る。

 

「問題は78でな、こいつは最後発でもあり詰め込めるだけの技術を詰め込んだらしくてな、おかげでコアファイターの規格が合わなくなってしまったが、今更コアファイターの規格を変えるわけにもいかず、専用のコアファイターを開発することになったらしい」

 

「つまり、マーク・・・だいたい隊長殿の発言のせい、てことですか」

 

 にやりと笑うヤザンにマークは歯を見せてうなる。

 

「・・・アイディアが出るんだ、それを実行しようとする技術班にも責任はあると思うがね」

 

 笑うヤザンにいじけるマーク、それを見た皆の朗らかな笑いがミデアに響いた。

 

 

 6月、連邦とジオンの戦いは完全に膠着していた。

 

 地球侵攻作戦以降ジオンは地球各地を制圧、圧倒的な戦果を上げ続け連邦に講和を飲ませるべく勝利を重ねていった。

 

 だが、圧倒的といって良い戦果を挙げ続けていたジオンではあったが、一度対決を決めた連邦内部にはザビ家の危険性を知り、この戦いの敗北は地球上に生きるもの達への死刑宣告に等しいと議会や街角にて論陣を張る者達が増加、主戦論が様々なところまでに広まっていた。

 

 ザビ家の気分しだいでコロニーが何時でも降って来る可能性があるとなれば、オーストラリアの悲劇がいつ自分達にも降り注ぐか分からない、そのことに関する原始的な本能から来る恐怖、故郷や仲間、友人知人、親類を失ったことに対する復讐心、そして植民地(コロニー)人に対する反逆への怒り、混乱している情勢ならばともかく、一度落ち着いてそれらを考えてしまえば降服に等しい講和を飲みたがるはずも無く、戦いはジオンの思惑から外れて長期化してしまっていた。

 

 地球に侵攻したジオン軍も現地の感情が最悪だということは理解していたので慰撫に勤め、親ジオン派の政治家や反政府組織を押し立てて現地住人からの反感の矢面に立たせたりしていた。

 

 だが、各地でサボタージュは起きていたし、場合によっては州軍や現地ゲリラの襲撃が頻繁にあったりと決して気を抜くことも出来ず、補給の維持や占領統治にかかるコストは日々増大しており、進軍速度は日々低下しておりしまい、その進軍速度は牛歩のごとくであった。

 

 ジオンとてむざむざとしてやられるだけではなかった、宇宙での連邦軍の圧力が激減している間に、開戦前から建造していたソロモンを初めとした宇宙要塞を完成させ、その軍需物資生産力は向上しており、巨大な兵站戦を支える一助としていた。

 

 また、新型モビルスーツ開発にも余念が無く、水陸両用の強力なモビルスーツの開発及び量産体制の確立、陸専用モビルスーツではツイマッド社のドムが試作され、近く量産体勢が整う手はずになっていた。

 

 この時期ジオンで最も活発に動いていたのはキシリア・ザビであった。

 

 彼女はニュータイプのというものに強い興味を示しており、サイド6にフラナガン機関を設立、己の権力を高めるための一手とするために蠢動し始めた。・・・そして。

 

「潜水艦隊の設立?」

 

 キシリアの発言にギレンが片眉を上げる。

 

「はい、総帥。地球の7割は海によって占められており、これの支配権を確立できれば輸送艦を使い補給も目処が経ちましょう」 

 

「ふむ・・・」

 

 キシリアの言い分にも利点はある、本音の所では自らの権益確保を考えてるのであろうが、元々地球方面軍はキシリアの管轄と言ってもいい物であるし、補給が楽になるのは普通に助かる、それにアジア方面の攻略がてこずっている以上、側面支援となるこの提案は渡りに船とも言えた。

 

「キャリフォルニアにあったU型が改修し終わっていたな」

 

「その潜水艦を中核にして編成の予定となります、幸いキャリフォルニアの工廠とデータがあれば生産も転換訓練も支障はありません、ガウとファットアンクルを主攻とし、秘密裏に潜水艦部隊でハワイを強襲、その後占領して潜水艦隊の拠点とする予定です」

 

 上手くすれば膠着しつつある戦況を打破も出来るか、とギレンは許可を出すことにした。

 

「まあいい、好きにするがいい」

 

「ありがとうございます、必ずや勝利をつかんで見せましょう」

 

 こうして潜水艦隊は秘密裏に組織され、その後の幾多の勝利によって拡大していき、連邦海軍は常に窮地に立たされることになった。

 

 

 

 ここで場面はジャブロー内のV作戦の研究室、その中でも主任であるテム・レイの部屋に切り替わる。

 

「というわけでだ、何か、アイディアは無いかね」

 

「いや、無いわけではないんですが・・・唐突ですね」

 

「私も唐突だからね、これで休暇は無くなり、息子にジャブローを案内する予定もパーだ!!」

 

 話の始まりはジオン水泳部の跳梁からであった。

 

 ハワイ陥落から始まり、ジオン水泳部は連邦海軍に大きな打撃を与えた、ただでさえコロニー落としの影響で被害を受けていた彼らは最早悲鳴しか出ない状況であった。

 

 そこでゴップを通じレビルに話が舞い込んできた、V作戦の成果を使って水中用の兵器を作って欲しいとのことだった。

 

 ジオンの目が海に向かうのはレビルにとって都合がいいし海軍連中にも恩が売れるためにレビルはこれを了承し、その無茶振りはV作戦の技術者達にまわり・・・テム達の仕事が増えることになった。

 

 そんなことをメガネと額を光らせながらテムはマークに伝えた。

 

「さすがに抱えすぎでは?少しはV作戦から放出したほうがいい物もあるでしょう?」 

 

「うん、ガンタンクはコアブロックを無くした物を量産することが決まっている、試験機のほうはV作戦の管轄となるが、それ以外の開発は他に任せるつもりだ。おかげで一つ手が開き、久しぶりの休暇になる筈だったんだがなぁ」

 

 肩を落とし、ため息をつく。コーヒーを入れるために壁際のコーヒーメーカーに手を伸ばす。

 

「なら、手間無く作れてある程度の物を渡してしまえばいいのでは?」 

 

 その言葉にハッとしたテムが振り返る、その発想はなかったという表情でマークを見る。

 

(ああ、真面目な人だから完璧なものを目指そうとしてたんだな・・・)

 

「しかし、それでは前線の兵士の命が失われるのではないかね?」

 

「ですが開発の優先はV作戦に有ります、開発スケジュールのことも考えれば仕方の無いことでしょう。それに手間無くとは言いますが、決して悪い物をつくろうとは考えていません」

 

「では?」「つまり」「・・・なるほど」「・・・」「・・」「」

 

 

 

「・・・で、これを実戦で試すことになった・・・と」

 

「・・・任務であるなら・・仕方が無い、だが、二度目はごめんだな」

 

「いや、皆さんアレですよ!宇宙に向けた訓練の一環と考えれば・・・駄目ですか」

 

「すまんな、本当にすまん」

 

 太平洋の海中、何時ものミデアではなく輸送任務についている艦隊の一部を間借りしていた彼らは、ソナーに敵影を見つけたとの一報を受けて出撃していた。

 

 既に空母から発艦しているドン・エスカルゴから情報を受け取りながら、彼らは敵影に向けて進軍していた。

 

「水中はやはり気に入りませんな、動きか鈍すぎる、これで本当に対抗手段になるんですか?」

 

「?確かに地上や宇宙とは違うが、水中なら特に問題ないだろう?相手も機動に制限がかかるのは同じなんだ。まぁ、反射神経よりは先読みが物を言うが」

 

「・・・そこが嫌なんだがなぁ」

 

 げんなりとした様子でヤザンがつぶやく、機動戦と格闘戦に特に力を発揮するヤザンにとってはその機動がどうしても制限されてしまう水中はどうも苦手であった。

 

「流石の野獣もこの棺桶には参ったようだな」

 

「誰だって嫌でしょう!!中尉は何とも思わんのですか!?俺はモビルスーツで戦うためにV作戦に来たのに!!」

 

「俺だってそうさ!!だが俺達は軍人だ!!給料分は働らかにゃならんだろう!?」

 

「しかし・・・!!!」

 

「いい機体だと思うんだけどなぁ・・・フィッシュアイ」

 

「あの・・・でも・・・いや、何でも無いです」

 

 ヤザン達がギャースカ騒いでいる中マークがポツリとつぶやく、そこにミラが突っ込みを入れようかと迷ってやめた。

 

 彼らがそんなリアクションするするのも訳がある、彼らが乗っているのは未完成ながらも頼りがいのあったザニーでは無く、元々は宇宙での作業用であった宇宙ポッドを改良した先行量産型ボールを更に改良した水中用モビルポッド、その名もフィッシュアイであった。

 

「いや、短時間で作った割には完成度はかなり高いぞ?本来予定していたものに比べればかなりいい物になったぞ」

 

 ただでさえ頑丈なジオン水泳部相手にする時、本来装備するはずだったロングスピアでは威力が足りてないとして装備を変更し、誘導魚雷をメインにすえ、切り札にはスーパーキャピテーション魚雷に切り替えてモビルスーツを十分に撃破出来るように変更、更に危機回避用の水流ジェットと整流翼を増設して機動性も確保していた。

 

 新野望のこいつくらいには活躍が見込めそう、とはマークの感想である。

 

 ただ、本来に比べるとコストの増大し、ただでさえ短かった航続距離は更に低下してしまっているが、肉壁未満よりはマシという判断で装備類は変更された。

 

「・・・やはり悪くは無いぞ?」

 

 それに対する反論でまた騒がしくなっていたが、ミラから送られるデータから敵部隊の接近を確認し、感情を切り替える。

 

「ボディより各機へ、接近中のモビルスーツ照合完了、ザクマリン6、ゴック3と思われます、後3分で艦隊の対潜迎撃が始まります、ヘッド各機は迎撃で散らされた敵を各個撃破してください。なお、艦隊に近付きすぎれば爆雷の影響を受けますので注意してください」

 

「聴いたな?やることは簡単だ、ばらけた連中を一機ずつ囲んで叩く、ここまでお膳立てされて戦果を挙げれないなんて言わないな?無駄死にだけはするなよ!!」

 

「「了解!!」」

 

 防衛圏へ侵入したモビルスーツ部隊に対してドン・エスカルゴから対潜ミサイルが放たれ、ジオンモビルスーツ部隊は散開しつつ、その反撃として放たれた魚雷は連邦艦隊へ襲い掛かり、護衛のために射線をさえぎった駆逐艦をへし折り、一撃目はジオン有利に進んだ。

 

「よし、端からいくぞ!各機魚雷を放て!!」

 

 放たれた魚雷が泡立つ海を切り裂き、群れから離れたザクマリンを襲う、流石にこちらに気付いていたらしく回避行動に迷いは無く、マークとヤザンの魚雷をかわしざまにランチャーを向けた。

 

「だが、それも読めている!!」

 

 時間差で放たれたフランシスのスーパーキャピテーション魚雷がザクの胸部を抉り、即座に魚雷が炸裂してこの哀れな狩生ふぉは海に消えることになった。

 

「命中はしたが、やっぱりあわねぇなぁ・・・」

 

 愚痴りながらも機体を止めることは無く、彼らは次の獲物に襲い掛かる。

 

「連邦の魚雷艇か!?生意気な」

 

 僚機をヤられたことを知ったザクマリンがターゲットをこちらに変えて向かってくる、放たれた魚雷をマークが魚雷で迎撃しながら彼らは向かってくるザクをターゲットにする。

 

 こちらも先ほどと同じように処理をする、マークとヤザンの魚雷を囮にして本命のフランシスの一撃で決めてこちらも初撃で片付けれた。

 

「誘導魚雷だと弾速が遅いが・・・超音速魚雷ではコストがかかりすぎるしなぁ。まぁいい、次はクローだ、ヘッド3、出番だ」

 

「了解、チャンスを上手く作ってくださいよ!!」

 

 

 

 彼らが戦っている間にも艦隊とモビルスーツとの戦いは続いている、ザク2機が早めにフィッシュアイに始末されたために戦局は連邦に少しずつ傾いていた、だが、一番の脅威であるゴッグはまだ全機健在であり、ジオンの指揮官はまだいけると判断していた。

 

「連邦め・・・生意気な物を作りやがって!!」

 

 愚痴りながらも彼は傾いてしまった戦局を挽回すべく、旗艦と思しき艦にをターゲットに変える、魚雷では戦艦クラスを一撃で葬るのは難しいと判断し、甲板に飛び乗るために加速する。

 

「!!もらった!!」

 

 甲板にゴッグが飛び乗った衝撃で艦体が軋み、クルーの悲鳴が響き渡る、急いで主砲が回されるが、ゴッグの腹部の砲口からメガ粒子の光が溢れ、放たれるほうが早かった。

 

「そうやすやすと殺らせるかよ!!」

 

 瞬間、海面から飛び出したヤザン機のクローがその砲口に突き刺さり、隊長のいたコクピットは己の放とうとしていた奔流に飲まれて消え去った。

 

「ヤザン!!」

 

「大丈夫です!!クローと右下方部が損壊してますが、コクピットは露出していません、悪運の強い彼ならきっと・・・!!」

 

 甲板の上には上半身が失われたゴッグと、半壊し、無残な姿をさらすフィッシュアイが残されていた。

 

「ぐぅ・・・無茶をしすぎたか・・・?」

 

 半壊したフィッシュアイからヤザンが這い出してくる、あわてた戦艦のクルーが駆け寄り、彼はそのまま医務室送りとなた。

 

 既に戦いの帰趨は決まっており、ジオンは撤退に入った。

 

 護衛艦隊も実験部隊も被害を受けており、追撃するのはあきらめた。

 

 幸いにしてヤザンは軽症ですんでおり、1週間もすれば当たり前のように復帰してきた。

 

 時間を取られすぎることを嫌ったマークとテムはこれで実戦証明が出来たということにし、実際の運用なんかは海軍に丸投げすることに決めた。

 

 海軍のほうもある程度戦える機体が出来たこと、転換訓練も簡単で、生産も容易ということでフィッシュアイの正式採用を決定、量産体勢を整え、艦隊防護のために活用されていくことになる。

 

 V作戦は順調であったが、量産型ガンタンクやそのファミリー、今回のフィッシュアイというある程度ザクに対抗できる機体を量産し始め、各地の戦線に登場したこともあり、ジオン側も新型機開発が加速していった。

 

 連邦とジオン、彼等の鎬を削る技術開発はまだまだ加速し続けていくのであった。


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