長門の視線 ー過去編開始ー   作:電動ガン

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page4A 私とイタリアン

皆さんこんにちは。鳳翔でございます。私、非番の日はお洗濯、掃除、お食事等の大事なお仲間である艦娘のお手伝いをしております。本日もそのお手伝いをしている中、少し困ったことが起きてしまいまして・・・

 

「えっぐ・・・えっぐ・・・」

 

「えーん!うえぇーん!」

 

「イタリアちゃん、ローマちゃんどうか泣き止んでくださいな・・・」

 

高速戦艦のイタリアちゃん、ローマちゃんのお二人がホームシック(?)にかかり、泣き出してしまいました。なんとか食堂にいた皆さんで宥めていますがどうにも泣き止んでくれません。

 

「イタリア!ローマ!そんな体たらくでは同盟国の日本に示しがつかないわ!しっかりなさい!」

 

「でも!でもぉぉぉ!」

 

「ビスマルク・・・日本で第二次改装まで済ましたあなたにはこの苦痛がわからないでしょうね・・・!ひっぐ・・・うぅええ・・・」

 

「ビスマルク御姉様の言う通りです!あまりに騒ぐと長門さんが場を納めに来ますよ!!」

 

「長門さん・・・!!」

 

「び、びっぐせぶん・・・」

 

む、親友の名前をそんな戒めに使われるとは心外です。しかし私はイタリア文化に精通してるわけでもありませんしイタリア料理もわかりません・・・この場をなんとかするには私では力不足です・・・

 

「ヘーイ、イタリア?ローマ?寂しいのは二人だけじゃないデース。ビスマルク達も私も故郷が恋しいのは一緒デース・・・だから分かち合いまショウ?美味しい紅茶を淹れてあげるデース。」

 

あぁ金剛さん・・・なんという優しさ。慈愛に充ち溢れています。ただの紅茶ジャンキーかと思いましたがそんなことありませんでしたね。

 

「だ、だから長門が来る前に泣き止むでーす。長門が来たらきっと大戦艦パンチで泣くこともできなくなりマース。長門のパンチはやばいデス。一回のパンチで三体のタ級を粉砕しマス。究極のカラテデス。」

 

「ひゃあぁ~・・・ローマぁ!」

 

「うぐ・・・うえぇぇん・・・・まだ死にたくない・・・」

 

前言撤回。金剛さんもなんとかできません。長門さんの手を煩わせるわけにも行きません。彼女はやっと戦線から離れ、平和を謳歌しているのです。その邪魔はさせません。

 

「こちらです。」

 

「・・・事情を説明しろ。」

 

・・・ああなんてこと。

 

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やぁ諸君。長門だ。今日もみんなと仲良くなるために走り回るぞ。今日はなんと大潮の誘いで駆逐艦のちびっこたちと鬼ごっこだ。まてー。いや、待って。お願い待って。追い付けない。戦艦じゃ。無理。低速。私低速だから。待って。マジ待って。捕まえさせて。

 

「長門さんおっそーい!」

 

「はぁはぁはぁ・・・低速戦艦じゃ・・・無理・・・」

 

「長門さん!これ!お水です!」

 

「あ、ありがとう・・・」

 

鬼ごっこに集まったのは朝潮、大潮、島風、不知火、雷、電、暁、響だ。皆大潮が私を連れてきた時は硬直したが遊び始めたら態度も治ってきた。なんだ。仲良くなるなんて簡単じゃないか。

 

「まさか長門さんが一緒に遊んでくれるとは思いませんでした。」

 

「ふぅ・・・私はみんなが思ってるほど堅物ではないんだがな。」

 

「ええ。不知火もそう思います。」

 

「な、長門さん!」

 

「ん、どうした電。」

 

「あの・・・肩車、してほしいのです。」

 

「!・・・あぁ、いいぞ!」

 

このように駆逐艦と戯れるのは実際楽しい。生前(?)ながもん等のロリコン長門をよくみたがああなるのも頷ける。いかんなまったく。平和だ。なんと平和なんだ。あの戦争があった世界とは思えない。

 

「長門さぁぁぁぁぁん!」

 

・・・平和は無くなった。あの大声で私を呼ぶのは大淀だ。ああやって呼ぶ時はだいたい面倒事がある時だ忌々しい。

 

「な、長門さん・・・」

 

「・・・なんだ?」

 

「ひぃ!?そんな睨まないでくださいよぅ・・・」

 

「今私は、平和を謳歌している。」

 

「えっと・・・すみません・・・」

 

「・・・それで、何の用だ。」

 

「はい。食堂で・・・何やら戦艦達が騒ぎを起こしていまして。」

 

「はぁー・・・すまないお前達。少し行ってくる。戻ったら間宮でおやつにしよう。」

 

「はいなのです。」

 

「レディーを待たせるのは得策じゃないわよ?」

 

「すまんな暁。」

 

「おやつは、アイスがいいな。」

 

「わかった。響のお願いはしかと聞き入れたぞ。」

 

しぶしぶと立ち上がって大淀を一睨みしておく。もう震え上がっているので面白かったコレで大淀は許してやろう。

 

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「・・・私は、事情を説明しろ。と言ったが?」

 

「へ、ヘーイ!長門!とりあえずは座りまショー?まずは落ち着くのがベストだと思いマース!」

 

「私は可及的速やかにこの事案を解決したいんだが?」

 

「ソ、ソーリー」

 

「イタリア、ローマ泣いているがいったい何があった?ビス子がまた何か余計な事をしたのか?」

 

「ちょ、なんで私が何かした前提なのよ!」

 

「ビスマルクお姉様、日頃の行いかと・・・」

 

「プリンツ・・・!」

 

「・・・とりあえずみんな座れ。」

 

「(さっきなんで座らせてくれなかったデース・・・)」

 

ふむ。イタリア、ローマが泣いていてビス子とプリンツが慌てて金剛が疲労しているというところか。まったくわからんな。

 

「鳳翔。」

 

「はい。」

 

「いったい何があった。」

 

こういうときは鳳翔に聞くのが一番だ。

 

「イタリアちゃんとローマちゃんがどうやらホームシックにかかったみたいで・・・イタリア料理が食べたいと言って泣き出してしまったんです。ビスマルクさん達や金剛さんは偶々居合わせて・・・」

 

「ホームシックって・・・彼女達はここで建造されたはずだが?」

 

「ほら、海外の船の艦娘ですし、どこで建造されたかはあんまり関係ないんじゃないかしら?」

 

ちらりとイタリアとローマを見ると顔を青くして二人で抱き合い何やら祈りを捧げている。・・・そんなに故郷が恋しいのか。

 

「イタリア、ローマ・・・」

 

「ぴぃ!」

 

「死にたくない・・・!」

 

・・・死に直結するようなことか?

 

「私に任せ「私を頼っていいのよ!!!!」

 

んほぉ!!びっくりした!!雷!?どうしてここにいるんだ!?

 

「長門さんの背中にずーっとくっついてたわ!」

 

「へ、ヘイ雷ガール?いったいどうするんデース?」

 

「簡単よ!イタリアのご飯を食べましょう!」

 

「しかしイタリア料理なんて誰も出来ないぞ?」

 

「別に、なんでもかんでも自分たちで作る必要はないじゃない。私達が料理が出来る鳳翔さんにご飯を作ってもらってるみたいにすればいいのよ!」

 

「Ich sehe!つまり外食するのね!雷!」

 

「そうよ!ビスマルクさんもみんなで行くわ!イタリア料理を食べに行くわ!!!」

 

「長門・・・いいわよね?折檻して終了なんて今更言わないわよね?ね?」

 

「・・・そうだな。なら大潮達も呼んでこないとな。」

 

「イタリア!ローマ!首は繋がったわ!」

 

「やったわローマ・・・!」

 

「生きた心地がしなかった・・・!」

 

なんだか知らんが外食で大丈夫らしい。あんなに安心仕切った顔をするなんてよっぽど食べたかったのか・・・

 

「それなら提督にも外出の許可をもらいにいかないといけませんねぇ・・・急に大丈夫かしら。」

 

「なぁに鳳翔、いざとなったら私がこの手で・・・」

 

「まぁ・・・あんまり提督に乱暴してはダメですよ」

 

なんやかんやで外食に行くことに決まった。雷はいつの間にか高速戦艦達に胴上げされながら感謝されている。・・・そういえばこちらの世界で外食するのは初めてだ。ちょっぴり楽しみにもなってきたぞ。


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