魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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気と魔力は使えますが、小宇宙(コスモ)までは感じてませんよ?




第6話 聖○士に同じ技は二度通用しないと言うのを忘れたか?

 

 

 

 

 

「くくく……宝具『妄想心音(ザバーニーヤ)』」

 

それを聞いて俺は即座に無詠唱の魔法の矢3発を地面に刺して爆発させた。

 

爆風が周辺に覆われて視界が見えなくなる。

 

あの技はダメだ。

 

魔力が高ければ防げる率は高くなるがゼロにはならない!

 

ここで死んでしまっては色々面倒になる!

 

そして、回避して……もしなのはとかユーノを人質に取られたら……。

 

ダメだダメだダメだ!

 

こうなったら……アレを使うか。

 

「奥義・二重身(ドッペルゲンガー)

 

俺はそう呟くと魂を2つに分ける。

 

分身体を囮として本体である俺はひとまず隠れるしかない!

 

仮にあの技をしのいだところで下手をしたらなのはの心臓を握りつぶすかもしれない!

 

今回は、逃げるしかないみたいだな!

 

俺は気と魔力を完全にゼロにしてその場を離れた。

 

 

 

 

 

-分身体アレス視点ー

 

 

本体は……よし、ここから離れてるな。

 

あくまで俺はここであいつの足止め。分身体の俺が死んでも本体に戻るだけ。

 

結構、便利と言えば便利な技かもな。

 

「くくく、目くらまししても無駄だ! 『妄想心音(ザバーニーヤ)』」

 

その言葉と共にグシャッと言う音が響き、同時に俺の心臓が潰された。

 

「ぐ……が……」

 

俺はその場に片膝を付いた。

 

「残念だったな? 目くらましをしようが俺のこの技からは逃れられん!」

 

「ぐ……」

 

「さて、このまま放っておいても貴様は死ぬだけ。後は……まあ、なのははゆっくりと手に入れるとしようか」

 

男は後ろを振り返ってそのまま飛んでいった。

 

「くくく……ざまぁみろだな……」

 

俺はそう呟きつつその場に倒れて意識を失っていった。

 

 

 

-分身体アレス視点・終了-

 

 

 

 

なのはの元にたどり着くと既に負けていたのか、気を失って倒れていた。

 

ちなみに子猫も元の姿に戻っていた。

 

その後はなのはを治療してすずか達の元に帰っていった。

 

 

 

 

 

その夜。

 

なのはは恒例と化してしまった俺の家でお泊まり。

 

無論、ユーノも一緒である。

 

「アレス君……負けちゃった」

 

ベッドの上で正座をして下を向くなのは。

 

まあ、確かにラミエルの力でパワーアップはしてるがまだまだ戦いに関しては素人の域を出ない。

 

「ああ、俺も何とか逃げるに精一杯だった」

 

「そんな……アレスでも?」

 

「いや、勝てるには勝てたんだが……」

 

「?」

 

「あいつの切り札がな……」

 

俺は切り札である『妄想心音(ザバーニーヤ)』の事を教えた。

 

ちなみに、分身体の記憶も本体の俺にきちんと残るのだ。

 

「嘘……」

 

「そんな……」

 

2人は目を見開いていた。

 

「まあ、魔力が高ければ防げただろうが、もし防げたとしてもなのはやユーノを人質に取られたら……」

 

「ごめんなさい……」

 

「気にするな。俺だって100%防げる自信は無いし、それになのははあの金髪の女の子と戦うんだろ?」

 

「うん……」

 

「ま、この調子だと次も出会うだろうから……俺はその時にカリを返してやる」

 

【そうですわね。お兄様は同じ相手からの二度の敗走はありませんもの】

 

「あ……」

 

エヴァはいつもの調子で喋ってしまった。

 

「こ、こらエヴァ」

 

【あ……】

 

なのはとユーノ、2人の目線が妙に冷たい。

 

「ねえ、ユーノ君? デバイスに『お兄様』って普通呼ばせる?」

 

「いや、僕は聞いたこと無いよ?」

 

【私もありませんね】

 

レイハさんもバッサリだった!

 

「へぇ? アレス君ってそういう趣味があったんだ」

 

「いや、ちょっと待て。なのはは勘違いしているぞ?」

 

「今度アリサちゃんとすずかちゃんに教えてあげようかなぁ?」

 

「待て待て待て! すずかは良いにしてもアリサに教えた日には!」

 

ここぞとばかりにおちょくって来るに違いない!

 

満面の笑みで『お兄様ぁ?』と言ってくる! 間違いなく!

 

その後、『今度の温泉旅行では一緒に洗いっこしようね♪』と言われてしまった。

 

え? 混浴はもう逃れられないのですか?

 

そもそも、海鳴温泉に混浴はあるのですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

世間は連休に入りました。

 

所謂GW(ゴールデン・ウイーク)と言うヤツです。

 

まあ、当然の事ながら……俺は旅行に出掛けてます。

 

高町家、藤之宮家、アリサと月村家(メイドさん含む)と言う大人数。

 

車で揺られること2時間半。

 

温泉宿に到着した俺達は……。

 

少し周りを散策した後、颯爽と風呂に入りました。

 

「どうしてこうなった……」

 

俺は今、世の中の男性が大喜びする桃源郷、女湯に来ていた。

 

無論、混浴ではない。つーか、女湯だって言ってんだろ! それに、そうそう混浴の温泉なんぞあってたまるか!

 

理由は単純明快。

 

温泉入り口に張ってあった紙。

 

 

 

『女湯への男児入浴は11歳以下のお子様のみでお願いします』

 

 

 

ちょっと待てやコラ。

 

このネタはStSのネタじゃないのか?

 

それとも、またやるのか?

 

まあ、メタ発言は止めておこう。

 

ちなみにユーノも強制連行済み。

 

淫獣と淫魔人の二つ名を刻もうじゃないか!

 

……母さんに泣きつかれたから拒否は出来ないんだけどね。

 

『エヴァが一緒に入りたいです~』と言ってるが『今はダメだろ』と何とか断ってるが。

 

腰にタオルを巻いてからゆっくりと行く。

 

ユーノは入る前から既にのぼせているように見えるが。

 

後で頭に水をかけておこう。

 

 

 

 

 

 

「アレスく~ん、背中洗って~」

 

なのはが頼んで来る。

 

「はいはい……」

 

言われるがままになのはの背中を洗う。

 

「やっぱりアレス君の洗い方が一番良いよ。丁度良い加減で洗ってくれるし……」

 

少し頬が赤いなのは。

 

ちなみに左右に分かれてアリサとすずかの2人がジーッと眺めていた。

 

 

「……ゴクリ」

「ホント気持ち良さそう……」

 

 

2人の頬も赤かった。

 

なのはの背中を流した後。

 

「さあ、アレス! あたしの背中も洗いなさい!」

 

 

 

15分後

 

 

 

 

「あ、あんたのその……あ、あ、洗い方は……どういう事よ!?」

 

顔が茹で蛸の様に真っ赤になっていたアリサがいた。

 

「どういう事と問われても。普通に洗っただけだが……?」

 

「巫山戯ないで……あんたのその洗い方は……何というか……」

 

アリサはそのまま湯船の方に向かって歩いていった。

 

「次は私の番だよね?」

 

 

 

15分後

 

 

 

 

「ふあぁぁぁ……」

 

もはや言葉になってないんだが。

 

アリサと同じように真っ赤になったすずかがここに居た。

 

「大丈夫か? すずか?」

 

「だ、大丈夫……だよ……?」

 

やや目が虚ろになってませんか?

 

「すっごいね~アレス君は」

 

「そんなに気持ちいいのかしら? すずか?」

 

現れたのは忍さんと美由希さんだった。

 

更にノエルさんとファリン嬢と……母さんと桃子さん。

 

ものすげーイヤな予感を感じるのですが。

 

以下、ダイジェスト風にお送りします。

 

 

 

 

 

「くっ、この洗い方は!!」

「な、何なのこの絶妙な……!」

「これは……!」

「はわわわっ凄く気持ち良いです~」

「さすがはアレスちゃんね~やっぱり気持ちいいわ~」

「な、直美さん、週一でも良いからレンタルをお願いして良いかしら?」

 

 

桃子さん、俺はレンタル物件では無いのですが!

 

 

 

 

6人の女性方を洗ったのでようやく自分の身体を洗うことが出来る。

 

「ふぅ、これ以上居たらのぼせちまう」

 

スポンジを泡立てて腕をこすろうとしたら。

 

「……あら?」

 

握っていたスポンジは何故かノエルさんの手に。

 

 

「お礼に洗ってあげます」

「そうね。お礼は大事よね」

 

 

後ろからは桃子さんの声が。

 

「へ? あの……自分で……?」

 

「何か言いました?」

 

ノエルさんの目が据わっておられました。逆らえません。

 

あと、鼻から赤い液体が流れてる様な気がするんですが。

 

鼻から出る忠誠心なら某紅魔館のメイドさん(十六夜咲夜)の得意技であってノエルさんが習得して良い技では無いのですよ?

 

あと、それは忍さんとすずかにお願いしたいのですが!

 

 

 

「それでは行きます!」

 

 

 

結果的にはノエルさんは前の方を。

 

桃子さんは後ろの方を。

 

洗って頂きました。

 

ええ、上手でしたよ。

 

上手でしたが……まあ、ここはあえて言いませんが。

 

その後はなのは、アリサ、すずかの3人も来て頭を洗って貰いましたよ……。

 

ええ、隅々と……綺麗にさせて貰いました。

 

何この後宮(ハーレム)的な扱いは。

 

 

 

 

その後はなのは達3人に連れられて旅館内を散策。

 

ちなみに、全員浴衣を着用している。

 

すると、前から来るのは額に宝石みたいなモノを入れてる橙色髪の女の人。

 

まあ、アルフさんですね、分かります。

 

「はぁい、おチビちゃん達」

 

そう言って俺達の元に歩いてくる。

 

「! ……そんな……あんたは……確か、あいつが……」

 

アルフは驚愕の表情で俺を見るアルフ。

 

大方、あの男があの小僧なら病院送りにして当分出てこられないとか言ったのであろう。

 

「ん? 何か……用ですか?」

 

俺は何事も無いかの用に返した。

 

「い、いや、何でも無いよ……」

 

そう言ってなのはの方を見る。

 

「ふぅん、この子が……ねぇ……」

 

〈どうした? 重傷と伝えられてた俺がいてびっくりしたのか?〉

 

アルフに念話を飛ばす。

 

「っ!」

 

俺の方を見るアルフ。

 

〈まあ、あの男に伝えておく事だな。俺を簡単に退場させられると思わないことだ……と〉

 

〈……伝えておくよ〉

 

「ちょっと? 何処のどちら様ですか?」

 

アリサがアルフに詰め寄る。

 

「あははは、ごめんごめん、ちょっと……知ってる子に似てたからさ」

 

アルフは頭をかきながら笑い出す。

 

「そうですか……」

 

「あら、可愛いフェレットだね~」

 

そう言ってユーノの頭を撫でるアルフ。

 

〈まあ、いいさ。今は挨拶だけ。忠告はしておくよ。子供はお家に帰って仲良く遊んでな。おイタが過ぎると……ガブッと行くわよ?〉

 

アルフは八重歯を見せながら微笑んできた。

 

〈くくく、子供だからと言ってナメてると……そちらがガブッとやられるかも知れんぞ?〉

 

〈良いね~悪ガキを躾るってのも……悪くないね〉

 

〈ほぅ? 悪さをする『狼』を躾るのも悪くなさそうだな?〉

 

俺は少しだけ……殺気を放出した。

 

〈くっ!〉

 

アルフは俺から目を逸らした。

 

「さぁて、俺は行くが……なのは達はそのお姉さんと遊ぶのか?」

 

俺はアルフの横を歩き出した。

 

 

「あ、待ってよアレス君」

「待ちなさいよ!」

「待って~」

 

 

なのは達3人も俺の後を着いて来た。

 

 

 

 

 

その後は俺達は卓球をやった。

 

ちなみに、アリサ・すずかペアと俺・なのはペアになってプレイした。

 

接戦だったが、俺となのはペアが勝った。

 

アリサは顔を真っ赤にして咆吼していたのは言うまでも無かった。

 

更にアリサは俺にシングルでアリサ・すずかはペアと言う変則対決を強制。

 

代わりとして俺はラケット二刀流でやらせろと提案。

 

結果は……。

 

圧勝だったがね!

 

その時アリサは……

 

「何でそんなに早く反応するのよ!どういう目をしてるのよ!?」

 

と吼えました。

 

まあ、ライフル程度なら止まって見えるんですが。

 

「し、しかも……右でも左でも凄く器用に打ち込んでくる……」

 

すずかも肩で息をしていた。

 

「にゃははは……アレス君……両手利きなんだよ?」

 

なのはは知っていたがアリサとすずかは知らなかった……と言うか、教えていなかったり。

 

「聞いてないわよ!」

 

そんなこんなで時間は流れる。

 

 

 

 

 

就寝時間。

 

大人部屋と子供部屋に別れて寝る俺達。

 

朝起きたら母さんが布団に潜り込んでいそうで恐いんだが。

 

アリサとすずかは既に眠っている。

 

なのははモゾモゾと時折動いてるからまだ起きてるのだろう。

 

〈眠れないのか?〉

 

俺は念話をなのはに飛ばした。

 

〈うん……〉

 

〈あの金髪の娘が気になるのか?〉

 

〈うん……。あんな寂しそうな瞳……してるんだもん……〉

 

〈そうか。俺は見てないから何とも言えないが〉

 

〈きっと、アレス君も見たら分かるよ。何もない……空っぽな瞳だから〉

 

〈そうか。彼女とは……どうする?〉

 

〈友達になりたい〉

 

〈そうだな。なのはとなら、良いお友達になれそうだ〉

 

〈うん。それに、アレス君とも友達になったら彼女も幸せになれるかな?〉

 

〈どういう事だ?〉

 

〈だって、アレス君と知り合った時に嬉しいことがあったから……お父さんが……退院してくれたから……〉

 

〈なのは……〉

 

〈アレス君もお友達になってくれるよね?〉

 

〈ああ〉

 

その時、魔力反応を察知した。

 

どうやら、ジュエルシードが出たみたいだな。

 

〈アレス君〉

 

〈ああ。どうやら……ジュエルシードだな。ユーノ、起きてるよな?〉

 

〈う、うん〉

 

こ、こいつ……俺となのはの会話を……聞いてるハズは無いか。

 

なのはにだけ行くように調整してるはずだし。

 

その後、俺となのははこっそりと抜け出して外に出た。

 

ちなみに、母さんと父さんには他の人が気付かないように誤魔化す様にお願いをしておいた。

 

 

 

 

 

行く途中。

 

俺は、なのはに話を持ちかけた。

 

「あの黒衣の男は俺が転移魔法で転送してから戦う」

 

「うん。私はあの子だね」

 

「僕は、あの使い魔を押さえるよ」

 

ちなみにアルフの正体は既になのはに伝えてある。

 

「ああ、頼む。だが、黒衣の男はなのはとユーノを人質に取るかもしれない」

 

「それは……」

 

「う……」

 

「大丈夫だ。それをさせない為に俺は……1つ能力を使う」

 

「能力?」

 

「ひょっとして、レアスキル?」

 

ユーノの問いに俺は頷いて答える。

 

「なのはとユーノに1つ約束がある。それは、俺のこの能力を口外しないで欲しい」

 

「うん」

 

「分かった。レアスキルは希少故に狙われる対象になる事だってあるからね」

 

2人は頷いてくれた。

 

「ありがとう。それじゃあ、俺の能力……『二重身(ドッペルゲンガー)』」

 

そう呟くと俺の身体が2つに分かれる。

 

「なっ!」

 

「アレス君が2人に……!」

 

「これが俺の能力、『二重身(ドッペルゲンガー)』だ。まあ、魂を2つに分けて分身体を作る大技かな?」

 

「た、魂を……」

 

「2つに……分ける?」

 

なのはとユーノは呆然と俺達を見ていた。

 

「本体と分身体に別れて、分身体は一定のダメージを喰らうと本体に強制転移する」

 

「故に、分身体の心臓が潰されても……本体にはほとんどダメージが残らないんだ」

 

俺達はお互いに見合っていた。

 

「そうか、それなら……アレスが言っていた技を回避出来る!」

 

「そう言う事だ。今からは分身体が一緒に行くから本体は気配を完全に消して様子をうかがう」

 

「うむ、それじゃあ行くぞ? なのは? ユーノ?」

 

「何か……変な感じなの……」

 

「僕も同感……」

 

なのはとユーノは俺の分身体と共にジュエルシードの方に向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

-分身体アレス・視点-

 

俺達が魔力源に辿り着くとジュエルシードを手にしたフェイトとアルフ、そして黒衣の男。

 

全員が俺達の方を向いた。

 

「て……てめぇ!」

 

全員が驚いた視線で俺達を見ていたが、特に男の目は見開かれていた。

 

「よう、また会ったな?」

 

俺は口元を吊り上げて微笑んだ。

 

「慎二?」

 

金髪の少女……フェイトは不思議そうに男……慎二を眺めた。

 

「気にするな、フェイト。あいつらは敵だろ?」

 

「うん……そうだね……」

 

フェイトはジュエルシードをバルディッシュにしまうと黄金色の魔力刃を出して構えた。

 

「どうやって復活したかは知らんが……」

 

慎二は両手を掲げた。

 

そして、両手に現れる疑似の心臓。

 

「今度こそ、念入りに……ぶち殺す!」

 

俺は杖を持って構えた。

 

「おっと、動くなよ? 動けば……なのはの心臓がグッシャリ逝くかも知れないぞ?」

 

口を三日月の様に吊り上げて微笑む慎二。

 

所謂、邪笑と呼ばれる笑い方だ。

 

「慎二! やりすぎだよ!」

 

フェイトが慎二の方を向いてそう言った。

 

「何を言ってる、フェイト? あいつはひょっとしたら……お前の母さんを殺すヤツなのかもしれないんだぞ?」

 

「……っ!」

 

「そうだよ、フェイト! あたしは旅館でキツめの殺気を受けたんだ! あいつは……あたしとフェイトも殺すかもしれないんだよ!?」

 

まずったな……。旅館で少々やりすぎたか?

 

心の中で苦笑するしかなかった。

 

「そんな! アレス君はそんな人じゃないよ!」

 

「くくく、君は騙されてるんだよ! さあ、僕が救ってあげるよ! 『妄想心音(ザバーニーヤ)』!!!」

 

慎二は左手の疑似心臓を握り潰した。

 

同時に俺の心臓も握り潰された。

 

こいつ……こいつの宝具は……少し強力になってるみたいだな。

 

だんだんと意識が遠くなっていく。

 

 

「アレス君!」

「アレス!」

 

 

なのはが俺に駆け寄る。

 

〈上手い演技だ、なのは〉

 

〈えへへ〉

 

〈僕はどんな感じ?〉

 

〈ユーノもなかなかいい感じだな。俳優としてデビューするか?〉

 

〈い、いや、それはさすがに……〉

 

「はははは! 今度は復活しないように死体をバラバラにして海に捨て去ってくれるわぁ!」

 

慎二が左手にデバイスを持って来ようとしたその時。

 

「残念ながら、そんな機会はもう来ないぜ?」

 

本体の俺が後ろから慎二の右手を掴んで捻っていた。

 

 

-分身体アレス視点・終了-

 

 

 

 

 

 

俺は慎二が左手にデバイスを持って歩み寄ろうとしたとき。

 

一気に第5チャクラまで回してから背後に寄ってこう言った。

 

「残念ながら、そんな機会はもう来ないぜ?」

 

後ろから左腕を首に回して、右腕を慎二の右手首を掴んで背中に回して捻りあげる。

 

右手の上に現れていた疑似心臓は霧散した。

 

「そ、そんな!?」

 

「な、何で!?」

 

フェイトとアルフは目を見開いて俺の顔を見ていた。

 

「その声は……! てめぇ! どうして!?」

 

「ふん。よく見てみろ」

 

慎二はなのは達の方を見る。

 

倒れていた俺は亡霊みたいに透けてから俺の方に飛んできて……合体する。

 

「な! 『偏在』か! ゼロの使い魔の魔法も使えたのか!?」

 

「まあ、そう言う事にしておいてやるよ。頼む! エヴァ!」

 

【了解です。次元転送します】

 

足下に広がるベルカ式魔法陣。

 

「き、貴様!」

 

「てめぇとは一対一(サシ)で勝負したいんでな!」

 

一気に視界が変わる。

 

次元転移で簡単に戻れない場所に転移したのだ。

 

周りに広がる……地平線。

 

周りには草木が生えてない荒れ地。岩や石がゴロゴロ転がっている……不毛な大地だった。

 

「そう簡単に逃げられないようにリク・ラク・ラ・ラック・ライラック……」

 

【そうですわね、魔法の監獄(ゲフェングニス・デア・マギー)

 

同時に展開される結界魔法。

 

ネギま!式とベルカ式の両方で展開されてるからそう簡単に逃げる事は出来ない。

 

「くっ……てめぇ……だが良いか。どうやら本体だから……てめえをぶち殺せば結界も解けるって訳だ」

 

慎二は左手に鎌のデバイスを持ち、また右手を高く掲げた。

 

そして、また疑似心臓が現れる。

 

俺は第5チャクラまで全力運転、魔力も限界まで身体に張り巡らせて防御に回る。

 

【装甲手楯(パンツァーシルト)】

 

目の前に現れる漆黒のベルカ式魔法陣。

 

「今度こそくたばれ! 『妄想心音(ザバーニーヤ)』!」

 

慎二は右手の心臓を握り潰した。

 

 

パキィン

 

 

甲高い音を立てて……何も起こらなかった。

 

どうやら防御は成功したみたいだ。

 

「そ、そんな……幾人もの転生者共を葬って来た俺の宝具が!」

 

「残念だったな。聖闘士(セイント)に同じ技は二度通用しないという法則があるのを知らないのか?」

 

「な、何だよ、それ!」

 

「それに、お前はそんな事をしていたのか?」

 

「わ、悪いか!? お前だって、転生者を葬ってきたんだろ!?」

 

「いや、礼を言わせて貰う」

 

「へ?」

 

「ま、ぶっちゃけ言うと俺はお前らみたいに転生した奴らを捕まえに来たんだよ」

 

俺はそう言うと左手の指輪を掲げた。

 

「『(ことわり)の指輪』起動」

 

そう言うと煙の様な蒸気が噴き出して結界内に広がる。

 

「うわっ」

 

身体が少しずつ変化していく。

 

……何だ? 隣に……誰かが……この気配は!

 

隣に現れる、誰か。忘れるものか。1000年の時を一緒に生きてきたのだから。

 

俺の隣に現れたのは、前世の妹、エヴァであった。

 

そう、麻帆良女子中等部の制服を着ていた。どうやらエヴァも前世の姿に戻ったみたいだ。

 

俺も下を向くと分かる。エヴァと同じ制服。

 

さあ、ヤツはどんな反応をしめすかな?

 

俺はゆっくりと慎二がいた方角に向かって歩き出した。

 

「ち、畜生! 何だよこの蒸気みたいなのは!」

 

慎二が腕を振り回していた。

 

ゆっくりと視界が開けて見ると。

 

「これは」

 

「あらぁ?」

 

俺とエヴァはちょっと驚いた。

 

慎二と呼ばれた男は、そう。黒髪でちょっとウェーブかかった髪型。

 

黄土色の学生服。

 

まあ、ぶっちゃけ言うとFateの間桐慎二そっくりだったのだ。

 

「ひっ! エヴァンジェリンが……2人!?」

 

顔を真っ青にしてその場に座り込む。

 

ふむ? エヴァの存在を知ってると言う事は……Fateの世界とは全く関係ない、そっくりさんなのだろう。

 

しかし、ここまでそっくりとは。

 

「さて、と。貴方の外道っぷりには随分と辟易させてもらったわ」

 

「ひっ……」

 

「エヴァ? 貴女はどう思う?」

 

「そうですわね。私も……ちょっと許し難いかな……と」

 

ゆっくりと慎二もどきに近づく。

 

「それじゃ、栄えある貴方は……」

 

「貴方は……?」

 

「痛みが快楽に変わる体質に変わって貰ってから天に召されるのよ」

 

俺とエヴァは魔力を込めて八重歯を牙に変えて……慎二もどきに襲いかかった。

 

結界内に慎二もどきの叫び声が木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

慎二もどきを天界から来た天使に引き渡し、元の世界に転移した。

 

着いた時は既に決着が着いたのであろう、フェイトとアルフが帰る所だった。

 

うむ、記憶の書き換えも無事に済んでるのであろう。

 

「さっすが、あたしのご主人様♪それじゃあねぇ~おチビちゃん」

 

アルフはそう言って飛び立っていった。

 

フェイトも飛び立とうとしたが……。

 

「待って!」

 

なのはが呼び止める。

 

「出来るなら、もう私達の前に現れないで。もし、次があったら……今度は止められないかも知れない」

 

フェイトは背中を見せながらそう言った。

 

「名前……貴女の名前は!?」

 

「……フェイト。フェイト・テスタロッサ」

 

「あの……私は……」

 

なのはが自己紹介しようとしたらフェイトはそのまま飛び去ってしまった。

 

「行っちまったな……」

 

「うん……」

 

「……負けたのか?」

 

「うん……」

 

なのはは今にも泣きそうな顔をしていた。

 

「そうか。強く……なりたいか?」

 

「……うん……」

 

「そうか……」

 

俺はなのはに抱きつく。

 

「アレス君……」

 

「一緒に、魔法の練習するか?」

 

「うん……。アレス君……ユーノ君……私を鍛えて」

 

「分かった。なのは、君を最強の魔導師にしてあげよう」

 

「分かったよ、なのは。僕も協力する」

 

こうして、フェイトとの戦いに2連敗したなのはは俺とユーノの元、魔法の練習を開始するのであった。

 

 

 




 

ちなみに二重身(ドッペルゲンガー)で分かれた分身体は『アストラル体』とか『エーテル体』みたいな分類になります。

質量を持った幽霊みたいな感じ?

物理攻撃を何割か削減可能です

もっとも、気や魔力などの力がこもった攻撃は普通に通用します


……微妙に穴がありそうな設定ですなw

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