魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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ちょっと長いかな?




第5話 町中が破壊されるフラグはへし折ってしまいませう

 

 

 

 

 

 

「ガアァァァァァ!!」

 

吼えて俺に向かって突撃して来るケルベロス。

 

「そんな単純な突撃でどうにかなると思うか?」

 

俺は左に避けて右の頭に杖を打ちつける。

 

「ギャッ!」

 

怯んだ所を更に眉間目がけて突きを放つ。

 

右の首が目を瞑った所、真ん中の首が俺に噛み付こうと口を開けて襲いかかってくる。

 

「遅い!」

 

俺は下にかいくぐって顎下から杖で思い切り突き上げる。

 

真ん中の首は思いっきりのけぞって胴体部分が丸見えになる。

 

「ハアァァァァァ!!!」

 

一気に第3チャクラを回して身体能力を上げて喉より下の部分を突いた。

 

「グゥアァッ!?」

 

ケルベロスの身体が5m程宙に舞い、そして地面に叩き付けられてひっくり返った。

 

ケルベロスは頭を打ったらしく、ジタバタともがいていた。

 

「ふぅ、……ん? 困るなぁ、なのは。呆然と見てないで封印をやって貰いたいんだが……」

 

なのはは目を見開いて俺とケルベロスの戦いを眺めていてユーノは顎が外れんばかりに口を開けていた。

 

「す、凄いのアレス君……あんな怪物でも全く動じないで戦ってる……」

 

「うん……何か……戦い慣れてるって言うか……」

 

「もしもし?」

 

俺はなのはの顔向けて顔を近づける。鼻の頭同士がくっつくくらいに。

 

「わぁ!」

 

なのはは驚いて飛び退く。

 

「いや、封印してくれないと……俺のデバイスは封印機能が無いから……」

 

「あ……ごめんなさいなの……」

 

頬がリンゴの様に赤いなのは。

 

そしてレイジングハートを未だ起き上がろうともがいてるケルベロスに向けて……

 

「リリカルマジカル、ジュエルシードⅩⅥ……封印!」

 

レイジングハートから桃色の光線がケルベロスの身体を貫く。

 

……もはや砲撃にしか見えないのだが。

 

間違いなく砲撃特化型にしか見えん。

 

将来は固定砲台か、魔力無限の。下手な魔導師なら秒殺されるな。

 

そうこうしてたらジュエルシードと犬が分離して、ジュエルシードはなのはのレイジングハートに収納された。

 

俺は犬を見た。

 

子犬だ。こんな子犬がケルベロスとは、何の冗談だか。

 

俺は子犬の頭を撫でる。特に目立った外傷はなさそうだ。

 

倒れた女の人も同じく外傷は無いみたいだ。

 

俺は女の人を担いでお賽銭箱の所に寄りかからせておいた。

 

さすがに地面の上はアレだし。

 

 

 

 

 

暫くすると女の人は目を覚まして周りを見渡した。

 

「アレ? ……疲れてたのかな?」

 

そう呟いて駆け寄る子犬の頭を撫でた。

 

「……疲れてたんだよね?」

 

そう呟いて女の人は神社を降りていった。

 

これで一件落着……かな?

 

「それじゃ、帰ろ? アレス君」

 

そう言って俺となのはは帰路についたのであった。

 

 

 

 

 

それから数日は目立った事は無かった。

 

とりあえず、更にジュエルシードを2つ封印して5つ集まっていた。

 

そうそう、天界から贈り物が届いた。

 

前世で使用していた魔法のポシェット。

 

ぶっちゃけ言うと某猫型ロボットが使用しているポケットと同じで色々な物を収納出来るのだ。

 

前世で使用した魔法具とかその他諸々が収納されている。

 

しかも、俺とエヴァ以外の人が手を突っ込んでも反応しないセキュリティ付き!

 

まあ、問題は見た目のデザインが思いっきり女の子向きである事だ。

 

前世の姿なら全く問題無いが、今の姿だと……ちょっとアレなんだよね。

 

外見をいずれ改修しないといけないが、それは先の話だ。

 

そう言えば、無印編が始まったのに転生者達が現れないな。

 

4年経つがまだ3人だからなぁ。

 

狡猾な奴らが揃っているのか、様子をうかがっているのか。

 

まあ、同じチート同士でつぶし合いしてるのか。

 

つぶし合いしてくれた方が(作者的に)手間が減って助かるのだが。

 

うん? 今何か変な単語が混じった様な?

 

まあ、良いか。詮無きことだ。

 

さて、本日はジュエルシード探しは少し小休止で俺となのははちょっとした事に顔を出していた。

 

それは……。

 

「頑張れー!」

 

「ファイトだよー!」

 

士郎さんがコーチ兼オーナーを務めてるサッカーチーム、翠屋JFCの試合であった。

 

なのは、アリサ、すずかの3人はベンチに座って応援。

 

俺は試合……ではなくなのはとすずかの間に座って応援していた。

 

ちなみに士郎さんは俺に試合に出て欲しかったらしく、ギリギリまで俺に頼み込んで来ていたのだが。

 

まあ、俺サッカーあんまり好きじゃないし。

 

「しっかし、あんた……」

 

ジト目で俺を見てくるアリサ。

 

「どうした?」

 

「こうしてベンチで応援してるだなんて……男として恥ずかしいと思わないの?」

 

「ふん。別に試合に出ないと死刑になるわけじゃないしな」

 

「そりゃあ、確かにそんな極刑にはならないけど……。折角美少女3人が来てるんだから良いところを見せようとか思わないわけ?」

 

「別に思わないし、そんな下心見え見えで調子こいてると失敗したときの恥ずかしさは3倍に膨れあがる。それと美少女は2人しか見えないが?」

 

「ちょっと待ちなさい。ここにも居るでしょうが!」

 

自分を指差すアリサ。

 

「ほほぉ? まあ、確かに『黙って座っていれば』美少女と言うカテゴリーに入るのだがねぇ?」

 

口元を吊り上げて微笑む俺。

 

「待ちなさいよ! それだと喋るとダメと言ってる様に聞こえるんだけど!?」

 

「当たり前じゃないか。それに、何処の世界にパロ・スペ○ャルをキッチリ極める女の子が居ると言うのだ」

 

「それは……乙女の必修科目よ!」

 

「何を戯けた事を。それならハリケー○・ミキサーも必修科目になるのか?」

 

「当たり前じゃない! 48の殺人技と52の関節技を全て修めて初めて乙女になるのよ!」

 

握り拳を作ってそう言い放つアリサ。

 

色んな意味で終わってるような気がするのだが。

 

 

「それに……」

「それに?」

 

 

「アレスはあたしの初めてを破った人だからね……」

 

アリサは頬を真っ赤にして俺の顔を見ながらそう言い放った。

 

「誤解を招く言い方はお止め下さい! それと、なのはとすずかと……士郎さんの視線が突き刺さって痛いんだが!」

 

見るとなのは、すずか、士郎さんの視線が突き刺さる!

 

「アレス君……君はなのはが居ながら浮気をしたと言うのかね?」

「アレス君……散々私の裸を見ておいて!」

 

 

「!!!」

「!!!」

 

 

アリサとすずかの目が見開かれる。

 

「ちょ! その発言は!」

 

全てが終わったように思えてしまった。

 

ちなみに、なのはとはたまにお風呂に入る仲……とだけ言っておこう。

 

 

 

 

 

「ほぅ……一緒にお風呂……ねぇ?」

 

「なのはちゃん……結構大胆……」

 

顔を赤くしてるのはアリサとすずか。

 

「だって、アレス君の洗い方……凄く丁寧で気持ちいいから」

 

なのはの顔も赤い。

 

良かった……士郎さんが呼ばれて向こうに行っていて。

 

ホッと胸を撫で下ろす。

 

「ふふぅん?」

 

アリサの邪悪な笑み。

 

もの凄くイヤな予感しか感じないのだが。

 

「さてと……俺はちょっと急用を思い出したから」

 

ベンチから立ち上がる俺。

 

「逃げられると思う?」

 

左腕を掴んでくるアリサ。

 

「……だが、そこを逃げる!」

 

振り払って逃げようとしたが。

 

「逃がさないよ?」

 

なんと、すずかも俺の右腕を掴んでいた!

 

「何だと!」

 

「アレス、O☆HA☆NA☆SHIしましょ?」

 

「何だそれは! 高町式交渉術はいらぬわ!」

 

「ウチはそんな物騒な交渉しないよ!?」

 

そのあと、俺は今度の温泉旅行で一緒にお風呂に入る事を約束された。

 

アリサとすずかに。

 

こうなったら、ユーノのヤツも道連れだ!

 

 

 

 

 

突然のホイッスル。

 

見ると、選手の1人が怪我をしたらしくこっちにベンチに帰ってくる。

 

「弱ったなぁ……今日は補欠の選手は用事があって休みなんだよな」

 

そう呟く士郎さん。

 

すると、士郎さんは俺の方を向いた。

 

「……アレス君?」

 

「……まさかとは思いますが?」

 

「頼む」

 

両手で拝んでくる士郎さん。

 

「む~……」

 

 

「チーズケーキ、1週間タダ」

「やりましょう」

 

 

0.5秒で陥落してしまった。仕方ないだろ、桃子さんのチーズケーキはシャレにならんくらい美味いんだから!

 

予備の服を借りて俺は着替え、スパイクを借りる。

 

 

 

 

 

「頼む、アレス!」

 

一応自己紹介したから名前は知ってる……のは良いが!

 

いきなり俺にパスを回すんじゃない!

 

ちなみに今は0-1で負けてるのだ。

 

ボールが回ってきた。敵チームが何人かが寄ってくる。

 

「いただき!」

 

1人がボールを奪おうと駆け寄ってくる。

 

「……」

 

俺はボールを左足で弾いてそれを難なくかわす。

 

「な!?」

 

「こいつ、出来る!?」

 

今度は複数人が一斉に駆け寄ってくる。

 

「よっと」

 

俺はボールを右足で弾いて頭に乗せ、軽くヘディングする。

 

まるで水族館でボールを乗せてるオットセイみたいだな。

 

「……なあ、アレ……どうすれば良いんだ?」

 

「あんなのは初めてだ……」

 

「下手に体当たりしても反則取られるし……」

 

敵チームも攻めあぐねていた。

 

「コラー! 真面目にやりなさいよー!」

 

ベンチから聞こえるアリサの野次。

 

「へいへい、分かったよ」

 

俺はボールを地面に落としてゴールをちょっと見てから左足で思いっきり蹴る。

 

「何処蹴ってるのよ~!」

 

俺が蹴った先はゴールより外れた……いわゆるあさっての方角。

 

「良かった……」

 

「ノーコンだ……あいつ……」

 

だが、ボールはゆっくりと曲がっていく。

 

「あ……あれ?」

 

「う、嘘だろ? 何であんなにカーブするんだよ!」

 

「おい! キーパー!」

 

気を抜いていたキーパーが驚いてボールに飛びつく。

 

「くっ!」

 

何とか反応してはじくのは成功したが、味方が運良く目の前にいたため。

 

「そら!」

 

それを蹴ってとどめのゴール。

 

1-1の同点に追いつく事に成功した。

 

「やったー!」

 

「すごーい!」

 

はしゃぐなのは達3人。

 

士郎さんも驚いて俺の方を見ていた。

 

 

 

 

 

 

その後はあまり目立たないように……するつもりだった。

 

が、そうは問屋が卸さないらしく。

 

仕方なしに俺は遠距離からのシュートを放つ。

 

ちなみに、『ドライブシュート』でだめ押しの1点をもぎ取って2-1で俺達のチームが勝利した。

 

そう言えば、なのはとユーノはサッカーの事とか話をしていたな。

 

まあ、そこら辺は粗方知ってるからいいか。

 

 

 

 

 

その後は俺達は翠屋に行ってご飯を食べる事となった。

 

ちなみに、「すっげーよな」「チームに入らないか?」「サッカーやってたのか?」等々聞かれたり言われたりしていたが、それなりに応答しておいた。

 

無論、サッカーはやる気は一切無いがね!

 

さて、俺の気が確かじゃなくて記憶が確かなら……キーパーの子がマネージャーの女の子にジュエルシードを渡して暴走するんだよな。

 

まあ、そんなの起きたら大変だから。

 

俺はネックレスをポケットに忍ばせていた。

 

銀で自作したアクセサリー。

 

何の効力も無いタダの飾りなのだ。

 

前世の時に魔法具を作る時にどんなデザインにするか試しに作ったヤツだからだ。

 

何でも取っておくものだな……と思ってみたり。

 

そして、俺は外のテラスにてなのは達3人と一緒に白いテーブルに着いていた。

 

真ん中にフェレットになったユーノ。顔には冷や汗がダラダラ流れていたが。

 

「それにしても……改めて見るとこの子、フェレットと違わない?」

 

「そう言えば……そうかな? 動物医院の院長先生も他の子と少し違うって言ってたし」

 

マジマジとユーノを眺めるアリサとすずか。

 

俺はそっぽを向いてオレンジージュースを飲んでいた。

 

「まあまあ、ちょっと変わったフェレットと言う事で……ユーノ君……お手!」

 

なのはが右手を差し出すとユーノも手をその上に乗せる。

 

 

「おおっ」

「可愛いぃ~」

 

 

驚くアリサと頬を赤くするすずか。

 

〈大変だな、ユーノ〉

 

〈うん……〉

 

「賢い賢い~」

 

「すご~い」

 

アリサとすずかはユーノの頭をやや強めに撫でていた。

 

〈ご、ごめんね……ユーノ君〉

 

〈だ、大丈夫だよ……〉

 

俺となのはは苦笑しながらそれを眺めるのであった。

 

 

 

 

 

暫くすると翠屋のドアが開いてサッカー選手達が出てくる。

 

挨拶をして解散した後、キーパーをやっていた少年がスポーツバッグのポケットから青い菱形をした宝石らしい物を取り出し、それを眺めて微笑んだ後ズボンの右ポケットに入れた。

 

そして、マネージャーと一緒に帰っていく。

 

「あ……」

 

なのはが気付いたみたいだ。

 

ちなみにユーノはアリサとすずかの2人に玩具のごとく構われていたため気付いていない。

 

〈どうした?〉

 

〈今、キーパーやってた男の子……ジュエルシードみたいなのを持ってた様な……〉

 

〈うん、俺もそれらしい物が見えた。どうする?〉

 

〈アレス君も見えたなら……やっぱりジュエルシードだね。どうしようか?〉

 

〈そうだな、このまま追いかけて奪うのはほとんど強盗だし。そうだな、1つの案がある〉

 

〈どんなの?〉

 

〈そりゃあ、物々交換。あれと同等位の何かを渡してジュエルシードを貰う〉

 

〈で、でも……私そんなの持ってないよ?〉

 

〈大丈夫。こんな事もあろうかと、良い物を持ってきている。テーブルの下で渡すから手を……〉

 

〈うん、分かったの〉

 

俺はポケットから銀細工のネックレスをなのはの右手に渡す。

 

〈そして作戦はこうだ。俺が魔法の霧であの2人を眠らせるからなのはが少年のポケットからジュエルシードを取り出してレイジングハートに収納して渡したネックレスをポケットに入れる〉

 

〈うん、了解なの〉

 

「あ~面白かった。ハイ、なのは」

 

アリサはそう言ってユーノを渡してきた。

 

散々弄ばれたらしく、目を回していたが。

 

「さて、あたし達も解散だね」

 

そう言ってアリサとすずかは鞄をテーブルの上に置く。

 

「そっか、2人とも午後から用事があるって言ってたね」

 

「そうなの。お姉ちゃんとお出かけ」

 

「あたしはパパとお買い物!」

 

「良いね、月曜日にお話聞かせてね」

 

「そして、俺となのははデートだ」

 

「にゃ!?」

 

途端、顔が真っ赤になるなのは。

 

「ほぅ? あたし達の方こそ、月曜日にたっっっっっぷりとお話を聞かせて貰うわよ?」

 

「そうね。何処まで逝ったのか……そこんとこみっちりと……」

 

アリサとすずかの雰囲気が変わった。背後に般若の面が見えるのだが。

 

「ジョークだ。フランス・ジョークだ」

 

「フランスと言うよりイタリアン・ジョークの様な気がしないでもないけど?」

 

「……何が言いたいのかね?」

 

「別にぃ?」

 

「……」

 

ニヤニヤと笑うアリサ。

 

これ以上は地雷原に飛び込む様なものだからあえて何も言わない事にした。

 

 

 

 

 

アリサとすずかと別れてから行動を開始する。

 

15分位走るとさっきの少年とマネージャーが楽しそうに歩いていた。

 

ちなみにその間にユーノには説明をしておく。

 

〈とりあえず、ユーノが封鎖領域を作ってから魔法の霧で眠らせる。その後はなのは、お願いする〉

 

〈了解なの〉

 

〈うん、分かった〉

 

ユーノが呪文を唱えると空間が変わって周りの人が居なくなる。

 

 

「な、何だ?」

「こ、恐い……」

 

 

2人は驚いて周りを見渡していた。

 

「それでは……リク・ラク・ラ・ラック・ライラック 大気よ水よ(アーエール・エト・アクア)白霧となれ(ファクティ・ネブラ)彼の者らに(イリース・ソンヌム)一時の安息を(ブレウエム)。『眠りの霧(ネブラ・ヒュプノーティカ)』」

 

2人の周りに霧が現れてすぐに2人はその場に崩れた。

 

「それじゃ、なのは」

 

「凄く手際が良いの……」

 

その後、少年のポケットからジュエルシードを取り出し、代わりに銀のネックレスをポケットに忍ばせておいた。

 

ちなみに、少年の記憶をちょっといじって元からこのネックレスを持っていたと記憶させておく。

 

「これで良しかな」

 

「だね」

 

2人を近くのベンチに座らせておいて……結界を解除する。

 

「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック 花の香りよ(フラーグランティア・フローリス)仲間に元気を(メイス・アミーキス・ウィゴーレム)活力を(ウィーターリターテム)健やかな風を(アウラーム・サルーターレム)活力全快(レフェクティオー)

 

さわやかな香りが2人の周りに集まる。

 

そして、2人は目を覚ます。

 

 

「あ……あれ?」

「……ここは?」

 

 

目をこすりつつ周りを見る。

 

何事も無かったかのように歩く人、道路では車が走っていた。

 

 

「疲れてたのかな?」

「わ、私も……かな?」

 

 

2人は顔を見合わせて微笑んでいた。

 

 

 

「これで良し」

「良かった良かった」

 

 

俺となのはは2人の様子を見て一安心していた。

 

「で、人が持って発動していたらどうなってたんだ?」

 

「そうだね……前回の犬とは比じゃない被害が出ていたかも」

 

「だってさ、なのは。もし、なのはが気付いていなかったら……街が大変な事になってたかもな」

 

「うん……」

 

「終わりよければ全て良し。さあ、帰ろうか」

 

俺となのははそのまま家に帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後。

 

俺はなのはに連れられて月村邸に遊びに来る事となった。

 

ちなみに本日は恭也さんも一緒である。

 

すずかの姉、忍さんと恭也さんは恋人同士である。

 

月村邸に着いてドアをノックする恭也さん。

 

ドアが開くとメイド長の『ノエル・K・エーアリヒカイト』……ノエルさんが現れる。

 

「恭也様、なのはお嬢様、アレス様。いらっしゃいませ」

 

一礼してお出迎えである。

 

「ああ、お招きに預かったよ」

 

「こんにちわ~」

 

「こんちわ」

 

微笑んでお出迎えのノエルさん。

 

恭也さんやなのはにはフツーの対応なのだが……。

 

「アレス様?」

 

何故か俺だけは身体検査を行う。

 

何回も『何も持ってないですよ?』と言っても聞かない。

 

ちなみにその時の様子は頬が妙に赤く、目が潤んでいる。

 

……気のせいだと思いたい。まさか、俺の身体をなで回したいだけ……と思いたくない。

 

「はい、今日も変な物は持っていませんね」

 

「……ハイ」

 

藪をつついて蛇……いや、餓えた虎を出したくないからあえて何も言わない。

 

その後は普通に案内される。

 

 

 

 

 

部屋に通されると忍さんとアリサとすずかがテーブルに着いて紅茶を飲んでいた。

 

そして、周りには猫、猫、猫、猫。

 

猫屋敷かここは。

 

すずかの後ろでは専属のファリン嬢が立っていた。

 

「いらっしゃい、恭也、なのはちゃん、アレス君」

 

忍さんが立って恭也さんの前に立つ。

 

なのはに聞いた話だと恭也さんと忍さんは高校の頃からの同級生……とのこと。

 

まあ、今はしっかりと恋人同士と言う雰囲気がプンプンと。

 

「それじゃあ、私と恭也は部屋に居るから……」

 

「分かりました。それでは後で紅茶をお持ちします」

 

ファリン嬢とノエルさんはお茶の準備に向かい、恭也さんと忍さんは自室に行って……まあ、詮索は止めよう。

 

俺となのはもアリサ達が着いてるテーブルに着くと。

 

 

「ニャー」

「ファー」

「キシャー」

 

 

妙に猫達が寄って来て周りに座る。

 

なのはにも寄ってるが、俺の方が多いのだ。

 

ちなみに最後の鳴き声も一応は猫だ。決して地球外生物ではない。

 

「しっかし……あんた……今日も猫が寄ってくるわね」

 

「言うな」

 

「あんたって……マイナスイオンでも放出してるの? ウチに来ても犬がやたら寄って来てるし」

 

目を丸くして俺の方を見るアリサ。

 

確かにマイナス側の闇の力だがマイナスイオンかどうかは分からんわ。

 

「アレス君はマイナスイオン製造器なの? それならウチも欲しいなぁ~」

 

すずかさん、それだと俺に婿に来いと言う遠回しの発言なのですか?

 

「確かに……犬を躾るのにもってこいよね。駄犬を躾るのは主人の役目だし!」

 

アリサ。違うキャラ入ってないか? 異世界から使い魔(平賀○人)でも呼んだのか?

 

「ダメだよ……アレス君は……」

 

何やらブツブツ呟いてるなのは。あえて聞かないぞ、俺は。

 

気を紛らわそうと周りを見るとユーノが猫に追いかけ回されていた。

 

……まあ、殺される訳じゃないから大丈夫だろ。

 

俺は放っておくことにした。

 

〈た、助けて~〉

 

〈頑張れ! 気合いがあれば何とかなる!〉

 

ユーノから救難の念話が来たが一応、応援だけはしておいた。

 

「は~い、お待たせしました~。イチゴミルクティーとクリームチーズクッキーで~す」

 

お盆を持ったファリン嬢が現れ、その足下をユーノと子猫が走りまくる。

 

「あ、あわわわわ」

 

ファリン嬢はバランスを崩して倒れそうになる。

 

俺は瞬時に駆け寄り、ファリン嬢を支える。

 

「はわわわ、アレス君ごめんなさい!」

 

どうにか惨事にならず、一件落着と言ったところか。

 

 

 

 

 

暫く、お茶を飲んで菓子を食べて会話を楽しんでいた。

 

ちなみに俺は会話にはほとんど参加はしていない。

 

と言うか、アリサと軽い口喧嘩になるからだ。

 

まあ、彼女は俺を嫌っている訳でもないし、俺もこういう関係は嫌いではない。

 

「む?」

 

魔力反応が現れた。

 

どうやらジュエルシードが発動したみたいだ。

 

〈アレス君……ユーノ君……〉

 

なのはからの念話。

 

〈すぐ、近くみたいだ。どうする?〉

 

〈どうするも……ユーノ、レッツゴーだ〉

 

〈え?〉

 

〈ユーノが突然茂みに飛び込む。そして俺となのはが探すと言ってこの場から離れる。何の違和感も無い〉

 

〈そうだね……それが良いよ〉

 

〈善は急げ、だ。頼む、ユーノ〉

 

〈分かった。それじゃあ行くよ〉

 

そしてユーノはなのはの膝元から離れて草むらに飛び込んで行った。

 

「あ……」

 

「どうしたの?」

 

「何か……見つけたのかな? 探してくる」

 

「それじゃ、俺も一緒に行くよ。アリサとすずかは待っていてくれ。すぐに戻ってくる」

 

「うん、分かった。早く戻ってきなさいよ?」

 

「分かってるって」

 

俺となのはは魔力反応があった場所に向かって走り出した。

 

 

 

 

 

「ユーノ、封鎖領域を」

 

「了解。僕に出来るのはこれくらいだからね」

 

そう言ってユーノの足下にミッド式魔法陣が展開される。

 

すると、周りの空間が切り離される。

 

その直後、森の上に何かが見えた。

 

「……あれは?」

 

俺達は呆然とした。

 

「……でかい。でかいんだが、子猫だな」

 

「……うん」

 

「……」

 

ユーノは呆然としていた。

 

高さ7~8mはあると思われる子猫。

 

『でかい子猫』とはこれまた如何に!?

 

ドシンドシンと大きな足音を立てて子猫は歩いて行く。

 

「アレは……」

 

「た、多分、あの子猫が願った『大きくなりたい』と言う願いが叶ったのかな……と」

 

「確かに間違ってはいないのだが、何か釈然としないんだが」

 

「同感」

 

俺は子猫を見ながらそう呟いた。

 

「だけど、このままだと危険だから……元に戻さないと」

 

「そ、そうだね……」

 

「まあ、こんなでかい子猫見たらすずかとアリサが倒れるな」

 

「確かに……」

 

苦笑してるなのは。

 

「それじゃ、さっさと元に戻そうぜ」

 

俺はペンダント化したエヴァを握りしめる。

 

最近、空気化してるが気にしない。

 

レイハさんもあまり喋ってないし。

 

「うん。レイジングハート!!」

 

なのはが胸元から真紅の宝石を取り出した瞬間。

 

後ろから来るのは!

 

「来たか……」

 

呟くが2人には聞こえていない。

 

黄金色の魔力光。

 

その魔力光は子猫に当たって子猫は泣き叫んだ。

 

「ミャアァァ!」

 

「誰!?」

 

なのはが後ろを振り返った。

 

100m位後ろの電柱の上に立っていたのは……金髪のツインテールをした女の子だった。

 

手には黒い杖の様な物が握られていた。

 

「バルディッシュ、フォトンランサー電撃」

 

【フォトンランサー・フル・オート・ファイア】

 

金髪の女の子から放たれる魔法。どうやら電撃タイプだな。

 

まあ、知ってるんだが!!

 

数発が放たれ、子猫に当たって更に子猫はよろける。

 

「なっ! 魔法の……光! そんな!」

 

「レイジングハート、お願い!」

 

【スタンバイレディ・セットアップ】

 

「エヴァ、頼む!」

 

【了解です、主様。起動(アンファング)!!】

 

俺は騎士甲冑を纏い、なのははバリアジャケットを纏う。

 

その時、もう1つの反応が現れた!

 

「これは」

 

何かが違っていた。これはなのはの手には負えない!

 

まさか、転生者!?

 

もし、転生者ならなのはではなく……俺の仕事だ!

 

「なのははあの女の子を! 俺は現れたもう1つの反応を見る!」

 

「分かった!」

 

なのはは子猫の方に向かって飛んでいった。

 

 

ィン……

 

 

僅かに聞こえた……投擲音!?

 

「くっ!」

 

装甲手楯(パンツァーシルト)!】

 

エヴァが自動で目の前に障壁を展開する。

 

何本かがシールドに当たって弾かれ、地面に刺さる。

 

「この短剣は……ダーク!?」

 

地面に刺さった短剣を見ると、Fateで真・アサシンが使用していた投擲用の短剣に酷似している。

 

「へぇ? 転生者の分際でわざわざベルカ式を使ってるとはね……」

 

現れたのは黒を基調としたバリアジャケットを纏う男だった。

 

黒髪で手には紅く輝く魔力光で出来た鎌を持っていた。

 

身長は155㎝位で年齢は14歳前後か?

 

切れ長の目に漆黒の瞳。見ると濁って見える。

 

こいつ、善人では……ないな!

 

「そう言うお前だって、ミッド式を使ってるじゃないか」

 

「ふん。郷に入っては郷に従えってね。デバイス無しで魔法を使うのなんて怪しいじゃないか」

 

「ま、そりゃそうだ」

 

俺は左手の杖を握る。

 

「しかし、変なヤツだな。ベルカ式なのに見た目はミッド式の杖だなんて」

 

「俺の趣味だ」

 

「ふぅん、そうかよ」

 

男はそう言って鎌をかざす。

 

「行くぜ、ハサン。フォトンランサーだ!」

 

【イエッサー】

 

男の周りに現れる紅い玉。それが一斉に襲いかかってくる。

 

数は……30前後か!

 

俺はそれを避けて弾きつつ男に近づく。

 

「やっぱりベルカの使い手だけあって近接戦闘で来るか」

 

「まあ、な」

 

何となくだが、イヤな予感を感じる。

 

何だか分からないが、俺の六感が何かをささやくのだ。

 

(ことわり)の指輪』は今は使えない。近くではなのはとフェイト、見てないけどユーノとアルフも戦ってるんだ。

 

巻き込む訳には……いかない!

 

「さて、と。ここでちょいと交渉と行かないか?」

 

「何?」

 

男は鎌の先を地面に下ろす。

 

「あんたの狙いはなのはだろ? なら俺はそれ以外のキャラを頂いても良いよな?」

 

……この男は何を言ってるのだ?

 

もしや。

 

「……まさか、フェイトやはやて、アリサやすずかも」

 

「ご名答。なのははあんたに譲るが、その他の女の子は俺が幸せにしてやるよ!」

 

男の口元がつり上がる。久しぶりに見たぜ、あんな邪悪な笑みは。

 

「楽しみだ! ああ、楽しみだぜぇ! 股ぐらがいきり立つ! フェイトとはやては同時に頂いた方が良いよなぁ!?」

 

だんだんと腹に黒い物が溜まっていく。

 

この外道は……極刑に値する!

 

「黙れ……」

 

「あん?」

 

「黙れぇ!!!!」

 

俺は一気に第4チャクラまで回して身体能力を上昇させて男の鳩尾を突く。

 

「ぐぅはぁ!」

 

男は10m位吹っ飛び、木に激突する。

 

「貴様の様な外道と組むつもりは毛頭無い! さっさとこの世から消し去ってやる!」

 

魔力を放出して自動障壁も展開させる。

 

「てめぇ……『ネギま!』の魔法も使えるのかよ」

 

男は口から出た血を手で拭うとゆっくりと立ち上がった。

 

「さて? 何の事だか?」

 

「ナメやがって……だが、この技を見ても貴様は戦えるかな?」

 

男は右手を掲げた。

 

空中に現れる霧の様な物。そして、それは固まってある形になっていった。

 

「心臓……?」

 

俺は何となく、イヤな予感を感じた。

 

「くくく……宝具『妄想心音(ザバーニーヤ)』」

 

 

 




型月系の能力が多いのは気のせいですw


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