魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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ウチのなのはは『ラウンドシールド』を展開すると八角形の盾が現れる仕様にしましたw

どう見てもATフィールドです。本当にありがとうございましたw


第4話 魔法少女?いいえ、『魔砲少女』が誕生しました

 

 

 

 

 

「嘘……何なの? これ?」

 

呆然と自分の身体と持ってる杖を見て呟くなのは。

 

「詳しい話は後で! 来ます!」

 

今度はなのはに向けてとびかかる怪物。

 

弱い方に目標を変えたか!? 確かに戦術としては正解だが……!

 

「きゃあぁぁぁ!」

 

【ラウンドシールド】

 

レイジングハートがそう言うとなのはの前に現れる桃色の壁……なんだが。

 

「あのさ、俺の目には八角形壁が見えるんだが?」

 

【ハイ、私の目にも見えますよ?】

 

どうやら幻覚では無いようだ。

 

なのはの前に現れる魔力の壁は何故か……ATフィールドに見えた。

 

本家は赤い色なのだが、なのはのは桃色の壁だった。

 

ああ、何てタチの悪い……パワーアップ。

 

なのはも転生者?

 

だが、4年間一緒に過ごしてきたが。その様なそぶりは全く見受けられなかった。

 

それに、俺が追ってる転生者達は全員が何かしら歪んだ思考の持ち主。

 

わざわざなのはに転生するとは思えないし、そもそも女の子に転生するか?

 

まあ、中にはいるかもしれないが……。

 

仕方ない。後で天界に連絡取って聞いてみよう。ひょっとしたら何か聞けるかも知れない。

 

「グオォォォォ!!」

 

なのはのシールドに当たってはじける怪物。

 

バラバラになるもすぐに再生する。

 

「あの忌まわしい怪物、『ジュエルシード』は封印するしかありません!」

 

「どうやって!?」

 

「心を澄ませてください。貴女の中に……呪文が浮かびます」

 

なのははユーノからそう聞くと目を瞑ってその場に立った。

 

怪物は再生してなのはに襲いかかろうとするが。

 

「やらせると思うか?」

 

俺はなのはの前に立ち、左手の平を前にかざして防御魔法を発動する。

 

【パンツァーシルト】

 

目の前に現れるベルカ式魔法陣。

 

怪物はそれに阻まれてこっちに来ることが出来ない。

 

「あの魔法陣は!」

 

ユーノがそう呟くのを俺はしっかりと聞いていた。

 

後で追求は免れないかもな。

 

「アレス君、ありがとう! 後は私が! シュート!」

 

俺はシールドを解いて左に身体を避ける。

 

なのはのレイジングハートから桃色の砲撃が怪物……ジュエルシードに直撃する。

 

おかしいな? ここで砲撃だったか?

 

しかもレイハさん、いつの間にシューティングモードですか?

 

「グゥオォォォォォ!」

 

吼えるジュエルシード。プチ・ディバインバスター級だったが、それでもあの直撃は効いただろう。

 

「リリカルマジカル……ジュエルシード、ナンバーⅩⅩⅠ封印!」

 

今度は桃色の光の帯がジュエルシードの身体を貫く。

 

そして、黒い怪物の形をしたジュエルシードは消え去る。

 

バラバラになったアスファルト舗装の中に光り輝く物が見える。

 

「これがジュエルシードです。レイジングハートで触れてください」

 

「ほぉ、これが」

 

俺はバリアジャケットを解除してなのはの後ろに立って壊れた道の真ん中を見る。

 

菱形の形をした宝石……これがジュエルシード。

 

ってか、今のレイハさんも同じ形に見えるのだが。

 

 

【ナンバーⅩⅩⅠ】

 

 

レイジングハートの中に収納されるジュエルシード。

 

そして、なのはの身体が光り輝き、元の服装に戻る。

 

手には真紅の宝石、レイジングハートが握られていた。

 

「あれ……? 終わったの?」

 

「はい……あなた達のお陰で……ありがとう……」

 

そう言ってユーノはその場に倒れた。

 

「ちょっと! 大丈夫!?」

 

なのはがユーノに駆け寄る。

 

遠くからサイレンの音。この音は……消防車とパトカー!

 

 

「なのは」

「……アレス君」

 

 

俺となのはは顔を見合わせた。

 

なのはは冷や汗をかいて頬を引きつらせている。

 

「……補導歴有りと将来書かれたいならこの場に居ても良いよ?」

 

「……それは……」

 

「なら、逃げよう。壊れたてホヤホヤの場所に居た時点で言い逃れ出来ない」

 

「うん!」

 

お互い頷いてその場から走り去った。

 

「ご、ごめんなさーい!」

 

周囲になのはの謝る声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

近くの公園に逃げ込む俺達。

 

「はあ……」

 

「ふぅ……」

 

大きく深呼吸して近くにあったベンチに座る。

 

「す、すみません……」

 

なのはの腕に抱えてたユーノが目を覚ましたようだ。

 

「あ、起こしちゃった? ごめんね、乱暴で。怪我、痛くない?」

 

「怪我は平気です。もうほとんど治っているから……」

 

ユーノはそう言って身体に巻かれてる包帯をほどいた。

 

「ホントだ。怪我の跡がほとんど消えてる~」

 

「へえ~」

 

俺はユーノの身体を眺める。そして腹の辺りをさする。

 

「あ……ちょ……くすぐったい……!」

 

悶えるユーノ。結構からかいがいがあるかもな。

 

「もう、ダメだよアレス君。まだ完治はしてないんだから」

 

「はは、すまんすまん」

 

「助けてくれたお陰で残った魔力を治療に回せました」

 

「そうなんだ。良く分かんないけど……そうだ。自己紹介して良い?」

 

「え、あ、うん」

 

「……エヘン。私、高町なのは、小学校3年生。家族とか、仲の良い友達は『なのは』って呼ぶよ」

 

満面の笑みでユーノを見るなのは。俺も自己紹介しないとな。

 

「俺は藤之宮アレス。なのはと同じ小学校3年生。なのはと同じく家族も友達も『アレス』と呼んでる」

 

「僕はユーノ・スクライア。スクライアは部族名だから、『ユーノ』が名前です」

 

「ユーノ君か。可愛い名前だね」

 

「うむ。ユーナでも良いな」

 

「アレス君……それは何か女の子チックな名前だよ?」

 

ジト目で俺を見るなのは。

 

「……すみません……。あなた達を……巻き込んでしまいました……」

 

顔を下に向けてうつむくユーノ。

 

「気にするな。トラブルに巻き込まれるのは良くある事」

 

「そうだよ。アレス君と一緒に居ると……結構楽しいかな?だから、私は平気だよ」

 

「すみません」

 

「そうだ、ここじゃ落ち着かないから……私のお家に行こう?」

 

「そうだな。その方が良いだろう。ああ、俺も会話には参加させて貰うよ? 〈こうやって……な?〉」

 

「ふぇ?」

 

「念話を!」

 

会話の最後、口を閉じて俺は2人に言った。

 

〈何を驚く。さっきも俺は魔法を使っていたじゃないか〉

 

「そういえば、そうでしたね……。なのは、レイジングハート持っていたらアレスと同じ様に会話出来るよ」

 

「そうなの?」

 

〈そう言う事。それじゃあ帰ろうか?〉

 

「そうだね。それじゃ、帰ろうか」

 

俺達は家に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、帰ってきたね~」

 

「そうだね~」

 

俺達は高町家の前に立っていた。

 

女の子の家に送るのは基本だし、それに俺は許可を得てるから叱られる心配は全くないのだがね!

 

「叱られる……かな?」

 

「多分。まあ、俺と一緒だったと言えば多少はマシになると思うけど……」

 

「お願い! アレス君!」

 

両手で拝んで来るなのは。なかなか可愛い仕草ではある。

 

「分かったよ」

 

俺は高町家の門を開ける。

 

2人でゆっくりと中に入り、玄関に向かう。

 

「おかえり。何だ、アレスと夜のデートだったのか。なのはにはちょっと早いと思うのだが?」

 

横に現れたのは恭也さんだった。

 

他の二次小説にあるようにシスコン化はしてるが俺には何故か寛容であった。

 

「へ? あ……あの……?」

 

予想外の事を言われてしどろもどろになるなのは。

 

「ははは、すみません……」

 

俺もさすがに謝る事にした。

 

「まあ、同衾した仲だからキスも許すが……」

 

……この人は一体何を言ってるのだろうか。

 

ちなみに5歳の時に一緒に寝かされてから最低でも週に1回はなのはがお泊まりに来てるのだが。

 

「あら、可愛い~」

 

更に現れたのは美由希さんだった。

 

なのはに抱えられてるユーノを見ている。

 

「うん? この動物……」

 

「ああ、なのははこの子が心配になって出たんだ。出た所をたまたま見かけて俺も一緒に出たんです」

 

「そうなんだ~。まあ、アレス君が一緒なら大丈夫だね」

 

そう言って俺の頭を撫でてくる美由希さん。

 

「ふむ……。そうだな。内緒で出掛けたのは頂けんが、アレスと一緒だったのなら良いとしようか」

 

「ごめんなさい……」

 

なのはは頭を下げて謝る。

 

「それじゃ、俺はもう帰りますよ?」

 

「ああ。すまないな」

 

「ありがとね、アレス君」

 

「ありがと~アレスく~ん」

 

俺は高町家を後にして自宅に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

「どうだった?」

 

部屋に帰ると母さんもやって来た。

 

「ああ、とりあえず原作通りなのはとユーノが知り合って魔法の存在を知ったよ。でも……」

 

「でも?」

 

「なのはのバリアジャケットが違うんだ」

 

「どういう風に?」

 

俺は母さんに説明をした。

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど……何やら変な因子が混じってるみたいだけど」

 

「ああ。転生者にしては色々とおかしい点もあるし……」

 

「そうですわね~チートにしてはちょっと足りない気が……」

 

3人で首を傾げている。

 

「それなら、天界に問い合わせてみたら?」

 

「やっぱりそうなるか~」

 

と言う事で俺は天界に念話を飛ばしてみた。

 

以下、天界でのやりとり。

 

 

 

 

 

〈ああ、アレスだけど?〉

 

〈うむ。どうかしたのかね?〉

 

〈ちょいと気になる点が。この世界の『高町なのは』は……どうなってるんだ?〉

 

〈ふむ、あの娘か。あの娘は転生者だ〉

 

〈何?〉

 

〈だが、今回の捕縛する転生者では無い。私の部下がちょいとミスってね〉

 

〈……どういう事だ?〉

 

〈知ってるだろう? アレは余所の世界の天使。現世に降りた仲間の天使を連れ戻そうと人間と戦って……〉

 

〈そう言うことか。殺された弾みでこっちの天界に飛ばされて、この世界に転生されてしまった……と言う事か?〉

 

〈そう言うことだ。本来なら元の世界に帰そうとしたのだが、私の部下がミスしてこの世界に人間として転生させてしまったのだよ〉

 

〈……お互い、部下の育成頑張ろうな〉

 

〈そうだな。言う訳で彼女に関しては天寿を全うさせて貰いたい〉

 

〈了解した。この事は俺の部下の中だけの秘密にする〉

 

〈頼む。用件はそれだけかね?〉

 

〈ああ、それだけだ。ありがとう〉

 

〈分かった。それでは転生者達を引き続きこちらに送り返してくれ〉

 

 

 

 

 

 

「どうだった?」

 

「ああ、なのはも転生者。だが、今回の件には全く関係無いとの事」

 

「それじゃあ、彼女の前世はひょっとして……」

 

「天使『ラミエル』。それが彼女の前世の名前だ」

 

「彼女も……複雑な事情があるわね……」

 

「ああ……」

 

俺達はお互いに顔を見て苦笑するしかなかった。

 

 

 

母さんはエヴァは揃って料理の本を見ていた。

 

ちなみに菓子のページ。桃子さんに挑むつもりか……?

 

それでは、どんな状況か聞いてみよう。

 

俺はなのはに念話を飛ばしてみた。

 

〈どんな状況だ?〉

 

〈アレス君。今、ユーノ君はお母さんとお父さんに構って貰ってるよ?〉

 

なるほど。と言う事は今夜は話になりそうにないな。

 

〈分かった。まあ、用があったら念話を飛ばしてくれ。もっとも、寝てたら返事しないけどね〉

 

〈うん、分かったの。ユーノ君にも伝えておくね〉

 

とりあえず、念話を止めることにした。

 

 

 

 

さて、いつもの様に寝ようかとベッドに入る。

 

ちなみに母さんとエヴァがベッドに入っているのは仕様となってる。

 

「おやすみ、アレスちゃん」

 

「おやすみなさい、お兄様」

 

「おやすみ」

 

左にエヴァで右に母さん。2人とも、腕を抱きしめて来るのは……まあ良いや。

 

〈ごめん。アレス、起きてる?〉

 

頭に響くのは……ユーノの声。

 

〈ああ、起きてるぞ〉

 

〈良かった。さっきはありがとう〉

 

〈良いって事よ。それより、どうした?〉

 

〈アレスは……魔法をどうやって知ったの?それと、アレスが使ったシールドの形……もしかして、『ベルカ式?』〉

 

やはり気になったか。ベルカ式の魔法陣はミッド式と形が全然違うからすぐに分かるよな。

 

〈まずは1つ目。魔法を知ったのはつい最近だ。こっちの暦で4月4日……2週間位前だな〉

 

〈なるほど〉

 

〈で、2つ目。その通りだ。俺のデバイスに教えて貰ったんだがな〉

 

〈珍しいね……ベルカ式は今はほとんど廃れて使う人が居ないんだ〉

 

〈そうなのか?〉

 

〈うん。僕やなのはが使うのは『ミッド式』。主に射撃とか砲撃が主で遠距離攻撃が多いんだ〉

 

〈と言う事は……ベルカ式は……〉

 

〈そう。遠距離、中距離を度外視して武器や素手で戦う近接戦闘向きの魔法だよ〉

 

〈はは、俺向きの魔法じゃないか。俺はどちらかと言えば近接戦闘型だからな〉

 

〈そうなんだ。でも、どうやって入手したの?〉

 

〈それがな。親に聞いた話だと俺が生まれた時に何故か家に現れてたとの事〉

 

〈え?〉

 

〈面白いだろ?持ち主を選ぶのか知らないが。ちなみに名前はエヴァンジェリンだ〉

 

〈へぇ……。でも、アレスが持ってたのは杖だったけど?〉

 

〈まあ、あまり人に言わないでくれよ?俺のデバイスな、ベルカの人達が使ってた武器のデータが入ってるんだ〉

 

〈……えぇ?〉

 

〈何でも、『武神の魔導書』と呼ばれてたらしい〉

 

〈凄いな……下手したらジュエルシードと同等の貴重品かも〉

 

〈さあ? そこら辺はよく分からないなぁ。そうだな、明日にでも紹介するよ〉

 

〈え? それってレイジングハートみたいに……〉

 

〈ああ。結構お喋りだぞ〉

 

〈ベルカ式でインテリジェントデバイス……〉

 

〈さて、この辺で終わりにしよう。明日は学校があるし〉

 

〈あ、ごめん。それじゃあ、おやすみ〉

 

〈おやすみ〉

 

俺とユーノの会話は終わる。

 

ちなみに、エヴァと母さんはぐっすり眠っていた。

 

 

 

 

 

次の日。

 

俺となのははアリサとすずかと会話した。

 

簡潔に言うと。

 

フェレット(ユーノ)はなのはの家で預かる事になった。

 

何であんたが知ってるのよとアリサ。

 

昨日、たまたまなのはが出掛けるのを見かけたから一緒に行ったんだと俺。

 

ふぅん……と何やら言いたげな表情のアリサ。

 

とそこでチャイムが鳴って授業開始。

 

 

 

 

授業中にユーノからジュエルシードの事を聞いた。

 

要約すると……

 

 

 

①ユーノの世界に伝わる古代遺産である。

②手にした者の願いを叶えてくれる魔法の石である。

③ただし、力の発現が不安定で夕べの様な暴走をたびたび繰り返す。

④そして、人や生き物を取り込んで暴走することもある。

 

 

 

改めて聞くとろくでもない道具だよな。

 

〈そんな危ない物がどうしてうちのご近所に?〉

 

なのはのツッコミももっともだ。

 

〈僕のせいなんだ。僕は故郷で遺跡発掘を仕事にしてるんだ。そしてある日、古い遺跡の中でアレを発見して調査団に依頼して保管して貰っていたんだけど……〉

 

〈だけど?〉

 

〈運んでいた時空艦船が事故か何らかの人為的災害にあってしまって……〉

 

まあ、ぶっちゃけ言うとプレシアさんのせいなのだが、ここで言う訳にもいかない。

 

〈そして、21個のジュエルシードはこの世界にちらばってしまいました〉

 

〈21個だな?〉

 

〈ハイ。そして、見つけたのは昨日のを含めてまだ2つです〉

 

〈あと19個か……〉

 

その時、チャイムが鳴り響く。

 

だが、先生はまだ授業を続ける。

 

延長戦ですか? ロスタイムですか?

 

〈あれ? ちょっと待って。それって……別にユーノ君のせいじゃ……〉

 

〈それは俺も同感だな〉

 

〈でも、アレを見つけてしまったのは僕だから……きちんと集めて、元の場所に戻さないといけないから……〉

 

全く、ユーノは苦労する性格かもな。責任感が強すぎると言うか。将来、ハゲなければいいが……。

 

〈何となく、ユーノ君の気持ちが分かるかもしれない〉

 

〈ま、分からんでもないが〉

 

〈それで、ほんの少し。僕の魔力が戻るまでの間、1週間……いや。5日もあれは十分だから……〉

 

〈それで? ユーノ君は魔力が戻ったら……どうするの?〉

 

〈え? その後は1人で……〉

 

〈待て待て待て。ユーノ、2日前にジュエルシードにボッコにされてたの忘れたのか?〉

 

〈う……〉

 

〈アレス君も夢を見たんだ〉

 

〈見てたよ。ま、俺もなのはも巻き込まれた形ではあるが、関わった以上は全部集める迄協力させて貰うぞ?〉

 

〈そうだよ。アレス君と私が居たらだいぶ楽になると思うよ?〉

 

〈すみません〉

 

〈そう。こちらの世界のことわざに『袖振り合うも多生の縁』とある。なのはとユーノ、そして俺との出会いだって前世の何かかもしれないだろ?〉

 

でもぶっちゃけ言うと俺は違うんだがね。

 

〈アレス君は難しいことわざを知ってるの……〉

 

〈あの、それはどういう意味ですか?〉

 

〈道ばたで全く知らない人同士が袖……まあ、この場合は肩にしようか。肩が触れ合うのも前世からの縁があったからと言う意味だよ〉

 

〈そうなんですか〉

 

〈そうなんですよ。こうして3人が知り合ったんだ。だから、協力させて貰う〉

 

〈ありがとうございます〉

 

〈なのはも協力するだろ?〉

 

〈うん。私だけ仲間外れはイヤだもん。よろしくね? ユーノ君〉

 

こうして時間は流れていった。

 

 

 

 

 

夕方。

 

アリサとすずかと別れてからなのはと一緒に商店街を通って帰る。

 

「今日のおやつは何かな~」

 

「はは、なのはは食いしん坊さんか?」

 

「むぅ~違うもん!」

 

その時、魔力を感じた。

 

「これは……」

 

「アレス君……ひょっとして……」

 

〈……新しいジュエルシードが発動している! すぐ近くに!〉

 

ユーノからの念話。

 

〈分かった。行こう、なのは。ユーノもすぐに来てくれ〉

 

〈分かった〉

 

俺となのはは魔力を感じた場所に向かって走り出した。

 

 

 

 

 

ユーノと合流して階段を駆け上がる。

 

確か、この上は神社があったはず。

 

「なのは、レイジングハートを」

 

「うん」

 

さて、俺も準備はしておこう。

 

右手にペンダント化したエヴァを握っておく。

 

鳥居をくぐり、目の前に現れたのは。

 

「原住生物を取り込んでる……」

 

うん、確かに取り込んでるね。

 

俺は目の前の生物を見た。犬を取り込んだのだろう。

 

近くには20代前半らしき女の人が倒れてる。この姿を見て気絶したのだろう。

 

そりゃそうだろ。首が3つになった犬なのだから。

 

ってか、この犬はケルベロスになりたいと願ったのか? ツッコミを入れたいのだが。

 

「取り込んだらどうなるの?」

 

「実体がある分手強くなってる!」

 

「ふん、首が3本に増えた程度で! なのは、セットアップを」

 

俺はなのはの前に立ち、起動準備にかかる。

 

「エヴァンジェリン、セットアップ」

 

【了解です、おにい……いえ、主様】

 

さすがに外でお兄様と呼ばせるのはアレだったので主様と呼ぶように言ってある。

 

一瞬にして騎士甲冑を纏う。

 

「……あれ?」

 

「どうした?」

 

「呪文……忘れちゃった……」

 

「もう一度僕が言うから!」

 

目の前のケルベロスが俺達に向かって走ってくる。

 

「ええい! 変身途中は攻撃してはいかんと言う法律を知らないのか!」

 

そう言って俺はケルベロスの真ん中の頭を杖で上から殴る。

 

「ギャブン!」

 

ひるんで後退するケルベロス。

 

【スタンバイレディ・セットアップ】

 

なのはが呪文を唱えず起動するレイジングハート。

 

「さ、行くぞなのは。俺があいつを弱めるから、封印してくれ」

 

「うん、分かったの」

 

俺はケルベロスに向かって疾走した。

 

 

 






そりゃ子犬が大きくなってケルベロスみたいに頭が3つになったら気絶したくなるわなw


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