魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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いよいよ、アレス達も高校を卒業します


第62話 衝撃の卒業式

 

 

 

 

ざわ……ざわ……。

 

俺はいつもの通り学校の教室にて席に着いていた。

 

目の前では残念担任の横島先生が話をしている。

 

内容は……まあ、珍しく担任らしくこれからの人生観とかを話してくれている。

 

この人、実は真面目にしてたらかなり有能なんじゃね?と思う。

 

しかし、視線は常に俺の方を見ていたが。

 

……言動と視線がここまで違う人も珍しいな。

 

おっと、言うのを忘れていたな。

 

今日で高校を卒業することとなった。

 

長かったが、終わるとなると少し寂しい気もするな。

 

卒業式も終わって今はLHRの時間だ。

 

……まあ、教室内が妙に騒がしいのは訳がある。

 

後ろにはずらりと保護者が並んでいる。

 

卒業式だから当たり前だ。

 

だが、その中に。

 

12人の子供が混じっている。

 

年齢は5歳前後。

 

全員女の子。

 

そして、容姿が今も教室内で話題になっているのだ。

 

「……どう見てもなのはちゃんに似てるよね」

 

「言うか、フェイトちゃんとアリシアちゃん……だよね?」

 

「アリサちゃんとすずかちゃんにも……」

 

「どう見ても、あれってはやてそっくりだよね?」

 

生徒達は後ろを見ながらそんな会話を繰り広げている。

 

……。

 

詳しく説明すると。

 

士郎さんと桃子さんに連れられているなのはそっくりの子が2人。

 

『高町(さくら)』と『高町春華(はるか)』姉妹。

 

プレシア女史、リニスとアルフに連れられているアリシアとフェイトそっくりの子が4人。

 

アリシアの子が『マリア=テスタロッサ』に『ソフィア=テスタロッサ』。

 

フェイトの子が『レイア=テスタロッサ』に『エリス=テスタロッサ』。

 

グレアムさんとリンディさんに連れられているはやてそっくりの子が2人。

 

『八神(ゆい)』と『八神初唯(うい)』。

 

バニングス夫妻に連れられているアリサそっくりな子が2人。

 

『ヴェスタ=バニングス』と『ミネルバ=バニングス』。

 

忍さんとノエルさん、ファリン嬢に連れられているすずかそっくりの子が2人。

 

『月村(あおい)』と『月村(らん)』。

 

……まあ、全員俺の子なんだがね!

 

「……って言うか、全員右目だけ蒼いんだよね」

 

 

「蒼い?」

 

 

「……」

「……」

 

 

 

とある女生徒2名が俺の顔をジッと見る。

 

「……もしかして」

 

「……マジで?」

 

俺はそっと視線を逸らす。

 

「とまあ、これからの人生は後悔しないように。所で……だ」

 

担任の横島先生は一呼吸置いた。

 

「後ろの方におられる女の子達が非常に気になるんだが。ちょっと良いかな?」

 

横島先生が手招きをすると子供達は前の壇上の方に歩いて並ぶ。

 

「んーと、自己紹介出来るかな?」

 

『うん!』

 

子供達は一斉に返事する。

 

「それじゃあ、そっちの……高町さんにそっくりな子から」

 

横島先生がそう促す。

 

「たかまちさくら!」

「たかまちはるか……」

 

「マリア=テスタロッサ……」

「ソフィア=テスタロッサ!」

 

「レイア=テスタロッサ!」

「エリス=テスタロッサ……」

 

「やがみゆい!」

「やがみうい……」

 

「ヴェスタ=バニングス!」

「ミネルバ=バニングス!」

 

「つきむらあおい……」

「つきむららん……」

 

 

自己紹介は終わる。

 

少し、教室内の空気がほっこりする。

 

「んーと、それじゃあ、みんなにそっくりなお姉さん達があそこに座ってるよ? どんな関係かな?」

 

横島先生がなのは達を指さす。

 

『なのはママ!』

 

『アリシアママ!』

 

『フェイトママ!』

 

『はやてママ!』

 

『アリサママ!』

 

『すずかママ!』

 

子供達は笑顔でそう返答する。

 

「……ママ?」

 

『うん!』

 

一斉に返事する子供達。

 

完全に頬が引きつっている横島先生。

 

「……年が離れた妹ではなく。娘……」

 

そう呟く横島先生。

 

「…………じゃあ、パパは?」

 

 

 

『アレスパパ!』

 

 

 

子供達は一斉にそう返事した。

 

教室内の空気が凍り付いた。

 

俺は天井を見上げている。

 

「……アレス君?」

 

「……認めたくないものだな……自分自身の、若さ故の過ちというものを」

 

横島先生の問いかけにそう返答する俺。

 

今の状況にぴったりではないか!

 

 

「……」

「……」

 

 

無言で見つめ合う俺と横島先生。

 

「……私と 『や ら な い か』」

 

「それはダメでしょう」

 

「何故だ! 君はもう童貞を立派に卒業した大人だ! そして、今日高校も卒業するから記念に……」

 

「いえ、そう言う記念はちょっと……」

 

「そんな事言わずに! 先っちょ! 先っちょだけでも良いから!」

 

「先っちょってアンタ……」

 

「それでもダメか!? ならしゃぶらせてくれないか! 推定25㎝はありそうなそのおチ○ポを!」

 

何勝手に俺のサイズを暴露してるんですか!

 

「な、ななななに勝手なこ、ここここことを!」

 

思わずどもってしまう。

 

 

 

「でかいわね……」

「あの体型で」

「……ちょっと見てみたいわね」

 

 

 

後ろの方から不穏な発言が聞こえてきますよ?

 

しかも、保護者達の方から。

 

……あえて聞こえなかった事にしようか。

 

すると、突然教室のドアが開かれる。

 

そこに立っていたのは、同級生の好雄と学だった。

 

見るからに憤怒の表情を浮かべている。

 

……非常にイヤな予感を感じるんだが。

 

「おのれぃ! なのはちゃん達の子供だと!?」

 

「アレス! 貴様、6人全員と子供を作ったのかぁ!」

 

2人の怒りの様子を見て子供達はサーッとそれぞれの母親達の所に向かう。

 

「……まだLHRの最中なんだが」

 

ジト目で2人を見る横島先生。

 

「止めないで下さい横島先生!」

 

「俺達はこのハーレム野郎に人誅を下さねばならないんだ!」

 

「おうよ! 今、同志達に呼びかけてこの地に集結している!」

 

同志?

 

何となくイヤな予感を感じるが……。

 

「呼びかけ? 同志?」

 

「聞きたいか? ネットで呼びかけてこの学校の校庭に集結させているんだ」

 

そんなに来る暇人がいるのか?

 

俺は何気なく校庭の方を見る。

 

……。

 

黒山の人だかりで一杯でした。

 

何やら旗を持ったり、段幕を持っている男達がわんさかと。

 

明らかにサラリーマン風の人も見受けられる。

 

余計なお世話かも知れないが、上司に叱られますよ?

 

「……」

 

「コレでお前も年貢の納め時ってヤツだな!」

 

「これだけの人数なら……」

 

まあ、残念な事に前世の前世で俺は五対五(がい)と言う不条理な戦いを強いられたんだぜ?

 

※垓……10の20乗。億、兆、京、垓と続く。

 

あの時は……3年近くずっと戦っていたなぁ……。

 

っと、過去の事はさておき。

 

とりあえずは目の前の事に集中しようか。

 

「うーむ、とりあえず下に行ってみるわ」

 

俺はそう言うと窓から飛んで降りる。

 

上の方で騒ぐ声が聞こえるが、とりあえずスルーしておく。

 

 

 

 

 

 

ざわざわ……。

 

俺は大人数の男達の前に立っていた。

 

「いたぞ!」

 

「こいつが……!」

 

「おのれぃ! なのはちゃんと子供を作っただと!」

 

「フェイトちゃんと子供……! 許すまじ!」

 

全員から殺意の目線が突き刺さる。

 

「……全員母親似の双子……だぜ」

 

俺はそう告げる。

 

「なん……だと……?」

 

「双子……だと……?」

 

「見ろ! ネットに画像が出てるぞ!」

 

男達はスマホを取り出して操作する。

 

はて?

 

別に子供達の写真はネットに出してはいないのだが。

 

なるべくなら人にもあまり紹介していないし。

 

俺はスマホを左手に取って操作する。

 

とある掲示板になのは達にそっくりな子供の画像がアップされていた。

 

って言うか、さっきの教室の光景じゃねーか!

 

いつのまに撮ってやがったんだ!

 

色々とツッコミを入れたいが、今は止めておく。

 

何故なら、男達は騒ぎ出していたからだ。

 

「待て、この様子なら将来は……」

 

「間違いなく、お母さんにそっくりだ!」

 

「11年経てば……結婚も可能!」

 

まあ、気の長い話ではあるが。

 

さて、諍いの種でも蒔いてみるか。

 

「別に俺は、娘が気に入った男なら止めるつもりは無いぜ?」

 

その言葉を聞いて男達の動きが止まる。

 

「それに同じ男を好きになっても、別に構わないぜ? 俺だって人の事は言えないんだからな」

 

 

「……」

「……」

 

 

「ま、逆ハーレムは認めないがな! なのは達だって1人の異性しか愛してないんだからな!」

 

男達はざわざわと騒ぎ出す。

 

「運が良ければ、俺と同じになれるかもな」

 

「一つ聞きたい。娘さんが認めてくれるなら、どんな男でも良いのか?」

 

「ああ。犯罪とか迷惑をかけていないならな」

 

 

 

「……」

「……」

 

 

 

男達は周りを見る。

 

「……全員平等だぜ?」

 

俺はニヤリと邪悪な笑みを浮かべる。

 

「11年後をお楽しみに……な? 別に、ここでバトルを繰り広げても俺は何も言わないぜ」

 

その言葉を皮切りに男達は……一斉に、ジリジリと戦うかの様に、周りに敵意を振りまきだした。

 

今日の味方は、明日の敵ってヤツか?

 

俺はこっそりと教室に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

「うらぁ!」

「死にさらせぇ!」

「ぶるわぁぁぁぁぁぁぁ!」

「ヒャッハー! 桜ちゃんに近づくヤツは消毒だぁ!」

「最終的に……勝てば良かろうなのだぁぁぁぁ!」

「貴様等程度に、この我が負けると思っているのかぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 

下の校庭から聞こえる乱闘騒ぎとかけ声。

 

男達は死闘を演じていた。

 

「……アレス君……」

 

「アンタ……」

 

「ギリシャ神話に出てきたエリスみたいだね……」

 

「あの、パリスの審判ってヤツだっけ?」

 

「そうそう、アテナとヘラとアフロディーテを争わせたヤツ」

 

「アレよりまだ酷いと思うけど……」

 

なのは達は校庭を見ながらそう会話していた。

 

「お、なかなかの腕前」

 

「へぇ、結構強いのがいるわね」

 

「うむ、あれだけ強いなら……」

 

俺の保護者達は呑気に校庭の乱闘騒ぎを眺めていた。

 

「……アレス君」

 

口元をヒクヒクさせてる横島先生。

 

「俺は何もしてませんよ? ちょっと会話をしていただけです」

 

「……君は見かけによらずなかなか悪辣だな……」

 

「人を見た目で判断しない方が良いですよ?」

 

「……だな」

 

「お、とうとう警察が介入か」

 

見ると校庭の外側にはわんさかとパトカーが。

 

機動隊の車も……って、自衛隊も来てるな!

 

わー、これはすさまじい事になってきたぞ。

 

俺は校庭の戦闘を眺めていた。

 

ちなみに。

 

次の日の新聞に三面記事として掲載されたのは当然の結果だった。

 

 

 




問題は、娘達が認めてくれるかですがねw


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