魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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さあ、因縁(?)の対決もこれで終了です


第60話 3度目の正直?

 

 

 

 

「ホンマ大きな注連縄やねぇ」

 

「ほんと」

 

「でもこれって6~7年で変えてるんでしょ?」

 

「これを毎年って、なると作る人もかける人も大変やで」

 

「だよね~」

 

神楽殿の前に吊られている大注連縄を眺めている。

 

俺達が今来ているのは、島根県にある出雲大社。

 

そう、俺達は高校3年生を迎えて修学旅行に来たのだ。

 

場所は……さっきも言ったが、中国地方にある島根県出雲市にある出雲大社。

 

祭神は『大国主神(おおくにぬしのかみ)』である。

 

神界で会ったが、見た目はイケメンであったが。

 

6柱の女神を嫁に貰った、リア充な神様でもある。

 

……俺も人(?)の事を言えないが。

 

そして、何故この神社に修学旅行に来る事になったのかというと。

 

60年に一度の大遷宮と呼ばれる儀式の為だ。

 

早い話が神社の建て替えみたいなモノだ。

 

まだ本格的に建て替えは始まっていない。

 

つまり、建て替える前の姿を見ておこうと言う訳で来ることとなったのだ。

 

……俺、前世の前世で見たんだけどね。

 

とりあえず、移動するか。

 

 

 

 

 

「でも、この神社って縁結びで有名なんやろ?」

 

「ああ」

 

「私等にはもう必要無いんよね……」

 

「そうだね……」

 

苦笑しながらお互いの顔を見ているはやてとフェイト。

 

「確かにねぇ……。もう縁なら結んで貰ってるし」

 

「それもガンガラ締めに締めて貰ってるもんねー♪」

 

すずかとアリシアが俺の頭を撫でてくる。

 

「それともアンタ、まだ増やすつもり?」

 

「にゃはは、アレス君の夜はまだ余裕みたいだから」

 

ジト目のアリサと頬を赤らめさせてるなのは。

 

うわ、隣にいるモテなさそうな男性が『憎しみで殺せたら……』とか言いそうな表情を浮かべてるんですが。

 

「いや、増やさないし。それに余り変な事を言うな。誤解を招くだろ」

 

「誤解も何も、事実やん」

 

「そうそう、事実だよ」

 

「現時点で6人のお嫁さん貰ってて予定が後3人追加だし」

 

うわ、30代と思われる男性が血涙流してるぞ!

 

「これ以上は色々と拙いから場所移動するぞ」

 

 

 

 

 

 

 

揃って移動する俺達。

 

出雲大社の松が並ぶ道に入ったその時。

 

「……!?」

 

違和感を感じた瞬間。

 

俺達以外の人の姿が消えたのだ。

 

「アレス君……!」

 

「これって、結界!?」

 

「異相空間に切り離された?」

 

周りを見ても違和感を感じない。

 

ただ、人の姿が消えてしまったのだ。

 

〈……見つけたぞ〉

 

頭に響く声。

 

この声は……。

 

「……来るんじゃないかと思ったが……やっぱりお前だったか」

 

俺達の前に現れたのは……もはや因縁の相手に近い鹿。

 

『鹿・グレート』である。

 

身体の傷跡が増え、何やら強者の風格を増している。

 

【お兄様……】

 

エヴァが何かを告げたい様だ。

 

「どうした?」

 

【……目の前の鹿なんですが……名前が……】

 

「鹿・グレート改じゃないのか?」

 

【いえ、『鹿・グレートγ(ガンマ)』になってます】

 

「は?」

 

何故にγ(ガンマ)α(アルファ)β(ベータ)は?

 

「お兄ちゃん……」

 

「まさか、こいつらまで……ね」

 

アリシアとアリサの声が聞こえるのでそっちの方を見る。

 

「なるほど」

 

居たのは巨大なヒグマと蛇。

 

あの模様は、ハブと思われる。

 

「もしやとは思うが」

 

【はい、それぞれ『キラーヒグマα(アルファ)』、『ハブ・ロードβ(ベータ)』と名前が出ております】

 

色々とツッコミ所が満載なんだが!

 

〈3年前の屈辱を……今こそ!〉

 

俺となのはは鹿・グレートγ(ガンマ)と戦う事に。

 

アリシアとフェイトが『ハブロードβ(ベータ)』でアリサ、はやて、すずかが『キラーヒグマα(アルファ)』と戦う事になった。

 

俺達は邪魔にならないように鹿・グレートをおびき寄せる。

 

 

 

 

 

 

「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック 闇の精霊二百五十五柱。集い来りて敵を射て。『魔法の射手・連弾・闇の512矢』」

 

俺は前回の事を思い出して倍の数の矢を放つ。

 

今度は全方位からの攻撃だ。

 

〈ふっふっふっ……〉

 

しかし、鹿・グレートは避ける動作に移ろうとしない。

 

そして矢が当たろうとした瞬間。

 

「何!?」

 

俺は目を見開いた。

 

闇の矢が全て鹿・グレートの周りを逸れる様に飛んであらぬ方に飛んでいく。

 

「え!?」

 

なのはの声も聞こえる。

 

彼女も目を疑ったのであろう。

 

「矢が逸らされた!? この光景は……!」

 

【お兄様! 鹿・グレートの周りが……歪んでいます!】

 

「何だと!?」

 

俺は目を凝らして見る。

 

鹿・グレートの周りが……僅かに歪んで見える。

 

それで全てが分かった。

 

「にゃあ! ディバイン・バスターが……曲げられた!?」

 

なのはがディバイン・バスターを放つがそれすら強制的に曲げられ、当たらない。

 

「なのは! ヤツに攻撃は通用しない!」

 

「そんな!?」

 

「ヤツめ……空間歪曲(ディストーション)能力を身に付けたか!」

 

「何なの?」

 

「分かりやすく言うと、ヤツの周りの空間がねじ曲げられている。物理攻撃は全て曲げられて命中しない」

 

「にゃ! インチキなのぉ!」

 

頬を膨らませて怒ってるなのは。

 

〈ふふふふ、そう言うことだ! 貴様達の攻撃は一切通用しない!〉

 

鹿・グレートからアクセル・シューターが飛んで来る。

 

俺となのははそれを難なく避ける。

 

こちらの攻撃は無効であっちの攻撃は通過かよ。

 

八雲紫みたいに境界を弄るわけにも行かないし。

 

その前にそんな真似は出来ないし。

 

「くそ、何て面倒な!」

 

「もう! レイジング・ハート! 何か手段は無いの?」

 

【見た所相手の空間歪曲(ディストーション)シールドに穴らしいモノは確認できません】

 

レイハさんが解析をかけてる様だが、やはり弱点は無いか。

 

しょうがない、ちょっとこのまま牽制攻撃をかけて様子を見るか。

 

俺となのはは連続で攻撃を仕掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

30分経過。

 

戦いは膠着状態だ。

 

俺となのははダメージを受けてない。

 

相手の鹿・グレートもダメージを受けていない。

 

将棋で言う千日手に近い状態だ。

 

「にゃあ……身体は疲れてないのに何か疲労感が……」

 

シールドを展開して弾を防ぐなのは。

 

面倒くさい事この上ない。

 

さて、そろそろこの事態を打開するか。

 

俺は足を止め、その場に立ちつくす。

 

〈ふはははは! ついに諦めたか!〉

 

鹿・グレートが弾を撃つその瞬間。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

左手から闇の力を放出する。

 

光線状態で真っ直ぐ伸びる。

 

〈!?〉

 

光線は曲がらず鹿・グレートに直撃する。

 

〈ぐぅおぉぉぉぉぉぉ!?〉

 

右前足部分に直撃する。

 

焼けこげた様になり、血が噴き出す。

 

しかし、傷は徐々に再生している。

 

「ちっ、再生能力も付いてるか」

 

「アレス君?」

 

『どうして?』と問いかけそうな表情で俺の方を見る。

 

「駄目だなぁ、なのは?」

 

「え? え?」

 

「確かに、空間歪曲(ディストーション)はほとんどの攻撃を無効化出来る。でも……攻撃する瞬間にどうしても穴を開けないとなぁ?」

 

俺は口元をニヤリと釣り上げる。

 

「……確かにそうなの。自分の攻撃も……」

 

「まあ、転移魔法も併用すれば何とかなっただろうが……」

 

【残念ながら、そこまでは気が回らなかったのでしょうね】

 

〈ぐぅぅぅ……おのれぇ……〉

 

俺を睨み付けてくる鹿・グレート。

 

「再生時間なんぞ、くれてやると思うか? なのは」

 

俺はなのはの顔を見つめる。

 

「……良いんだね?」

 

「ああ、俺がカタを付ける。1つ、とっておきを見せてあげよう」

 

「うん」

 

なのはは俺から離れる。

 

俺は首を捻る。

 

「……汝ら我が肉に組まれし唱える者共――――っ 絶えたし血と肉と骨の痛み 今しい出唱えよ アーニ・マラウス・ミーンマ・シーネ・フェイ・スレスド・ワルー・ウード・モドルンド・アーク・セトプス……!」

 

俺の右肩、左肩、腹に顔が浮かび上がる。

 

右肩のは女性の顔、腹と左肩には鬼に近い顔だ。

 

激力鬼神三面瘡(ユー・ディー・オー)!!!」

 

〈何を企むか知らぬが……させん!〉

 

【それはこちらの台詞です!装甲手楯(パンツァーシルト)

 

俺の前にベルカ式魔法陣の盾が現れる。

 

鹿・グレートの攻撃を全て防ぐ。

 

 

 

【バータ・フォー・ティルズ 囲え 死の荊棘 ヴェルカム・イン・タイ 】

【ルーイ・エリ・グレ・スコルビリー 汝 黒き魂にて 我を清めたもう…… 】

【ジ・エーフ・キース 神霊の血と盟約と……】

 

 

 

それぞれの顔が呪文を唱える。

 

「いくぜ……四重呪殺!」

 

盲死荊棘獄(ブラインド・ガーディアン)!!】

 

左肩の顔が魔法を発動する。

 

その瞬間、鹿グレートの周りに無数のイバラが生えて鹿・グレートの身体に巻き付く。

 

〈ぐあおおおお!〉

 

鹿・グレートの身体から血が噴き出す。

 

「次ぃ!」

 

【おお冥王よ 至高なる者の強き集いのうちに 我は死の凍嵐を身に纏いたり 今新たなる契りによる氷雪の力束ねん!!】

 

右肩の女性の顔が魔法を発動する。

 

絶対零凍破(テスタメント)―――――!!!】

 

右手から冷気が放出され、鹿・グレートの身体を一気に凍らせる。

 

〈のああああぁぁっ!!〉

 

雄叫びを上げる鹿・グレート。

 

〈馬鹿な……人間が……普通の人間が……!こんな力……が……あるはずが……ないいいいいいい!〉

 

「人間を侮って貰っては……困るんだよ!」

 

【祭壇を背に我精霊に命ず 雷よ 落ちろ!!】

 

腹に浮かんだ顔が魔法を発動する。

 

轟雷(テスラ)!!!】

 

鹿・グレートの頭上に雷雲が発生して数十の落雷が鹿・グレートに直撃する。

 

〈がばおおおおおおお!!!〉

 

鹿・グレートの身体が焼け焦げる。

 

「くくく、そのダメージじゃあ空間歪曲(ディストーション)は発動出来まい!」

 

俺は地面に左手を付ける。

 

「とっておきってヤツを見せてやる!グレン・ケネ・ヒル・ハルフォード!」

 

鹿・グレートの周辺に魔法陣が現れる。

 

地面に描かれてるのではなく、空間にも。

 

『積層型立体魔法陣』と呼ばれる代物だ。

 

そして、魔法陣周囲に椅子に括られた魔神が現れる。

 

見た目はグロテスクといった感じだ。

 

「さあ、我が虜の4匹の巨大な悪魔共よ!その苦痛と憎悪を今吐き出しやがれぇ!!」

 

 

 

「あ゛―――――――!!!」

「い゛―――――――!!!」

「とわぁ――――――!!!」

 

 

 

魔神の咆吼と共に鹿・グレート周辺の空間が歪み始める。

 

〈うぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!〉

 

「さあ、これでお終いだ!」

 

俺は両手に魔力を込める。

 

「『超原子崩壊励起(ジオダ・スプリード)――――――!!!」

 

黒い玉が鹿・グレートに直撃する。

 

ヤツの周辺は闇に覆われる。

 

〈おぉぉぉぉぉ……〉

 

鹿・グレートの声が少しずつ小さくなっていく。

 

「ふぅ」

 

俺は首を捻る。

 

コキコキと音が聞こえた。

 

「終わったの……?」

 

なのはが近づいて来て俺に尋ねる。

 

視線は鹿・グレートの方を見ている。

 

「ああ、終わった」

 

「……非殺傷だよね?」

 

「勿論」

 

俺は満面の笑みでなのはの顔を見る。

 

「……アレス君も私の事言えないと思うよ?」

 

「何故に」

 

【最後の魔法はマスターのスターライト・ブレーカーと遜色無い威力でした】

 

「……マジか」

 

俺はレイハさんの言葉を聞いて苦笑せざるを得なかった。

 

【映像を記録しておきましたので、他の方にも見てもらいましょう。多分、マスターと同じ事を思うでしょうが】

 

映像記録してたのね。

 

暗黒の玉が消え去ると鹿・グレートは倒れていた。

 

ピクピクと痙攣していたから死んではいない。

 

もう、これ以上は不毛な戦いになりそうだから記憶を消す事にした。

 

ちなみに。

 

ハブ・ロードとキラーヒグマの方も記憶を消しておいた。

 

こうして、よく分からない戦いは幕を閉じたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

その夜。

 

 

 

 

「うわー……」

 

「これって……」

 

「アレス君の姿がダー○・シュ○イダーにしか見えんわ……」

 

「って言うか、よくここまで再現出来たわね……」

 

「なのはちゃんも大概だけどアレス君も大概なんだね……」

 

「にゃはは……それに比べたら私なんて可愛いもんだね♪」

 

 

 

「それは無いわ」

「それは無いよ」

「それは無いと思うよ?」

「それは無いよねー」

「なのは……アンタも似たようなもんだって言うの自覚しなさい」

 

「にゃんで!?」

 

 

フェイト、アリシア、はやて、アリサ、すずかに引かれていた。

 

 

 

 

 

 解 せ ぬ 

 

 

 




元ネタは「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」のとあるシーンですw


どーでもいいですけど、作者存命のうちに終わるんですかねぇ?www


ちなみに、キラーコアラΩもだそうとしましたが、収集がつかなくなる恐れがあったのでボツにしましたw

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