魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ- 作:八坂 連也
子供が生まれて約1ヶ月。
激動の夏休みであったと伝えておこう。
子供達は全員俺の家で育てる事となり。
なのは達保護者を巻き込んでの育児となったのである。
保護者以外にも面倒を見てくれる人は沢山いるわけで。
とりあえずは何とかなった訳である。
ちなみに。
エリオとキャロは12人の子供を見て目を丸くして。
ティアナ、ギンガ、スバルの3名は羨望の眼差しでなのは達を見ていた。
……これ以上は勘弁してください。
そんな訳で俺達は何食わぬ顔でいつもの通りに学校に通うこととなった。
多分、誰も俺達の関係には気付いていない……と思いたい。
そうそう、学校の校長先生だけには真実を伝えておいた。
盛大に顔を引きつらせ、挙げ句の果てには『聞かなかった事にしておきます』との事。
暴露した日には色々と大変な事になるからな。
主に校長の首が立場的に吹っ飛ぶかも。
そりゃそうだろ、俺1人で6人と子供を作ったからな。
他の保護者達の耳に入ろうモノなら俺を退学処分にさせろと言うだろう。
だが、そこはアリサとすずかの実家の力を使って校長は聞かなかったことに。
……心労がたたって倒れないことを祈っておくよ。
「もう、みんなして失礼やな!」
「そうだよ、1ヶ月会わなかっただけで……」
「『太った?』だなんて!」
はやて、フェイト、アリサの順で口を開く。
「にゃはは……」
「でも、言われてみると……」
「ちょっと太ったかも?」
なのは、すずか、アリシアの3名は腹の肉をつまんでいた。
おいおい、授乳最中に危ないぞ。
まあ、ここは俺の部屋でなのは達は子供に母乳を与えているのだ。
……双子だから両方の乳で与えている姿はまさに壮観な眺めと言うか。
ちなみに。
全員、胸が一サイズ大きくなったとの事。
あれか、妊娠した影響だろう。
母乳が溢れてくるとか言っていたが、もはや大人の漫画の世界だな。
子供達はずっと吸っている。
……補乳瓶の出番が無いんだが。
買ってからまだ一回も使ってない。
彼女達の胸の大きさ通り、母乳生産量が半端ない様だ。
……はやて。
『パパも飲んでみる~?』
邪悪な笑みを浮かべながら俺の方を見るんじゃない。
先に子供が満腹になるらしい。
恐ろしいことに彼女達は俺に母乳を飲めと。
それはシャレにならんだろ!
特殊プレイ過ぎて俺のレベルではきついです。
……言いたくないが、彼女達の母乳はほんのり甘かったと報告はするが。
子供達はお昼寝の時間。
全員グッスリとお休みである。
赤子は寝るのがお仕事ですからね。
ちなみに赤子専用の部屋もあってベビーベッドが12台置いてある。
実に壮観な眺めだと思う。
監視する人……人と言うか、ダイオラマ魔法球でお世話していた自動人形を出して子供達を見て貰っている。
何かあったときはコレで安心!
とりあえず、俺達はつかの間の休息と言うわけだ。
「う~ん……」
「コレはいけないわね……」
はやてとアリサは自分のお腹……脇腹をつまみながら唸っている。
ぶっちゃけ言うと。
彼女達はちょっぴり太ってしまったのだ。
俺に言わせればまだ誤差範囲だと思うのだが。
確か、なのは達の体重は……。
なのは = 58kg
フェイト= 61kg
はやて = 55kg
アリサ = 58kg
すずか = 56kg
アリシア= 62kg
だったな、確か。
だが、子供が生まれてからは……。
なのは = 68kg
フェイト= 72kg
はやて = 65kg
アリサ = 69kg
すずか = 67kg
アリシア= 74kg
……まあ、大体10kg前後は増えていると言うことだ。
どうやってなのは達の体重を知ることが出来たのか?だって?
彼女達のデバイスがこっそりと会話を記録しているのだ。
それをエヴァがまとめて聞いて俺に報告してくるのだ。
知られたら袋叩きにされそうな気がしないでもないが。
数字で見るとエラい数字ではあるが、彼女達の身長も考慮してもらいたい。
全員170㎝超えであると言うことを。
それでもムッチリとした感じではあるが。
これ以上はさすがの俺も困るが、今の状態ではそこまで気にならないと思うが。
だが、彼女達は納得してない模様。
「ねぇ、アレス君?」
なのはは俺の方を向く。
「ん?」
「何か方法無いかな?」
「痩せる方法か?」
「うん。リバウンドしない方向で」
「それなら食事制限は駄目だな。強いて言えば、炭水化物を控え目にするまでで」
「なるほど」
「ほうほう」
はやてとアリサが食いついてくる。
「身体の筋肉を多くすれば消費カロリーが増える。そうすれば自ずと脂肪も減ってくる」
「確かにそれは理に適ってるね」
「と言うわけで、一番効果的なのは筋トレとなる」
「筋トレか~」
「運動もせずゴロゴロして痩せたいとかそんな甘い話は無いな」
「だよね~」
「けど、結構育児に時間取られるから筋トレとかの時間は取りづらいかも……」
「そんな時にはコレだ」
「指輪?」
アリシアが小首を傾げている。
「重力負荷をかけられる魔法が付与されている」
「あ、アレス君が常にしてるヤツ?」
「……つまり、亀の甲羅を背負うヤツね?」
間違ってはいないな。
「ああ、コレで日常生活で負荷をかけて筋肉アップ。そうすれば消費カロリーが増えて脂肪も減ってくる」
「食事制限よりも一番健康的な方法ね」
「そう言うこと。全員分あるぞ」
俺はポケットから指輪を6つ取り出す。
「えへへ……」
「プレゼントだ♪」
全員は笑みを浮かべながら指輪を取る。
そして迷いなく左手の薬指に装着する。
……あのね?
それ付けて学校行ったら騒ぎになるよ?
「騒ぎになるからその指以外にしてくれ」
『はーい』
全員、『仕方ないなぁ~』と言いたげな表情で指輪を付け替えるのであった。
「っと、どれくらいの重力にする? 10Gか?」
「全員潰れるわよ!」
「だよな~なのはなら68kgが680kgに、フェイトなら72kgが720kgに、はやてなら65kgが650kgに、アリサなら69kgが690kgに、すずかなら67kgが670kgに、アリシアなら74kgが740kgになるもんな~」
ピシリ
ん? 何か部屋の空気が20℃位下がったような?
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
全員が目を細めて俺の方を見つめてくる。
……ヲヲッ!
うっかり体重を言ってしまったぜ!
「アレス君?」
「私達の耳がおかしゅうなったんかな?」
「今、凄いことを聞いたような気がするんだけど?」
「何で……私達の体重を知ってるのかな?」
「これはちょっといけない行為だよ?」
「……アンタ、今夜は眠れない夜になるわよ?」
わーい、全員の目が据わってます。
それと、目のハイライトが消えてる様に見えるのは俺の目の錯覚でしょうか?
……これは非常にやばいと思われる。
「お兄様~? ちょっと聞きたい事が……」
エヴァが扉を開けてヒョイっと顔を覗かせる。
『……』
全員が一斉にエヴァの方を見る。
「ひぃ!」
顔を青ざめさせてエヴァは即座に扉を閉めて逃げ出す。
「乙女の秘密を知ってしまった悪い子にはお仕置きやな?」
「そうね、コレは万死に値する行為ね?」
はやてとアリサの口が三日月の様に弧を描いている。
どう見ても死亡フラグです。本当にありがとうございました!
ジリジリと間合いを詰めてくるなのは達。
「……スクランブルダーッシュ!!!」
俺は部屋から脱出しようとドアノブをつかもうとする。
しかし、浮遊感を感じてドアノブに手が届かなくなった。
「駄目だよ? お兄ちゃん?」
背後から聞こえるアリシアの声。
俺は振り返る事が出来なかった。
体中から冷や汗が流れ出てくる。
襟首を捕まれて俺は宙ぶらりん状態だ。
「アレス君?」
「これから……」
「たっぷりと……」
「可愛がってあげるね?」
「ノォォォォォォ―――――――――!!?」
部屋に俺の叫び声がこだまする……。
その日、俺と顔を合わせた人は全員こう尋ねてきた。
『エラい痩せたけど、何があった?』
乙女に年齢と体重の話は厳禁ですw