魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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遅れましたが、新年あけましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いします




第53話 新たなる命

 

 

 

 

 

夏休みに入ってから10日。

 

明日で11日目である。

 

計算では1日で24日過ぎる計算だから……。

 

11日で264日のハズだ。

 

明日の夕方にでもダイオラマ魔法球から出て貰ってかつてはやてが入院していた海鳴大学病院に入院して貰う予定である。

 

まあ、毎日の様に石田先生の親友の佐久間先生(産婦人科担当)に来て貰って検査をしてもらっている。

 

石田先生と佐久間先生も魔法の話をして驚いていた。

 

そして、6人同時に妊娠でなおかつ全員双子と聞いて卒倒しかけていた。

 

『一生に一度しかない経験だわ……』との事。

 

ちなみに俺も同時に入っていて彼女達の様子をきちんと見ている。

 

中ではかつて使用していた自動人形(オートマタ)を復活させて彼女達の世話を行って貰っている。

 

1人につき3体つけているので何かあったときも安心!と言うわけだ。

 

入るたびに彼女達のお腹は大きくなっていって、父親になる自覚が大きくなる。

 

だが、いきなり子供12人は誰も経験したこと無いだろうな。

 

そうそう、性別を調べてみたら。

 

何と、全員女の子であった。

 

娘12人ですよ!

 

俺に似たら小柄な女の子になりそうだな。

 

そこら辺は生まれてからのお楽しみと言うわけだ。

 

さて、明日の午後は皆にダイオラマ魔法球から出て貰って入院といこうか。

 

 

 

 

 

 

 

あっという間に病院に着いて入院手続きを済ませる。

 

部屋は6人部屋で医師と看護士以外は立ち入り禁止となっている。

 

下手に知り合いに見られた日には大変な事になるからな!

 

看護士達にもなのは達の事は誰にも喋らない様に言ってる……らしい。

 

もっとも、噂好きの女性看護士達の口を封じる事は出来そうに無いなと俺は思っているが。

 

あ~、今もジロジロと俺の方を見てはヒソヒソと会話をしているんだが!

 

まあ、全員モデル級のスタイルだし、それにすずかとアリサは政財界では結構有名っぽいから……。

 

このスキャンダルでバニングス家と月村家に迷惑をかけなきゃいいけど……。

 

デビットさんも忍さんも心配しなくても良いよとは言ってはいるけど。

 

もし、何かあった時は協力を惜しまないつもりではある。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~、またこの病院に入院するとは思わなかったわ」

 

大きくなったお腹をさすりながらはやては病室を見渡す。

 

「そっか、はやてはずっとお世話になってたね」

 

フェイトも同じように大きくなったお腹をさすっている。

 

「でも、変な感じよね。こっちではまだ11日だっけ? ソレくらいしか経ってないないのよね?」

 

「ああ、まだ夏休みの真っ盛りだぜ」

 

アリサの質問に返答する。

 

「私達の感覚ではもう9ヶ月位は過ぎてるのにね……」

 

「お兄ちゃんのダイオラマ魔法球は凄いね~」

 

すずかとアリシアもベッドの縁に座ってからお腹を撫でている。

 

「にゃはは……それにしても……みんなお腹が大きくなっちゃったね……」

 

なのはは苦笑しながら自分のお腹を見て、それから他の人のお腹を見ている。

 

「……まあ、双子だからな」

 

俺も苦笑せざるを得ない。

 

誰か俺に双子の呪いでもかけたんじゃなかろうかと思うときがある。

 

「ま、何にしてもあとちょっとやな。体重は2人とも3000g超えてるからそろそろ産まれてもええ頃や」

 

「と言うか、ちょっと育ち過ぎたんだけどね」

 

なるほど。

 

まあ、双子で3000gはかなり大きいんだが。

 

それならそろそろ産まれても良い頃合いだな。

 

そうこうしてると保護者達が一斉に部屋に入ってきてから大騒ぎになるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

なのは達が入院してから一週間。

 

8月8日。

 

暑い夏真っ盛りの中。

 

俺が部屋で涼んでいたその時。

 

「アレスちゃん! 病院からなのはちゃん達が産気づいたって!」

 

「何!」

 

俺はすぐに着替えて海鳴大学病院に向かう。

 

 

 

 

 

病院に着くと何故か大手術室前に案内される。

 

分娩室では狭すぎて駄目だから一番広いこの手術室内で出産を行う事にしたそうな。

 

中に臨時の分娩台を作ってとの事。

 

色々と迷惑をおかけします……。

 

保護者達は既に来ていた。

 

どうやら全員一斉に産気づいたらしい。

 

うーむ、言うことは全員同じ日に出来たと言うことか。

 

個人差も何もあったもんじゃないな。

 

病院としては結構パニック状態だな。

 

一斉に6人出産でしかも全員双子。

 

看護士達がてんてこ舞いしている。

 

……何か申し訳ない気持ちが出てくるんだが。

 

「いや~……コレは滅多に見ることが出来ない体験だな……」

 

士郎さんが苦笑している。

 

……聞けば翠屋は臨時で休業したとのこと。

 

「なのはを産んだ時を思い出すわ~」

 

桃子さんはニコニコしている。

 

「そうねぇ……クロノを産んだ時を思い出すわ」

 

「アリシアとフェイトの時もこんな感じだったわ」

 

「アリサ……懐かしいわ」

 

リンディさん、プレシア女史、マリアさんの順で当時を思い出している様だ。

 

実質はフェイトは違うのだが、名目は双子だからこう言っておかないと色々とおかしくなるからな。

 

「そう言えば、こんな感じだったわね……私は当時は小学生だったけど」

 

忍さんは目を細めている。

 

考えてみたら、普通は旦那だけが来てるんだけどね。

 

でも、俺もなのは達も未成年だから致し方ない訳で。

 

普通じゃあり得ないシチュエーションだよな。

 

とりあえず、俺は据え付けのベンチに座って待つことにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくすると赤子の泣き声が聞こえる。

 

しかも、複数。

 

それから5分後に更に複数の泣き声が。

 

すると佐久間先生が大手術室から出てくる。

 

「……もう一生体験することないでしょうね……6人同時出産でしかも全員双子だなんて」

 

疲れ切った表情を浮かべてる佐久間先生。

 

「しばらく処置しますので。お子様は全員大丈夫そうですので2時間後には会えると思います」

 

なるほど。

 

大丈夫なら安心だ。

 

「それでは、もうしばらくお待ち下さい」

 

 

 

 

 

1時間半位経ったら病室に案内される。

 

中に入ると全員が赤子を抱いている。

 

両手に抱きかかえている。

 

実に器用だなと思う。

 

……さすがに全員抱きかかえるのは無理だがな!

 

いきなり子供が12人とか理解の範疇を超えている。

 

ちなみに子供達は皆スヤスヤと寝ている。

 

「みんな、お疲れ様」

 

全員に労う言葉をかける。

 

「あはは、疲れたの」

 

「子供を産むのって……大変やなぁ」

 

「確かに。でもこの痛みは母親になる儀式みたいなモノだし……」

 

「そうよ~? これでみんな晴れてお母さんになったのよ?」

 

母さんが微笑みながらなのは達を見る。

 

……ちなみに俺の母親は身長142㎝で顔はどう見ても小学5年生~中学1年生にしか見えない童顔である。

 

胸が妙にでかいが、子供にしか見えない。

 

そんな外見の母に『お母さんになったのよ~』と言われても何か説得力が少ない気が。

 

もっとも、外見が10歳前後の俺に至っては父親と言われても全員が吹き出すのが関の山であるが。

 

さて、今は出産と言う一大イベントが無事に終わったことを安堵する事にするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~む」

 

俺は目の前の紙を見つめている。

 

白紙で何も書かれていない。

 

右手にはシャーペンを持ってクルクルと回す。

 

さて、何を悩んでいるのかと言うと。

 

名前である。

 

そう、子供達の名前だ。

 

出生届を書くためである。

 

14日以内に書いて市役所に持っていかないと追加の書類が出て面倒になるのだ。

 

ちなみに、名前が決まってない場合は『未定』と書いて提出することも出来る。

 

ただし……。

 

名前が決まったら『追完届』なるモノを提出しなければならない。

 

面倒であるので早めに決めておいた方が良いだろう。

 

と言ってもポンポンと適当につける訳にもいかない。

 

やはりここは一生モノの名前であるからキチンと考えてあげないと。

 

……12人いっぺんは辛いモノがあるが。

 

「お兄様? いっぺんに考えても良い名前は浮かびませんよ?」

 

「確かにエヴァの言うとおりだよなぁ。まあ、大まかな方向性だけでも考えてみるか」

 

「方向性……ですか?」

 

「ああ。なのは、はやて、すずかは和風の名前だから子供は和風の名前にして。フェイト、アリシア、アリサは洋風の名前だから洋風で」

 

「なるほど」

 

「で、そこから更に絞って……う~む」

 

絞ったところでそう簡単に名前が浮かぶわけでもなかった。

 

「そう言えば、一文字名前って結構和風ですよね?」

 

「ああ、確かに。……その線でちょっと考えてみるか」

 

俺は思い浮かぶ名前の候補を紙に書いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはの子供……『(さくら)』『春華(はるか)

 

すずかの子供……『(あおい)』『(らん)

 

はやての子供……『(ゆい)』『初唯(うい)

 

 

 

 

 

まあ、こんな感じに決まった。

 

どっかで聞いた事あるような名前に聞こえるが、それは多分気のせいだろう。

 

さて、次はフェイト、アリシア、アリサの子供達だが。

 

 

 

 

 

 

 

フェイトの子供……『レイア』『エリス』

 

アリシアの子供……『マリア』『ソフィア』

 

アリサの子供………『ヴェスタ』『ミネルバ』

 

 

 

 

 

……まあ、コレもツッコミどころ満載の名前が多いが。

 

ちなみにアリシアの子供のマリアとソフィアは俺の前世の前世の時のご先祖様の仲間の名前から拝借させて貰った。

 

アリサの母さんもマリアだが、まあ大丈夫だろう。

 

これがまた困った事に二つ名持ちだったのだ。

 

暗黒魔女(ダークネス・ウイッチ)マリア』と『疾風の槍使い(ウインド・ランサー)ソフィア』だ。

 

どんな容姿と性格だったのかは読者諸兄の皆様の想像に任せるぜ。

 

さて、とりあえず名前は決まったから後はなのは達の了承を得られる事を祈るとするか。

 

 

 

 

 

 

 

後日、病院に行ってなのは達の様子を見る。

 

母子共に健康で1週間以内に退院出来るとのこと。

 

そしてなのは達に名前を告げると全員了承してくれた。

 

子供達がちょうど全員起きていたので俺は子供達の顔を見る。

 

……全員、雰囲気がそれぞれの母親にそっくりだ。

 

コレは全員母親似と言うことであろう。

 

別に俺に似なくても問題は全くない。

 

ただ、全員俺と同じ右目が蒼い瞳のオッドアイなのだ。

 

左目はそれぞれの母親とそっくりなのだが。

 

俺の浄眼の能力まで遺伝してないだろうな。

 

そこら辺は大きくなるまで分からないが。

 

彼女達には平穏な人生が訪れますように……。

 

そして俺は出産届を市役所に提出するのであった。

 

もちろん、桃子さんやプレシア女史、リンディさんに忍さん、マリアさんを連れて行ってだが。

 

さすがに俺が提出するわけにいかない。

 

出産届を受け取った担当の人は引きつった顔をしていたのは印象深かった。

 

まあ、12人分まとめてだからな。

 

しかも双子ばっかりだし。

 

こうしてなのは達の子供は無事に戸籍を得ることが出来たのであった。

 

……父親の名前は無いのだが。

 

 

 




やったね! 娘が12人だよ!


妹が12人増えるより凄い事じゃなかろうか……?

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