魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ- 作:八坂 連也
さて。
昨日はみょん……いや、妙な出会いがあったが。
その後は何事も無く永遠亭に帰ってからいつも通り……。
いや、何故か紫、幽々子、神奈子、白蓮の4人も永遠亭に泊まる事となり。
ドタバタとした夜になってしまった。
面倒になったから眠りの霧で全員寝かしつけておいたが。
うーむ、どうすれば彼女達は大人しくなるのだろうか。
一発ヤってしまえば落ち着くだろうか?
……多分、歯止めが効かなくなって更に襲いかかってきそうだな。
もしかしたら俺の男性専用アームドデバイスは常習性があるやも知れんな。
まあ、なのは達を優先することにするか。
そんな事を思いつつ、俺は今幻想郷内を彷徨っている。
ぬ? 永遠亭で薬の勉強をしているんじゃないのか……だって?
まあ、度重なる妨害で授業が止まってしまい、さすがの俺もブチ切れて飛び出して来た所だ。
全チャクラ全力運転で永遠亭の一室が崩壊してしまったが、それは些細な事だろう。
ちなみに。
全員顔を真っ青にしていたが。
あー、少し頭を冷やしたいが。
ま、適当に空を飛んでいたら少しは冷えるであろう。
そんな事を思いつつ俺はのんびりと空を飛ぶ事にする。
そう言えば、エヴァを置いてきてしまったが。
……多分、4人を叱っておいてくれるだろう。
「ん~、ようやく頭が冷えてきたな~」
当ても無く彷徨う俺。
空を飛んでいたら頭が冷えて来た。
そろそろ昼も近いだろうから永遠亭に帰ろうかな。
「……ん?」
飛んでいると遠くに何かが見える。
目を凝らすと人が飛んでいた。
「……妙な何かを感じるな」
俺は更に近づいて見る事にする。
近づくと、学生服っぽい服装の男。
「ほぅ……」
俺は呟く。
明らかに怪しい。
あんな服装をした男がこの幻想郷に居る訳が無い。
転生者か?
この世界の転生者ならば俺の出番は無い。
俺の仕事はあくまで、あのマッチョ神に頼まれたあの世界に転生した者達を捕まえる事。
この世界の事までしゃしゃり出る訳にはいかないのだ。
神様って言うのも意外と面倒なのだ。
「さてさてっと……」
近づくと人物の様子が更に分かってくる。
金髪で上着はクリーム色で下のズボンは紺色のブレザー。
っていうか、何故にCLANNADの春原陽平なんだよ!
まあ、春原は見た目はそこまで酷くはない。
中身がへタレなだけで。
「……」
俺は目の前で宙に浮いている男の前に姿を見せる。
「……お前も転生者か」
見た目と反して落ち着いた雰囲気を出しているな。
「……アンタ、何者だ?」
俺は目を細めて目の前の春原もどきを見つめる。
「……ここは、何処だ?」
どうやら今来たみたいでここの場所が分からない様だ。
「幻想郷。聞いた事あるはずだ」
「っ! あのボケ見習い神め! 送る世界を間違えてるじゃねぇか!」
ぼやく様に呟く春原もどき。
見習い神?
何か引っかかるモノを感じる。
「ほぅ? 参考までにどんな世界に送ってもらう予定だったか教えてくれないか?」
「『リリカルなのは』だ」
……こいつは俺が今いる世界に来るはずだった転生者の様だ。
どういう訳かこの世界に来てしまった様だが。
偶然とは恐ろしいモノだ。
さて、どうやって捕まえるべきか。
どんな能力か分からない以上は下手な真似は出来ない。
だが、ひょっとしたら……。
こいつがどんな性格なのか。
性格次第なら見逃しても良いかも知れない。
「なるほど。人気有るからなぁ、あの世界は」
「そうだろ? ああ、小学生のなのはとかフェイトとか可愛いからなぁ」
途端に顔が歪む春原もどき。
ああ、こいつはアウトだ。
「……その世界に行って何するつもりだったんだ?」
「決まってるだろ? 彼女達を囲ってハーレム作るんだ。姿は小学生のままにしておいてな!」
うわぁ、コイツ最低の部類に入るな。
やっぱり、あの名簿に載ってた奴らは大半が終わってるな。
「そうかそうか……」
俺は腕を組んで頷いている。
さて。
外道と分かった以上は捕まえないといけないが。
どうやって捕まえようか。
そんな事を思っていたら。
「見つけた……」
春原もどきの背後で空間が割れる。
その割れ目から顔を覗かせるのは……紫。
「何の用だ?」
俺はやや冷たい口調で語りかける。
「……」
春原もどきは振り返って無言で紫の方を見ている。
「アレスちゃんに謝りたくて……。あの後エヴァに散々叱られたのよ?」
「そうか」
「ちょ……! 分かったから!」
「?」
紫は何やら慌てている。
紫がスキマから飛び出すと……。
続けざまに人が1……2……3……4人。
幽々子、永琳さん、神奈子、白蓮の4人。
どうやら、紫のスキマを使って俺の所に来たようだ。
「ごめんなさいね」
「申し訳ない」
「申し訳ないです」
頭を下げてくる幽々子、神奈子、白蓮の3人。
まあ、神奈子は本来なら1柱なのだが面倒だから一緒にまとめておく。
「こうして反省しているみたいだから……ね?」
永琳さんも彼女達を許しているみたいだ。
「お兄様~」
後ろからエヴァの声が聞こえる。
「エヴァ?」
声の方を見ると、エヴァが飛んでくる。
「……エヴァンジェリン?」
春原もどきの小声が聞こえてくる。
が、今はとりあえず置いておく。
「どうやら紫さん達と合流出来たみたいですね。お兄様、私がキッチリと叱っておきましたから♪」
「……」
「……」
「……」
「……」
顔を青くする紫、幽々子、神奈子、白蓮の4人。
うーむ、キッチリ絞られたみたいだな。
普段のエヴァは優しいが、キレた時はシャレにならんからな。
そう言えば、俺が怒らせた時はいつだったかな。
……そもそも俺がエヴァを怒らせた事ってあったのだろうか?
記憶に無いな。
「そう言えば、この人は?」
永琳さんが春原もどきを指差す。
「ああ……」
「ん~?」
紫がジロジロと春原もどきを見つめている。
「な、何だよ……」
「どうやら外来人ね。こんな服装した人見た事無いし。そもそも、顔も見覚えが無いわ」
「外来人ですか」
他のメンツもジロジロと春原もどきを見つめている。
「な、何だよ。俺は
――――ピシリ
周囲の空間が凍った様な感覚が俺を襲う。
何か、周囲の温度が一気に20℃は下がった様に思えるんだが。
「……おかしいわね? 私……今、何か凄い事を聞いた気がするんだけど?」
紫が白い日傘を差しながら春原もどきの方を見つめる。
その表情は……笑顔に見えない笑顔だ。
よく見ると、額の方に血管が浮かんでいる。
「なぁに言ってやがんだ。歳の取り過ぎで耳が遠くなったのか? やれやれ、歳は取りたくないねぇ」
春原もどきはやれやれと言った感じで首を振っている。
「ふぅん? 貴方……私の事どう見えてるのかしら?」
「ん? 見た目は若く見えるが、中身は妖怪
「ふふぅん?」
紫の手がプルプルと震えている。
「……つかぬ事を聞きますが。達と言う事は……」
「決まってるだろ。お前等も立派な
春原もどきが言い放つと幽々子、永琳さん、神奈子、白蓮の4人の額に血管が浮かぶ。
「大食らい
幽々子を指差す春原もどき。
「年齢が億とかもはや論外
永琳さんを指差す。
「髪型とか服装が既に
神奈子を指差す。
「
白蓮を指差す。
……アイツ、骨も残らないな。
俺は少しずつ距離を離す。
5人からオーラが立ち上っている。
「お兄様? アレは……アホの類ですか?」
「ああ、アレは見た目通りのアホだな」
俺とエヴァは小声で話す。
「地雷を思いっきり踏み抜いてますわ」
「しかも、超特大のヤツをな」
更に会話を続ける。
「あ~あ~、俺は小さな小柄な娘が好みなの。アンタ等みたいな
そう言って春原もどきはあっちに行けと言わんばかりに手をシッシと振る。
―――――ブチッ
「ん?」
「とりあえず、バインド」
「同じくバインドです」
俺とエヴァは春原もどきの手足にバインドをかけて固定する。
「!? てめぇ、何しやがる!?」
驚いて自分の手足を見る春原もどき。
「アレスちゃん、ありがとう♪」
「久しぶりです、ここまで殺意を芽生えさせて頂いたのは♪」
「初めてです、ここまで私をコケにしてくれたのは」
「外の世界でもここまでおちょくられた事は無かったよ……」
「……」
順に紫、幽々子、永琳さん、神奈子、白蓮である。
最後の白蓮は某世紀末主人公の様にボキリボキリと拳を鳴らしていた。
「え? あの?」
ここまで来て春原もどきは自分が今どんな状況になってるか気付いたみたいだ。
……やっぱりアホだった。
「とりあえず、俺は少し離れますんで。そうそう、こいつは別に俺と何の縁も無いので。好きにして下さい」
その言葉を聞いて5人は満面の笑みを浮かべていた。
俺とエヴァはゆっくりとその場から離れる。
「こいつ、どうしようか?」
「決まってるでしょ? 私達のスペルカード全てを叩き込むのよ♪」
「良いですねぇ。ルナティック弾幕祭りですか♪」
「運が良いですね。私達全員からこうして遊んで貰えるのですから♪」
「しかも5人同時ですよ♪」
「うおぉぉぉぉぉぉ!」
春原もどきはバインドから逃れようとするも全く解ける気配はしなかった。
「それじゃ、ごゆっくり」
「ごゆっくりです」
俺とエヴァは手を挙げて更に距離を離す。
その直後から紫達のスペルカードを宣言する声が響き渡る。
2時間後。
春原もどきは真っ黒に焦げていた。
一応生きてはいるみたいだが、身体をピクピクと痙攣させている。
5人は満面の笑みを浮かべていた。
一斉に『実にスッキリした』と言う言葉を残して。
春原もどきの処遇は俺に任せると言う事で5人は永遠亭に戻っていった。
丁度昼前なので春原もどきを天界に渡してから永遠亭に帰ることにしよう。
と言うか、この男は『口は災いの元』と言うことわざを知らなかったのだろうか。
とりあえず、俺の仕事が一歩進んだから良しとしよう。
「ほら、もうちょっと。そうそう、そんな感じよ?」
「む、難しいです……アレスさん、痛かったら言って下さいね?」
「ああ……」
その後、永遠亭に帰ってから薬の授業を受けた後。
紫の家に泊まる事となった。
食事を済ませた後は恒例のお風呂タイム。
当然ながら紫に連行されてしまった。
エヴァと橙が一緒に身体の洗いっこをしているのが目に映る。
あっちは微笑ましく見える。
こちらは、何というか。
ショタが何も知らない男の子を毒牙にかけるような感じに見えそうだ。
何故なら。
紫と藍が俺の男性専用アームドデバイスを丁寧に洗っているからだ。
絵的にもどう見ても18歳未満禁止以外の何者でもないと思う。
紫の口車に乗せられた藍が一緒になって洗っている。
ちなみに藍の胸は大きいです、ハイ。
それと、藍のお尻から生えている9本の尻尾がモフモフしております。
あれを触ってみたいです、ハイ。
「もう、触れば触るほど欲しくなるわ。ねぇ、良いでしょ?」
目を潤ませて頬を真っ赤にしている紫。
口の端から涎が少し垂れている。
どう見ても危ない人です。
「ならぬ」
「先っちょでも?」
「ならぬ」
「口でも?」
「…………ならぬ」
「今、かなり悩まなかった?」
「気のせいだ」
一瞬でも心が揺らいだ俺は最低かも知れない。
「じゃあ、胸で」
「……ならぬ」
そんなこんなで紫と押し問答が続く。
寝床に入る。
両脇には紫と……何故か藍も。
2人とも身体は実にけしからん仕様である。
胸は大きく、ウエストもくびれてお尻も大きい。
つまりはナイス・バディと言う事だ。
紫が抱きついて来るのは分かるが、何故か藍も。
聞くと『いつもは橙と一緒なのだが、エヴァに取られてしまった。だから今日は君に抱きつく事にした』との事。
色々とツッコミを入れたいが、ここは無視した方が良いのだろうか。
そうそう、風呂では紫の手でカートリッジロードされましたが何か?
砲撃を見た紫は満面の笑みだった。
曰く『コレなら双子とか3つ子とか楽勝ね!』
意地でも俺に子供を作らせたいんかい。
種馬みたいにあっちこっちに子供を作る訳にいかない。
幻想郷にいる間は気を付けておこう。
そんな事を思いつつ俺は眠りにつくのであった。
そもそも春原の外見にする時点でフラグが立ってましたがw