魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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うぉぉぉ……右肩が……右足もおかしい……右半身がおかしい……何が起きてる……

幻想郷編も余り長くは続けられないですなw

時間が欲しいですw

※幻想郷住人が一部おかしくなっていきます


第45話 あんた等下心見え見えだな!

 

 

 

 

 

 

「うぅん……」

 

誰かに抱きしめられている。

 

暖かくて柔らかい。

 

なのは達とはまた違う感じだ。

 

と言うか、股間をまさぐられている。

 

そんな事をするのははやてが一番多い。

 

しかし、触り方がいつもと違う。

 

やけに手慣れていると言うか、男のツボを突いた攻め方……って!

 

頭が覚醒してくると、誰の仕業か分かってくる。

 

「……朝から何をしている?」

 

目を開けて見ると、嬉しそうな笑顔で俺の股間を揉んでいる紫がいる。

 

「そりゃあ、朝ってここの硬度が増してるじゃない?」

 

「まあ、そこは否定はしないが」

 

「1発出せばすぐに柔らかくなるでしょ?」

 

朝から既に暴走状態の紫。

 

「朝から出せと申すか」

 

「あら、こちらでは重要よ? 産めよ増やせよがこっちのルールだからね」

 

確かに、こっちの医療技術とか科学技術は明治時代で止まっているから……。

 

子供が亡くなる率も外の世界よりも高いのだ。

 

故に、婚姻とかは12~15歳辺りからお嫁に……と言った感じなのだ。

 

まあ、現代のルールから見たらもはや犯罪なのだろうけど。

 

今でこそ寿命が80歳前後だから言えるけど、昔は50歳まで生きていたら長生きとまで言われていたのだ。

 

30歳過ぎたら中年扱いだ。

 

……確かに俺の年齢なら大丈夫と言うわけだ。

 

幻想郷内限定だがな!

 

「と言うか。何回も言うようだが俺はここに永住する訳じゃないんだが?」

 

「何を言ってるの? アレスちゃんの子なら小柄な子が生まれるに決まってるじゃない。育てるのは私が責任持って育てるから子種だけでも……」

 

段々と恐ろしい方向に話が進んでるんだが。

 

「その前に、妖怪である紫と俺との間に子が出来るのか?」

 

半人半妖かよ。その前に紫が子を成せるのか。疑問が山ほど出てくる。

 

「その点は大丈夫よ。霊夢か魔理沙にお願いするから♪」

 

どちらにしても高確率で断ると思うが。

 

……もし、2人にも少年偏愛(ショタコン)属性が付与されていたら。

 

……。

 

後の展開をどう想像しても俺は2人に美味しく頂かれてしまうのだが!

 

どうなのだろうか。ここの幻想郷は……ショタの集まりなのだろうか。

 

今現在確認が取れているのは紫、幽々子、永琳さん、神奈子、白蓮の5人だ。

 

よりにもよってこの5人か!とぼやきたいが、確認してしまった以上は現実から目を逸らすわけにもいくまい。

 

「……2人がどう言うか知らんが。強制はさせるなよ?」

 

「分かってるわよ?」

 

本当に分かってるんだろうな。

 

境界を弄くって俺みたいな小柄な男の子でなきゃ駄目になったとか。

 

……本当にやりそうで恐いな、こいつは。

 

「アレスさーん? 朝食の用意が出来ましたよー?」

 

そう言って襖が開く。

 

現れたのは鈴仙だった。

 

「……えっと」

 

「気にするな。コイツが勝手に現れた上に勝手に布団に潜り込んだだけだからな」

 

「わ、分かりました」

 

「さて、朝食を頂きましょうかね」

 

朝食まで頂く気満々だな、紫は。

 

「……どうぞこちらへ……」

 

口元をヒクヒクとさせながら案内する鈴仙だった。

 

 

 

 

 

 

 

「おっはよー」

 

 

 

「……」

「……」

 

 

 

俺と紫は無言になる。

 

食卓に着いてるのは赤い服に紺色のスカートを履いた女性……八坂神奈子だったから。

 

美味そうに味噌汁をすすっている。

 

同じ食卓に座ってる永琳さんと輝夜の額には血管が浮かんでる。

 

てゐは顔を青くしながら……人参ジュースと思われる飲み物を飲んでいる。

 

エヴァは黙々とご飯を食べている。俺の方を見て『頑張ってくださいね?』とアイコンタクト。

 

……ロクでも無い予感しか感じないが。

 

「……えっと? おはようございます?」

 

「お、来たな? おはようアレスちゃん。さあ、こっちに座りなよ」

 

そう言って神奈子は自分の隣の席の座布団を叩く。

 

「何を言ってるの? アレスちゃんはこっちの席よ?」

 

紫が同じように隣の席をポンポンと叩いている。

 

えーと。

 

俺にどうしろと?

 

二重身(ドッペルゲンガー)使っても良いけど……。

 

使ったら使ったで何か面倒な予感もするし。

 

それに永琳さんの視線がもの凄く痛い。

 

ザクザクと突き刺さるように。

 

ここは永遠亭。

 

やはり永琳さんの隣に座った方が後々の為にも良いだろう。

 

俺は永琳さんの隣に座る。

 

「うんうん♪分かってるじゃない」

 

「……まあ、ここは『永遠亭』なんで」

 

俺は永遠亭の部分を強調して言う。

 

 

 

「……なるほど」

「……そう言う事ね」

 

 

 

神奈子と紫も即座に納得してくれたようだ。

 

八雲家とか守矢神社に行った時が少し恐くもあるが。

 

その後は滞りなく朝食は進むのであった。

 

ちなみに、神奈子はご飯2杯食べて紫は3杯食べていた。

 

永琳さんと輝夜の額には更に青筋が浮かんでいた事を報告しておこう。

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「……」

 

「……なんだかなぁ」

 

朝食も終わって俺は永遠亭の一室にいる。

 

そこは教育も出来る様な作りになっている。

 

要は学校の教室みたいな作りと思ってくれれば良いだろう。

 

最も、教室みたいに広くはない。

 

何で其処に来ているのかと言うと、まずは座学から始める事となったのだ。

 

つまりは大雑把な復習を兼ねてと言う事だ。

 

目の前には講師役の永琳さん。

 

眉間にしわを寄せて、頬はピクピクと痙攣させている。

 

つまりは怒り状態である。

 

隣の席にはエヴァ。

 

表情は苦笑している。

 

「……何のつもりかしら? 貴女達は……」

 

永琳さんが俺の後ろの方を見ながら言う。

 

俺の背後には。

 

 

 

「ちょっと、急に薬の勉強をしたくなってね」

「最近、亡霊達が風邪をひくようになったのよ~」

「こういう知識は信仰が上がると思って」

「妖怪達の治療で使うために」

 

 

 

紫、幽々子、神奈子、白蓮の4名が座っている。

 

つまりは急に乱入してきたと言うわけだ。

 

明らかに俺と一緒に居たいと言う目的がバレバレであったが。

 

幽々子、亡霊が風邪をひくなんて俺は聞いた事無いぞ。

 

白蓮だけの言い分は納得出来るが。

 

「はぁ…まあ良いわ。その代わり、授業の妨害はしないでよ?」

 

ため息をついて永琳さんは俺に冊子を渡してくる。

 

薬の作り方の冊子だった。

 

基礎的なヤツから応用を生かしたヤツまでの説明が書いてある。

 

実に分かりやすいな。

 

そんな事を思いつつ授業は開始されるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

休憩を2回ほど挟んで座学はまだ続く。

 

後ろをチラッと見ると、少しだれた感じの4人がいる。

 

さすがにここまで長いと飽きてくるだろう。

 

少し集中力が落ちているようにも見える。

 

「……とまあ、こんな感じね」

 

永琳さんの講義は続く。

 

「……ちょっと話の腰を折るようで悪いけど」

 

「……ええ。バキバキに折ってるわね」

 

紫の問いかけに毒舌で返す永琳さん。

 

「惚れ薬って作れるのかしら?」

 

紫が言った台詞の瞬間、部屋の空気が何か変わった。

 

妙に背筋が冷たくなったような……?

 

「…………作る事は出来るわよ。私の能力は『あらゆる薬を作る事が出来る程度の能力』だからね」

 

紫の台詞を聞いてもの凄く嫌な予感を感じるのだが。

 

「是非、作って貰いたいわね」

 

「……聞くまでもないけど、それをどの様な目的で使うのかしら?」

 

「も・ち・ろ・ん・♪アレスちゃんに飲ませて私に惚れさせるのよ?ああ、アレスちゃんになら初めてを捧げても良いわね♪」

 

頬を赤くして両手を頬に当ててから身体をクネクネさせている紫。

 

自分の欲望駄々漏れだな。

 

 

 

「……紫?」

「このスキマ妖怪は……」

「どうしてくれようかしら……」

 

 

 

 

ちらりと後ろを見ると幽々子、神奈子、白蓮の目が据わっておられます。

 

 

 

「その役目は私がするのよ!?」

「その役目は私がするんだ!」

「その役目は私がするのです!」

 

 

 

間を置かずに言い放つ3人。

 

これはもう授業が進まない予感。

 

「貴女達は何を戯けた事を言ってるの!? アレスちゃんの初めては私が頂くに決まってるじゃない!」

 

えーりんさん、そこで参戦しないで下さい。

 

ああ、講師がコレでは今日の授業は終わりだな。

 

5人は笑顔で睨み合っている。

 

背景に『ゴゴゴゴゴゴ』と言う効果音が浮かびそうな勢いだ。

 

〈今日はもう駄目そうだな〉

 

〈ですわね〉

 

〈このままこっそりと抜け出すか〉

 

〈……その方が良さそうですわね〉

 

こっそりとエヴァと念話を交わす。

 

エヴァと目が合う。

 

頷くエヴァ。

 

気配を消して俺とエヴァは部屋から逃亡する。

 

そして、永遠亭から抜け出して自由気ままに散歩する事にしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、抜け出したのは良いが。どこに行こうか」

 

「そうですわねぇ……」

 

俺とエヴァは空に浮かんで周囲を見渡す。

 

山とか川とかで特に気になるモノは見当たらない。

 

「ん~……そろそろ昼か……」

 

「あら、そうみたいですわね」

 

俺とエヴァは空に浮かぶ太陽を眺めながら呟く。

 

「……博麗神社に行ってみるか」

 

「行ってみましょうか」

 

俺とエヴァは顔を見合わせて頷いてから博麗神社があると思われる方角に向かって飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

赤い鳥居が見える。

 

山頂にある古い神社が見える。

 

あんな辺鄙な場所、誰が参拝に来るんだろうか。

 

疑問は尽きないが。

 

まあ、色々と事情があるから仕方有るまい。

 

境内では独特なデザインの巫女服を着た少女――――博麗霊夢が箒を持って掃き掃除を行っていた。

 

「あ~、そろそろお昼ねぇ……。全く、昨日掃除したばかりなのに……もう葉っぱが……」

 

独り言を呟く霊夢。そろそろ集中力が落ちてくる頃だろう。

 

「チィーッス、三河屋でぇす!」

 

「お兄様、霊夢さんにその挨拶が通用すると思ってるのですか?」

 

俺はそんな事を言いながら博麗神社の境内に降りる。

 

エヴァのツッコミは気にしないで。

 

「アンタは……確か、アレスって言ったわよね?」

 

「ああ、藤之宮アレス。こっちはエヴァだ」

 

「それで? 何の用かしら? そうそう、素敵なお賽銭箱はそこよ?」

 

そう言って奥に鎮座する大きな賽銭箱を指差す霊夢。

 

賽銭を要求するか。

 

見たところ金に困ってるワケでもなさそうに見えるが。

 

実際はどうかは分からない。

 

……もしくは信仰か。

 

と言うか、神が神を参拝しても良いモノだろうか。

 

まあ、今は人だから大丈夫だろう。多分……。

 

しかし、これも何かの縁だろうから賽銭でも入れておこうか。

 

「ふむ……」

 

俺は賽銭箱に近づき眺める。

 

「じー」

 

後ろでは霊夢が俺の方を見つめている。

 

ポシェットに右手を突っ込む。

 

せっかくだから、コレくらい入れてみるか。

 

どんな反応をするか楽しみだし。

 

取り出した右手には『慶長小判』と呼ばれる小判が1枚。

 

8割位金で出来た貴重な小判だ。

 

「ぶはっ」

 

後ろから噴き出す声が聞こえる。

 

俺は気にせず2回お辞儀してから賽銭箱に小判を放り込む。

 

ゴトンと重たい音が響く。

 

「幻想郷が平和でありますように。あと、俺の人生が平穏でありますように」

 

そう言って2拍手。

 

ここの神社はどんな神様を奉ってるのか分からないから普通の神社(二拝二拍手一拝)の様にしておく。

 

出雲大社なら『二拝四拍手一拝』(2回お辞儀して4回拍手して最後に1回お辞儀する)なのだが。

 

そして最後に1回お辞儀する。

 

 

 

『前の願いは叶えてやろう。だが、次の願いはちと叶えられぬなぁ』

 

 

 

「!?」

 

不意に頭に響く声。

 

と言うか、俺の今後の人生は波瀾万丈になるんかい!

 

声の主は分からなかった。

 

ボイスチェンジャーでも使ったかのようなくぐもった声だったから。

 

ぬぅ……とりあえず判明したらボコボコにしてやる。

 

「どうかされました?」

 

エヴァが俺の様子を見て不審に思ったのか、聞いてくる。

 

「……いや、何でもない」

 

俺は何事も無かったかのように返答する。

 

振り返ると目の前には霊夢が。

 

目は光り輝いている。

 

「……どうした?」

 

「アンタ、この神社にずっと住む気無いかしら?」

 

……この巫女は唐突に何を抜かすのだろうか。

 

「何故に」

 

「アンタと一緒ならこの神社を盛り上げる事が出来そうだから♪」

 

俺を博麗神社の祭神にするつもりか。

 

それと、瞳の中に『¥』マークが見えるんだが。

 

「……俺の金目当てじゃなかろうな?」

 

「まっさかぁ~?」

 

俺の顔から視線を逸らす霊夢。

 

この巫女はロクでも無い事が分かる。

 

「……他を当たってくれ」

 

「……残念」

 

断るともの凄く残念そうな表情を浮かべる霊夢。

 

「ま、折角だからお昼ご飯をご馳走するわ。少し待ってなさい」

 

そう言って霊夢は裏手の方に回る。

 

一緒に付いて行くと縁側が見える。

 

そして、そこには黒いとんがり帽子を被った金髪の少女が座っている。

 

「お邪魔してるぜ」

 

普通の魔法使い、『霧雨魔理沙』だった。

 

手には湯飲みがあってその中にはお茶らしき液体が。

 

どうやら勝手に入れて飲んでいた模様。

 

「……また勝手に。まあ、良いわ。今日は気分が良いからね」

 

「ほほぉ? 珍しいな。ん、あんたは……確かアレスとエヴァって言ってたかな?」

 

魔理沙は俺とエヴァの方を見る。

 

「ああ。藤之宮アレスだ」

 

「私はエヴァンジェリンと申します」

 

「あたしは霧雨魔理沙だ。霊夢、ご飯はまだか?」

 

「またご飯たかりに来たの?」

 

「そう言うなって。材料持ってきたから」

 

魔理沙の手にあった籠。その中には色々なキノコが入っていた。

 

「もう、しょうがないわね」

 

霊夢はぼやきつつ魔理沙の籠を取る。

 

そして台所と思われる場所に向かっていった。

 

この場に残ったのは俺とエヴァ、魔理沙の3人。

 

「さて、と。霊夢の機嫌が良い理由を教えて貰おうかな。ここ近年にない機嫌の良さだからな」

 

魔理沙はズズイッと寄ってくる。

 

パッチリ目に高い鼻。

 

美人系の顔つき……ではあるが、背は俺より10㎝高いかどうかだ。

 

結構小柄なのだ。

 

まあ、江戸時代とか男性の平均身長は155㎝、女性は140㎝位だったらしいから魔理沙はちょっとだけ高いのだが。

 

「……賽銭箱にコレを放り込んだだけだが」

 

俺は慶長小判を見せる。

 

「なるほど、こんなの入れられたら大喜びするよな……。と言うか、結構酔狂な所があるんだな」

 

目を丸くしている魔理沙。

 

「まあな。何となくだが、コレを入れたら面白そうな予感を感じたから」

 

「確かに、面白そうだな」

 

「で、ここの神社って参拝客と言うのはいないのか?」

 

知っていながら俺は魔理沙に尋ねてみる。

 

「あ~、人里からここに来るまで大抵は妖怪に襲われるからなぁ……。しかもこの長い階段途中とか格好の餌食だし」

 

やはり予想通りの答えだった。

 

空から見たが、この博麗神社に来るまでの階段が長いのだ。

 

疲れた所を襲われてはひとたまりも無い。

 

「……まあ、参拝客いなくても食っていけるなら大丈夫なのか」

 

「まあな。それに霊夢は妖怪退治が本職だからな」

 

「なるほど」

 

「けど、時々横着して放置する時があるけどな」

 

やはり霊夢らしいと言えばらしいのか。

 

「自由奔放な巫女だな」

 

「そうだな。長年のつき合いだからな」

 

「お昼出来たわよ~」

 

霊夢の声が聞こえる。

 

「出来たみたいだな。行こうぜ」

 

魔理沙に促されて俺とエヴァは霊夢の所に行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご馳走様でした」

 

全員一斉に挨拶する。

 

昼食は麦と粟、稗入りご飯、味噌汁、キノコの油炒め、玉子焼きだった。

 

そう言えば、玉子って結構貴重じゃなかったっけ?

 

まあ、差し入れとかお裾分けとかもあったのだろう。

 

ちなみに麦入りご飯とか脚気に良いらしいとかなんとか。

 

なるほど、霊夢は健康に気を使っている……ではなくて単に食費節約の為だと思う。

 

「さあて、食べた事だし。紅魔館に行って本を借りてくるかな。あたしが死ぬまで」

 

エラい長い借用期間だな。

 

「……魔理沙。いい加減に借りた本返してあげなさいよ」

 

「そうは言ってもなぁ。次から次に借りたい本が増えてさ」

 

「信用失っても知らないからね」

 

「……まあ、そのうちな」

 

そんな感じで霊夢と魔理沙は食後のお茶をすする。

 

実にまったりとした空気が流れる。

 

俺とエヴァも同じようにお茶をすする。

 

 

 

「……のどかだな」

「……のどかですね」

 

 

俺とエヴァは同時に口を開く。

 

 

 

「やぁっと見つけたわ」

 

 

 

 

「……のどかじゃ無くなったな」

「……のどかじゃ無くなりましたね」

 

 

 

 

俺とエヴァは空間が割れたスキマから嬉しそうに顔を覗かせる紫を見ながら呟く。

 

「あら、紫じゃない。宴会は昨日開いたばかりだから開かないわよ」

 

「……何となくだけどみょんな予感を感じるぜ」

 

魔理沙、ソレは妖夢の台詞だと思うんだが。

 

「全くアレスちゃんったら。いつの間にかいなくなって」

 

「あの状況につき合うほど暇じゃなくてな」

 

「まあ良いわ。それに丁度良いところに魔理沙もいるじゃない」

 

紫はそう言って魔理沙の方を見つめる。

 

「うわ、何か嫌な予感を感じるぜ」

 

身震いしている魔理沙。

 

「それで、用件は何なのよ。これからお昼寝しようかと思ってたんだけど?」

 

腋を出したこの巫女はぐうたら仕様なのか。

 

「単刀直入に言うわ。霊夢か魔理沙、2人ともアレスちゃんの子供作ってくれない?」

 

 

 

 

「ぶほっ」

「ぶはっ」

 

 

 

 

同時にお茶を噴き出す霊夢と魔理沙。

 

ちなみに俺とエヴァは退避済みである。

 

「お、おいおい……いきなり何を言い出すかと思ったら……」

 

「そうよ、紫。理由を説明しなさいよ」

 

「理由なんて……決まってるじゃない」

 

そう言って紫はスキマから全身を出して俺の背後に回り込む。

 

「霊夢、魔理沙。アレスちゃんの年齢知ってる?」

 

 

 

 

「……」

「……ん~」

 

 

 

 

霊夢と魔理沙は俺の顔をジーッと見つめてくる。

 

「そうねぇ……小柄だし、10歳位かしら?」

 

「何言ってるんだよ、11歳だろ?顔は童顔だけど背はちょっと高いじゃないか」

 

霊夢と魔理沙はそう宣言する。

 

どちらにしても外れているんだが。

 

「……14歳だ」

 

「え?」

 

「……そうなの?」

 

2人は目を丸くしている。

 

「14歳にしてこの外観よ?もはや至高と言っても過言じゃないわよ?」

 

「……そう言えば、紫……。アンタ、よく里の方で小柄な男の子を物欲しそうに見つめてたわね……」

 

「そう言えば、そんな事聞いた事あったな……」

 

「でも、年齢を重ねたら大きくなるわよね?」

 

「そりゃあ、大人になるんだからしょうがないじゃない?」

 

「……そこでアレスちゃんの血筋が重要になってくるワケよ」

 

「……なるほど、そう言う事ね」

 

霊夢はすぐに理解したようだ。

 

「……ああ、分かったぜ……」

 

魔理沙もため息をつくように紫を見ている。

 

「それで?作ってくれるの?くれないの?」

 

目をランランと輝かせる紫。

 

「……ん~、あたしはまだ子供は欲しくは無いぜ。魔法の鍛錬もしたいしな」

 

魔理沙は少し考えてから返答する。

 

「あら、残念。霊夢は?」

 

「……あたしも今は欲しくは無いわよ。生活だって結構不安定な所があるから子供産んでも……」

 

「なら、生活が安定出来れば良いのね?」

 

紫はそう言って霊夢の両肩を掴んで顔を寄せる。

 

……何となくだが嫌な予感を感じるんだが。

 

「もし産んでくれるなら生活費とか養育費を出してあげるわよ?」

 

「……ホントに?」

 

「ええ。一生食いっぱぐれる事は無くなるわよ?」

 

紫の口元が釣り上がる。

 

邪笑と呼ばれる微笑みだった。

 

「……」

 

霊夢が俺の方を見る。

 

……また瞳の中に『¥』マークが見えるんだが。

 

こ、この巫女は……金さえ積めば大丈夫ってヤツなのか!?

 

「……アレス。紫もああ言ってることだし」

 

霊夢はゆらりと立ち上がる。

 

「子作りしましょうか!」

 

そう言って霊夢は飛びかかってくる。

 

「そうは問屋が卸すまじ!!」

 

掴まれるところを俺は容易く回避する。

 

「何で避けるのよ! 折角あたしが子供を作ろうって言ってるのに!」

 

「ええい! どうやって子供を作るのか知ってて言ってるのか!」

 

「知ってるわよ! アンタの股間にある棒をあたしのここに突っ込めば良いんでしょ!」

 

そう言って自分の股間を指差す霊夢。

 

色気も何もあったもんじゃない。

 

「しかも、ここで公開しろと言うのか!?」

 

「お金の為ならこの程度、問題ないわ!」

 

なんと言う恐ろしい発言。

 

「お~、それはちょっと興味あるぜ」

 

頬を赤くしている魔理沙。

 

「アレスちゃんのはちょっと大きいけど……。まあ、霊夢なら大丈夫でしょ」

 

「え? アレスは大きいのか?」

 

「ええ。太くて、長めね。少し反っていて綺麗なデザインよ?」

 

「へぇ。ちょっと見てみたい気もするぜ」

 

紫と魔理沙は妙な会話を繰り広げている。

 

「ぐぎぎぎぎ……おのれ等は何を話し合っているんだ……!」

 

迫り来る霊夢の両肩を持って何とか止めている。

 

「お兄様? 霊夢さんと終わったら次は私ですね♪」

 

頬を赤くして嬉しそうな笑みを浮かべてるエヴァ。

 

「……助けると言う選択肢は?」

 

「私は1番が誰でも問題は無いのですよ? 2番手で大丈夫です♪」

 

つまり、助ける気は全くないと。

 

それにしてもこの巫女は恐ろしいまでの怪力を発揮しているんだが!

 

このままだとAVの撮影会みたいになりそうだ!

 

「とりゃ!」

 

俺は後ろに体勢を崩し、霊夢を巴投げで放り投げる。

 

「ひゃあ!」

 

霊夢は庭先に転がり出る。

 

「このままではシャレにならん!」

 

俺は魔理沙の方を見る。

 

「え?」

 

「ちょっと影を借りるぜ!」

 

俺は魔理沙の影に飛び込む。

 

影を使った転移で俺は博麗神社から逃げ出す事に成功するのであった。

 

当分博麗神社に来る事は出来ないな!

 

 

 




霊夢が紫の口車に乗せられてしまいましたw

さあ、影の転送で逃げた先はどこなのでしょうねぇw



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