魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ- 作:八坂 連也
あちらは……
ログインするたびにログイン画面に戻るとか嫌がらせw
半放置ですねw
消すなりなんなりしたいのですが……
「はぁ~……」
俺はため息をついていた。
周囲は黒服を着た人が沢山いる。
俺は今、葬式に来ているのだ。
誰の葬式か……だって?
ティーダさんの葬式である。
一応、ティーダさんは公式に亡くなった扱いになってるのだ。
生存してる事を知ってるのは……ここにいる人達の中では俺だけだな。
周囲では涙する人達が沢山いる。
ティーダさんの人柄の良さが伺えるな。
そして、皮肉な位の天気。
そう言えば、生前の行いが良いと亡くなった時の天気は快晴になるらしい。
ちなみに悪いと大雨とか季節外れの嵐みたいな天気になるとか。
……まあ、ティーダさんはまだ生きてるんだがな。
しかし、それを知れ渡る事は許されない。
今の管理局は……ちと腐敗が進んでるいるみたいだから。
エヴァがこっそり調べてみたら。
出るわ出るわ、汚職の数々。
『空』と『海』の高官共の汚職の数々。
『地上』の方は、ほとんどいない。
やっぱり地上の方に行くべきかもしれない。
そうそう、なのは達は今回の葬式は来ていない。
接点が無いからである。
俺は発見者としてであるが、アリサとすずかは面識が無いからである。
建前だが。
そんなこんなで式は粛々と進んでいく。
「兄さんを馬鹿にするなぁぁぁぁぁぁっ!!!」
突然響き渡る怒声。
何事かと声が聞こえた方を見ると。
40代後半のオッサン達と茶髪の少女がいた。
どうやら、声の主は茶髪の少女と思われる。
少女は目に涙を浮かべながらオッサン達の方を睨んでいる。
周りの人達もオッサン達をとがめたい様子だが?
って、あのオッサンは……確か、『ベンシ・メルデセス』とか言う名前だったな。
管理局航空隊……通称『空』の高官だったな。
なるほど、腐っても高官だから誰も注意したがらない訳か。
ちなみにその名前を聞いてアリサが『何よ! ベンツを劣化させたような名前!』とか言って爆笑していたな。
その気持ちはよく分かるが。
ベンシのオッサン達はニヤニヤと嫌らしい笑いを浮かべている。
あ、何かまた殴りたくなってきた。
以前に俺がムカついたので思わず殴ってしまった高官がこのオッサンでもある。
「しかしねぇ、結局は取り逃がしたのは間違いないんだよ? 君のお兄さんは何の役にも立たなかったんだよ」
「そうだな。無駄死にと言っても過言でも無いな」
「うむ。エリートなら死んでも取り押さえるべきだったのだよ」
オッサン達は好き放題勝手な事を言っている。
あ~、たまにいるよな。こんなヤツ。
俺の一番嫌いなタイプだ。
〈お兄様、アレを凍らせてもよろしいですか?〉
〈……我慢してくれ〉
〈……分かりました。お兄様、お願いしますね?〉
エヴァもご立腹の様だ。
茶髪の少女は目から涙が流れている。
……ってアレはどう見てもティアナだな。
このまま見過ごす訳にもいくまい。
俺はティアナ達の方に近づく。
「どうしたんだい?」
俺はティアナと思われる少女に近づく。
「……っく」
俺の方を見るティアナ。
泣きすぎで上手く喋る事が出来ないのだろう。
目の前の高官達もあからさまに嫌そうな顔で俺を見る。
「これはこれは……こんな所で会うとは思わなかったよ」
「そうですね。こちらも会うとは思わなかったですよ」
周りの目から見ても険悪な雰囲気が漂っているのは分かるだろう。
向こうも俺の事を嫌っているみたいだし、俺も嫌っているのだから。
「君がティーダ君と面識があるとは知らなかったよ」
「ええ。彼の最後を看取ったのが俺でしてね」
「おやおや、君ともあろう者が間に合わなかったのかね?」
目を細め、口元をニヤリと吊り上げて笑うベンシ。
「……そうですね。誰しも限界と言うものがありますから」
俺がそう言うと、周りからは『所詮はその程度』とか『魔力総量がAランク程度が粋がった結果だ』とか好き放題言っている。
無論、俺はその程度の事は無視している。
俺は魔法に関してはその程度だと自覚しているのだから。
「それよりも。大の大人数人でこんな少女を虐めて楽しいのですか?」
俺は周りの大人達の顔を眺めながら言い放つ。
「な、何を言っているのかね。我々は大人の世界の厳しさを少し教えていただけだ」
「大人の世界ねぇ……」
俺はティアナの顔を見る。
……ってか、俺と大差ない身長だな。
確か、彼女はまだ10歳位だったのか?
「兄さんを……馬鹿に……された……」
彼女は途切れ途切れにそう呟いていた。
「……もう大丈夫だよ」
俺はティアナの頭を撫でる。
「あ……」
少しだけ、気持ち良さそうな顔をしているティアナ。
「……少なくとも、俺にはあんた達が死者を冒涜している風にしか聞こえなかったぞ」
「な!?」
「なぁにが『死んでも取り押さえるべきだった』だ。そこまで言うなら手本を見せて頂けませんかね? 部下を育てるにはやはり上司がお手本を見せるのが常識でしょう?」
俺は口元を少し釣り上げてから微笑む。
「き、君! 口の利き方を考えたまえ!」
「嘱託魔導師風情が我らに刃向かってただで済むと思ってるのか!?」
「その気になれば君のそのデバイスもロストロギアとして接収しても良いんだぞ!?」
面白い事を抜かすな、こいつら。
俺から……エヴァを取る?
実に面白くてヘソで茶を沸かす事が出来そうだ。
「……へぇ?」
俺は満面の笑みを浮かべる。
「やってみろよ。言っておくが俺は貴様等の言う事なんぞ一切聞かないぞ。実力行使? 上等だよ。『空』と『海』の管理局員全員でかかって来いよ。その代わり……」
俺は奴らの目の前で全チャクラを回す。
俺の身体から闇のオーラが立ち上り、周りに電気の様なモノがほとばしる。
「全滅しても……俺は責任は取らないからな?」
「……っ」
「……くそ」
「……な、何なんだこの力は」
「ま、魔力……じゃない」
高官共は全員顔を青ざめさせている。
ティアナも驚いてその場に座り込んでいる。
……悪い事したかな。
「何だ、騒々しい」
後ろから声が聞こえる。
低めの声で男性と思われる。
誰かと思い、後ろをちょっと見る。
……厳ついオッサンが1人。
と言うか、レジアス・ゲイズさんだった。
俺はすぐにチャクラの回転を押さえて通常モードにする。
目の前のベンシのオッサン達を見ると『嫌なヤツが来たな』と言いたげな表情を浮かべていた。
どうやら、『空』と『地上』の仲は良くはなさそうだ。
「……嘱託魔導師の藤之宮アレスです。実は、この子が彼らに虐められていたというか……」
「何だと?」
そう言うとレジアスのオッサンはベンシ達を睨むように見る。
「彼らは……この子の兄を冒涜するような事を言っていたのです。それで俺は彼らに対して……」
「なるほど、事情は分かった」
レジアスのオッサンはベンシ達を睨み付ける。
「貴様等、死者を冒涜するなど人間として最低の行為だ! 管理局の恥を晒すな!」
一喝するレジアスのオッサン。
ベンシのオッサン達も何も言い返せないみたいだ。
どうやら、レジアスのオッサンの方が上の立場みたいだな。
「分かったら失せろ! 貴様等みたいなのがいても彼は成仏出来んわ!」
まあ、ティーダさんはまだ存命なのですが。
ベンシ達は無言で立ち去る。
おー、武道派と呼ばれるだけあってなかなかの迫力だな。
俺は拍手を贈る。
「ありがとうございます。これでティーダさんも浮かばれるかと……」
「……気にするな」
「ありがとう……」
後ろから小声が聞こえる。
「ん?」
レジアスのオッサンが俺の後ろの方を見る。
そう言えば、ティアナがいたんだっけ。
「この子は?」
「……多分、ティーダさんの身内かと。えっと……お名前は?」
後ろを振り返ってティアナの方を見る。
「……ティアナです。ティアナ・ランスター」
「そうか、妹さんか」
「ティアナか。俺はアレス、藤之宮アレスって言うんだ」
「おっと、ワシも自己紹介をしないとな。ワシは『レジアス・ゲイズ』だ」
満面の笑みを浮かべるレジアスのオッサン。
うむ、厳ついのは大して軽減していないがな!
「う……うん。アレス君に…レジアスおじさんだね……」
どうやら同い年として認識されてるみたいだ。
「そう言えば、ご両親の姿が見えないのだが……」
レジアスのオッサンは周りを見る。
いるのは管理局の職員達ばかりである。
「……お父さんもお母さんもいません……」
ティアナが目に涙を浮かべている。
「す、すまん」
慌てるレジアスのオッサン。
「そうか、お父さんもお母さんもいないのか……」
そう言えば、原作でも両親は既に他界しているって言う設定だったな。
「……こうなると、ティアナはどうなるんですか?」
「そうだな、施設に行く事になるんだが……」
「空いてますか?」
「…………そう言えば、今は何処も一杯だと言っていたな」
頬に冷や汗を流すレジアスのオッサン。
「こちらで引き取りましょうか?」
「……いや、ワシが引き取ろう。これも何かの縁かも知れん」
おや、だいぶ変わってきたぞ?
ティアナは何が何だが分かってない様子だ。
「そうですか。それなら、ティーダさんの遺言をお伝えします。『ティアナをよろしく頼む』と」
「……分かった。彼女が成人するまで責任を取って育てよう」
そう言ってレジアスのオッサンはティアナを見る。
「……?」
「今日からワシがお父さんだ」
そう言ってティアナの頭を撫でるレジアスのオッサン。
「え? え?」
ティアナは目を白黒させている。
「ちょっとお父さん!」
レジアスのオッサンの背後から聞こえる女性の声。
見ると眼鏡をかけた女の人が。
「おお、オーリスではないか。今日からこの子が義妹になるぞ」
「もう、ネコの子を貰ってくるみたいに言わないでよ!」
「しかし、両親のいないこの子はこのままだと路頭に迷うぞ? それともこんな子が路頭に迷っても良いと言うのか?」
「え? 両親がいないの?」
「ああ。だからワシが引き取る事にしたんだ」
「そ、それなら……文句は無いわよ」
話はこれで終わったみたいだな。
「それでは、ティアナをお願いします」
俺は2人に向かってお辞儀する。
「あ、あら? 貴方は……アレス君じゃない?」
「え……えっと?」
「あ、自己紹介がまだだったわね。私はオーリス・ゲイズ。見ての通り、レジアス中将の娘よ」
似てないから初対面で見ても分からないと思うんだが。
「なんだ、彼の事知っていたのか?」
「知ってるも何も。嘱託魔導師の中でも一番の実力者よ。魔導師ランクこそはAだけど、戦いに関してはSSランクの人でもひけを取らない位強いって」
「なるほど。噂では聞いていたが」
「彼みたいな子が本格的に入局していたら喉から手が出るほど欲しいんだけど……」
「すいません、せめて高校卒業まで入局は待って頂きたいです」
「そうか。後何年後だ?」
「今は13歳ですから…6年後ですかね」
「え? あたしより年上だったの!?」
今更ながら驚きの声を上げるティアナ。
「……まあ、誰も勘違いするわね」
「……だな」
身長135㎝の童顔は誰が見ても勘違いするみたいだ。
「ハッハッハッ、こう見えてもお兄さんなんだぞ」
そう言ってティアナの頭を撫でる。
「……」
ティアナは俺の顔をジッと見つめる。
少し、瞳が潤んでるように見えるんだが?
「……お兄ちゃんって呼んで良い?」
……変なフラグ立ちましたよ?
「何故に」
「兄さんは格好いい兄さんでした。でも、可愛いお兄ちゃんも欲しかったんです……」
頬を赤くしているティアナ。
えー、
とりあえず、この世界に来る事になった元凶はマッチョ神の見習いの仕業なのでアッチに帰った時は見習いをボコボコにするつもりである。
「……分かったよ。好きにして良いよ」
諦めた様に俺は言い放つ。
「えへへ、よろしくね? アレスお兄ちゃん?」
こうしてティアナはレジアスのおっさんに引き取られる事となった。
「そうか、ティアナはレジアス中将に引き取られたのか……」
安堵した表情を浮かべてるティーダさん。
確かに、地上のトップであるレジアス中将に養って貰うなら安心であろう。
「さて、後はティアナが今後どうするかだな。このまま普通の人生を送ってくれれば良いんだがな」
「……多分、ティアナは僕の跡を継ぐ様に管理局に入るだろう」
「だろうな」
「それまでにリンカーコアが回復してくれたら良いけど……」
「そればかりは分からないなぁ」
「だね。もし、回復していなくてティアナが管理局に入局したら……お願い出来るかな?」
「ああ。なるたけ彼女を護る様にする」
「すまない。不甲斐ないけど今はお願いするしかないんだ」
こうして、更に原作から乖離する事件が起きたのであった……。
まあ、今更ってヤツだな。
でもティアナは『ティアナ・ゲイズ』と改名はしませんw