魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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こんな妹は大丈夫ですか?


幕間  妹《なのは》は思春期

 

 

「お兄ちゃん、男の人ってこんなに出るの?」

 

「ぶほっ!」

 

 

 

妹・なのはの問いかけに兄・恭也は盛大にお茶を噴き出していた。

 

どうしてこうなったのか。

 

少しだけ時を戻してみる――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にゃあ……こんなに出るんだ……」

 

顔をリンゴの様に真っ赤にしているのはご存じ、高町家次女のなのは。

 

彼女は自室で本を読んでいた。

 

今年の3月で11歳を迎えた彼女。(なのはは早生まれの為、1歳皆と離れている)

 

身長は157㎝と平均を少し上回って大人びた体型になっている。

 

だが、今はまだ成長期でこれからも大きくなるのだ。

 

そして、彼女は思春期真っ盛りであった。

 

「すずかちゃんから借りてみたけど……大人の人ってこんな事するんだ……」

 

彼女が今読んでいる本は……大人専用漫画だった。

 

つまりは、『18歳以下が読んではいけません!』と言う本である。

 

レディースコミックならまだアレなのだろうが、彼女が読んでるのは男が読むタイプの方である。

 

※作者はレディースコミックを読んだ事ないのでよく分からない。

 

「にゃあ……凄い……大きい……」

 

彼女は一心に漫画を読んでいる。

 

ちなみに、こういう漫画の大半の男性専用アームドデバイスは大きめに描かれている。

 

【マスター、この計算でいくとアレスのを受け入れた場合は……】

 

「レイジングハート、それは言わないで……」

 

彼女は幼馴染みのアレスの男性専用アームドデバイスを思い出していた。

 

長く、太く、少し反り返っているソレは彼女の目には逞しく見えていた。

 

「これは……みんなと話し合わないと駄目だね……」

 

今の状態ではちょっとスプラッタな事になるのは目に見えていた。

 

「受け入れるには準備がいるね……」

 

そんな事を呟きながらページをめくる。

 

「にゃ! これ……こんなに出るの!?」

 

そこには男性専用アームドデバイスからの砲撃シーンが描かれていた。

 

液体が多量に発射されている。

 

ソレを見た彼女は顔を少し青くする。

 

「うわ……こんなに出たら……お腹が……」

 

そう言って自分のお腹をさする。

 

ちなみに、男性専用の雑誌では液が出る量がパンパ無く描かれている。

 

「こんなに出たら……双子とか三つ子になっちゃうよ……」

 

そんな事を呟きながらそのページを注視している。

 

「……アレス君もこれくらい出すんだろうね?」

 

【そうですね。アレスの事ですから、これの3倍は出すかと】

 

「3倍!? 無理だよ~! こんなに出されたら……お腹がパンパンになるよ~!」

 

なのははベッドの上でバタバタと暴れている。

 

見た目は可愛いらしく見えるが、喋ってるのを聞くと本当にロクでもなかった。

 

【しかし、こうして漫画で見ているだけでは想像の域を出ません。やはり、ここは聞くなり見せて貰うなりした方が良いかと】

 

「そうだね……。確か、百聞は一見にしかず……だっけ?」

 

【少しニュアンスが違うように思いますが、おおむねそんな感じですね】

 

「にゃあ……さすがにアレス君に聞くとか見せて貰うのは……」

 

頬に両手を当ててから顔を隠すなのは。

 

【それでしたら、家族の誰かに聞いてみるのは?】

 

「そうだね……お父さんかお兄ちゃんに聞いてみるかな……」

 

【士郎さんでは卒倒しかねません。ここは兄の恭也さんに聞いてみるのは?】

 

「そっか、お兄ちゃんなら忍さんと仲が良いから知ってるかも」

 

なのははそう言うと本を手に持ってベッドから立ち上がる。

 

【恭也さんは確か……今日は部屋でレポートをすると言ってましたから隣の部屋でしょう。反応もあります】

 

「ありがと、レイジングハート」

 

【どういたしまして】

 

なのははレイジングハートに礼を言うと本を持って部屋から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふう……後少しだ……」

 

恭也は右手で左肩をトントンと叩いていた。

 

大学4年生になってからは卒業に向けて論文を作ったり、レポートの量が増えたりと忙しい日々が続いている。

 

恋人の忍と充実した毎日を過ごしている。

 

彼自身、特に問題ないと思っている。

 

「……しかし」

 

時々思うのは末っ子のなのはの事。

 

最近は背も伸びて身体が女らしく丸みを帯びてきている。

 

将来は美人になるな……と少し誇らしくも思っている。

 

一緒に朝の稽古をしたりとコミュニケーションも良好。

 

ただ、隣にいる幼馴染みのアレスの事になると……少し、暴走する事がある様だ。

 

5歳(なのははまだ4歳だった)の時に知り合ってからはいつも一緒に遊んだりしている。

 

小学3年生の時に魔法を知ってからは更に仲が良くなっているみたいだ。

 

「だが……たまに……ここを見るのは……何故だ?」

 

そう呟いて恭也は自分の股間を見る。

 

たまになのはは恭也の股間部分を凝視することがあったのだ。

 

「……まあ、あの年頃になると性教育を受けるのだから知ってはいるのだろうが」

 

それにしても、明らかに興味津々な様子の時もあるのだ。

 

ただ、それが最近は回数が増えたようにも思える。

 

ひょっとして、なのはもそう言うのに興味が出てきたのだろうか。

 

幸い、その手の本は買ってないから問題は無い。

 

「なのはにはまだ早いな」

 

なのははまだ中学生になってないのだ。

 

そう言うのはまだまだ先の話。

 

……隣のアレスもそう言う事はしっかりしてるみたいだし。

 

「さて、もう一息だな」

 

恭也はシャーペンを持った時。

 

 

 

コンコンコン

 

 

 

 

ドアから聞こえるノック音。

 

「誰だ? 開いてるから入って良いぞ」

 

恭也はドアに向かってそう言う。

 

「……ごめんね、忙しいところ……」

 

「なのはか……」

 

ドアを開けて覗かせてきたのはなのはだった。

 

「入って良いぞ」

 

「お邪魔します……」

 

ゆっくりと中に入ってきてテーブルの所に来て座る。

 

「どうした? 何かあったのか?」

 

恭也は机から立ち上がってなのはの対面に座る。

 

「えっと、お兄ちゃんに聞きたい事があって……」

 

「そうか。お茶はいるか?」

 

「うん」

 

恭也はそう言って備え付けのポットからお茶を出してなのはと自分の前に置く。

 

「ありがと……」

 

なのははそう言って左手で湯飲みを持ってからお茶を飲む。

 

……?

 

右手に何か持ってる?

 

恭也はそんな事を思いつつ湯飲みを持ってからお茶を飲む。

 

「どうした? 何か悩み事か?」

 

「うん……」

 

妹の悩み事を聞く……。兄として頼られているな。

 

少し誇らしく思う恭也。

 

「答えられるかどうかは分からないが、言えばすっきりする事もある。遠慮無く言ってくれ」

 

「……うん」

 

そう言ってなのはは後ろに隠している右手を自分の前に差し出す。

 

そこに持っていたのは、恭也も予想だにしなかったモノだった。

 

「……は?」

 

恭也は自分の目を疑った。

 

大人専用の漫画本だったからだ。

 

 

 

年端もいかないなのはが何故、こんなモノを持っているのか。

 

こんなモノを持って何故自分の部屋に来たのか。

 

そして、何を聞こうとしてるのか。

 

 

 

恭也の頭の中で様々な情報が迷走していた。

 

頭を落ち着かせる為、恭也はお茶を一口、口に含む。

 

なのはは顔を赤くしながらページをめくる。

 

そして、あるページで止まる。

 

そこは、男性キャラが女性キャラに向かって男性専用アームドデバイスから放出する液体を大量にかけているシーンだった。

 

なのはは一呼吸おいてからこう言った。

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、男の人ってこんなに出るの?」

 

「ぶほっ!」

 

 

 

 

 

恭也は盛大にお茶を噴き出してしまった。

 

幸い、なのはの方に向かってはいない。

 

「ど、どうしたの!? お兄ちゃん!?」

 

「ゴホッ! ゴホッ!」

 

むせかえる恭也。

 

慌てるなのは。

 

少し咳き込んでから恭也は回復する。

 

「……こんな相談を受けたら誰でもむせる!」

 

「そうなの?」

 

なのはは不思議そうな表情を浮かべている。

 

「全く。色々と聞きたい事があるが、何故こんな事を聞いてくる?」

 

「えっと……ね」

 

なのはから事の経緯を聞く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言う訳なの」

 

「……」

 

恭也は眉間に皺を寄せ、こめかみに手を当てていた。

 

妹の……アグレッシブな行動にもはや絶句するしかなかった。

 

つまり、隣のアレスとこの漫画の様な事をしてみたいと。

 

幸い、アレスはそうならないように回避しているみたいだが。

 

すまない、ウチの妹が迷惑をかける……。

 

恭也は心の中でそう呟いていた。

 

「……お兄ちゃん?」

 

「……色々とツッコミたい事はあるが、1つだけ言っておこう」

 

間をおいてから恭也は言う。

 

「男の人はそんなに出ない。だから安心しろ」

 

とりあえず、この誤解だけは解いておこう……と恭也は思った。

 

「そうなの? 良かった~」

 

安堵のため息をつくなのは。

 

そして、更にとんでもない事をこの後言う。

 

「それなら、後はアレス君の大きさを克服しないとね!」

 

「……」

 

ソレを聞いた恭也はこう思った。

 

 

 

(……すまない、なのはを止める事が出来そうにない。アレス、こんな変態な妹だが……頼む)

 

 

 

遠い目をしながらお茶をすする恭也。

 

「ありがと、お兄ちゃん♪」

 

満面の笑みで立ち上がってから部屋から出ていくなのは。

 

左手には年頃の少女が持ってはいけない大人の漫画を持ちながら……。

 

「……」

 

恭也は少し疲れた様子で立ち上がり、机に座る。

 

「……アレだと嫁の貰い手は無いな」

 

そんな事を呟きながら恭也はシャーペンを走らせる。

 

「アレス、なのはを頼む」

 

恭也の呟きは虚空に消えるのであった……。

 

 

 

 




 
止めないレイハさんもレイハさんだよなw

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