魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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これにてA's編は終了と相成ります


第32話 A's編エピローグ

 

 

 

 

 

アースラの医務室。

 

はやてはそこで眠りについていた。

 

周りには、ヴォルケンリッターとリインフォース。

 

あと、俺もいるんだが。

 

俺以外全員が神妙な顔ではやてを見つめている。

 

「なあ、はやては大丈夫だよな?」

 

ヴィータははやての手を握りしめている。

 

「……大丈夫だ。俺の予想なら、いきなり魔法を使ったから疲れたのだろうと思う」

 

「なるほど……アレスちゃんの言うとおり一理あるな」

 

顎に手を当てて呟くシグナム。

 

「いきなりの実戦だったから精神的にも疲れてると思う。心配する事は無いと……」

 

俺の言葉が終わる前に医務室のドアが開く。

 

そこに居たのはリインフォースとお揃いの服装をしたエヴァだった。

 

「検査結果が出ましたよ」

 

「そうか、で? どうだった?」

 

「はい、魔力切れによるものです。リンカーコアも正常ですし、身体には特に異常はありませんとの事です」

 

「良かった……」

 

安堵の息を吐くリインフォース。

 

「とりあえずは万事解決か?」

 

「……そうだな。リインフォース、そちらの調子はどうだ?」

 

「ああ、基礎構造はもはや原型をとどめてない状態だ。このまま放って置けば自動防衛プログラム(ナハトヴァール)を構築して主はやてを浸食してしまうだろう」

 

「……最も、私がいるから大丈夫ですよ? リインフォース?」

 

「その通りですね、姉上がいる限り私はかつての姿を取り戻す事が出来ます」

 

リインフォースはそう言ってエヴァを見つめていた。

 

「……しかし、姉上。確か……昔見た記憶では私より背が高かったと思いましたが?」

 

首を傾げてから考える仕草をするリインフォース。

 

可愛い仕草だなと俺はひっそりと思ったり。

 

「う……し、仕方ないじゃないですか……姉と呼ばれるには……こんな小柄な体型だと……威厳も何も……」

 

どうやらエヴァは幻術を使ってナイスバディになっていたようだ。

 

「大体、あの変態野郎のせいなのよ……何をトチ狂ったか『小さいは正義だ!』とか抜かしてこんな体型に仕上げて!」

 

小声でブツブツと呟くエヴァ。

 

どうやら、エヴァの外観を設計したヤツは少女偏愛(ロリコン)だった様だ。

 

「……ああ、アイツ……ですか。しかし、私を設計したヤツも『やはり乳は大きい方が良いだろう』とかほざいてましたが……」

 

古代ベルカの発明家は変態しかおらんかったのか。

 

まあ、聞く気も無いのでこの件はスルーしとく。

 

「ですが、私は姉上が少し羨ましく思います」

 

「どうしてですか?」

 

「主はやても可愛いのですが、アレスはもっと可愛いからです」

 

俺はリインフォースの瞳を見た。

 

……コレは、少年偏愛(ショタコン)の目!

 

タイムマシンがあればリインフォースを設計したヤツを殴りに行きたい。

 

「……リインフォース、やはり分かってるな」

 

「さすが、私達の管制人格です」

 

そこにシグナムとシャマルが便乗してきた。

 

俺はヴィータとザフィーラを見る。

 

 

「zzzz」

「zzzz」

 

 

ヴィータははやての手を握ったまま眠ってる……のか?

 

妙に呼吸が不自然なのだが。

 

ザフィーラも狼形態で丸まって眠ってるように見える。

 

やはり、呼吸が不自然だ。

 

今度ヴィータが楽しみにとっておいたアイスを食っておいてやろう。

 

ザフィーラは今度組み手した時、腹に雷華崩拳を喰らわせてやる。

 

「まあ、お兄様の良さが分かるのは良い事です」

 

「時に姉上、何故アレスの事を兄と呼ぶのですか?」

 

「それはですね……」

 

エヴァが説明する。

 

 

 

 

 

「……なるほど……それは興味深い話です」

 

「今世ではお兄様はお兄様になってしまいましたが、私にとっては『お姉様』でもあるのです」

 

「……姉上に選ばれる訳だ」

 

そう言ってウンウン頷くリインフォース。

 

「私的にはアレスちゃんに『シャマルお姉ちゃん』と呼んで貰いたいのだけどね」

 

唐突に妙な事を言い出すシャマル。

 

「……うむ、私の事は『シグナム姉さん』と呼んでも良いのだぞ?」

 

そこに便乗しようとするなや。

 

「なあ、リインフォース? この2人はアンタの影響を受けてるのか?」

 

「……まあ、受けてると言えば受けてるな。最も、私も最初は別に小さな男の子が好みでは無かったのだぞ?」

 

 

なん……だと……?

 

 

「……そこんとこを詳しく」

 

「何代目の主だっただろうか。とある主がだな、魔力蒐集は小さな男の子限定にしてな」

 

ろくでもない主だな!

 

「あろう事か、私に小さな男にしか興味が湧かなくなるプログラムを組んでな」

 

 

 

 

 

 そ い つ が 元 凶 か 

 

 

 

 

 

「結果、私はアレスみたいな男の子しか興味が湧かなくなった訳だ、エヘン」

 

妙に胸を張ってどや顔を見せるリインフォース。

 

そんな事で胸を張るなや。あと、胸が大きすぎるわ。たゆんたゆんと揺れてるじゃねぇか。

 

「……そう言えば、そんな主がいたような」

 

「ですわね。確か、名前はアヤカ……だったような?」

 

ちょっと待とうか。

 

そいつって、容姿は金髪で赤毛の少年が好みとか言うオチじゃなかろうな?

 

「ああ、そんな名でしたね。小さな男の子ばかり指定してましたが、特に赤毛の男の子が多かったですね」

 

これ以上は聞きたくないんだが。

 

「エヴァ?」

 

「何でしょうか?」

 

「過去に戻る魔法って無いかな?」

 

「えっと……ごめんなさい。それは無いです」

 

「そっか……」

 

とりあえず、その主を一度ハリセンで頭をしばいておきたかったんだが。

 

「まあ、そんな訳だ。今度、私と添い寝しようか? それともそれ以上の事を希望か?」

 

どんな訳か理解出来ないんだが!

 

「ずるいぞ! リインフォース! 私とて1度も添い寝した事無いんだぞ!?」

 

「管制人格だからって横暴だわ!」

 

ブーイングを起こすシグナムとシャマル。

 

「分かった分かった、今度4人で一緒に寝れば良いのだろう?」

 

「うむ、それなら良いな」

 

「問題無いです」

 

「アレ? 何か勝手に話が進んでるんだけど?」

 

サラッとリインフォースが進言してシグナムとシャマルが勝手に了承してる?

 

「良いでは無いか。今度、姉上と一緒に……」

 

「そうですわね」

 

エヴァちゃんや。貴女も勝手に話を進めるのですか。

 

「……もういいや」

 

俺は反論する気を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさいね。2、3日はこの船で過ごして貰うから」

 

リンディさんは次の日になったらそんな事を言ってくれた。

 

理由は不明だが、次元転移が出来ないそうだ。

 

まあ、夏休みだから別に帰宅しなくても大丈夫だし。

 

ちなみに、母さんに連絡しておいたから何の問題も無い。

 

母さんから桃子さんに連絡は伝わってるから大丈夫だ。

 

さて、俺が今いるのはデバイスを整備する部屋。

 

そこにいるのはちょっと太眉でおでこを出している眼鏡っ娘、更にタレ目の女性だった。

 

「初めまして……かな? 時空管理局でデバイスのメンテナンスを受け持っているマリエル・アテンザと申します。愛称はマリーで良いわよ」

 

あ~、そう言えばそんな人がいたなぁ。

 

若干失礼な事を思いつつも俺は挨拶する。

 

「あ、嘱託魔導師の藤之宮アレスです」

 

「なるほど、レティ提督の超ストライク・ゾーンですね」

 

眼鏡が光るマリー。

 

「まあ、そんな事はどうでも良いですから。ちょっと、この部屋を貸して貰えますか?」

 

「うん? 良いわよ。デバイスのメンテナンスでもするのかな?」

 

「いえ、武神の魔導書から夜天の魔導書にデータを送る為にちょっと」

 

「ちょっとお姉さんの耳がおかしくなったのかな? 今、もの凄い単語を聞いたような?」

 

「おかしくはなってないですよ。聞こえた言葉の通りですよ?」

 

「……是非とも、見学させてくれるかな? ロストロギアと呼ばれた夜天の書と超貴重な武神の書のデータ転送とか……」

 

マリーさんの心に響くモノがあったようだ。

 

「ちなみに、自爆装置ってどう思います?」

 

「ロマンの1つと思ってるわ」

 

この言葉を聞いてマリーさんの思考回路が少しだけ分かった気がした。

 

 

 

 

 

 

 

「それでは、私とリインフォースは暫く動けないので……」

 

そう言って、エヴァとリインフォースは本の姿に変わる。

 

それからは2冊の本が宙に浮いて光の様なモノがエヴァからリインフォースに向かって飛んでいる。

 

どうやら、データを送信しているみたいだ。

 

「へ~、ミッドのデバイスと大差ない通信のやり方ですね~」

 

様子を見ているマリー。

 

俺はマリーに監視をお願いして何かあったらすぐに連絡をくれるように言付けてからメンテナンスルームから出る。

 

そこから、なのは、フェイト、アリシア、アリサ、すずかの5人と一緒に俺の部屋に戻って一休みする事となった。

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、はやてが目を覚ましたぞ~」

 

ヴィータの声が聞こえた。

 

そう言えば、何か……忘れてた様な……?

 

ドアが開き、ヴィータが入ってくる。

 

「……全く、オメーはとことん好かれてるんだな」

 

軽いため息をつくヴィータ。

 

まあ、そこは否定出来ないが。

 

俺の身体を抱きつくように眠ってるなのは、フェイト、アリシア、アリサ、すずか。

床で雑魚寝していた様だ。

 

いつの間にか、眠ってしまったようだな。

 

「……まあ、俺は別に何をやったと言う訳じゃないんだがな」

 

「……んな訳ねーだろ。オメーとしては大した事したつもりでなくても、こいつ等にとっては相当嬉しかった事なんだろうよ」

 

「まあ……確かに、その通りかもな」

 

「それにあたしも感謝してるんだ。はやてを救ってくれて……な」

 

「そうか」

 

「だから、何かあったら遠慮無く言ってくれよ? ああ、シグナムとシャマルのアレは無理だけどな」

 

ヴィータは苦笑しながら言う。

 

「ああ。ヴィータに頼める事があったら、頼むよ」

 

「そうか。それじゃあ、はやてが目を覚ましたから。来てくれよ」

 

「分かった」

 

俺はなのは達を起こしてからはやてがいる病室に向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、アレス君」

 

病室に入るとリンディさんとヴォルケンリッターのメンツがいた。

 

「気分はどうだ?」

 

「うん、何か身体の気怠い感じが無くなった様な気がするなぁ。それと、足の感覚が戻ったで~」

 

嬉しそうに語るはやて。

 

「そうか、それは何よりだ」

 

「はやて、良かったね」

 

「はやてちゃん、おめでとうなの」

 

フェイトとなのはが祝福の言葉を贈る。

 

「ありがとな、なのはちゃん、フェイトちゃん」

 

ドアが開き、入ってきたのはリインフォースとエヴァだった。

 

「主はやて……」

 

「終わりましたよ~」

 

「おかえりや、リインフォース。ところで、終わったって何の事?」

 

「あ、はやてさんには言ってませんでしたね。私の中にある夜天の書のバックアップデータを移したのです」

 

「え……? それって」

 

「もう大丈夫です。本来の姿に戻ったのでもう私は暴走もしません。いつまでも主と一緒にいることが出来ます」

 

そう言ってリインフォースは涙を流す。

 

「そっか……うん……うん……。これからはずっと一緒や! リインフォースも私達の家族や!」

 

はやても涙を流している。

 

良かった……。

 

これで、俺のやりたかった事が1つ終わった。

 

原作では納得いかなかった終わり方だったが、コレなら俺は文句ない。

 

しかし、リインフォース(ツヴァイ)はどうしようか。

 

リインフォースが存命なら(ツヴァイ)の必要性が無いなぁ。

 

「あ、主に1つ、言付けがあります」

 

「うん? 何や?」

 

「実は、主とユニゾン出来なくなってしまいました」

 

「へ?」

 

「実を言うと、ユニゾン機能は後から付けられた機能なのです。姉上には元々付けてあったのですが、私には付いていなかったのです」

 

……そうだったのか。

 

ん? 

 

と言う事は。新たにユニゾンデバイスを作成する必要がある訳だ。

 

そうなると、リインフォースを元にして作成すれば良いのだから。

 

なるほど、無事に(ツヴァイ)が作られるフラグは立った訳だ。

 

「なるほどなぁ~。まあ、その件はまだ先の話やな。とりあえず、歩けるようになってからやな」

 

「そうですね。今は身体を治す事が先決ですね」

 

「とりあえず、いずれはいる様になるでしょうから、マリーに話しておくわね」

 

リンディさんがそう口を開く。

 

「すいません、リンディ義母さん」

 

はやてがリンディさんに向かってお礼を言う。

 

そうか、もう養子縁組したのかな?

 

そんな事を思ってると、リインフォースが俺の方を見る。

 

「アレス、姉上。私はお二方に何とお礼を言えば良いのでしょうか?」

 

そう言って俺とエヴァの前で跪いた。

 

「気にするな。俺のやりたい様にやっただけの事なんだからな」

 

「そう言う訳には参りません。私だけでなく、主の命も救って頂いたのですから」

 

「まあ、そこら辺はリインフォースに任せるよ」

 

「そうですか……ならば、今後アレスの夜伽は私が担とふ……いふぁいでふ!(痛いです!)はねぇふへ!(姉上!)」

 

「リインフォース? それは私の役目だから違う事を考えなさい?」

 

エヴァがリインフォースの頬をつねりあげる。

 

ってか、エヴァもそれは違うと思う。

 

 

「アレス……アンタ……」

「アレス君ひょっとして……」

「そんな……」

 

 

なのは達は驚愕の表情を浮かべてる。

 

 

「なん……だと……?」

「そんな……」

 

 

シグナムとシャマルは盛大に落胆している。

 

 

「アレス……オメーそんな性癖が……」

 

 

俺からツツツ……と間合いを離すヴィータ。

 

 

「……」

 

 

ニコニコ顔のリンディさん。

 

見た目は大丈夫そうだが、額には冷や汗がダラダラと流れている。

 

内心はかなり動揺しているみたいだ。

 

「……言っておくが、俺は別に少女偏愛(ロリコン)じゃねぇぞ」

 

その言葉を聞いて全員が安堵のため息をついていた。

 

ザフィーラは狼形態になって床で丸まって眠っている。

 

関与しないぞ……と言いたげな雰囲気が出ていた。

 

「お兄様は私みたいな体型からリインフォースみたいな体型まで幅広く愛せる方なんですよ♪」

 

エヴァや、フォローのつもりかも知れないが……まるで俺が節操無しに聞こえるんだが?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぷにぷにね……」

 

「ぷにぷに……でしょ?」

 

俺の身体を洗うのはショタ四天王の内の2人、リンディさんとプレシア女史だ。

 

ここはアースラ艦内の大浴場で女湯だ。

 

例によって俺はまた女湯に連行されたのだ。

 

他にも女性船員が一緒に入っているし、なのは達とシグナム、シャマル、ヴィータ、リインフォースも入ってる。

 

ちなみにシグナム、シャマル、リインフォースはリンディさんとプレシア女史とのじゃんけんに負けてしまって血涙流して湯船につかっている。

 

他の女性船員の何人かも俺の方を見て羨ましそうな視線を向けている。

 

そうそう、ユーノとユナも一緒に入っている。

 

今回は俺は関与していないが、やはりユナに連行されたのだろうか。ユナに身体を流して貰っているユーノの姿が見えた。

 

「アレスちゃん、綺麗な肌してるわねぇ~」

 

そんな事を言いながら俺の腕やら上半身を洗うリンディさん。

 

リンディさん……。一児の母とは言えない身体してますね。

 

まあ、プレシア女史やら桃子さんも大概な身体してますが。

 

「それに……コレは反則ね」

 

そんな事を言って俺の股間の男性専用アームドデバイスを洗うリンディさん。

 

実に嬉しそうに見えるのは目の錯覚と思いたい。

 

 

「……」

「やっぱりリンディもそう思うかしら?」

「ええ、女性にとっては凶器になるかもしれないわね!」

 

 

 

「……」

「アリシアやフェイトは将来コレに泣かされるのかしらね?」

「はやてもコレには逃れられないでしょうね」

 

 

 

「…………」

「ついでに私達もお相伴されましょうか?」

「それは良いわね! これだけのモノを見せられて大人しくしてはいられないわね!」

 

 

 

「……あのさ?」

「どうしたの?」

「どうしたのかしら?」

 

 

 

リンディさんとプレシア女史は不思議そうな表情を浮かべて俺の顔を見る。

 

リンディさんは洗う手を止めようとしない。

 

ってか、聞いてると段々と恐ろしくなってくるのだが。

 

そのうち、『今夜は一緒に寝ましょうか?』に発展しそうだし。

 

「いつまで洗ってるんだ?」

 

俺は異様なまでに重点的に股間のアームドデバイスを洗う手を眺めながら訪ねる。

 

「あら、コレ?」

 

「そうねぇ。1回、最高硬度になる所を見たいと思ってるんだけど?」

 

「なかなか硬くならないわね? どうすれば硬くなるのかしら?」

 

硬くするわけねぇだろ。

 

ってか、妙な力加減で洗ってくるのはそれが目的だったのか。

 

と言うか、カートリッジロードすんな。

 

この状況下で硬くしたらなのは達やシグナム、シャマル、リインフォースがすっ飛んでくるわ。

 

今でもこの状況を遠目で眺めてるというのに。

 

あとシグナム、シャマル、リインフォースの目が血走っているが、目の錯覚として片付ける事にした。

 

「……硬くしてどうしろと?」

 

 

 

「そ、そりゃあ……今後の対策の為よ?」

「そ、そうね? 女の人は柔らかいより硬い方が好みなのよ?」

 

 

 

リンディさんがスゲーとんでもない事仰ってます!

 

周囲を見ると他の女性職員も同意するかの様にウンウンと頷いているんだが。

 

この鑑には痴女とショタしかおらんのかい。

 

「2人とも、甘いですよ。アレスのアームドデバイスを起動させるならコレくらいしないと」

 

背後から聞こえるのは……リインフォースの声だった。

 

その直後、背中に柔らかい感触が走る。

 

どうやらリインフォースが抱きついてきているようだ。

 

「……リインフォース?」

 

「昔の主達から聞いた情報だとコレは効果的だと」

 

「なるほど……」

 

「私達の胸なら十分出来るわね……」

 

昔の主達は何を吹き込んだのだろうか。

 

背中には柔らかい感触が絶え間なく続いている。

 

前世の前世で嫁にこんなことをされていたのを思い出す。

 

……っていかん! そんな事を思い出すと股間のアームドデバイスが反応してしまうではないか!

 

「効果ありね? 少し硬度が増したわ♪」

 

「リインフォース? もうちょっと続けて頂戴♪」

 

「了解です♪」

 

やってる事が超高級泡風呂並みなんだが。

 

なのは達を見ると。

 

 

 

 

「なるほど……コレは……」

「参考になるの……」

「アレスの弱点が分かるわね……」

「さすが母さんだね……」

「お兄ちゃんへの攻め方の参考になるね……」

「早く胸が大きくならへんかな……」

 

 

 

ダメだな、これは。

 

 

「ふんふ~ん」

「お兄様は……と」

 

 

エイミィさんとエヴァの声が聞こえてきた。

 

2人は俺達の様子を見て動きが止まった。

 

「艦長、きちんと合意を得て下さいよ?」

 

エイミィさん、止める気は一切無いのですか?

 

「分かってるわよ~」

 

「……」

 

エヴァは無言でこちらに近づいてくる。

 

そして、いきなり俺の前に立ってからこう言い放った。

 

「リインフォース? お兄様のソレを起動させるならコレくらいは必要ですよ?」

 

椅子に座った俺の上に座り、抱きついてくる。

 

エヴァの柔らかい身体が俺の身体に密着する。

 

足を俺の腰に絡めて木にしがみつく様な格好だ。

 

「エヴァ、何を……!」

 

そして、唇を合わせてきてから舌を口内に絡ませてくる。

 

「ん……」

 

「姉上……上手いですね……」

 

「そこまで……なるほど!」

 

「しかし、私達の体型ではちょっとキツいわね」

 

顔を真っ赤にしているプレシア女史、リンディさん、リインフォース。

 

エヴァの舌技はまだまだ続く。

 

周りからは『ショタとロリのコラボレーション!?』とか『あのナリで何て淫靡な!?』とか『あの金髪の子良いなぁ~私もあんな男の子とキスしたいな~』とか。

 

最後のは聞かなかった事にした。

 

 

 

ブシャー!

 

 

 

ん?

 

激しい水音が聞こえるな。

 

シャワーが壊れたのか?

 

俺は視線を音源に向けた。

 

見るとなのは達とシグナム、シャマルが鼻血を出して倒れていた。

 

「!?」

 

俺は唇をエヴァから離す。

 

「やり過ぎちゃいました☆テヘッ☆」

 

頬を赤くしているエヴァ。

 

まあ、何でなのは達が鼻血を流しているのかと言うと。

 

俺の男性専用アームドデバイスが最高硬度になってしまったからなのだ。

 

天に向かって突き上げる形になってしまった。

 

ちなみに日本刀の様に少し湾曲してるのがポイント?

 

「……こ、コレは……」

 

「もはや……ロストロギアに認定しても良いかも?」

 

「そ、想定外でした……」

 

プレシア女史、リンディさん、リインフォースは手で鼻を押さえている。

 

指の間から赤い液体が流れていた。

 

俺はエヴァを下ろしてから3人に詰め寄る。

 

 

「……ごめんなさい」

 

 

上目遣いで少し目を潤ませてから3人に謝る。

 

 

 

 

ブシャッ

 

 

 

3人は鼻血の量を増やしてからその場に倒れた。

 

うむ、どうやらこのコンボはもはや最終兵器扱いにした方が良いな。

 

 

「……わ、我が生涯に……」

「一片の……」

「悔い……無し……」

 

 

鼻から血を流して恍惚の表情を浮かべているプレシア女史、リンディさん、リインフォース。

 

血を出したからこれで少しは頭が冷えると思うのだが。

 

周りを見ると、全員俺の方から視線を逸らしていた。

 

「……どうすんだよ、コレ……」

 

ヴィータが俺の方を見ないで話しかけてくる。

 

「……色々と……すまん……」

 

謝るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「で? 君は風呂で何をしたんだ?」

 

目の前にはこめかみをピクピクと痙攣させてるクロノがいる。

 

「……」

 

どうやって説明しようかな。

 

俺の男性専用アームドデバイスの最終形態を見て倒れたとはあんまり言いたくないし。

 

 

ってか、俺のコレを見ただけで倒れるとか理解し難い。

 

 

ちなみになのは達は医務室で寝込んでいる。

 

全員鼻にティッシュを詰めている光景はかなりシュールだが。

 

「えっとね、アレス君のここを見ただけなんだよね~」

 

いきなり現れて説明するエイミィさん。

 

「そうですよ~。お兄様のアームドデバイス見ただけなんですよ~」

 

エヴァも状況説明をする。

 

 

 

「……」

「……」

 

 

 

クロノは俺の股間部分を一瞥してからまた俺の顔を見る。

 

「君の其処はロストロギアなのか?」

 

「アホな事抜かすなや」

 

「しかし、見ただけで女性を気絶に追い込むなんて」

 

「まあ、アレは仕方無いわよねぇ~」

 

「そうですわねぇ~」

 

腕を組んで頷くエイミィとエヴァ。

 

「……何故だ?」

 

「だって、太さといい、長さといい……バランスが取れていると言うか……」

 

「色合いも綺麗でした」

 

「まるで芸術品の様な……」

 

2人は妙に頬を赤くしていた。

 

褒められても凄く恥ずかしいんだが!

 

「……今度から男湯に入った方が良い」

 

「……リンディ提督が許してくれるなら」

 

「……それは無理だな」

 

あっさりと諦めるクロノ。

 

 

 

「クロノ君も見習った方が良いよ? 先端に皮の兜をかぶってるのは良くないよ?」

 

「何故知ってる!?」

 

 

 

「……ん~? 冗談で言ったつもりだったのに~?」

 

「……っ! しまった!」

 

エイミィさんの口元がつり上がる。

 

ああ、邪笑と呼ばれる笑い方だ。

 

クロノ、お前もユーノと同じだったのか。

 

 

 

『クロノ執務官! リンディとアレスちゃんが一緒にお風呂に入ったですって!?』

 

 

 

クロノの前に現れた空間ディスプレイ。そこには血涙を流しているレティさんが映っていた。

 

「え!? あ、そ、その!」

 

突然現れたレティさんに対処出来ないクロノ。

 

何でこの人はすぐに情報を得るんだろうか?

 

あ、マリーさんからだな。確か、レティさんの部下だったハズだし。

 

鼻血出して倒れたのはすぐ分かるし、倒れた原因も目撃者が沢山いるからこれもすぐ分かるし。

 

コレも勘なら恐いモノがあるがな!

 

『さあ、キリキリ吐いて貰うわよ? 事実なのね?』

 

口から煙の様な蒸気を吐き出すレティさん。

 

某運命の第五次聖杯戦争で召喚された狂戦士を彷彿とさせるな。

 

「……えっと…………ハイ」

 

それしかあるまい、クロノ。下手に嘘付いたら……もう会えなくなるしな。

 

『リンディ……貴女は……帰ったら、ただじゃおかないわよ! で、リンディは何処かしら? 通信が繋がらないんだけど?』

 

「……それが……」

 

「リンディ提督なら今医務室で眠っています」

 

エイミィさんがクロノの隣に来て返答する。

 

「エイミィ!」

 

『医務室で? どうしてまた?』

 

「お風呂で……アレス君の股間のアームドデバイスを見てしまったから」

 

だから、その表現はどうかと思うんだが。

 

『なん……ですって……? アレスちゃんの……アームドデバイス?』

 

「ええ、男性専用アームドデバイスです」

 

『エイミィ? 聞かせて貰うわ。どんな感じだったのかしら?』

 

「……」

 

俺の方を一瞥するエイミィさん。

 

《どうぞ、お好きにしてください》

 

俺はそう目で語った。

 

エイミィさんは頷いた。あれで分かったのだろうか。

 

「……太くて、長くて、少し反っていました」

 

正直に話してますよ。

 

『!? 太くて……長くて……反ってる……!? ショタ巨○ン。ロリ巨乳がいるならショタ巨チ○がいてもおかしくないわね!』

 

ブツブツと呟くレティさん。

 

呟く様は格好良く見えるが、呟いてる内容は果てしなくろくでも無かった。

 

『けれど、ソレは有りね。良いわね……アレスちゃんみたいな子をベッドで……楽しみが増えたわ!』

 

突然、トリップしてる様に見えるレティさん。

 

俺はクロノの方を見る。

 

クロノも俺の方を見る。

 

 

 

《通信切っちまえ》

《大丈夫なのか?》

《多分、大丈夫だろ。俺の情報を得たから》

《まあ、君がそう言うなら》

 

 

 

この間僅か5秒。俺とクロノは目線のみで会話する。

 

『やっぱりアレスちゃんはリンディには勿体ない子だわ。いつか救ってあげないと!』

 

クロノは通信を切る。

 

何やら不穏な言葉を言ってた様な気がしたが、ここはスルーしとくか。

 

 

 

「……」

「……」

「……」

 

 

 

俺達は無言になる。

 

「管理局は……あんな人が多いのか?」

 

「いや、あそこまでアグレッシブな人はそんなにいないが……」

 

「けど、アレス君みたいな子が好みの人は多いよ?」

 

エイミィさん、それは聞きたくなかったぜ!

 

「そうか。まあ、嘱託魔導師辞めるって言ったらリンディさんもレティさんも自殺しかねないから言わないが……」

 

「……すまない」

 

クロノは小声で謝った来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

何だかんだで元の世界に戻ってくる事が出来た。

 

俺達ははやての家に送ってもらった。

 

「ありがとうございます」

 

「良いのよ。こちらとしても1つ、ロストロギアの存在が減ったのだから……」

 

はやてとリンディさんが挨拶を交わす。

 

リンディさんとクロノが見送りに来てくれた。

 

と言っても、週に何日かはこちらに来るみたいだが。

 

はやての家は広いから別に大丈夫だろう。

 

「さあ、明日からは平穏な日常に戻るな~」

 

俺は背筋を伸ばしながら呟いた。

 

背骨がポキポキと音を立てる。

 

「と言う訳でアレス君、遊びにいこっ」

 

いきなり明日のお誘いをかけて来るなのは。

 

「なのは、ずるい……私が先に誘いたかったのに……」

 

「お兄ちゃん? 私とフェイトと一緒に遊びに行こうよ~」

 

「あ~あかんあかん! アレス君は明日から私の足のリハビリにつき合って貰うんや!」

 

「何言ってるのよ! あたしとすずかの魔法の練習につき合って貰うのよ!」

 

「アレス君? もちろん私とアリサちゃんだよね?」

 

フェイト、アリシア、はやて、アリサ、すずかが俺に寄ってくる。

 

「俺は1人しかおらんのだが?」

 

「何言ってるのよ。アンタ、分身出来るでしょうが」

 

「まあ、そうだが」

 

「そう言えば、最大12人まで出来たんだよね?」

 

その言葉を聞いてリンディさんの耳がダンボの様に大きくなった……様に見えた。

 

「……なんですって?」

 

そう言えば、リンディさんには教えて無かったような。

 

詰め寄ってくるリンディさん。

 

「……俺のレアスキルです。本体を含めて12人になります」

 

「1人頂戴! 良いでしょ!?」

 

「制限時間があります。制限時間が過ぎると本体に強制的に戻ります」

 

「仕方ないわねぇ……。ちなみに時間は?」

 

「3日です」

 

「明日貸して頂戴? 良いでしょ?」

 

「俺はモノじゃないんですが……。まあ、良いですよ」

 

「やった♪」

 

小躍りしてるリンディさん。

 

ソレを見てクロノは深いため息をついていた。

 

「……12人」

 

「まだ余裕はあるわね……」

 

「私達にもお願いしたいのだが……」

 

物欲しそうにしているリインフォース、シャマル、シグナム。

 

もう、どうにでもなれ~としか言えなかった。

 

明日はなのは、フェイト、アリシア、はやて、アリサ、すずか、リンディさん、リインフォース、シャマル、シグナムの10人か。

 

まあ、大きな事件は終わったんだから良いか。

 

リインフォースも消滅しなくて済んだし。

 

あ、ちなみにプレシア女史とリニス、アルフは既に自宅に戻っている。

 

ユーノとユナもアースラ艦内で別れている。

 

さあ、そろそろ本腰を入れて転生者共を捕まえるかな。

 

そんな事を考えつつも俺達はリンディさん達と別れて家路に着くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ・家に着いてから

 

〈無事に転生者達はこちらに来たぞ〉

 

マッチョ神から念話が届く。

 

はて? ここんところ転生者をそっちに送った記憶は無いんだが?

 

〈何の話だ?〉

 

〈む? 昨日転生者が2名、こちらに来たんだが?〉

 

〈自滅したヤツじゃないのか? 昨日は俺は転生者と戦った記憶は無いんだが……〉

 

〈そうなのか? しかし、送られてきたヤツは『トリプルブレーカー恐いトリプルブレーカー恐いトリプルブレーカー恐い』と『桃色砲撃が……桃色砲撃が……桃色砲撃が……』とずっと呟いているぞ?〉

 

トリプルブレーカーと桃色砲撃?

 

あの技使った時と言えば自動防衛プログラムの最後のだめ押しに使った時しか……。

 

そう言えば。

 

〈そう言えば、戦ってる最中に聞き覚えの無い声が聞こえたな〉

 

〈……なるほど、戦いに巻き込まれたみたいだな〉

 

どうやら、自動防衛プログラムの所に転移してトリプルブレーカーに巻き込まれたみたいだな。

 

桃色砲撃は確か、なのはのとどめの一撃だろうな。

 

もの凄く運が悪いな。

 

〈もの凄く運が悪いヤツらだな〉

 

〈全くだな〉

 

〈さて、大きな事件が終わったからボチボチ送る事にするわ〉

 

〈うむ、またよろしく頼む〉

 

こうして名も無き転生者は天界に送り返されているのだった。

 

 

 




リインフォースェ…

次は日常生活編です

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