魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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いよいよ決戦です


第31話 悪夢の終わり

 

 

 

 

 

 

「本当に良いんだな?」

 

「ああ」

 

俺の前に立つのは夜天の書を持つヴィータ。

 

後ろでは、なのは、フェイト、プレシア女史、リニス、シグナム、ザフィーラ、クロノ、アルフ、ユーノ、ユナ、そして……エヴァと言うフルメンバーが揃っていた。

 

俺の後ろでははやてがシートの上に座って不安そうな顔でこちらの方を見ている。

 

遙か上空の宇宙空間ではアースラが待機している。

 

その中のブリッジではリンディさん、アリシア、アリサ、すずか、エイミィさんが固唾を飲んで見守っている。

 

「たかが1ページ位なら大丈夫だ。それに、俺にはコレがある」

 

俺は小指に装着されてる指輪を見せる。

 

それは、前世の時に開発していた気を魔力に変換する指輪だった。

 

念法を習得している俺なら、気をほとんど無限に作り出せる。

 

気を魔力に変換したならば俺は魔力切れを起こす事は無いのだ。

 

「私的にはええ気分せんのやけどなぁ……」

 

後ろで呟くはなて。

 

「それじゃあ、いくぜ」

 

ヴィータは夜天の書を起動して俺から魔力を蒐集する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『アルカンシェルは宇宙空間で撃てるか?』ですって?」

 

リンディさんが驚いた表情で俺の方を見る。

 

「はい。自動防衛プログラムを切り離し、弱体化させた後に宇宙空間に転移させてからアースラのアルカンシェルでとどめを刺す……と言う手を考えたのですが」

 

アースラ内の作戦会議室で俺はリンディさんにそう告げた。

 

「なるほど、地表に撃てば何かしらの被害は出る。宇宙空間ならばその制約は無いからな……」

 

クロノは顎に手を当てて考え込んでる。

 

「大丈夫だよ。アルカンシェルは宇宙空間でも問題なく撃てるよ」

 

エイミィさんはニッコリと微笑んで答える。

 

「転送に関しても大丈夫か?」

 

俺はユーノ、リニス、アルフ、ユナ、シャマルの5人を見る。

 

 

 

「大丈夫だよ」

「大丈夫ですよ」

「大丈夫!」

「大丈夫よ」

「いけるわよ」

 

 

 

5人は臆することなく答えた。

 

「もしもの時の為、エヴァも転送魔法に参加させるからな」

 

「へ?」

 

なのはがキョトンとした顔で返答する。

 

【はい。実は私は実体化出来るのです】

 

その言葉を聞いてリニス、アリサ、すずか、はやてを除くメンツが呆然とした表情で俺を見る。

 

「そうだな。そろそろ皆に紹介しようか」

 

【はい、お兄様】

 

エヴァはそう言って本の状態になって俺の前に飛んで……光り輝く。

 

俺の前に立つのは、金髪で色白、人形の様な容姿の少女が立っていた。

 

「皆様、改めて初めまして。『武神の魔導書』の管制人格を務めている『エヴァンジェリン』と申します。以後、お見知り置きを……」

 

そう言ってエヴァは優雅に一礼する。

 

ちなみに服装はリインフォースと同じ服装である。

 

リニス、アリサ、すずか以外はただ、ただ驚いていた。

 

 

 

 

 

 

「驚く事ばかりね……」

 

頬に冷や汗を流しながらそう返答するリンディさん。

 

「とりあえず、自動防衛プログラムを切り離した後は魔力ダメージを与えるだけ与えて弱体化させれば良いんだな?」

 

【はい。再生機能が付いているから効いていないように見えるかもしれませんが、効果はあります。ですから、迷わず攻撃を行ってください】

 

リインフォースはそう答える。

 

「なのは、フェイト。とりあえず、全力全壊で攻撃してくれ。分かりやすいだろ?」

 

「うん、凄く分かりやすいの」

 

「分かった。出し惜しみは無しだね?」

 

「ああ」

 

「私も全力攻撃しても良いのかしら?」

 

「勿論。生半可な攻撃は効かないんだろ?」

 

【はい。複合バリアが展開されていますので、中途半端は攻撃は魔力の無駄になってしまいます】

 

「了解。久しぶりに全力攻撃させてもらうわ」

 

プレシア女史も嬉しそうだった。

 

「よし、それでは実行に移そうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

蒐集(ザルムング)

 

俺のリンカーコアから魔力が奪われる。

 

少し、気怠い感じだが大した事は無かった。

 

ヴィータが持つ夜天の書のページが1枚めくれる。

 

ついに、666ページになった。

 

夜天の書ははやての前に飛んで行く。

 

はやての足下に現れる三角形の頂点に円を足した魔法陣……ベルカ式魔法陣が展開される。

 

色は、白。

 

そして、それが漆黒の色に染まる。

 

解放(ベフライウング)

 

はやての身体から凄まじい魔力が溢れ出して来る。

 

「くっ!」

 

俺は前に装甲手楯(パンツァーシルト)を展開して衝撃を防ぐ。

 

「あ……ああっ!」

 

はやての身体が成長して大人の体型になる。

 

髪は伸びて銀髪、そして瞳は真紅の瞳が輝いていた。

 

そして、そのまま空中に浮かんで停止していた。

 

「……」

 

俺は固唾を飲んで見守る。

 

後ろを見ると、全員バリアジャケットと騎士甲冑を身に纏っていつでも戦闘出来る状態になっていた。

 

確か、あの姿はリインフォースの姿だと思ったのだが。

 

その時、リインフォースの背中に黒い翼が生えた。

 

「……」

 

リインフォースは俺の姿を見て……猛スピードで飛んできた。

 

「っ!」

 

前に展開している俺の盾に殴りかかり、一撃で俺の盾を砕く。

 

ちぃ! 自動防衛プログラム(ナハトヴァール)が暴走してやがる!

 

エヴァと別れている今、俺が展開する装甲手楯(パンツァーシルト)の強度はいつもの半分しか無いのだ。

 

そのあと、続け様にパンチを繰り出す。

 

俺は手首を掴み、そのまま背負い投げにして投げる。

 

リインフォースは地面に食い込むようにして背中から叩き付けられる。

 

「っ!」

 

僅かだが、彼女の表情が歪んだ。

 

 

「お兄様!」

「アレス君!」

「アレス!」

 

 

エヴァ、なのは、フェイトが心配の声を上げてくる。

 

「大丈夫だ! 俺一人で時間を稼ぐ! 全員はいつでも攻撃を撃てるように待機していろ!」

 

俺は地面に叩き付けられ、少し埋まってるリインフォースを見る。

 

すると彼女は即座に起き上がり、またも俺に向かって攻撃を仕掛けてくる。

 

「闇雲に殴る蹴るだけで、俺に勝てると思うなよ! 自動防衛プログラム(ナハトヴァール)!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ、主はやてはどうさなれたのだ!?」

 

「多分、自動防衛プログラム(ナハトヴァール)が暴走しているから管理者権限が使用出来ないのだわ!」

 

「だが、待つしかあるまい。中で主とリインフォースがどうにかしてくれるハズだ」

 

シグナム、シャマル、ザフィーラの声が聞こえる。

 

確かに、その通りなのだ。

 

後少ししたら動きが止まるハズなのだが。

 

と思っていたら目の前のリインフォースの動きが止まった。

 

『アレス君! 今何とかこの子の動きを止めたから魔力ダメージを与えてくれへんかな!?』

 

「了解だぜ! なのは、頼む!」

 

「分かったの! レイジングハート!」

 

【マスター、エクセリオン・モードで行きましょう!】

 

「分かったの! エクセリオン・モード!!」

 

レイハさんがカートリッジロードして変形する。

 

確かアレって……まだフレーム強化してないから使ったらダメって……まあ良いか。

 

レイハさんなら保つだろう、多分。

 

「エクセリオン・バスター!!!」

 

槍みたいな形になったレイハさんの前に桃色の魔力弾が形成される。

 

狙いは、動きが止まっているリインフォース。

 

「ブレイクシュート!」

 

魔力弾は一直線にリインフォースに向かって……直撃する。

 

轟音と共に煙に包まれ、様子が分からなくなる。

 

煙の中から黒い球体が地面に向かって飛んでいく。

 

黒い球体はは地面に降り立つと何かに変化するみたいだ。

 

煙が晴れると、其処にははやてが浮かんでいた。

 

どうやら、無事にリインフォースとユニゾン出来たみたいだ。

 

 

「はやてちゃん……?」

「はやて?」

「主はやて……?」

「はやて……ちゃん?」

 

 

一様に驚くなのは達。

 

「お待たせや、みんな! 魔法少女プリティーはやて、ここに推参や!」

 

その題名だとファンシーな魔法少女モノになるんだが。

 

「見て見て! アレス君とお揃いや!」

 

はやての足下に広がるのはベルカ式魔法陣。

 

まあ、確かにはやてだけだもんな、ベルカ式は。

 

「むぅ~」

 

「アレスとお揃い……良いなぁ……」

 

物欲しそうな表情ではやてを見るなのはとフェイトだった。

 

「状況は良いとは言えないんだがな」

 

口元をヒクヒクと吊り上げながらはやてを見るクロノ。

 

地上には真っ黒い球体……ドーム状の物体……いや、あれはもはや澱みと言った所だろうか。それがある。

 

魔力反応は明らかに禍々しい感じを受ける。

 

「リインフォースが言うにはな、アレはもう理性も何も無い破壊の権化やそうや。だから、みんなの手で眠らせて欲しいんや」

 

少し、俯く様に言うはやて。

 

「そう……か」

 

デュランダルを握りしめるクロノ。

 

「後少しでアレが目覚めるみたいだな。さあ、もう一踏ん張りと言ったところだな」

 

「……さっき、散々戦った人が言う台詞じゃないよね?」

 

「だよね。ユーノ、夜もアレくらい元気でお願いね?」

 

「言ってる意味が分からないよユナ!?」

 

ユーノとユナの会話は無視することにしておいた。

 

『えっと……計算では後10分位で暴走が始まると思うんだけど』

 

エイミィさんの声が響く。

 

「よし、リインフォース。アレの詳細を教えてくれ」

 

【分かりました、教えます】

 

 

 

 

 

 

 

「と言う順番で良いな?」

 

俺達は話し合って段取りを組む。

 

大まかな流れは原作と同じだが、僅かに違う所があったのだ。

 

原作では物理、魔力を防ぐ複合四層式のバリアだったが、六層に増えていた。

 

ご丁寧に、一番外は『気』以外は無効化すると言うイヤらしいバリアだ。

 

こうなると、一番手は俺が一撃を喰らわせてバリアを破壊するしかあるまい。

 

順番は俺、ヴィータ、なのは、シグナム、フェイト、プレシア女史の順でバリアを破壊。

 

その後はクロノとエヴァが氷結魔法で凍結させて動きを止めてからとどめになのは、フェイト、はやてと俺の4人で最大攻撃。

 

計算ではこれでコアが露出するはずだからそこでユーノ、ユナ、リニス、アルフ、シャマル、エヴァの6人で転移魔法をかけてアースラの前に強制転移だ。

 

まあ、原作と大差ない流れだよな。

 

多分、俺が全力砲撃したら六層バリアなら全て貫通出来そうな気はするが。

 

皆に仕事残しておこうかな。

 

 

 

※BGM  BRAVE PHOENIX

 

 

 

「始まった……!」

 

黒い澱みの周囲に闇の柱が立ち上る。

 

うごめく触手。

 

魔力反応は高まるばかりだ。

 

「アアァァァァ――――――――――――!!!」

 

澱みが無くなり、現れたのは異形の物体。

 

まさに、バケモノと言った風貌だった。

 

ちなみに、大半はモンハンのモンスターの部分が大半を占めているのだが。

 

てっぺんには銀髪の女性がいる。

 

リインフォースと同じ容姿だ。

 

 

 

「チェーンバインド!」

「チェーンバインド!」

「ストラグルバインド!」

「ストラグルバインド!」

「縛れ! 鋼の(くびき)!! でぇやぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

リニス、アルフ、ユーノ、ユナ、ザフィーラの魔法が防衛プログラムの周囲にうごめく触手を斬り捨てる。

 

「アアアアァァァァァァ――――――――――――!!」

 

防衛プログラムが悲痛の叫び声を上げる。

 

「まずは俺の番か!! 天の使者を落とす一撃、見せてやる! 『天使滅殺(エンジェル・バスター)』!!!」

 

左手に溜めた闇の力を砲撃として解放する。

 

大きさ的にはなのはのディバイン・バスターと同等である。

 

轟音と共に防衛プログラムの直撃して一層目のバリアを粉々に粉砕する。

 

「そら、次頼むぜ!」

 

「分かってるよ! 行くぞ、なのは!」

 

「うん、ヴィータちゃん!」

 

原作の様にコンビを組むなのはとヴィータ。

 

ヴィータはアイゼンを振りかざす。

 

「鉄槌の騎士、ヴィータと! (くろがね)の伯爵グラーフアイゼン!」

 

アイゼンがカートリッジロードする。

 

【ギガントフォーム】

 

アイゼンは変形して超巨大なハンマーに切り替わる。

 

しかし、あの大きさはもはや反則に近いだろう。

 

 

 

「轟! 天! 爆砕! 巨人族の一撃(ギガントシュラーク)!!!」

 

 

 

超巨大なハンマーは防衛プログラムに直撃して容易くバリアを破壊、粉々にする。

 

「なのは、いけぇ!」

 

ヴィータがなのはに声をかける。

 

「うん! 高町なのはとレイジングハート・エクセリオン! 行きます!」

 

【ロード・カートリッジ】

 

レイハさんから1発、薬莢が排出される。

 

確か、原作では3発か4発は排出されていたのだが。

 

4発もされたら防衛プログラムが消え去る可能性が高い。

 

杖をクルクルと振り回し、構える。

 

「エクセリオン・バスター!!!」

 

【バレル・ショット】

 

防衛プログラムから触手がなのはに向かって飛んでくる。

 

しかし、第一弾目が触手ごとなぎ払って防衛プログラムに直撃。

 

「ブレイク・シュ――――――――ト!!」

 

続け様に桃色の砲撃が防衛プログラムのバリアに当たってバリアを粉々に砕く。

 

「アアアアアアアァァァァァァァァァァァ―――――――――ッ!!!」

 

防衛プログラムの声が周囲に響く。

 

「次、シグナムとフェイトちゃん!」

 

シャマルの声が聞こえる。

 

上空ではシグナムが佇んでいた。

 

「剣の騎士、シグナムが魂。炎の魔剣、レヴァンティン。刃と連結刃に続くもう1つの姿を!」

 

そう言って何故か俺の方に熱のこもった視線を送ってくる。

 

いいから防衛プログラムに集中しろやコラ。

 

【ボーゲンフォルム】

 

鞘をレヴァンティンの束と連結させて弓の形に変形させる。

 

カートリッジロードしてから矢を作り出す。

 

防衛プログラムに狙いを定める。

 

「翔けよ、隼!」

 

烈風の隼(シュツルムファルケン)

 

かけ声と共に矢は放たれ、一直線に防衛プログラムに突き進み、刺さる。

 

爆音が響いて一瞬にしてバリアを破壊、粉々にした。

 

「やったぞ、アレスちゃん! 私の勇姿を見たか!」

 

大喜びで俺の方を見つめるシグナム。

 

ああ、さっきの勇姿は格好良かったよ。

 

だが、今やってる投げキッスとかで全てぶち壊しなんだがね!

 

原作と違って色々とはっちゃけてるシグナムだった。

 

「フェイト・テスタロッサとバルディッシュ・アサルト……行きます!」

 

既に『ザンバーフォーム』で大剣形態になってるフェイトがバルディッシュ卿を振りかざし、一気に振り下ろす。

 

魔力の刃が何発も防衛プログラムに当たる。

 

「打ち抜け、雷神!」

 

【ジェットザンバー】

 

魔力の刃が伸びて防衛プログラムに直撃、左肩部分を切り裂く。

 

「アアアアアアアアアアアァァァァァァ――――――――――――ッ!!!!」

 

叫び声が響いて防衛プログラム周辺に遠距離攻撃を行えそうな触手が生えて魔力弾攻撃を行おうとする。

 

だが……!

 

 

「盾の守護獣、ザフィーラ! 砲撃なんぞ、撃たせん!!!」

 

 

ザフィーラの前にベルカ式魔法陣が現れて防衛プログラムの前に魔力の刃を出現。

それを全てに突き刺して防衛プログラムの砲撃を防ぐ。

 

「次、プレシアさん!」

 

「任せて頂戴!」

 

プレシア女史は杖を振りかざす。

 

 

「その程度のバリアでこの私の魔法を防げると思わない事ね! 撃ち抜きなさい、轟雷! サンダースマッシャー!!」

 

 

一瞬の溜めの後に放たれる直射型の雷。

 

一撃でバリアを粉々にする。

 

さすが、偉大な大魔導師と呼ばれていないと言う事か!

 

「さすが、母さん」

 

フェイトも驚いた顔でプレシア女史を見ていた。

 

「フェイト、貴女も頑張ればこの程度出来るようになるわ。何たって、私の娘ですからね!」

 

プレシア女史は優しい笑みを浮かべてフェイトを見つめていた。

 

「うん!」

 

フェイトは満面の笑みを浮かべていた。

 

「次、はやてちゃん!」

 

「やっと私の出番か! やったるでぇ!」

 

はやては左手の夜天の書を開いている。

 

 

 

「彼方より来たれ、宿り木(やどりぎ)の枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け。石化の槍、ミストルティン!」

 

 

 

はやてのいる反対の方にベルカ式魔法陣が浮かぶ。

 

はやてがシュベルトクロイツをうち下ろす。

 

ベルカ式魔法陣の周囲に現れた6本の槍が防衛プログラムに突き刺さる。

 

全身に刺さった槍は周囲の身体を一気に石化させる。

 

「アァァァァァアァァアアアァァァァァ――――――――ッ!!」

 

叫び声を上げながら防衛プログラムは全身を石化させて砕ける。

 

だが、内部から体組織を再生させて身体を修復させる。

 

形は更に異形な姿になる。

 

 

 

「うわ……」

「これは……」

「ますます……酷い事に……」

「何だか……凄い事に……」

 

 

 

アルフ、ユーノ、ユナ、シャマルが苦虫を潰した様な顔で防衛プログラムを見ている。

 

『やっぱり、並みの攻撃じゃ通じない! ダメージを入れた端から再生されちゃう!』

 

エイミィさんの声が聞こえる。

 

「だが、攻撃自体を無効化されてる訳じゃない!」

 

「アレスの言うとおりだ! 攻撃は通ってる! プラン変更は無しだ!」

 

クロノがデュランダルを持って構える。

 

「行くぞ、デュランダル!」

 

【オッケー、ボス】

 

「悠久なる凍土 凍てつく棺のうちにて 永遠の眠りを与えよ」

 

クロノの周りに氷の結晶が現れ、大地が氷に覆われる。

 

防衛プログラムの身体が凍り始める。

 

「凍てつけ!!!」

 

【エターナルコフィン】

 

そして防衛プログラムの身体が完全に凍ったかに見えたが!

 

「あれでまだ動くのか……!」

 

「エヴァ!」

 

「はい、お兄様!」

 

エヴァは呪文詠唱に入る。

 

 

 

 

 

「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック 契約に従い(ト・シュンボライオン) 我に従え(ディアー・コネートー・モイ・ヘー) 氷の女王(クリュスタリネー・バシレイア)。 来れ(エピゲネーテートー) とこしえのやみ(タイオーニオン・エレボス)! えいえんのひょうが(ハイオーニエ・クリュスタレ)!!!」

 

 

 

 

 

エヴァによる氷結魔法が防衛プログラムに襲いかかる。

 

かつて、鬼神を氷漬けにしたあの魔法である。

 

まあ、あの防衛プログラムがコレくらいで負ける様なヤツではないと思うが。

 

防衛プログラムの周囲が一瞬にして氷に覆われる。

 

「あ、あかん! スクナの再現や! テンションがめっちゃ上がるわ!」

 

「す、凄い……」

 

「氷の変換資質も無いのにあそこまで……」

 

エヴァは俺の方を見る。

 

俺は頷いた。

 

 

 

 

全ての(パーサイス)命ある者に(ゾーサイス)等しき死を(トン・イソン・タナトン)其は(ホス)安らぎ也(アタラクシア)。『おわるせかい(コズミケー・カタストロフェー)』」

 

 

 

 

エヴァは指を鳴らした。

 

鳴らした音が響くと氷漬けになった防衛プログラムは甲高い音を立てて粉々に砕け散る。

 

「あわわわわわ……リアルでこの魔法を見られると思わなかったわ……」

 

感動して涙を流してるはやて。

 

「す、すごいわね……」

 

さすがのプレシア女史も驚いていた。

 

「……さすが、エヴァだな」

 

「えへへ、久しぶりに使いました♪」

 

「しかし、あれでもまだ生きてるんだな……」

 

砕け散った中からまだ再生する防衛プログラム。

 

「さあ、とどめだ! なのは!」

 

「うん! 行くよ、フェイトちゃん、はやてちゃん!」

 

なのははフェイトとはやてとお互いの顔を見て頷いた。

 

【ロード・カートリッジ】

 

レイハさんから4発の薬莢が排出される。

 

ちょっと待て! なのは!

 

 

【スターライトブレイカー】

「全力全壊! スターライト……」

 

 

なのはの前に超巨大な魔力弾が形成される。

 

周りの大気から魔力を収集しているのだ。

 

恐ろしいまでの……魔力が……収束される。

 

もはや、ヤマトが波動砲を撃つ前の様に……レイハさんの前に光が集まっている。

 

……収束が間に合わない!?

 

仕方ない! 俺とフェイト、はやての3人で先に撃つしかないか!

 

「雷光一閃! プラズマザンバァァァァー」

 

フェイトの大剣に雷が落ちる。

 

「ごめんな……おやすみな……響け、終焉の笛 ラグナロク……」

 

はやてのシュベルトクロイツに魔力が溜まる。

 

「見せてやる、『闇の軍神』の力を……な! ダークネス……」

 

俺は両手にありったけの闇の力を凝縮させる。

 

なのはほどの収束は出来ないが、それでも全力の一撃を放つつもりだ。

 

 

 

「ブレイカ――――――――――――ッ!!!」

「ブレイカ――――――――――――ッ!!!」

「ブレイカ――――――――――――ッ!!!」

 

 

 

一斉に放たれる砲撃。

 

今まで数回しか聞いた事も無い程の轟音が周囲に響く。

 

 

「トリプルブレイカーとか意味分から……」

 

 

ん? 何か、聞き覚えの無い声が聞こえた様な?

 

まあ、良いか。

 

防衛プログラムは煙に包まれて見えなくなった。

 

煙が晴れる。

 

……バカな……! あれだけの攻撃を喰らって……まだ再生するだと!?

 

俺は背筋に冷や汗が流れる。

 

予定外だ。あそこまで、タフだとは……もしや!

 

蒐集した『片角のマ王』の耐久力が影響してるのか!?

 

もし、そうなら……、もう1度……撃ち込んだ方が……。

 

 

 

 

「ブレイカ――――――――――――ッ!!!」

 

 

 

 

遅れてなのはがスターライトブレイカーを撃ち込む。

 

桃色の砲撃が再生する防衛プログラムに襲いかかる。

 

 

 

「何で魔王の一撃がぁぁぁぁぁ!?」

 

 

 

またも妙な声が聞こえた。

 

さっきから何なんだろうか?

 

まあ、良いや。今は忙しいし。

 

その時、俺は気付いた。

 

その一撃は……俺とフェイト、はやてと3人で撃った砲撃を更に上回る威力だと言う事に気付いたのだ。

 

1人で……上回るだと……!?

 

轟音が周囲に響く。

 

周囲が薄暗くなる量の土砂が舞い上がる。

 

星を貫通したんじゃないかと疑いたくなる威力だった。

 

「な、なのは……」

 

「なのはちゃん……」

 

フェイトとはやては驚愕の表情でなのはを見る。

 

「にゃはは、思わず4発カートリッジロードしちゃった♪」

 

確信犯と言うヤツだった。

 

6発したらもう俺は防げないかもしれない。

 

背中に冷や汗が流れる。

 

周囲の視界が見えなくなった。

 

 

 

「本体コア……見えない」

 

 

 

シャマルの声が聞こえる。

 

「へ?」

 

「コアが消えちゃったの」

 

泣きそうな声になるシャマル。

 

 

 

 

『……』

 

 

 

 

 

 

その場にいた全員、沈黙していた。

 

『……コア消滅したみたい』

 

エイミィさんの声が聞こえる。

 

マジか!?

 

なのはの砲撃で……消し去ったのか!?

 

俺は背筋に冷たいモノを感じた。

 

なのははアルカンシェルと同等の砲撃を放てると言う事なのか……!

 

「にゃはは……消えちゃった……ね」

 

恥ずかしそうに頬をポリポリとかくなのは。

 

「まあ、消せたのは良いんだが……」

 

「アレを消し去る砲撃ねぇ……」

 

クロノとプレシア女史も苦笑いしていた。

 

「なのは、オメーは今後あの砲撃は禁止な」

 

「にゃ!?」

 

「うむ、アレは非殺傷と言っても精神的に殺されるのと大差無いからな」

 

ヴィータとシグナムにダメ出しされるなのは。

 

「え~? 今回は殺傷設定にしたけど模擬戦の時はきちんと非殺傷にしとくよ~?」

 

「当たり前だ! 殺傷設定になんぞされた日にはあたし達は骨も残らないわ!」

 

「確かに、アレは勘弁やな~」

 

「……」

 

無言で身体をガタガタ震わせてるフェイト。

 

いつぞやの砲撃連射がトラウマになってるようだ。

 

 

「……」

「……」

 

 

お互い、身体を寄せ合ってガタガタ震えてるユーノとユナ。

 

そう言えば、この両人もスターライトブレイカー見てたんだっけ。

 

まあ、今回のは前回の比じゃない威力だがな!

 

「……けど、オメーなら耐えられそうな気がするんだけどな?」

 

ヴィータが俺の顔を見ながら呟く。

 

「いやいやいや、流石にアレは直撃したら俺でも消え去るぞ?」

 

俺は前で手を振って否定する。

 

 

「……」

「……」

「……」

 

 

 

なのは、フェイト、はやては俺の顔を見ている。

 

「ど、どうした?」

 

「ヴィータちゃんの言うとおり、何か……アレス君なら直撃でも何とかなりそうなの」

 

「そうだね……」

 

「……確かに、なんだかんだ言って無傷で済ませそうな気が」

 

「……君達、俺を何だと思ってるんだ?」

 

まるで髪の毛1本残っていてもそこから再生出来そうに思ってるんじゃ無かろうな?

 

「さすがにお兄様でもあの直撃はしのげませんわよ? 前世なら大丈夫でしたけど……」

 

「前世なら大丈夫なのね」

 

目を丸くするフェイト。

 

「ええ。身体の半身を吹っ飛ばされても再生出来ましたし」

 

「……まあ、そうやろ……な」

 

「……けど、なんかその能力も引き継がれてそうで恐いんだよな~オメーの場合」

 

「引き継がれるわけねぇだろ……ゲームじゃあるまいし」

 

俺は苦笑するしか無かった。

 

『と言う訳で、現場のみんな……お疲れ様でした!』

 

何がと言う訳かよく分からんが、無事に防衛プログラムを消滅出来た。

 

『除去、無事に終了しました! この後、残骸の回収とかがあるけどみんなはアースラに戻って一休みしていってね』

 

なのは、フェイト、はやては仲良くハイタッチしていた。

 

「お疲れ様、アレスちゃん」

 

プレシア女史が近づいてくる。

 

「ああ、やっと終わった」

 

「そうね……。久しぶりに全力魔法が撃てたからスッキリしたわ」

 

「そうか……」

 

 

「アレスちゃん」

「アレスちゃん」

 

 

シグナムとシャマルが近寄ってくる。

 

何となくだが、妙な予感を。

 

「私の活躍はどうだった?」

 

頬を赤くしたシグナムが俺の頭を撫でてくる。

 

「せっかく、私の格好いい所見せたかったのに……」

 

同じ様なシャマルも俺の頭を撫でてくる。

 

「ははは、高町には感謝しないとな」

 

「……どういう意味かしら? シグナム?」

 

「決まってるだろ? シャマルの活躍は無しで私の活躍を可愛いアレスちゃんに見せる事が出来たのだからな♪」

 

「シグナム?」

 

シャマルは目を細めている。

 

「安心しろ、私が堪能した後にシャマルにも情けを与えてやろう」

 

胸を張ってドヤ顔を見せるシグナム。

 

 

 

「主を差し置いて、活躍とか……許さんで」

「アレス君の気を引くなんて許さないの……」

「シグナム……流石にそれは許容出来ないよ?」

 

 

 

目の光がおかしく見えるなのは、フェイト、はやて。

 

俺は少しずつ、シグナムから距離を離す。

 

「あ、主はやて? テスタロッサ? 高町?」

 

冷や汗を流すシグナム。

 

 

 

「O☆HA☆NA☆SHIなの♪」

「O☆HA☆NA☆SHIやな♪」

「O☆HA☆NA☆SHIだね♪」

 

 

 

笑顔だが、笑顔に見えないなのは、フェイト、はやて。

 

俺は視線を外す事にした。

 

シグナムの叫び声が遠ざかっていった。

 

「シグナム、貴女の亡き後はきちんとアレスちゃんを可愛がるからね♪」

 

シャマルの嬉しそうな声が聞こえる。

 

「なあ、烈火の将と湖の騎士があんなので良いのか?」

 

俺はヴィータに話しかける。

 

 

 

「……もう諦めた」

「……右に同じ」

 

 

 

ため息をつくヴィータとザフィーラ。

 

ああ、医者が匙を投げたみたいなもんか。

 

月の頭脳と呼ばれた薬師が月に向かって全力で匙を投げる様な感じで。

 

2人の雰囲気がそう語っていた。

 

 

「はやて!」

「はやてちゃん!?」

 

 

なのはとフェイトの声が聞こえた。

 

俺は声の方を見ると、気を失っているはやての姿があった。

 

そう言えば、はやては魔法を使って間もないから……魔力切れを起こしたのだろう。

 

「はやてをアースラに運ぶぞ!」

 

「ああ!」

 

俺達はアースラに転移した。

 

 

 




 
1人で消滅とかどんだけの威力なんだかw

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