魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ- 作:八坂 連也
搭載したからにはやはり試運転は大事です
レイジングハート、セットアップ!」
「バルディッシュ、セットアップ!」
なのはとフェイトの声が響く。
「え……コレって?」
「違う……?」
戸惑う2人。
『2人とも聞いて! その子達には新しいシステムを搭載したの! だから、新しい名前で呼んで!』
エイミィさんの声が聞こえる。
「うん!」
「うん!」
2人はお互いの顔を見て、頷いた。
「レイジングハート・エクセリオン!」
「バルディッシュ・アサルト!」
一呼吸置いてから2人は言った。
「セーットアップ!」
「セーットアップ!」
そして2人はバリアジャケットを身に纏う。
さて、今は管理局も知らないとある世界に来ている。
まあ、某モンハンのモンスターがいるあの世界である。
荒野で生き物がほとんど居ない場所で俺となのは、フェイトは模擬戦を行う事になった。
理由は、先日組み上がったレイハさんとバルディッシュ卿のテストの為だ。
レイハさんには『ベルカ式カートリッジシステムCVK792-A』を組み込み、バルディッシュ卿には『ベルカ式カートリッジシステムCVK792-R』を組み込んだのだ。
これが逆になってたらどうなっていたが冷や汗を流す所だったが、無事にオリジナルと同じ形態になった。一安心、一安心。
【|Master, please call me “Cartridge Load.”《マスター、『カートリッジロード』を命じてください》】
レイハさんがなのはに指示する。
「うん。レイジングハート、お願い!『カートリッジ・ロード!』」
【ロード・カートリッジ!】
レイハさんから1発、弾丸の薬莢の様な物が排出される。
「バルディッシュ、お願い!『カートリッジ・ロード!』」
【ロード・カートリッジ】
フェイトのバルディッシュ卿からもリボルバー部分から薬莢が排出される。
2人の魔力が跳ね上がった。
今までの倍近くの魔力になったんじゃないか?
『おーかっこええな~』
はやての声が響く。
ちなみに、この世界にアースラを待機させてはやて、アリサ、すずか、アリシア、プレシア女史、リニス、ヴォルケンリッター、アースラ班達が乗り込んで今回の模擬戦を見学している。
【マスター、アクセルシューターを撃って下さい!】
「うん、アクセルシューター!」
なのはの周囲に桃色の球が現れる。
その数、300個近く。
OK、ちょっと待とうか。
何でそんな巫山戯た数の球を出せるのか、俺に説明してくれや。
「わ、なのは凄い……」
フェイトも驚いていた。
ちなみにフェイトの鎌も大概大きくなっているんですが、これはまだ許容範囲内だ。
「にゃ!凄い数だけど……アレス君なら大丈夫!」
なのはさんや。勝手な言いぐさは止めて貰おうか。
まあ、確かに大丈夫なんだがね!
「コレは想定外! だから俺もやらせてもらうぜ! エヴァ、頼む!」
【
レーヴァテイン(杖)モードのエヴァから同じように薬莢が1発、排莢される。
「あー! ずるいー! 今日はカートリッジロードしない約束だったのにー!」
「アレス! 嘘吐きだー!」
不平不満を言うなのはとフェイト。
「話が違うのはこっちだ! 何だそのアクセルシューターの数は! いつもの3倍から増えてるじゃないか!」
「アレス君なら大丈夫なの! 今日こそは勝たせて貰うの!」
「今日こそ初勝利!」
なのはのアクセルシューターが一斉に襲いかかってきた。
「さすがにこの弾の量は! おかしいだろぉ!」
――――アースラ艦内
「ねぇ、リンディさん?」
「どうされました? プレシアさん?」
「なのはにはカートリッジシステムは必要無かったのではないかしら?」
「……その意見には同意せざるを得ないわね」
2人の目に映るなのはのアクセルシューター。
300個近くと、もはや普通の魔導師では対処出来ない数だ。
なのはちゃん1人で中隊位なら大損害を与えられそうだ……とリンディは思っていた。
「いや、アレは……おかしいだろ?」
「うん、アレは……色々と……おかしいよね?」
クロノとエイミィは呆然となのはのアクセルシューターを眺めていた。
「アレだ、なのはだけ模擬戦の時はカートリッジロードは禁止だな」
「うむ、ベルカの騎士は1対1に負けは無いと言いたいが……」
「アレはどう見ても30対1の戦いに見えるわね」
「……防ぎ切れるか……いや、アレは無理だな」
ヴォルケンリッターの方々は冷静を保ってる様に見えるが、4人とも頬に一筋冷や汗が流れていた。
「なのは……」
「なのはちゃん……」
「アレかな? 人間止めたんやろか? 『俺は人間をやめるぞ!! ジョジョ――――!!!』みたいに?」
「なのはちゃん、石仮面なんか持って無かったよ?」
「でも、なのはの所の士郎さんや恭也さんと美由希さんは人外じみて来てるわよ?」
「実は『柱の一族』の亜種ちゃうか? 身体能力が明らかにおかしくなってきとるし」
「はやてちゃん……それ言うと違和感が無くなるから」
なのはの友人達はろくでも無い事を言っていた。
「むぅ……何かはやてちゃんとO☆HA☆NA☆SHIしたくなったの!」
なのはは突然止まってからアースラが泊まってるであろう空を眺めてから何か呟いていた。
『あかんって! そんな物騒なお話はしとうないで!』
タヌキ嬢の声が聞こえてきたが、俺はスルーする事にした。
「まあ、良いか」
俺はなのはをほっといてからフェイトと向き合っていた。
フェイトの攻撃は苛烈を極めていた。
速度を上げての高速攻撃。
もはや9歳の攻撃では無いと思う。
「くっ! 段々速度が上がってくる!」
「はぁぁぁぁっ!」
真上からフェイトが斬りかかってくる。
「何の!」
俺はそれを身体を少しずらしてからかわす。
「はぁ、はぁ……」
息切れを起こしてるフェイト。
俺は例によって第1チャクラを回しているから体力は切れていない。
「にゃー! こうなったら、もう1発なの! カートリッジロードなの!」
【ロード・カートリッジ!】
業を煮やしたなのはがもう1発カートリッジロード……ってちょっと待て!
今の巫山戯た状態で更にカートリッジロードなんかしたら……!
なのはがもう1発カートリッジロードした瞬間、信じられない魔力がなのはから溢れてきた。
そして、なのはの双眸は真紅に輝きだした。
蒼い正八面体のコアが変形して……砂時計の様な風貌に……!
アレは、劇場版ヱヴァのラミエル……!
もしかして、進化……したのか?
俺は背筋に冷たい物が走った。
〈お、お兄様!〉
〈ちっ! このままだとなのはの身体が保たない! もしもの時は『
『
神気とは呼んで字のごとく神が扱う力であり、人の身である状態で使えば寿命を縮めてしまう諸刃の剣なのだ。
前世の時は寿命があって無い様なモノだったから多用出来たが、今世では余り使いたくないのだ。
〈分かりました、仕方……ありませんね〉
その時、なのはから飛んでくるのは、もはや光線に近い魔力弾だった。
速度が今までの比で無い。
「ちぃ! フェイト! 離れろ! 巻き添えを喰らうぞ!」
俺はフェイトから離れる。
その瞬間、信じられない数の弾が俺に向かってくる。
隙間無く襲ってくる魔力弾……もはや、弾幕射撃だ。
「エヴァ、『精神甲冑』を!」
【
「まだ使いたく無かったがな……! 『
俺は纏っている騎士甲冑を消して自身の気で作り上げた漆黒の鎧を身に纏う。
デザインは、『フィールド・アーマー』と呼ばれる種類で所謂全身鎧みたいな感じである。
分からない人は、某運命の四次聖杯戦争の狂戦士が着ていた感じの全身鎧を思い浮かべれば分かるだろう。
防御に特化しているから素早さが落ちるが、360度からの攻撃ならもはや防ぐしかない。
兜がちょっと厳つい感じだから滅多に使わないんだが、怪我を負うよりはマシだ。
全く、なのはがここまで成長するなんと思わなかったぜ。
そんな事を思っていると、全身に凄まじい衝撃が走った。
「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」
10人以上から袋叩きにされてる様な感じだった。
絶え間なく続く攻撃にさすがの俺でもしびれるモノを感じた。
〈お、お兄様……! だ、大丈夫ですか!?〉
〈だ、大丈夫だ! だが、さすがにコレはキツい!〉
エヴァの心配する念話を聞きながら俺は攻撃を耐え続けた。
30秒近くの攻撃は止んだ。
爆風に覆われていて周囲は一切見えなかった。
「や、やっと……止んだ……」
俺は小声で呟くと風が吹いて煙が晴れてくる。
前を見ると、顔を真っ青にしているなのはとフェイトの姿が見えた。
「ア、アレス……?」
「アレス……君?」
呆然とした感じのなのはとフェイト。
「ん? どうした?」
「だ、だって……顔見えないから……」
ああ、そう言えば全身鎧で覆われてるからな。
ピシッ
「ん?」
何かにヒビが入った様な音が?
パキパキ
陶器が砕けるような音が聞こえたかと思うと俺の全身鎧が粉々に砕け散る。
「ありゃ」
いつもの黒系統でまとめた私服に戻る。
と言うか、俺のこの闇の鎧を砕くとは……なのは、恐ろしい娘!
「ホントにアレス君なの」
「良かった~」
なのはとフェイトの2人は安堵のため息をついていた。
「アレスちゃんの身に何かあったらどうするのかしら!?」
「アレスちゃんを殺す気だったのかしら!?」
「ごめんなさ~い!」
なのははリンディさんとプレシア女史にたっぷりと叱られていた。
まあ、自業自得ではあるから放っておくことにした。
「アレスちゃん、痛いところは無いかしら?」
「痛いところがあればすぐ言うんだぞ?」
シグナムとシャマルが俺の両側に座って心配そうな表情を浮かべていた。
どさくさに紛れて身体をまさぐるのはどうかと思うんだが。
「あ、あんた……あれだけの攻撃を喰らって……む、無傷……とか……」
「やっぱりオメー、今世も人間じゃねぇだろ?」
アリサとヴィータが冷や汗を流している。
「一応、痛かったんだぞ?」
「けど、傷自体は負って無いみたいやけど?」
「そりゃあ、切り札使ったからな」
「切り札?」
不思議そうな表情を浮かべて聞いてくるすずか。
「あの全身鎧。防御に特化してるから滅多な事じゃ怪我は負わないんだ」
「お~、西洋風のあの鎧か~。確かに頑丈そうやったな~」
「まあ、実際にはあれでないとなのはのあの攻撃は防げないと判断したんだがな」
俺はリンディさんとプレシア女史に絞られているなのはを見る。
「あ~……確かに……アレは……」
「……確かに、普通の人なら走馬燈とか見そう」
「……なのはは今後はカートリッジロードは禁止だね」
「うん、フェイトの言うとおり禁止だね」
はやて、すずか、フェイト、アリシアは叱られているなのはを見ながら呟いた。
「で? またアンタの秘密が1つ明かされたみたいなんだけど?」
アリサが口元をヒクヒクと釣り上げながら俺の前に腕を組んで立っていた。
「……何の話だ?」
「アンタのあのごっつい鎧姿よ! あんな芸当が出来るなんて聞いてないわよ!?」
アリサの台詞で『そう言えば、気を収束・具現化出来ると言った記憶が無いな…』と思い出していた。
「……良くある話だ」
俺はそう言ってテーブルにある紅茶を一口飲んだ。
「やっぱり、ここは今後の為に尋問する必要があるなぁ?」
「そうだね……次から次に隠し技が出てくるから……」
「お兄ちゃんの隠し事は……」
「ここで全て明かして貰おうか?」
アリサ・はやて・フェイト・アリシア・すずかの目が据わりだした。
「気を収束・具現化してるだけだ。こうやってな」
俺は両手に闇の剣を作り出した。
「わっ! 黒いラ○トセイバーや!」
「なるほど、気を使ってた訳ね」
「けど、アレス君何でも器用にこなすね」
すずかの台詞で俺は心の中で『まあ、考えてみたら何でもそつなくこなすよな』と思っていた。
「そうやね。東方系の言い方やと『ありとあらゆる事をそつなくこなす程度の能力』やな!」
便利の様な不便の様な……何とも言い難い感じの能力だな。
「なのはちゃんは暫くはカートリッジロードは禁止です!」
「そんな~」
「当たり前でしょ。まだ身体が出来てないからあんな強大な魔力、身体が保たないわ」
プレシア女史の言い分は最もである。
カートリッジロード2発分のあの増幅魔力は……前世の前世で戦った魔王の腹心級だったぞ。
あれで原作みたいに5発近くカートリッジロードしたら
……その前に、身体がどうなるか非常に恐いんだが。
「分かりました……」
しょんぼりとしょげてるなのは。
「まあ、今回は俺の負けだ。切り札の『
「え?」
「想定外だったよ。なのはがあそこまで強くなってるなんてな」
「えへへ……」
頬を赤くするなのは。
【マスター、良かったですね。100連敗を迎える前に勝つ事が出来たのですから】
何気に傷に塩を擦り込む様な事を言ってるレイハさん。
ちなみに、今回負けていたら記念すべき100連敗を迎えていたのだが。
さあ、これで準備は万端だ。
最終決戦に向けてレッツゴーだ!
決戦前夜。
ページは665まで集まって僅か1ページで夜天の書は完成する所まで来た。
今夜ははやての要望で2人っきりで夜を過ごす事となる。
と言っても、俺が今いるのは八神家のはやての部屋で他の部屋にはヴォルケンリッターの4人はきちんといる。
……シグナムとシャマルが聞き耳を立ててないか少し心配ではあるが。
「いよいよ明日……やな」
「……ああ、明日……だな」
俺とはやてはベッドに一緒に入っていた。
はやては俺の左腕にしがみつく様に抱きついている。
枕元にはエヴァとリインフォースが本の状態で待機している。
そうそう俺も気付かなかったが、リインフォースは完全起動していないから外の様子は全く分からないのだ。
魔力の波長と音声のみ認識出来る状態との事。
エヴァは完全起動しているから外の様子はしっかりと認識出来るとの事。
つまり、リインフォースは視覚とか全く効かない状態だ。
ちなみに、俺とエヴァは魔力の波長がほとんど同じらしい。
リインフォース曰く、『ここまで同じだった人は見た事が無いです』との事。
「いよいよリインフォースの姿を拝めるわけやな」
【そうですね。私もマスターはやての姿とアレスの姿、それに久しぶりに姉上の姿を見てみたいです】
「そうやね、エヴァちゃんの姿……姿?」
はやては頭を上げて俺の顔を覗き込む。
「アレス君……ちぃーっと聞きたい事あるねんけど?」
「何だ?」
「ひょっとして、エヴァちゃん実体化出来るん?」
「zzz……」
俺は目を瞑っていびきをかいて寝たふり。
「……」
何やらはやては動く。気配で何となく分かる。
「zzz……ムッ!?」
鼻をつままれ、口に柔らかい感触が走る。
それから口に何か柔らかくて暖かいモノが入ってくる。
驚いて目を開けると眼前にははやての顔。
「んんっ」
しばし、はやての舌が俺の口の中を蹂躙する。
そしてはやてが離れる。
「……寝たふりなんかする悪い子にお仕置きや」
頬を赤くするはやて。つーか、その妙技はどこで覚えてくるんだ!
「……エヴァも実体化出来るぞ」
「……ネギま!のあの姿?」
俺は頷く。
「うわぁ……。けど、実際に見てみたい思うとったんや♪」
「そうか」
「今すぐ実体化出来るん?」
「……明日の決戦にお披露目したいんだ。良いだろ?」
「了解や。1つ楽しみが増えたわ」
ウキウキ声で話すはやて。
「ところで、だ。さっきのキスは……何処で覚えた?」
「ん? さっきのか? すずかちゃんの家にあった本や。すずかちゃんが忍さんに頼んで買って貰った本に載ってたんや」
ちょっと待とうか。忍さん、あんた妹に何を買って与えてるんですか!
「……ツッコミ所が満載で非常に困るんだが」
「ちなみにお気に入りは長身のお姉ちゃんが小学生位の男の子を襲うシチュエーションやな!」
「今度すずかの家に行ったらその本は灰燼に帰してやる」
このタヌキ娘は踏み込んではならない領域に踏み込んだ可能性が非常に高い。
引き戻す事は出来るのだろうか?
「そんな殺生や! そもそも、アレス君がさっさと私達を襲ってくれへんからあんな本に頼る事になるんや!」
意味が分からない逆ギレ。
「意味分からんわ!」
『やはり性教育は早すぎた』とちょっと後悔しながら俺とはやてはベッドで会話を繰り広げるのであった。