魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ- 作:八坂 連也
転生者の事は忘れてませんよ?
初の蒐集から1週間流れました。
日によってページ数は違ったが、何とか80ページまで集まりました。
確か、400ページで管制人格を起動出来るから。
この調子で行けば1ヶ月半でイケると思う。
まあ、時に5ページしか集まらなかった日もあるからちょっと延びる可能性もあるが、それでも12月末まではかからないだろう。
ちなみにメンツは5人1組くらいに分かれて蒐集している。
日によってまちまちだが、そう大した事態は起きていないから大丈夫だろう。
それに、あの世界はまだ管理局も発見していないみたいだし。
さて、話は変わるが。
今日は学校に新任教師がやって来るのだ。
まあ、単に1人産休で休むから臨時と言う形で来ると言う話らしいが。
別に何にも怪しい所は無い。
前世の前世でもよくあった話だしな。
情報は隠していても漏洩は免れないと言うことで。
なのはと来てみたら教室はその新任教師の話で盛り上がっていた。
聞くと、男性教師で若いみたいだ。
容姿はかなりかっこいいとの事。
まあ、俺にとってはどうでも良い話でもある。
すると今日は俺達より早めに来ていたアリサとすずかがやって来た。
「おはよう、なのは」
「おはよー、なのはちゃん」
「おはよ、アリサちゃん、すずかちゃん」
なのはに挨拶したあと、机に突っ伏していた俺の方を向いた。
「アレス君、おはよう」
「アレス、おはよう」
「ああ、おはよう。アリサ、すずか」
「ねえ、アンタも今日来る先生の話聞いた?」
「ん? ああ。他の人の会話を聞いて一応は」
「ふぅん」
「どうした? 気になるのか?」
「べ、別に」
アリサが何を言いたいのかよく分からないが。
「何でも、凄くかっこいい男の人らしいよ?」
すずかがアリサの隣に来てそう言った。
「へぇ。そう言えば、女子の様子が少し嬉しそうと言うか、ウキウキしてると言った雰囲気だな」
笑顔で会話する女子達を眺める。
男子は何か別にどうでも良さそうな雰囲気だった。
「私はアレス君一筋だからね♪」
朝から暴走するなのは。
周りの男子は目を光らせて俺の方を見る。
だが、俺にはそんなもん効かぬ!
「あ、ずるい。私もアレス君の方が良いのに」
すずかも頭が暴走してる様だ。
俺はアリサの顔を見た。
「べ、別にアンタの事なんか好きじゃないんだからね? アンタの事……一生をかけていじめてやるんだから!」
真っ赤な顔と言ってる事がおかしいのだが、アリサ。
「……そうか」
俺はそう返すしかなかった。
ちなみに周りの男子から「呪呪呪呪呪呪呪……」とか「嫉妬で人を殺せるなら……」とか「爆発しろ……」とか聞こえてきたが。
残念だったな、俺に呪殺は効かぬ。
精神、呪殺、破魔は無効だからな。
やるなら万能属性が有効だぞ? メギ○ラオンとか至○の魔弾とかな。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り響いたのでなのは達は席に戻った。
全校集会が開かれて、今日から来る新任教師の紹介が始まるのだが。
俺は校長の挨拶の後に現れた新任教師の顔を見て愕然とするしかなかった。
〈なあ、エヴァ?〉
〈お兄様の言いたいことは分かります……〉
〈そうか。俺の目がおかしくなった訳じゃないんだな?〉
〈大丈夫です。私の目にも多分、お兄様と同じ容姿で映ってますから〉
〈そうか。アレ……どう思う?〉
〈十中八九、転生者かと〉
〈だよなぁ……〉
壇上の上でやたらと爽やかそうな雰囲気を振りまいて話すイケメン教師を見ながら俺はため息をついた。
その容姿はFFⅦのセフィロスが背広を着た様にしか見えなかったから。
名前は『
もうね、容姿が日本人離れして日本名とか……。
『おまいはアホか』と言いたいね。
もっとも、俺の名前も日本名じゃないから人のことは全く言えないのだが。
〈ねぇ……アレス君〉
突然のなのはからの念話。
〈どうした?〉
〈あの先生…私の方をチラチラ見てるの〉
…確定だな。
〈気のせいじゃなしに?〉
〈ううん。あと、アリサちゃんとすずかちゃんも見てるの〉
やはり、なのはも人外魔境の高町家の娘なんだな。
普通の人では分からないと思うのだが。
〈そうか。まあ、何かあったら俺が守ってやるからな〉
〈うん♪〉
そのあと、イケメン新任教師の様子を眺めながら全校集会は終わるのであった。
何事も無く授業は進んで昼になった。
俺達のクラスはあの教育実習生の時間はまだ無く、顔合わせはしていない。
どんな能力持ちなのか分からないが、昼間の学校で何か起こす程の馬鹿でもあるまい。
俺はいつもの様になのは達と一緒に弁当を食べる。
「なぁんか、あの先生……きな臭いのよねぇ」
アリサはサンドイッチを囓りながら呟いた。
「うん。何でなのか分からないけど、私も何かイヤな雰囲気と言うか、予感と言うか、そう言うのを感じたの」
すずかもミートボールを口に頬張りつつも呟く。
ふむ、乙女の勘と言うのかな? アリサとすずかの2人は良い印象を持ってはいないようだ。
「う~、私も……今朝の朝礼の時にあの先生から何か視線を感じたの」
そう言ってなのはは唐揚げを口に入れる。
「ますますきな臭いわね……いつぞやあたし達をさらった誘拐犯みたいなヤツじゃないの?」
俺の頭に浮かぶのはアリサ、すずか、はやての3人をさらったあの事件。
確か、あの時はアリサが強姦されかけたのを間一髪で俺が救ったのだ。
……あの時にアリサ、すずかのフラグが立ったのかもしれないな。
「まあまあ、それだけであの誘拐犯みたいなヤツと決めつけるのは早計かも知れないぞ?」
俺はおかずのミニハンバーグを一口囓る。
ぬぅ、冷凍じゃなくてエヴァお手製のハンバーグだったか。
エヴァの手は小さいからミニハンバーグとか楽に作るんだよな。
「何よ。あの先生の肩を持つの?」
「いや、持つ気は一切無いが」
「だよね。もし、私達を裏切るとか言ったら……」
「言ったら?」
俺は生唾をゴクリを飲む。
「アレス君に心と身体を陵辱されたと周りの人に言うから」
そんなのが先生の耳に入ったらどんな事になるか!
想像するだけで恐ろしい。
「HAHAHA、裏切る訳無いじゃないか。なのはもアリサもすずかも大事な友人だからな」
「友人……?」
「ゆう……じん……?」
「友人……ですって?」
なのは達の表情が少しずつ変わっていった。
片目を吊り上げ、眉間に僅かな皺が寄ってる。
「……待て。友人じゃないのか?」
「あははは、何を言ってるのかな? アレス君?」
とアリサ。口調が若干変わってるんだが?
「もう私達はアレス君と将来を誓い合ったんだよ?」
とすずか。背後に見える闇のオーラは俺の目の錯覚だよな?
「アレス君、少し頭を冷やそうか……?」
待て、なのは。その台詞は10年後のハズだろう。今言っても良い物じゃないぞ?
「ゑ……? 友人がダメなら……恋人……なのか?」
「当然!」
「当然よ!」
「当然に決まってるじゃない!」
3人とも即答だった。
まだ、告白とかもしてないんだが、良いのか?
俺は心の中で首を傾げていた。
「やあ」
そこに現れたのは今朝赴任したばかりの伊集院先生だった。
さっきから俺達の方に向かって歩いてくる存在が居るな……と思っていたが。
爽やかそうな笑みで俺達の方を見ている。
なんだろう、胡散臭そうな雰囲気も見えるのだが。
俺の気のせいと思いたい。
「あ、伊集院先生」
「おや? 僕の名前を覚えていてくれたのかな?」
「ええ、一応は」
なのは達の対応は実によそよそしく見える。
「ところで……何か用ですか?」
「いや、屋上に出たらたまたま君達の姿を見てね」
「そうですか」
「……」
伊集院先生は俺の方を少し見てからなのは達の方を見る。
「ふむ。この子は……?」
「なのはの幼馴染みの藤之宮アレス君ですけど?」
「なるほど……なるほど……」
先生は俺の顔を見てから全身をジロジロと眺める。
「アレス君が何か?」
「いや、特には。悪かったね、食事の邪魔をして」
そう言うと伊集院先生は立ち去っていった。
「変なの」
なのはは小さく呟いた。
多分、俺の存在を確認しに来たのだろう。
どんな能力持ちなのか。
ひょっとしたら、今までのヤツより狡猾かもしれない。
注意した方が良いかも知れない。
「外見は良いかも知れないけど、ちょっと変わった先生ね」
「そうだね」
アリサとすずかの評価は高くなさそうだ。
昼休みが終わって午後の授業が始まる。
午後一番の授業は英語だった。
ちなみにこの学園では小学生時に既に英語を組み込んでいるのだ。
と言ってもまだ基礎の段階なのだが。
もっとも、前世で英語を喋ることが出来る様になった俺には簡単の一言に尽きるのだが。
クラス全員、俺が英語を喋る事が出来るのは知っている。
アリサもハーフなのか、喋る事が出来る。
すずかは喋る事は出来ないが、聞き取ることは出来る。
なのはは以前、ミッドの書類を見て頭から煙を出していたから英語は壊滅状態だ。
チャイムが鳴って5分経ってから先生が登場した。
あれ? 一緒に伊集院先生が来るって事は英語担当なのか?
どんなもんかお手並み拝見しようかな。
『やあ、初めまして。新任の伊集院先生だよ』
コレは……。
いきなり日本語でない言葉で喋る伊集院先生。
「アレス……」
後ろからアリサが喋りかけてくる。
そうそう、俺の右隣はなのは、左隣がすずか、後ろがアリサなのだ。
「どうした?」
「あの先生、何語を喋ってるの? 英語……じゃないわよね?」
さすがのアリサも戸惑いを見せている。
担当の先生が止めないところを見ると、他のクラスでも同じ事をやっているのだろうか?
それにしてはちょっと意地悪なパフォーマンスではある。
ちょっと強めのアクセントのあの言語。
普通なら誰も分からないだろうな。
『ふむ、やはりこのクラスでも分からないかな?』
ゆっくりと喋って分かりやすくしてるようだが、英語とはちょっと違うからなぁ。
もっとも、俺は何を喋ってるのかは分かる。
〈ちょっと意地悪なパフォーマンスですわね〉
〈ああ、かなりな。英語もろくに喋ることが出来ないのに、アレは無いだろう〉
エヴァもツッコミを入れてくる。
右隣を見るとなのはは頭から煙を出していた。
左隣を見ると、「???」と困惑した表情で伊集院先生の言葉を聞いているすずか。
『ははは、ちょっと意地悪だったかな?』
爽やかな笑みを浮かべる伊集院先生。
仕方ない、俺がちょっとやってやるか。
『いえ、分かりますよ? 伊集院先生?』
俺は伊集院先生に問いかける。
周りのクラスメイトは驚いた表情で俺の方を見る。
『ほぅ? 君は分かるのかね?』
『はい。しかし、ちょっと意地悪じゃないですかね? 英語の時間なのに、【ドイツ語】で喋るなんて』
そう、伊集院先生が最初に喋ったのはドイツ語なのだ。
英語より強めのアクセントだから初めて聞く人は困惑するだろう。
アリサとすずかも英語は耳にする機会はあってもドイツ語はあまり無いんだろう。
「アレス……あんた、分かるの?」
「ああ。先生が喋ってたのはドイツ語だよ」
「ドイツ語ぉ!? そりゃダメだ……。滅多に聞かないから忘れてたわ」
「うう……アレス君凄いの……」
机に突っ伏しているなのは。
「ははは、これは参った。まさか、ドイツ語を喋る事が出来る子がいるなんて」
今度は日本語で喋る伊集院先生。
周りからは『すげー』とか『どうなってんだ?』とか色々と騒がしくなっていた。
「改めて紹介するよ。英語担当の伊集院蓮。短い期間になるがよろしくお願いするよ」
そう言って一礼する伊集院先生。
「伊集院先生は英語、ドイツ語の他にイタリア語とフランス語も喋れるんですよ?」
後ろから担当の先生が話しかける。
ほぅ、イタリアとフランスか。
ちょっと試してみるか。
(伊)『先生、本当にイタリア語を話せるんですか?』
俺はイタリア語で話しかける。
周りがまたざわめいた。
(伊)『君は凄いな。そんな流暢にイタリア語が喋れるなんて』
伊集院先生もイタリア語で返してきた。
(仏)『いえいえ、努力すればどうとでもなりますよ』
俺がフランス語で返すとまた驚いた顔になる伊集院先生。
(仏)『本当かね? しかもフランス語まで喋るとは、驚くしかないよ』
先生は同じようにフランス語で返してくる。
どうやら本当にどちらも喋ることが出来るみたいだ。
周りは呆然とした顔をしていた。
後ろの担当の先生を見ても同じようにビックリした表情を浮かべていた。
〈まあ、1000年あれば喋れる様になりますもんね〉
〈まあな。普通の人だと相当苦労しないといけないが〉
〈ですわねぇ~〉
ちなみにエヴァも大半の言語を喋ることが出来る。
要は時間とやる気さえあれば大抵の事は何とかなるものである。
「失礼しました。どうやら本当でしたね」
「いやいや、こちらも驚いたよ……。まさか、イタリア語とフランス語を喋れるなんてね」
そんなこんなで時間は流れていった。
(英)『アンタ、実は他の言葉も喋れるんじゃないの?』
後ろからアリサが問い訪ねてくる。
しかも、英語だ。
(英)『さあ? 日本語、英語、ドイツ語、フランス語で打ち止めかもよ?』
(英)『嘘仰い! アンタの事だから中国語とかロシア語辺り喋ってもおかしくないわ!』
さすがアリサ、俺の事が分かってるみたいだ。
ぶっちゃけ言うと両方とも喋る事は可能である。
(英)『さあ? それはアリサの想像に任せるよ』
(英)『吐け! あたしに隠し事なんて許されると思ってるの!?』
段々ヒートアップするアリサ。今は授業中なんだが。
「おやおや、バニングスさん。どうしたのかな?」
アリサの隣に立つのは伊集院先生。
「いえ、な、何でもありません」
「レディがそんなに熱くなるものではありませんよ?」
そう言ってアリサの頭を撫でる伊集院先生。
……?
何だ? 伊集院先生の口元が……僅かに歪んだ?
周りの女子を見ると……。
何だ? 羨ましそうな表情で見ている?
何故だ……? たかが頭を撫でるだけなのに。
……。
もしや、二次小説によくある『ナデポ』的な事を狙ってるんじゃあるまいな?
妙に気になる。
帰ってから久しぶりに天界に聞いてみるか。
「……あの? 先生?」
「ん? どうしたのかね?」
「あんまり……頭を撫でられるのは……好きじゃないです」
「……そうか、それは失礼した」
一瞬、驚愕の表情を見せたがまたいつも通り爽やかそうな顔に戻る。
先生は自分の右手を眺めてからまた授業に戻った。
「レディの頭を気安く撫でるなんて!」
放課後になって一緒に帰ってるとアリサが憤慨した雰囲気でそんなことを喋っていた。
よほど伊集院先生に撫でられたのが気に入らなかったみたいだ。
「頭を撫でられた位で……」
「アンタには分からないでしょうね! 大人の男に撫でられただなんて……気持ち悪い!」
もしかして、いつぞやの誘拐事件のせいで大人の男に嫌悪感を抱くようになったのかもな。
「アリサちゃんの気持ち……分かるよ。私も……大人の男の人に近寄られるのは……ちょっと……」
とすずかも同じように嫌そうな表情を浮かべていた。
「アリサちゃん……すずかちゃん……」
「だが、俺もいずれはあんな風に大人になるんだぞ?」
その言葉を聞いてアリサとすずかの2人は俺の顔をジッと見つめた。
2人の瞳に俺の顔が映っていた。
「……ど、どうした?」
無言で俺の顔を見つめる2人。
「アレス君は……大丈夫だよ」
「そうそう。あたしの勘が告げるのよ。アンタはずっとそのままだって」
何それ恐い。
六感超えて七感の域に達してないか?
そのうち
「アリサちゃんとすずかちゃんも? 実は、私もアレス君ってずっとこのままじゃないかな~と思ってたりして」
ブルートゥス、お前もか。
なのはの台詞で俺は何とも言えない気分になった。
「え? それって大きくならないって事?」
「うん」
「そうだよ」
「そうに決まってるじゃない」
……。
即答だった。
「まあ、とりあえずはやての家に行くぞ」
釈然としなかったが、はやての家に向けて俺達は歩くのであった。
しかし、銀髪オッドアイのイケメンとか誰が考えたんだろうか?