GAKKOU ~自衛官 彼の地にて、斯く戦えり~ 作:tako1125
あと、学校占拠陣は地味にサブタイトル詐欺になってるかもしれません。
楽しんでもらえるといいなぁ(願望)
-----巡ヶ丘市 駅前-----
「う~ん?どこだここ?」
伊丹たちは迷っていた。
実は、倉田は武器と移動手段は確保してきたが、地図は持ってきていなかった。
「え~っと・・・ここが駅で・・・あれ?」
肝心の運転手がこのざまである。
「なぁ倉田・・・前から言おうと思ってたんだが・・・」
伊丹は少々呆れた声を混ぜる。
「お前なんで自分で地図を用意しないんだ?前に3偵で演習行った時もおやっさんが測定手やってたろ」
「・・・あっ」
倉田が気づく。
勝本ではないが「遅いよ!」
「はぁ・・・しゃーねぇー、そこのモールの中行って取ってくるわ」
「ちょ、一人で大丈夫ですか?隊長」
倉田が至極当然のことを訊いてくるので至極当然な返事をした。
「そう思うんならついてこい。もしかしたら生存者が居るかもしれない」
入口は全面ガラス張りだったのかすべて割られていた。
中では数体の"奴ら"がうごめいていた。
「あんま弾薬を消費したくないからできるだけ音を立てるなよ」ヒソ
「了解」ヒソ
中は暗いのでV8を装着し、慎重な足取りで1階のホールを抜けていく。
やがて書店コーナーにたどり着き、地図コーナーを物色した。
なるべく1枚っきりで街全体を知れる地図と、市街地図の本を数冊かっさらっていく。
雑嚢に詰め込みそそくさと書店を後にする。
すると出た先の廊下で何かが走っていった。
「ぉわっっと」
小さかったので犬か猫かと思い放っておこうかと思ったら、突然奥から声がした。
「太郎丸っ!」
「っ!?」
伊丹は急いで倉田を呼んだ。
「倉田!生存者を発見したかもしれない!」
<<マジっすか!?今行きます!!>>
無線が切れまもなく倉田が来た。
「どこです!?」
「あの奥に何かが走って行って、それから声が聞こえたんだ。間違いなく意思を持った人間の声がな」
警戒しつつお互いの死角をカバーしながら進んでいく。
突き当りに窓付きのドアと思しきものが見え、その窓の向こうには箱のようなものが積み上げらているようだった。
中からは微かに話し声が聞こえる。
「太郎丸・・・心配したんだから・・・!」
「そうだよ、太郎丸、どこいってたの?」
太郎丸・・・おそらくさっき走っていったものだろう。
名前からして犬か?
ハンドサインで「ノックする、合図があるまで後方警戒」と倉田に指示し、伊丹はドアを軽くノックする。
「っ!!だっだれ!?」
中から女の子の声が聞こえる。
「安心してくれ怪しいもんじゃない!俺は伊丹、自衛官だ!」
「じえ・・・いかん・・・?」
ドア越しだから不信感がぬぐえないのだろう。
ま、しゃーないか。
「これから巡ヶ丘高校に行くんだが、案内してくれないか?」
「っ、学校?」
「そう、学校。もしかしたら生存者が居るかもしれないんだ。俺の仲間も今必死になって救助活動してる!よければ協力してくれるとありがたいんだが・・・」
しばらく沈黙が続く。
やがて、ドアが開いた。
「・・・ど、どうぞ」
中には高校の制服と思われる服装をした女の子が2人、そして犬が1匹。
やはりその犬が太郎丸だろう。
「ありがとう、倉田、いいぞ」
合図をすると後ろから倉田がむくっと出てくる。
「大丈夫でしたか?隊長」
「おう、普通に女の子だったぜ」
「いや、隊長ではなく生存者の精神が」
少々癪に障るので
「んだとこの~」グッ
とヘッドロックをかましてやった。
「ちょいたい、生存者の前ですよ!」グギギギギ
倉田が伊丹をいさめる。
「おっとそうだった、とりあえず君たち、巡ヶ丘高校まで案内してくれないか?」
尋ねてはみるが
「・・・」
黙ったまま不安な顔でこちらを見ている。
「大丈夫、君たちが襲われそうになっても俺たちがちゃんと守るから」
「・・・」
ん~、ダメかな
「『三人』とも・・・守ってくれますか?」
おそらく3人目は太郎丸のことだろう。
「だ~いじょうぶ、まーかせて!」
そう答えると、満面の笑みを浮かべ頼みに応じてくれた。
こうして、"5人"で巡ヶ丘高校を目指すことになった。
-----巡ヶ丘学院高等学校 3F生徒会室-----
「これからどうしようかしら・・・」
私は悩んでいた。
これからの生活、これからの対応、これからどう生きていけばいいのか。
「?めぐねえどうしたの?」
丈槍さんが顔を覗き込んでくる。
「あっゆきちゃ・・・じゃなくて丈槍さん。んーん、なんでもないの、ただちょっと・・・」
ただちょっと、これからの身の振り方を考えていたなんて、到底言えない。
「みんなテストの点が少し悪かったから、どう授業したらわかりやすいかなって考えてただけよ」
私は、笑顔でそんな嘘をつく。
傍から見ればそんな嘘すぐにばれそうなものだが。
「んーそっかなぁ?めぐねえの授業わかりやすいと思うけどなー」
と無邪気に言う。
ほんと、この子の笑顔にはいつも助けられるわ。
そんな風に思わせてくれる丈槍さんは正直すごいと思う。
でも
「あはは、そう思うんなら、いつもの定期テストでもうちょっと点数取ってくれると先生はうれしいなぁって」
と、ちょっと意地悪してみる。
「う"、あ、ちょっと生徒会室の備品片づけてくるねー」
と逃げられてしまった。
相変わらず逃げ方がうまいなぁと思う一方で、どうにかならないものかとさらに私の頭を悩ませる。
「どうしました?先生」
若狭さんが声をかけてくる。
「うん・・・これからどう生活していけばいいのかなぁって考えてただけなの」
今のところ正直なところを話していいのは恵飛須沢さん、若狭さんの2人。
「おいおい、それはなになにしてただけってのにはちと重たすぎるんじゃないか?めぐねえ」
恵飛須沢さんが呆れた体で言う。
「ん~~~っ、あぁ、正直なところ先の見通しなんかつかないわよね~」
私は背伸びしながら一人ごちる。
とにかく、今を生きるために目の前のことをしよう。
そう思い立って廊下を見渡してみた。
今廊下には"生徒だったもの"の姿は1つもない。
「・・・恵飛須沢さん、若狭さん、お願いがあるの」
2人を呼び出した。
「ん?なんだよめぐねえ」
「どうしたんですか?先生」
2人ともキョトンとした顔でこちらを見ている。
「みんなでバリケードを作りましょう?"あの子たち"が居ない内に」
そう提案した。
数秒の沈黙ののちに
「・・・いいんじゃないか?」
と、恵飛須沢さんは同意してくれた。
「でも丈槍にはなんて言うんだ?」
そこだ。
彼女には現実をあまり突き付けたくない。
でも、バリケードを作らせたら彼女の"幻想"に矛盾を生み出すことになる。
そんなときだった。
タッタッタッタッタッタッタッ ボスンッ
「ぉっとっと、どうしたの?丈槍さん?」
私に向かって丈槍さんがタックルに近い形で飛び込んで来たのだ。
「めぐねえ・・・こわいよ・・・どうしたらいいの・・・?」
彼女の声は震えていた。
「何があったの?」
と問いかけてみる。
「・・・お化けが・・・いっぱい・・・怖いよぉ・・・」
きっと朝の光景を思い出してしまったのだろう。
「・・・じゃあ、お化けが入ってこないようにバリケードを作りましょう?」
丈槍さんには悪いがこれは格好の機会だ。
「・・・ぅん・・・」
こうして、バリケード作りが始まった。
日もすっかり暮れて、廊下の一部に電灯を灯して作業するようになった。
しかし問題があった。
完成目前のバリケードの向こう側に"生徒だったもの"の1体が居た。
その姿はまっすぐ電灯のある方向へ歩いていく。
どうやら"生徒だったもの"は光のような人体の感覚に対し何かしらの刺激を与えるものに目標を定めるようだ。
「ぅぅぅ・・・ぁ・・・」
当然のことながら丈槍さんは怯えきっている。
「っ・・・!」
恵飛須沢さんはシャベルを持ち直し、今にも飛び出して行かんばかりの気迫を放っている。
「だ、だめよ恵飛須沢さん。今はとりあえずこのままにして、今日のところは生徒会室に戻りましょ?」
「・・・」
説得に応じてくれたのか恵飛須沢さんはシャベルを背中に戻す。
そう、また明日続きをやればいいのだ。
そういえばがっこうぐらし!の学校の構造、原作とアニメで大幅に変わってるんですね。
主に地下室とか(殴