GAKKOU ~自衛官 彼の地にて、斯く戦えり~   作:tako1125

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今回地味に長いです。そーいや書いてなかったけど巡ヶ丘にいる間ずっと伊丹たちは3偵です。異論は認めない※銀座事件は起こっていない模様

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


#4 心配

-----巡ヶ丘市 広域交差点 交番前-----

 

警官の放つ銃声がする。

しかし5発しかない回転式拳銃ではすぐに弾切れを起こしてしまう。

 

「ぁぁ・・・ぁあぁ!!!」

 

警官は2回ほど余分に引き金を引いたが、その拳銃から弾が発射される気配はない。

無情にもハンマーが空撃ちする音がする。

警官の後ろには一般市民もいるので警官がパニックを起こし再装填もままならない。

 

「ヒッ」

 

一つの人型の何かが警官に向かって歩み寄ってくる。

 

タッタッタッタッタッ

シャッ、ドスッ

 

一つの人影が警官に向かってくる人型の何かを絶命させる。どうやらナイフを使って仕留めたようだ。

 

「っ、大丈夫か!?」

 

人影から警官の安否を確認する声がする。

その人影は顔に返り血を浴びている。

人型の何かは頸動脈を切られたようで、骸は真っ赤に染まっていた。

 

「き、君は・・・」

 

「・・・一般市民に警官が発砲、おまけに自衛官がナイフキル、か、はは、笑えねぇな」

 

「・・・ぁ」

 

警官は気が抜けたのか青ざめた顔でへたり込んでしまった。

 

「オイオイ、休んでる暇なんかないぞ、さっさと生存者を安全なところに誘導するんだ、大丈夫か?」

 

返り血を浴びたその姿は、まさしく国民の守り人だったが、同時に周囲へ恐怖心を植え付ける材料となっていたことに、この自衛官、伊丹耀司は気づいていない。

 

「・・・さて、とりあえず駐屯地に行かないとな、実包と89、あとはライトアーマーがあれば・・・お?」

 

伊丹が何かに気づき、そちらの方を見ると、だんだん近づいてくる音があった。

何かのエンジン音だった。

 

1両の普通乗用車ではない車両が伊丹に向かって一直線に走ってくる。

 

「あれは・・・高機動車?」

 

「たぁぁぁいちょぉぉぉぉぉ!!!!」

 

高機動車から声がする。

 

伊丹の体に突っ込むか突っ込まないかぐらいの微妙な間隔で高機動車は止まった。

 

「ぅおあっ、っぶねぇ!!!」

 

「伊丹隊長!!!お迎えに上がりました!!!」

 

そこには第3偵察隊の倉田がいた。

 

「ぉっまえ倉田!?!?無事だったのか!?」

 

「はい!ご覧の通りピンピンしております!」

 

「ぁ、ってことは駐屯地は無事なのか!?」

 

「・・・ぃぇ、それが、3偵のほかの連中とは連絡が付いたんですが・・・警務本部から応答がありません、自分は演習場からそのまま来たので・・・。」

 

「そ、そうか・・・。」

 

「あ、でも、予備の戦闘装着セットとV8、それから89二挺、実包5箱積んできました、ほかの連中もライトアーマー1両とジープ1両、一人当たりのフル装備を持ち出して現在生存者の確認に向かってます!」

 

そこまで聞いてふと嫌な予感がよぎる。

 

「・・・イヤーな予感がすんだけど、ひょっとして栗林あたりが奴らをもう何人か殺っちゃってたりする?」

 

「・・・ノーコメントでいいっすか?」

 

・・・ぁーやっぱりか。

まぁ、この際だしね、仕方ないね。

 

「と、とにかく生存者の収容と輸送を優先しろ、3t半は強奪できなかったか?」

 

「今、富田辺りがぶんどりに行ってます」

 

「よし、場所を連絡してちょーだい、俺はここで待機してっから、89と装着セットくれ」

 

倉田から戦闘装着セットを受け取る。

やっぱ自衛官たるものこれがないとね。

生身じゃやっぱ限界あるから。

 

「そー言えば倉田、おやっさんは?」

 

「・・・。」

 

倉田が黙る。

 

「・・・おい聴いてんのか?」

 

「桑原曹長は・・・連絡が取れません」

 

ドクン

 

「・・・マジで?」

 

ドクン

 

「・・・はい、原隊の訓練に出向してっきり・・・」

 

ドクン

 

「・・・ま、まぁおやっさんのことだし・・・大丈夫だろ・・・」

 

ドクン

 

「・・・そう・・・ですね」

 

「原隊ってことは今は巡ヶ丘にはいないってことか」

 

伊丹は恐る恐る尋ねる。

 

「・・・いえ、つい3時間ほど前に出発したばかりです」

 

倉田は静かに答える。

 

「・・・まぁ、隊を成して行動してるんだし、歳食ってるったって自衛官のはしくれだ、大丈夫だ」

 

伊丹は倉田と自分にそう言い聞かせる。

 

-----巡ヶ丘学院高等学校 屋上-----

 

「・・・テレビが映らないわ」

 

私はスマホのワンセグ機能を使ってテレビを見ようとしていた。

しかし、つい昨日まで使えていたテレビの電波が何一つ捕まえられなくなっていたのだ。

 

「ぅん・・・ぉあよ、めぐねえ」

 

丈槍さんが目を覚ました。

 

「おはよう丈槍さん、あとめぐねえじゃないでしょ?佐倉せんs」

 

いつもの返事をしようと思ったら丈槍さんが口を開いた。

 

「あれ?私なんで学校の屋上で寝てるの?」

 

と、何でもないようなことを聞いてくる眼差しで私に質問する。

 

「え、・・・丈槍さん、昨日のこと覚えてないの?」

 

「ん?何?昨日のことって?」

 

ドクン

 

「え・・・」

 

ドクン

 

丈槍さんが手すりまで小走りで駆けて行って元気に言う。

 

「あっ、運動部のみんなが朝練してる!」

 

ドクン

 

「・・・なに・・・言ってるの・・・?丈槍・・・さん」

 

ドクン

 

「え?何って、運動部の人たちが朝練してるって・・・」

 

ドクン

 

丈槍さんはあっけらかんと言う。

もちろん校庭で朝練している運動部なんていない。

 

いるのは"生徒だったもの"だけだ。

 

ここで私は悟った、丈槍さんの中では事件は起こっていない。

いや、仮に起こっていることを深層心理が理解しているとして、その現実を受け止めるにはキャパシティが足りなかった。

そのために丈槍さんの中では事件は起こっていないように感覚が上書きされるのだ。

所謂現実逃避の状態に近い。

 

とりあえず今は平生のように取り繕うしかない。

そう思ったその時だった。

 

「ぇ・・・ぁ・・・」

 

丈槍さんが急におびえ始めたように見えた。

 

「ど、どうしたの?丈槍さん?」

 

「こ、校庭のみんなが・・・なに、あれ・・・」

 

どうやら正しい情報がそのまま頭の中に入ってきたようだ。

 

「丈槍さん・・・こっちにいらっしゃい」

 

丈槍さんはまっすぐ私に向かって飛び込んで来た。

 

「大丈夫、生き残ってるのはあなた一人じゃないわ。先生や、若狭さん、恵飛須沢さんもいるの。一人じゃない、だから大丈夫、そうでしょ?」

 

私は丈槍さんの頭をなで、気持ちを落ち着かせるように努力する。

そうこうしてるうちに、若狭さんと恵飛須沢さんが目を覚ました。

今日も生き残るために精一杯行動しようとみんなで決めた朝だった。

 




ごめんなさいねぇ、内容ぐっちゃぐちゃで

まあやりたいとこまでは何言われようと頑張ります。

ではでは~

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