GAKKOU ~自衛官 彼の地にて、斯く戦えり~   作:tako1125

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今回若干長い(?)

楽しんでもらえるといいなぁ(願望)


#14 地下室

-----巡ヶ丘学院高等学校 3F~2F階段踊り場-----

 

富田と伊丹が何やら話し込んでいる。

 

「富田、さっき見たマニュアルの地下室、覚えてるか」

 

「ええ、それがどうかしたんですか?」

 

「万が一ってこともある、初期感染者用の治療薬が入っていると書かれていたケースだけでも持っていこうと思う」

 

伊丹がそう提案したとき、富田は顔を真っ青にしていた。

 

「き、危険すぎます!」

 

「シッ!馬鹿、声がデカい!」

 

伊丹が慌てて富田の口を塞ぐ。

 

「あくまで薬だけだ。ほかのもんは放っておけ」

 

「しかし、あと30分足らずで取ってこられますかね」

 

「俺が取りに行く。お前は援護してくれ」

 

「ちょ、隊長」

 

富田はまたも顔を真っ青にしている。

 

「おいおい、俺はレンジャー持ちだぞ?早々死にゃしないって」

 

伊丹は軽く笑い飛ばす。

 

「さて侵入経路だが、エレベーターホールのはしごを使う。ただしはしごは帰りだけだ、行きはエレベーター用のワイヤーでリぺリングする」

 

「しかしそううまくいきますかね」

 

「うまくやるんだ、俺たち国民を守る自衛隊だろ?」

 

「・・・そうですね」

 

富田は自分を奮い立たせるためか、若干笑っている。

 

-----巡ヶ丘学院高等学校 エレベーターホール3F部分-----

 

「倉田、聞こえるか?」

 

<<はい、隊長、どこにいるんです?>>

 

「悪いがこれからちょっと地下室行ってくるわ」

 

<<ハァ!?何しに!?>>

 

「"お薬"取りに行ってくる。その間生徒会室の防衛は頼んだぞ。こっちは富田が同行してるから心配すんな」

 

<<・・・わかりました、早めに帰ってきてくださいね>>

 

「ああ、行ってくる」

 

伊丹は無線の電源を切った。

万が一下に"奴ら"が居た場合、むやみやたらに音を出すとまずいと考えたためだ。

 

-----巡ヶ丘学院高等学校 エレベーターホール エレベーター天板上-----

 

「まさか、途中で止まってるとは思わんかったわ」

 

伊丹がぼやく。

今はエレベーターホールの中で、推定1階から2階の間に停止中のエレベーターの天板の上にいる。

 

「どうします隊長、エレベーターに入れてもそれ以上下に行けませんよ」

 

富田にそう言われ、伊丹は考え込んでしまう。

しばらくたった後、ある考えが伊丹の頭に浮かんだ。

 

「富田、針金かゼムクリップ持ってない?」

 

何をトチ狂ったのか、伊丹はそんなことを言い出した。

 

「何をするつもりなんです?」

 

「あるのかないのか」

 

「えっと・・・あ、ありました」

 

富田は雑嚢から針金を取り出すと、伊丹に渡した。

 

「サンキュー、よし、とりまエレベーターの中行こうか」

 

言い終わると同時に伊丹は天板の入口を蹴破って、中に入った。

入るとすぐに、伊丹はエレベーターのコンソールにライトを当てて何かしている。

 

「何してるんです?」

 

富田がのぞき込むと、伊丹はコンソールについている鍵穴に針金を突っ込んでいた。

 

「まぁ見てなって」

 

しばらく弄り続けて急に明かりがついた。

 

「おーし動くぞー」

 

何事もなかったかのように伊丹は地下に行くボタンを押した。

当然のことながらちゃんと地下に着いた。

 

「隊長、何をしたんです?」

 

「エレベーターの電源ってのはもともとずっと入れっぱなしなんだ。しかも電源系統の管理はエレベーターの機種にもよるが大体コンソールについてるキースイッチでされるんだ」

 

伊丹がそこまで説明すると富田は理解したらしい。

要約すると、エレベーターの電源はキースイッチによって管理されているので、そのスイッチを点検用にした後、再起動したということらしい。

 

「さ、"金庫"に着いたぞ~」

 

伊丹たちはしらみつぶしにドアを開けて探した。

シャッターの向こうに行くにはどうやらパスコードが必要らしいが、シャッターの下に学習机が挟まっており既に解錠されていた。

中に入ると、何やらコンテナらしきものが陳列された大量の棚があった。

しかし伊丹たちはコンテナの中身は気にも留めないで、真っ先に奥の方に向かった。

するとそこには何やら事務机が置いてあり、ノート・文房具・リングファイルに一昔前の出席簿のような紐綴じの業務日誌があった。

日誌には何も書かれていなかったし、ノートなどの文房具から筆記用具まで使った形跡がない。

 

何もないなと伊丹が視線をずらすと、事務机の傍らに少し大きめの箱があった。

 

「・・・これか」

 

伊丹が箱の側面を確認すると"医薬品"と書かれており、開けてみると非常持ち出し袋と初期感染者用治療薬のセットが入った小分けの救急箱がそれぞれ4つずつ詰め込まれていた。

 

「・・・エレベーターもあることだし箱ごと持ってっちゃう?」

 

「備えあれば患いなしですよ。持っていきましょう」

 

お互いの意見が合致したことで持っていくことにしたのだが、富田が床に何かを発見した。

 

「隊長、これ・・・」

 

富田が指さす先を見ると、血痕のようなものが1つの扉に向かって続いていた。

 

「・・・見てみるか、嫌な予感しかしないけど」

 

意を決して伊丹が扉を開けた。

すると中には中年男性の宙吊り死体があった。

 

「・・・たぶんこうなることが予測されているのを知ってたんだな。その責任に耐えかねて・・・って奴だろう」

 

見ればそこそこ位の高そうな格好をしており、副校長か教頭クラスの人物のようだった。

 

伊丹たちは申し訳なさそうに"何も見なかった"ことにして医薬品箱をもって3階に帰って行った。

 




なんだろう、最近ネタに走ることが多くなった気がする
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