2度目の高校生活   作:くるぶしおかか

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祝!ニセコイ実写映画化!
中条あゆみ可愛い、でも金髪はちょっと…
マリーについては何も言うまい。

リハビリがてら投稿。
感想・評価の程よろしくお願いします。





クリスマスの夜に √小野寺春

「よし、こんな感じかな」

 

 

脱衣場で鏡を見ながらいつも通りシュシュでサイドをまとめていく。

てっぺんのちょこんと跳ねているアホ毛はどうやっても直らないのだと最近気づきました。

もはや意地さえ感じるよアホ毛さん。『いつも同じ寝癖してるよね春ちゃん、アホ毛ってやつだっけ』と言われてから直そうと思いましたが努力は水面に消えましたとさ。

 

 

今日は世間でいう記念すべきクリスマス。なんと数日前に先輩から連絡がありデートすることになりました。

電話で誘われた時は予想外で一瞬固まってしまったのは不覚でした。

 

先輩の名前は二見貴一さん、お姉ちゃんと同じ年でクラスメイトだったりします。

ちょっとかっこいいけど変人?でも暖かくてしっかりしているように見えてそうでぬけていて放っておけなくなる人ですね。

 

基本的には頼れるお兄さんポジションに見えつつもボロ出せば駄目っこ弟属性もあるとか欲張りすぎでしょ!とよくわからないツッコミを内心でしてしまいましたが切り替えていきましょう。

 

 

なんせ今日はクリスマス、恋人達のクリスマスなんです!

二見先輩から誘ってくれたってことはもしかして私の事好きだったり…?いや、まさかそんなことが!?先輩から告白されちゃったらもう、まあまんざらでもないですけどねーって違うかっ!

 

「いやいやないない!でも…うきゃーーー!!」

「ちょっと春、急に大声出さないでよ、びっくりしたぁ」

「あ、お姉ちゃん。いたんだ」

「おい」

 

 

気配がなくいつの間にか隣にいたのは小咲お姉ちゃん。

見た目性格マジ天使で女神な自慢のお姉ちゃんだ。

シスコンと言われてもおかしくないが、それほど可愛くて大切なお姉ちゃんなのだ。

変な男には絶対渡さないんだから!特に一条何某め、小咲は渡してあげないんだから、欲しくば妹の屍を超えてゆけ!と拳高々に叫びたい。我が生涯に悔いなしみたいな?

 

 

「それにしても今日は特にご機嫌みたいだけど何かあるの?」

「よくぞ聞いてくれました。今日は二見先輩とのクリスマスデートだったりするのです!」

「ほーー!なるほどねー、ふーん、そうなんだぁ」

 

にやにやと口をゆるませるお姉ちゃん、からかい上手な女の子みたいな表情だ、やっぱり可愛いなあ。

 

「お姉ちゃんは今日は何か予定あるの?」

「いや、特にないよ?」

「なんかごめん、お姉ちゃん」

「えーーー」

 

 

なんて事もあったり。そして身支度を整えてから待ち合わせ場所に向かうのだった。

中学最後のクリスマス、素敵な思い出ができたらいいなと心を躍らせた足取りはいつもより軽かったように思えました。

 

 

 

-----------

 

「ちょっと早く来すぎちゃったかな」

 

 

気分が高揚していて待ち合わせの時間より1時間早く来てしまったという。

まあここは心を落ち着かせるために時間まで最初に先輩と会った時を振り返ってみましょうか。

 

最初の出会いは学校帰りに目つきの悪い人たちに遊ぼうよーとナンパされていた所を助けられたのが切っ掛けでしたね。

 

女子校育ちで男性に対して苦手意識がありましたからねー当時はなんて。今もまだあったりします。

その時の先輩はまるで白馬の王子様!なんて思ったり。今となってはちょっと笑えてきますけどね!

そこから連絡先を交換してからは、定期的に休みの日に買い物や食事、プリクラを取ったり遊んだりしたり、先輩が通っている学校の文化祭を親友の風ちゃんと一緒に周ったりといろんなことがありました。

 

 

そう考えるといつの間にか出会ってから時間が経ったなあ、早いもんだなぁと。

あ、先輩の姿が見えた!向こうも気づいたみたいです。あ、走ってきました…速いな。

 

 

「ごめん春ちゃん。待たせちゃったかな」

「い、いえ!まだ時間になってないですし、た、楽しみで早く来すぎたというか…」

 

あーーーー何言っているの私!?つい本音がポロっと出ちゃったよぅ。

 

 

そこからは先輩の誘導でショッピングモールを散策しました。中はクリスマス仕様になっていて人の数も多くてはぐれないように急に手をつないで来たときは心臓が破裂するかと思いました、嬉しかったですけど手汗大丈夫かななんて思ってそれどころじゃなかったりしました。

 

 

「これで安心だね、はぐれちゃ大変だ」

「…はいっっ!!」

 

 

それからいろいろとお店を周ってから喫茶店で休憩することになりました。

そういえば先輩はいつもブラックコーヒーを頼んでいたなあ、私はカフェオレです、苦いのはまだ苦手なお年頃ってやつです。クリスマスってことでケーキもあわせて注文することに。

 

「コーヒーはやっぱりブラックに限る、この豆はいいやつだな、うん」

「先輩って味とかそういうのわかるんですか?」

「いや、全然わからん」

「だめだこいつ」

「ぶっっ!」

 

しまった、つい本音が。『なんかこうブラックで飲めるってかっこよくない?』なんて言っていましたけどなんか違うと思いますよ、はい。

そうこうしているうちに私はイチゴのショートケーキが、先輩にはフルーツタルトがやってきました。

 

「美味しい、先輩のも一口もらっていいですか?」

「うん、いいよ。じゃあ春ちゃんのも一口もらっていいかな?」

「はい!食べさせっことかします?」

「恥ずかしいので今回はパスで」

「今回はって、ふふっ」

 

ケーキを食べ終えてから先輩はかばんから綺麗にラッピングされた袋を私に渡してこう言いました。

 

「春ちゃん、これクリスマスプレゼント!」

「え!?いいんですか!?嬉しいです!あ、どうしよう私何も用意してないです」

 

しまった、クリスマスプレゼント交換イベント思いつかなかった、そんな私に

 

「いいよいいよ、こうして一緒に過ごせるだけでも充分だよ」

 

なんて言ったくれたり。でも気障な台詞だと気づいたのか顔が赤くなっていたのは可愛く思えたり。笑っちゃだめだ、笑っちゃだめだっ!

 

中を空けてみるとクリーム色と赤のラインが入った可愛いブランケットが入っていました。これから寒い冬を乗り切る実用的でおしゃれアイテム、すばらです!先輩!

サプライズとはやりますねぇ~これはかなり嬉しいです!

 

 

「これから冷えるからね。体調崩してほしくないからな。ひざ掛けにも出来るし実用的でいいかなって赤が好きって前言ってたの覚えてたから…あってた?」

「はい、好みにぴったりです!これから大切に使わせていただきますね!」

「良かったよ、喜んでもらえて」

「もちろんです!先輩からのプレゼントですもんっ!」

 

こんなに素直に感謝を伝えれたのはいつぶりだろうか、なんてね。

 

 

それからの時間はあっという間で、空が暗くなっていくにつれ町並みを飾るイルミネーションが幻想的に照らしてくれる。大きなツリーも見えて今まさにクリスマスだと思い知らされた。

すると唐突に先輩は口を開いてこう言いました。

 

 

「ねえ春ちゃん」

「なんですか先輩?」

「ちょっと案内したいところがあるんだ」

「おっ、なんだろう楽しみです!」

 

 

先輩に案内された場所は恋人達の有名なデートスポットで知られている展望台だった。屋上のきれいな空中庭園、地面が透明で透けているのがヒエッッてなるのも面白かったり。

 

「きれいです…」

 

真っ暗だけど星の光でかすかに明るくて床はブルーライトが幻想的に発光している。

高い場所から見える夜景の素晴らしさはうまく言葉にできませんでした。

確か長崎に有名な夜景スポットがありましたね。

稲佐山?だったかな。今度先輩と一緒に見に行きたいなあなんて。

 

 

「だよねー、一度見に行ってみたいって思ってたんだ」

「本当、きれいですよね」

「だね。こうして街を見下ろすなんて普段ないからね。こうやって一緒に同じ景色を見れたのは良かったなんて、あーなんか恥ずかしくなってきた」

「あはは!きっと今日の日はずっと忘れないです。先輩、ありがとうございますね」

「俺も今日の日は忘れない。きっと」

 

 

そう言った先輩の瞳はキラキラと穢れの知らない少年のように見えました。

しばらく夜景を眺めているとなんと雪がぽつぽつと降ってきたのです。

 

 

「あ!先輩!雪ですよ雪!」

 

おもわず心ぴょんぴょんと軽くジャンプしてしまいました、小学生みたいに。

 

「ほんまや。雪ではしゃぐとは可愛いとこあるね」

「な!?だって雪ですよ、雪!ここは滅多に積もることないですけどね」

「少年の心を思い出すな」

「先輩まだこどもじゃないですか」

「だよなあ」

 

ぱらぱらと降る雪を見ながら思った。

今日1日先輩とデートしていて改めて感じた。いや、元々わかっていたと思う。

 

私、小野寺春は二見貴一に恋をしているのだと。

もっと先輩と一緒にいたい。あそこに見えるカップルみたいにもっともっと…近くにいたい。早く高校生になって一緒に通学とかしてみたい。放課後デートなんて楽しそうだなんて。

 

がんばれ私!今言わなくてどうするんだ私!いくんだ小野寺春!

 

 

「えっと、…先輩!」

「はい!なんでしょうか春ちゃん!」

 

うーーーー、いざ言うとなると恥ずかしいなぁ。

 

「えっと、あのですね?…貴一先輩っ!」

「はい!」

 

顔がすっごく真っ赤になりながら見上げてこう伝えたのだ。

 

 

「私、先輩のことが好きです!わ、私と付き合ってください!」

 

 

言ってしまった。告白した後、急に返事が怖くなってまともに先輩の顔が見れなくなって俯いていると、先輩が照れ笑いをしながらこう答えました。

 

「ありがとう春ちゃん。ほんとびっくりしたよ、俺も春ちゃんのことが好きです…なのでこれからよろしくね?」

「え、ほ、本当に私でいいんですか?」

「もちろん、春ちゃんがいい!」

 

そう先輩が言った瞬間、嬉しさのあまりアメフト部顔負けのタックルを先輩の胸にしたのは二人だけの秘密です。

 

「モアイっ」

 

タックルで咽た先輩が発した言葉も二人だけの秘密ですからね?

 

こうして先輩後輩の関係だった二人が恋人の関係にチェンジしたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




小野寺春メインでまた続きを書いていきたいなって思います。
感想・評価のほうよろしくお願いします!
では、また。

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