2度目の高校生活   作:くるぶしおかか

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いや~暑いですねぇ。
夏祭りやってんなぁ~暑い中踊ってんなぁ~っとエアコンで冷え切った
部屋を出たくない私です。


明日のジャンプで先がどうなるのか期待感。
久しぶりの更新ですが…
感想、評価よろしくお願いいたします。


60話

 

 

「まさかここでお前が現れるとは思いもしなかったぜ。」

 

 

そうこれは想定外。さっきまでクロードによって行く手を阻まれたばかりなのだ。

そこは鶫の援助もありなんとか横を通り過ぎたことが出来たのだが、まさかこいつが俺の目の前に現れるなんてこればかりは予想できなかったのだ。

 

 

そいつは自分にとって唯一無二の大事な親友で。

普段はおちゃらけてふざけているが、やるべき時は行動力がありしっかりとした芯があり頼もしい一面も垣間見えて、ある意味尊敬している友達の1人である二見貴一の姿がそこにあったのだ。

 

 

そんな貴一は背景に『ゴゴゴゴ…!』と無駄な効果音が付きそうなくらいに変なポーズを取りながら顔に皺を寄せてなぜかかっこつけてこうして正面に佇んでいるのだから何と言ったらいいのか迷ってしまう、もしや笑えばいいのだろうか。

 

 

正直なんでここにいるのか、何を目的にこの地に足を運んだのか追及すべき点がいくつかあるが自分が今すべきことはいっこくもはやくあいつの元へ向かうべきなのだ。

 

 

だから今、こいつの相手をしている暇は……ない!

早々にスキップして早送りしたいくらいだ。

 

 

 

「これもまた巡り合わせか、もしや運命の悪戯か…。ここから先は通さない。…ぷぷっ、と!と、通りたくば!我の屍を越えていけ勇者よ。」

「いや、どんなキャラだよおい。てか勇者とかなんだってんだ。」

 

 

つい素でつっこんでしまった。こいつ絶対ふざけてるだろ。やりきるなら最後までやりきれってんだよ、てか途中笑いこらえてたろ。実は似合わないことしてるって気付いてんだろこいつ絶対。

 

 

 

「なんかラスボスっぽくしてみた。」

「してみた、じゃねえよ!俺はいっこくもはやく先に行かなくてはならないんだ!」

「だからといって素直に通してやるほど俺は甘くないぜ…そうチョコラテのようにねニーニョ。」

「いちいちツッコんでやる余裕はないからな、通るぜ貴一。」

 

 

そう、こんな所で道草を食ってる訳にはいかないんだ。

ここに貴一の姿があるってことは橘ももしかするとこっちに来てるのかもしれないな、そこに特に意味はないと思うけれども。

 

 

 

「橘もこっちに来てるのか?」

「うん?まあね大事な相方だからニコイチだから。今は別件で違うとこにいるはず。」

「そっか。…やっぱり貴一が俺を止める理由がわからないんだが。」

「ん?正直言うと止める気なんてこれっぽっちもないよ、てか理由なんてないしな。そもそも俺はいつだって傍観者だぜ!お節介焼きのステップワゴンだぜ。」

「スピードワゴンな。じゃあ行ってくるわ。」

 

なんだ、いつもどおりのこいつじゃないか、身構えて損したぜ。

 

 

「ああ、頑張ってこい。せいぜい俺は遠めで見届けるとするよ。楽の行く末を生き様って奴をな!よし、思いっきり砕けてこい!」

「砕けてたまるかってんだ!」

「ゼハハハハ、冗談だ!」

「こいつめ。」

 

 

 

 

これ以上茶番に付き合う訳にはいかないためささっと貴一の横を通り過ぎて向かう先は小野寺と…千棘の所だ。

 

 

自分の出した答えを…偽者ではない本物のありのままの自分の気持ちを伝えるんだ。

思えばここまで来るのにすごく遠回りしてきたよな。

小さい頃の約束から今にまでつながっている奇跡に…

 

そういえば貴一が言っていた。

 

 

『まさか自分が本気で誰かを好きになるなんて予想だにしなかった。のろけじゃないけどあいつ以上の女に出会うことなんてもうないと思うんだ。毎日が初恋の気持ちだよ、こんなに人って変わるもんなんだなって。だから楽よ、良い女がいつまでも自分の近くにいるなんて悠長に構えてたら横から誰かにとられっぞ。早い者勝ちってある意味真理だと思うんだよなあ。だから後悔だけはするなよ楽。』

 

 

もっと長々と無駄話もとい雑談がほとんどでいろいろと語っていたあいつの姿が懐かしい。半分以上何を言ってたか覚えていないのが傷だけどな。

 

 

 

本当にここまで来るのに長かったな。

中学生のころからずっと小野寺のことを片思いしていて、高校で千棘に出会っていろんな出会いや出来事があったりしてここまで来たんだ。

 

 

 

だから伝えよう、はぐらかさずにありのままの自分の想いを。

例えそれで今までの関係が変わったとしても…。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「うん、仕事したな本当。」

「特に何かしたわけじゃないでしょうに。」

「ありゃ?万里花、もう用件は終ったのか?」

「ええ、引っ込み思案でうじうじしてた少女に渇をいれてきたところですわ。」

「かかっ、それはまた男前なことで。」

「男前だなんて、私のような可憐で儚げな美少女には似合わない言葉ですわ。」

「知ってる。」

「そこはお前のどこが儚げだー!ってツッコむところでしょう。」

「あ、すまん。素で納得してた。」

「もうっ…。調子がくるってしまいますわ。」

「うんうん世界一可愛いよ。」

「宇宙1ですわ!」

「ヴェーチョーウケルンデスケド。」

「棒読みかっ!」

 

 

 

てかいつの間に自分の背後をとっていたのかこのお嬢さん。

橘家には本田さんのような忍者が集まった忍たまじゃないや、お庭番?十本刀?十刃?

みたいなボディーガード集団があるとか。

 

 

もしやそこで気配の絶ち方など学んでいるのだろうか、実に素晴らしい絶だったと思うよなんちゃって。

まあ念なんて概念、この世界にはないのだけれどね。

俺の円は3m、むしろこれが限界、この台詞を発する機会は一生ないだろう。

 

 

「んん?あれは…。」

「どうしたんですか?」

「俺のゴールデンアイがメガネを視界に捉えたぞ。」

「ゴールデンアイ、懐かしいですわね。」

「してたのかよ!意外なところに新たな発見が。」

「えへへ、照れますわね。」

「ミジンコ並みに褒めてないしとんだ好意的解釈。どうでもいいけども。」

 

 

 

遠めにみえるのは舞子はんとるりちゃんの姿が。

なんだかお二人さん良い雰囲気だねえ、ここは邪魔しちゃあいけないなと隣にいる万理花にアイコンタクトを取りつつ、楽の行く末をその言葉を先ほど楽が横を通り過ぎたときに目にも留まらぬスピードで取り付けた盗聴器の音声を二人仲良くリアルタイムで聴こうとここまで運んでくれたヘリコプターに戻るのだった。

 

私だってね空気を読むくらいできるんですよ?

でも楽の告白は聞いておきたいじゃん?

楽しんだっていいじゃない、だって人間だもの。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「貴一さんはどうなると思うんですの?」

「それはまあ…千棘エンドじゃないかなぁ。」

「なんで人の恋愛をギャルゲっぽく言うんですかこの人は。」

「まあいいじゃない、小野寺も頑張ったんだよ…ただ遅すぎたんだ。」

「またわかったようなわかってないような台詞を…。かくいう私も貴一さんと同じ意見ですけどね。」

「同じかよ、それじゃあ面白みないねえ、賭けにならないじゃん。」

「賭けていいような内容じゃないでしょ?」

「冗談だって。こう見えても俺、賭けには強いんだから。」

「へー、その心は?」

「勇気出して告白してOKもらったり?みたいな。」

「みたいな?ってそのどや顔いらっとしますわね。」

「そういうところも好きなんでしょ?」

「いや、ないですわ。」

「ひどいよ、万理ぇもーん!」

「誰が最近体重増えたですか丸くなったですか、ギルティですわ!」

「理不尽だあー!」

 

 

 

手と手をつなぐまっすぐのびた重なる影。

自分達に出来る事はあくまで見届ける事だけなのだから。

人それぞれ異なった物語がそこにはあるのだから。

 

 

楽には楽の、小野寺には小野寺の、桐崎さんには桐崎さんの物語があるのだから。

そして自分にも…。

 

 

 

「なあ、万里花。」

「ん?なんですの?」

「呼んでみただけ。」

「ふふっ、なんですかそれは。」

「なんつーかさ、万里花には感謝してるんだよこれでも。」

「急にどうしたんですか貴一さん、頭でも打ちましたか?」

「おいおい。たださ…お前がいたから変わったというか、怠惰でただ無為に時を過ごしてた自分に光が射したというか、お前がいたから二見貴一としての物語が始まったんだなって思うんだよね。」

「ちょっと何言ってるかわかんないとか恥ずかしい台詞禁止とか言いたいけれど、なんとなく!なんとなくわかりますわ。あと…。」

「あと?」

「あなた…怠惰ですねぇ?」

「似てない!絶望的に似てない!ただ可愛いだけだよ。」

「なんですかこの素直に喜べないこの気持ちは。」

「さあねえ。」

 

 

 

 

 

「まさかここまでゾッコンになるとは…自分でも驚きだよなあ。」

「貴一さん何か言いました?」

「いんや、なんでもないよ?」

「まあ、私地獄耳なんで聞こえてましたけどね。」

「んなっ!?」

「私をただの難聴系ヒロインとは思わないことですわ!オホホホ!」

「どんなキャラだよ。いやそうじゃない、そろそろ楽さん正念場だから万里花さんや口チャックね。」

「かしこまりましたわ。」

 

 

 

さあ、どうなるか…。

お互いでイヤホンを片耳ずつあてて音声を聴くのだった。

 

 

 




ジョジョ5部を久しぶりに読み返し。
暗殺チームのスタンド強いよなあやっぱり。
プロシュートの兄貴、いいよね。


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