2度目の高校生活   作:くるぶしおかか

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実はまだ続いていたのです。

感想、批評お待ちしております!



59話

楽と小野寺の『きっとアメリカに桐崎さんがいるはずださあ行こう』作戦が発動されてから二人がアメリカに旅立ってから数日の時間が流れた。

 

楽がいないということでクラスの雰囲気も若干物足りないと思いつつもいつも通りの日常を過ごしている。

 

相棒である万理花氏は心配しているのかやや不安げな表情を浮かべていたので、ゆっくりと髪を撫でながら「大丈夫だよ、だって男の子だもん。」と優しく言うと「いや、意味わからないですし、だもんとかないですわ。」なんてジト目でこちらを見上げながら言うものだから、せっかく気を使った自分はほんの少しだけイラっときたのでおでこに指を1本すぅっと突いて『許せ、サスケ。また今度だ。』と反撃したのだった。

そう、そんないつも通りの日々を過ごしていたのだ。

 

 

「いったいじゃないですか、この駄犬!」

「ちょっと呼び名多すぎやしませんかねニャル子さんや。」

「前からですけどなんなんですかそれ!」

「え?這い寄る混沌ニャルラトホテプだけど、なんならググってみなよ。」

「全く仕方ないですわね。…ニャルラトホテプっと。…ってか、これただの化け物じゃないですか!しかもカオスですわねこれは。」

「そうだけど?」

「私がこんな化け物と一緒だと…?」

「いやいや冗談、冗談!万里花はかわいいよ、宇宙一可愛いよ!」

「知ってるー。」

「うざ。」

 

 

とまあ、こんな感じでふざけあったりして平常運転なのだ。そろそろこのニセコイの世界も佳境を迎えたのかもしれないな。

過去の今では12年前になる思い出とやらの真相が明らかになるのか。そういえば万理花のやつ確か12年前の記憶があるなんて前に言ってた気がするぞ。

 

 

自分には特に関わりの無い12年前の伏線。なぜだかちょびっとだけ寂しいかも。なぜだろうか、過去の小さいころの幼女バージョンの万理花たちの姿が見れなかったからか、別にロリコンではないからなセロリめ。ってか、中学生は…BBAなんだよ、いかんいかん毒されるところだった。

 

 

だから過去話を学校から家までの帰り際にそっと聞いてみようと思う。なんせ今日はこのまま自分の家に着いてきて泊まるらしいからな。

 

高校生にしてもはや半同棲生活をしている…かつての自分には考えられない状況だ。高校生なんて普通実家から通学だぞ、部活に青春を浪費する運動部の強豪の高校だと寮とかあるのかもしれないが我が高校には存在しない。

 

 

「なあ、万理花。」

「ん?どうしたんですの貴一さん?」

「万理花はさ、その…12年前の記憶あるんだっけ?楽のペンダントの件。」

「ええ。急にどうしたんですか?」

「なんか真相を知りたくなってね、過去の万理花さんついでにね。」

「ふふっ。いいですか、深遠を覗くとき深遠もまたあなたを覗いている…と。」

「え、なにそれこわい。」

「まあ、その話は長くなりそうなので寝る前に少し運動してから話しましょうか。」

「ナチュラルに下ネタぶっこんできたねこの人は…。」

「んーー、一体何を想像しているのかこの変態さんは。勘違いですよ?」

「うそこけー。もうつっこまないからな。」

「やだ、もう!つっこむとか!」

「うるさいわっ!」

 

 

 

ややキャラ崩壊を起こしつつ下ネタをふってくる万理花さん。あなたいいとこのお嬢さんですよね、まったく俗世に触れてしまってこの人は。

 

理由のひとつとして私でしょうね悲しい事に。そういうところも嫌いじゃないけどさ。付き合いたてのあの初心な感じはもはや微塵もないのだ。慣れってこわいなと改めて思いながらスーパーで食材を買いこんで帰宅するのだった。

 

今日の夕食は自分担当でちゃちゃっとサラダとオムライスとコーンスープ。なかなかヘルシーで今日のドレッシングは和風ドレ!君に決めたぜ!とチョイス。食事に関しては一緒に作ることが最初は多かったが現在では交代制になっている。

 

これはこれでいいんじゃないかってことで継続しているのだ。時にはぐうたらゆっくりしたいものだからね。気楽にリラックス出来る空間を作ることがこの半同棲生活を続けるうちに必要だと気付いたのだ。

 

自分のなかに溜め込むのではなく相手に言葉を発して伝えるべきだ。万理花曰くそういう遠慮の無い関係が一番好ましいらしい。

 

だからといって親しき中にも礼儀ありという言葉の通りお互いに依存するのではなく、しっかりとした基盤を築きいつか始まる夫婦生活の予行演習にしていこうじゃないですかとテンションをあげながら力説していたのが随分と懐かしいな万理花さんや。

 

未来設計は確かに大事だと思う。だがふと思ったのだ。かつての記憶では自分はまだ結婚など人生の墓場ともいえるイベントに訪れたことなどないのだ。友人の結婚式に招待されて祝ったことはあったけどね。地味にご祝儀の金額が高くて当時はびっくりしたものである。諭吉先輩3枚とかおかしいでしょう…1枚でよくない?みたいな。

 

 

ピアノでコブクロ先輩の永久にともにを熱狂?熱唱したりファンキーでモンキーでベイビーズみたいな曲をDJ坊主をつけて熱唱したものだ…実に懐かしい。

 

まさか離婚するなんて…ね、もしや浮気や不倫があったのだろうか知らんけど。不倫ダメ絶対、ゲスの極みですよそれはお兄さん。

 

最近だと結婚式を挙げるカップルの割合って半分くらいらしい。なんでも結婚式の費用がうん百万くらいするらしく、それにつかうなら新婚旅行にでも使おうと言ったり家に使おうよということらしい。

 

なんと平均的に結婚式にかかる費用は300万円ちょっとらしい。聞くと半端ないね。

でもさ冷静に考えてみて結婚したら何か変わるのだろうか、結婚する前は大体数年付き合って同棲する訳じゃないですか、籍入れたとしても環境的には同じなような。

気の持ちようが変わるのか…ここらへんは経験がないからわからないよなやっぱり。

いつか訪れるその機会に夢を膨らましていこうじゃあないか。

 

 

女性はやはりウェディングドレスというものに憧れるのだろうか…万理花さんのドレス姿をその目に留めることが出来るのならばもはや悔いが無い!

 

いかん何を口走っているのだ自分は。…そう考えると結婚式いいかもな。お金はかかるがその花嫁姿が見られるのならばプラマイプラ、頑張って働こうではないか!それが玉の輿だとしても!相手がめちゃくちゃ金持ちだとしても!俺の稼いだ金でプレゼンしたいのだ!と強く願って決意した高3のある日だった。

 

 

 

「おーーい、貴一さーーん。」

 

ふと気付くと両手を自分の前で振っている少女の姿が映った。いかんいかん考えすぎて今の状況を放棄していたようだ。

 

「わるい、ちょっと考え事というか未来の結婚式のこと考えてた。万理花と親父さんがヴァージンロードを歩く姿が見えてたよ。」

「そこまで先を見据えてたとは驚きです。…まあ、もうヴァージンじゃないですけどね。」

「おいこらっ!そういうネタは頼むから学校ではやめろよな、マジで!」

「わかってますわ。時と場所は考えてますって。TPOは弁えますって。」

「そういうこと聞かれたらまた男子の怒り買うんだからよ。」

「はーーい。」

 

 

 

一緒に夕食を食べて別々にお風呂に入りテレビを見たり宿題をしたり歯磨きをして寝る準備をしたり、寝る前に眼と眼が合う~♪の流れでキスから始まる二人の共同作業を終えてピロートークに華を咲かせている最中なのだが、そろそろ本題に入ろうと思う。

私ってあんまり運動とか体力には自信ないんですと言っていたがこれに関しては別腹らしい。女子かって!いや女子だったか。

妙に艶々してやがるよこのお嬢さん、こっちはげっそりだってのに。

 

 

「そう、それで本題。12年前の真相のことなんだけどさ。まず1つ思ったことがあるんだ。」

「ん?なんですの?」

「いや実際に自分が4、5歳のころにひと夏遊んだ相手なんか憶えているかと聞かれたら完全に忘れるだろなと。現に幼稚園時代の友人とか先生の名前さえ思い出せないんだよなあ。かわいい子がおった気がするけど名前とか全然覚えてないしね。」

「私の前でほかの女性の話は感心しませんね。うりうり~。」

「こら。ほっぺをつねるな、地味に痛い、地味に!」

「しょうがないですわ。まあ確かにそういうもんですが…大事な約束というのもは昔のことでも覚えているものなんですよ。大事なことは…ね。忘れているということはその程度の記憶なのですわ。」

「…にゃるほど。じゃあ聞かせてもらおうか。夜はまだまだ長いからな。」

「今日は寝かせませんですよって奴ですわね!」

「そういうのいいからはやく。」

「まったく…せっかちさんなんですから。では、……。」

 

 

 

 

「まずあの絵本の作者は楽さんのお母様です。」

「は?」

「そして小野寺さんと私の母様、桐崎さんと楽さんのお母さんは同級生なんですの。」

「え?」

「そして思い出の場所である天駒高原…この場所で楽さんに小野寺姉妹、羽さん、桐崎さん、鶫さんがいて………。」

「………。」

 

 

 

それから詳しい過去の出来事をうんうんと頷きながら要約してみるとなるほど、その頃からあの二人はお互いに思っていて両思いのまま現在も気づかないという訳ですね。岩に記された相合傘とか実に可愛らしいじゃあないか。

 

同じ人を好きになったときに一歩後退してしまう女心と優しさが小野寺さんの幼少時代からの天使っぷりを再認識するのであった。

 

 

「漫画だと幼馴染って大体振られるんだよね。」

「誰が負けヒロインですか!」

「いや、言ってないけど。ギャルゲーとかよくある展開だなってね。万理花が負けヒロインじゃなくて自分のメインヒロインやしな!」

「ぶっ!アハハっ!ちょ、お腹痛い!恥ずかしい台詞禁止!…こほん。そろそろ楽さんや桐崎さんも過去のことを知り、答えが見つかり決着が着くと思うんですの。きっとみんな集結するんですわ、ならば私も行くべきか。」

「それは女の勘ってやつか。まあ行ってくるといいさ。」

「ええ、私の勘はよく当たりますからね。」

「マチみたいだなそれ。」

「いや、誰ですの。」

「いや知らないなら別にそれでいんだけどさ。」

 

 

 

 

「つーか楽のやつモテすぎでしょ。にしても女子だらけの空間に男子1人とかハードル高すぎて汗じわーってかくわ。自分にゃあ厳しいぜ。」

「それは、まあ…楽さんですから。あ、心配せずとも貴一さんのこと大好きなので心配は無用ですよ。」

「はいはい俺も愛してるよばーか。」

「そういって照れ隠しで言うところも好きですよ?」

「…グハっ。もういい、俺寝るから。貴重な思い出話をありがとさん。おやすみぃ。」

「ちょちょちょ待ってくださいって貴一さん!……起きろー貴一ー!」

「ぐうぇ。」

 

 

 

 

「ってか親同士も同級生とか無理ありすぎでしょ。」

「でもこれが事実なんですよ?事実はいつも奇なり的な。」

「うーーん、信じたかないがそうなんだよなあ。でもなんかすげーなそれ。なおさら過去に関係ないのが寂しいかも。」

「ふふっ、心配せずともこれからの時間は私と共に歩む訳ですから輝かしい未来に向かって行きましょう。過去を振り返らずにね。」

「輝かしい未来ねぇ…悪くないな。お前とならどこまでもいける気がする。」

「そうですか!…こほん。もっと、加速したくはないか少年。」

「黒雪姫様……!」

「いや、それも誰ですの!」

「フったのはそっちじゃないか。」

「つーーん。」

 

 

 

楽が過去に決着を着ける際、万理花も現地に向かうようだ。そのなんとか高原とやらに。部外者かつ見学者としてその場にたつのはやはり間違いなのだろうか。そっとしてるだけだからいいかなとか、適当な理由を着けてその場に赴くのも面白そうだ。

 

立ち位置的に微妙な所だね。でも最後の決着は1読者としてこの世界に生きる住人として最後まで見届けたいからな親友の晴れ舞台を…ね。

 

 

ラスボスとして楽の前に立ちふさがろうかと言えば『あなたの役割は皆無でしょう』おそらくギャングのクロードさんあたりが立つ塞がるだろうとの見解だ。これは確かにありえそうだ。

 

楽を庇う鶫の姿も考えられる、私を残して先に行け!的な展開が充分あるぞ。

 

 

 

 

 

そして流れる時間…楽達の思いでの場所、天駒高原。

その場所にこれから自家用の飛行機で現地に万理花と共に向かうのだ。

 

 

「まってろよ、楽。お前の答え…期待してるからな。」

「さあて、一体どう転がるか見物ですわね。」

 

 

「では、そろそろ出発します。」

「ええ本田。お任せしましたわ。」

「お願いします本田さん。」

「おまかせあれ。」

 

 

 




とりあえずここまで。

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