2度目の高校生活   作:くるぶしおかか

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ニセコイ久しぶりの更新。
忘れていたわけではないですよ?笑

感想、批評待ってますね!


小話4

番外編6、鶫の答え

 

 

 

 

それは私が高校3年にちょうどなった春頃のつまり春先のとだ。

私事ですが彼女の万里花とは清く正しく健全で高校生らしくお付き合いさせてもらっている今日この頃。

なんでも友人である鶫誠士郎から急に連絡があり急遽放課後、誰もいない屋上で待ち合わせすることとなったのだが。

 

 

さて放課後用事を済ませて屋上に赴いた所、自分の方がはやく屋上に到着したみたいでひとまず先ほど買っておいた微糖の缶コーヒーを片手にちびちびと飲みながら待つことにするのだった。

万里花には今日用事があるから先に帰っていてよと伝言を残しているから大丈夫だ、なにかと気を使ってくれる彼女に感謝しながら鶫の来訪を待つのであった。

 

少し時間が経つと屋上の扉がゆっくりと開き最近女子制服の姿が身に染みてきた鶫誠士郎の姿が現れたのだった。

 

「すまない貴一待たせたな。」

「いいってことよ。今日はどしたん?誠士郎らしくないみたいだし。」

「そうかもな。というか私らしいとは何なのだろうか。」

「さあ?」

「まあ、そういうことは今はいいんだ。今日は貴一に報告することがあってな。」

「へ~なんか気になるじゃん。じゃあ聞かせてよ。」

 

 

隣にかけより二人並んで遠い景色を屋上の手すりに寄りかかりながらぽつぽつと話し始める誠士郎。

そして始まった話を要約すると桐崎さんと楽の偽者の恋人であることを最近になって本人から聞いてびっくりして長年の疑問が解決したり、桐崎さんに本当に好きな人はいないのか真剣に聞いてみたところ予想通りとは言え楽のことが好きだと打ち明けたそうだ。

そこだけ聞くと桐崎さんも成長して少し大人になったんだなぁとしみじみ感じたのは秘密である。

 

そして楽の好きな所を話す桐崎さんを見ていると自分もいつの間にか桐崎さんと同じように一条楽のことが好きになっているんだと故恋をしているんだと自覚したとのことだ。いいねえ青春だねえ、若いっていいねえなんてね。

 

自分の尊敬する愛する桐崎さんの恋路を邪魔してはいけない…そう誓ってはいるけれどどこか振り切れない所があったから自分なりにこの恋に決着を着けようとしたらしいのだ。

 

 

「それで決着ってのはどうなったんだ?」

「それがだな…告白したんだ。一条楽に。」

「ふぁ!?」

 

な…ん…だと!?まさかの告白だと!?恋路邪魔しないんじゃなかったのか、そこが気になるぞと態度でおもわずだしていると、少しはにかんだ表情でこちらを覗きながらやさしい口調で言葉を告げるのだ。

 

「告白はしたけれど本人には伝わってないんだ。」

「ん?どういうこと?」

「告白はしたが本人には聞こえていないというやつだ。自分勝手に告白して勝手に振られてきたのさ。」

「いまいち状況が把握できないから再現してくれないか?」

「な、なぜ再現なぞしなければならないのか!」

「えーーそのために今日呼んだんじゃないの?」

「わかったよ。話すからちょっと待ってくれ。」

 

 

そして告白の際の現場について放し始める誠士郎。なんと放課後の誰もいない教室、1人椅子に座っていた楽の後ろに這いより両手で両耳を包み込みその大きな胸のうちに秘める思いを伝えたそうだ。

 

「なあ、ひとついいか?」

「どうした二見貴一。」

「なぜフルネームなのか。そんなことより再現してくれるのはいいんだけどさ…。」

 

そう告白したときの状況を再現してくれと伝えてみたところ屋上にあるベンチに座っている私の後ろから両耳を同じように塞いでくれているのだけれども、ひとつだけまず言っておきたいことがあるのだ。

 

決して背中に制服ごしからでも分かるその豊かな双丘の感触が素晴らしいけしからんな全くもう!などとそう言いたい訳ではなく、他に大事なことがあるのだ。

 

「これ塞いでても声聞こえるよね。」

「な!?そ、そんなわけなかろう!現に楽は全然こちらの言葉を聞き取れてなかったのだ。」

「まあ…楽だからなあ。一度耳鼻科行ってこいとは言えないしな。いや親友としてここは伝えてあげるべきなのか。」

「余計なお節介というやつだよなきっと。まあそういうことだ。」

「別に我慢することないんだぜ?貴一のここ空いてますよ?」

「全くお前というやつは。だが今だけは借りてもいいだろうか?」

「あぁ…。」

 

 

感情をいろいろと抑えていたのか失恋で悲しいのか彼女の内に秘めたる心のうちは分からない。けれど今はそっと落ち着くまでこの胸の中で静かに泣いている彼女を優しくそっと頭を撫でながらしばらく様子を見るのであった。

 

 

 

 

「すまない貴一、もう大丈夫だ。ありがとう。」

「いいってことよ。別にまだ貸してもいいんだぜ?なんてね。」

「ふふっ。それは貴一の彼女に悪いからな。もう充分だ、ありがとうな。」

「少し大人になったな誠士郎、かかっ。」

「誰だよ。」

 

 

「なあちょっと帰り寄り道していかないか?」

「ほう…どこかに連れてってくれるのか?」

「こういう時は思い切り身体を動かすことが一番なのさ。」

「なるほどな。運動といえば貴一とサバゲしたのも随分と懐かしいな。」

「あったなあそんなこと。」

 

そう、あれは楽と万里花のデートの監視に行ったときにお互い変装して後ろを尾行していたのだ。かなり懐かしいなああれは高校1年の頃だったし。気付けば時間というものは過ぎていて楽しい時間ほど早く感じるものだ。

 

学生という時間は若い年齢のひとのみの特権であるため今この瞬間この高校3年間いろいろなことを学び経験し過ごしてきことはきっと自分にとって良い意味で影響を与えてきたと思うのだ。

 

二度目の人生、楽しいことばかりで悲しいことはあんまりなかったな…それなりに充実していた日々の要因はきっと彼女にあることは理解している、本当に感謝してもしきれない自分にはもったいない恋人だよな。

 

誠士郎もこの楽との恋愛にピリオドを打って少し大人に精神的にたくましくなったようにも思える。

人を好きになる気持ち、善悪はあれど決してその思いは間違っていないと思う。

 

 

だから今日は彼女の背中をそっと押して前に進んでいけるように…まあそんな必要はないみたいだけどね。どこか吹っ切れて晴れ晴れとした表情の誠士郎とともにボウリングやビリヤード、カラオケなどいろいろ楽しめるラウンドワンという名のお店に帰り道立ち折るのであった。

 

 

「いいねーみかこし。」

「みかこしってなんだ?」

「なんでもなーい。」

「変な奴だな、まあいつもか。」

「こらっ!」

 

どこか中性的で落ち着きのある清涼感を感じさせるような歌声を満喫しながらカラオケで喉が枯れるくらいまで歌い続けるのであった。

 

あとはボウリングでアベレージ240をたたき出す彼女に対して戦慄を覚えたり。いつもボウリングではスコア勝負で賭けをしているのだけれど鶫とは勝算が垣間見えないので今度は少し控えようと思ったのだった。

 

 

「今日はありがとうな貴一!」

「いいよ。俺も楽しかったしお相子ってことで。」

「ならそういうことにしておくか。」

 

 

ハハっと笑う彼女はとても可愛いとは言えないな、なんだかこう…まぶしくてかっこよかった。なんでこいつこんなにイケメンなのか、スタイル抜群で女性らしい身体つきではあるけれどボディガードをやっているからかヒットマンだからなのか分からないが男よりも男らしい一面もまれに見せるのだ。

つまり妙な色気を兼ね備えているのだ上手くいえないけれど。

 

「私はそんなに女らしくないだろうか?」

 

それでもこんな質問されたとしても答えは決まっている。

 

「女らしいに決まってるじゃんか、なんでかは言わない。感じろっ!」

 

感じろといわれてもなんちゃわからん、たいていの人物にそう言われたものだ。

だが言葉ではなく大事なのは語感とインスピレーションなのだ!

 

こんな関係ないことを口走りながら今日は思いっきり羽を広げさせ新しい門出、新時代となる鶫誠士郎の1ページを刻んでいけたらいいななんておもうのであった。

 

まあごちゃごちゃ難しいことは考えずに今はただこのボールをコースに投げ込むことに意識を集中させるのであった。

 

 

 




久しぶり更新。
ニセコイは今後また気まぐれで書いていくかもです。

感想、批評待ってますね!



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