2度目の高校生活   作:くるぶしおかか

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忘年会シーズンですね。お金がかかる時期です。
早く帰省してゆっくりとしたいですね。

お年玉今年は何人に配るのだろうか。気になります。

では続きです。
感想、批評お待ちしております。



55話

「ほら朝ですよ。」

 

誰かに肩を揺らされながら耳元でこう囁かれて眼を覚ます。これが近頃の1日の始まりだ。そう、茶髪の女神?いや妖精みたいなこいつと付き合ってからというものの気付けば半同棲みたいな生活をしている。

 

結婚生活の前の予行演習ですわと指を差してオホホホとどや顔で言っていた万理花を懐かしむのであった。

ちなみに週に何日かここに泊まりに来ているのだ。特に曜日は決まっていないので完全に万理花の気まぐれでやってくるのだ。おちおちソロ活動に勤しむことが出来ないのが難点だ。ろくに優秀なおかずを探せていない状況、この状況が続くと死活問題にまで発展しそうな勢いがある。これはオフレコだからね。

 

部屋の合鍵を渡してあるためいつでもやってくるという訳だ。以前涼に合鍵を渡していたのだが万理花と付き合ってからはわざわざ返しに寄ってきてくれたのだった。

 

「ん~~~あと五分だけ寝かせて。」

「しょうがないですわね。あと五分だけですからね。」

「んんっ、さんくす。むにゃむにゃ。」

 

と、二度寝に移行しようとしていたのだが、

 

「っていうのはうっそ!起きなさーい。」

 

と、言いながらこちょこちょと脇とお腹をくすぐられて無理矢理起こされるのであった。安眠を妨げるとはこの悪魔めっ!とは口に出せないのだった。

 

「あひゃひゃひゃひゃ!ひどいよ母さん、今日は学校休みだぜ?」

「だ・れ・が母さんですか!というか今日は学校です。今日行けば夏休みですわ!」

 

そう、季節は流れて今日は一学期の終業式の日だ。明日から夏休みに入るという良き日である。

かつては夏休みといってもセミナーという名目で午前中は潰れ午後から部活動をしていた時とは違い、今は部活やセミナーもない小学生気分で夏休みを満喫できることに感謝だ。

もちろん大量の宿題はあるんだよ?だがしかし7月中に必ずすべて終わらせてみせる。これはもはや自分のルーツ、意地なのだ。読書感想文?そんなのなんぼのもんじゃい!自由研究はさすがに高校生の宿題にはない。かつてはどうでもいい自由研究を発表していたものだ。魚の骨がコーラや酢とか何が一番柔らかくなるとかくだらないことをしていた。今となっては随分と懐かしい、アサガオとかの観察日記もしていたような…。

 

「いやしかし早いものだな。」

「どうしたんです?」

「年を取るたび時間の流れをはやく感じるよ。」

「まだ10代なのにそれですか。そういえば今月貴一さんの誕生日でしたよね。」

「そうそう永遠の17歳になるわけか。」

「永遠な訳ないでしょうに。確か21日でしたよね?」

「多分そんくらい。」

「多分っておい。というか21日って明日じゃないですか!」

 

そう行って突然大声で話してくる万理花。

 

「わ!?急にびっくりさせんなよー。」

「あ、すみません。私としたことが…。これは至急…。」

「別にそう構えなくていいからさ。しいていうなら誕生日の日は一緒にいたいなあなんて。」

「ふふっ。そんなの当たり前じゃないですか!今日はもちろんみっちり付き合いますよ!」

「おうサンキューな、とうとう酒が飲める」

「訳はありませんわ。」

「ですよねー。ちぇっ。」

「どれだけ飲みたいんですか。もしや今もちょくちょく飲んでたり?」

「今は飲んでないよ。」

「今はってことは前に飲んでいたという事ですわね?」

「あっ…。」

「あっじゃないですよ!ダメですからね!」

「でも正月のお神酒とかあるじゃん。あれもお酒だぜ?」

「それはそれ、これはこれですわ!」

「便利な言葉だねー。」

「プレゼントどうしましょう…」

「プレゼントは万理花で。」

「なにを言っているんですの?頭でも打ちました?」

「おいおい。…そろそろ万理花さんをいただきたいのですよ。」

「私、美味しくありませんよ?」

「いや、すごく美味そうだ…。じゅるりと。」

「馬鹿なこと言ってないでさっさと朝ごはん食べて学校行きますよ?今日は午前中で終わりますし。」

「あいよー。お、この卵焼きの出来栄えすばらしい!」

「自画自賛ですか。では、いただきます。」

「いたがきます。」

 

 

そして二人で一緒に登校し、挨拶しながら教室に入り自分の席に着くと男子連中がわらわらとやってきた。

 

 

「なあ貴一。」

「ん?みんなどうしたよ、わらわら集まってさ。」

「実はよ…明日貴一の誕生日じゃん?それで野郎どもでプレゼント買ったのさ!」

「マジ!?わざわざありがとーな!」

『誕生日おめでとうクソ野郎!』

「クソ野郎は余計だよ。ありがとなお前ら!」

「それで、これがプレゼントなんだけどな、ほら楽!」

 

そう言って楽がなにやら大きな袋を持って目の前にやってきた。

 

「これがクラス男子でお金出し合って選んだプレゼントだから。誕生日おめでとうな!…だ、大事に使えよ!」

 

そう言っておどおどとしてプレゼントを渡す楽。どうしたのだろうか。

 

「使う?どんなのかわからないけどありがとうな。」

 

ちなみに今の自分の席は隣は男子で万理花とは離れてしまっている。

 

「なあ、ちょっと空けてもいいかな?」

「お、おう、まあいいけどこっそり見たほうがいいぜ。」

 

と、ひそしそと返事を返すメガネ。

 

「余計に気になるなあ…どれどれ。」

 

そしておそるおそる中身を確認してみると何冊かの本と長方形の箱が見えた。さてどんな本かなと、漫画本ばかりの自分の本棚に飾れるものか楽しみに中身を確認してみるとある意味お宝本だった。R指定のやつ、こいつらめ…。

顔を上げると満弁とにやにやとしている男子連中。

 

「全くお前らは…。」

「でもいいもんだろ?これでも必死に吟味したんだからな。」

「じゃんけんで負けた奴がレジに持っていくって罰ゲームでさあ。」

「なにそれ楽しそうなんだけど。俺も混ぜてほしかったわ。」

「それは残念。今度混ぜたるから。」

「約束だからな!」

「おう、それでしかもな…。その時のレジの店員さんは」

「若い女性だったのだ。」

「ほうほう…それでそれで?」

「一斉にみんなでじゃんけんしたんだけどさ」

「一回で楽がじゃんけんで負けて買いに行く始末。」

「ぶははっ!さすが楽さんもってますわあ。ってか一回でそれってすごいな、絶対打ち合わせしてただろ。」

「いやいやー、そんなことないさー。」

「お前ら!それにうるさいぞ貴一!すげー恥ずかしかったんだからな!」

「くくくっ、そりゃそうだろうな。ぷぷっ。まあちゃんと中身はしかりと全部読んでおくわ、今後のためにな。って、バカっ!」

「でたノリツッコミ。」

「あとはこの箱はって、…なんか見覚えあるなってお前ら!おいこら。」

「ん?どうしたのかな二見の旦那?」

「これ地味に高かったろ?」

「そうだ。高かったんだからな!」

「これもまた罰ゲームとかしたのか?」

「………。」

「またお前かよ楽!ププッ!」

「ちなみにこれは薬局で買いました。」

「別にその情報は聞いてないんだけどな。これ中々買えないんだよなあ普通のよりちょいと高いし。」

「ほうほうよくご存知で。ってまさか!」

『おい貴一!』

「いや、知ってるだけだから深い意味はないからね。それにしてないってしてない。…まだ。」

「まだっておい!」

「まあそういうこと、まさか誕生日プレゼントでこんなのもらうとは思わなかったよ。アハハハ!」

「でも嬉しいだろ?」

「ああ。大事に使うわ。ってばかっ!」

『もういいわ!』

「楽ってばこれが何かわからなかったんだぜ。」

「マジか。」

「う、うるせえよ。仕方ねえだろ初めてみたんだし。」

「中学生くらいになるといつの間にか知ってるんだよなあ。」

「あーわかるわ。部室にエロ本とか先輩が置いて帰ってたりしてそれ読んだりしてたわあ。」

「ちょ、お前。その単語はここで発するな。」

「あっちゃー。これは失敬。」

『ズコー!』

 

などど、野郎が集まってホームルームが始まるまで意味のない雑談を繰り広げるのであった。

その後万理花に、

 

「プレゼント何をもらったんですか?」

 

と、興味深深な表情で近づいてきたがこれは男だけの秘密ってことで中身は見せなかったよ。プレゼントの中身についてだが察してくれたら助かる。サガミがオリジナルでポリウレタンだとかそんな響きのやつだ。言い過ぎだって?今日だけのサービスサービス!誰得なのか不明だがとりあえずそういう事だからね。

 

それからなんと小野寺さんを含めた女子連中からもプレゼントをもらうというサプライズっぷりに感動で心が打ち震えていたよ。ねえ万理花さん、彼女が一番誕生日覚えていてくださいよーと口に出さないあたり自分の紳士っぷりが垣間見えているなぁなんて。

 

後輩組からももらいましたよ、ポーラからはアイスの当たり棒をもらったのでびっくりした。予想外すぎてまじまじ眺めていると、

 

「まさかこの棒を舐める気じゃないでしょうね!」

「バカかあんたは!だれがするか!」

 

と、変態な扱いの言葉を言われて誰が変態だよバーローと言い返したのは仕方ないだろう。

今日は終業式ということで学校も午前中に終わり、

 

「よっしゃあ夏休み来たコレ!」

「テンション高いですわね貴一さん。」

「そりゃあ当然よ。来年は受験生やから楽しめるとしたら今年くらいだしな。」

「バカみたいにはしゃいでいるように見えて先を見据えているとは中々大人ですわね。」

「バカは余計だよ。チビスケ。」

「は!?チビじゃないですわ!」

「そうじゃない。ちっちゃくないよ!って言う所だって。」

「ちっちゃく…って!誰が言いますか!にししし~。」

「うるさいぞ美也。」

「誰が美也ですか!帰りますよ。」

「へーい。じゃあな楽に集。また連絡するわー。」

『おう、じゃあなー!』

 

 

クラスメイトに別れの挨拶をしながら教室を二人並んで出て行くのであった。

 

 

 

 

「相変わらず熱々な二人ですなあー。」

「だな。でもなんかああいうのいいなあなんて。」

「小野寺とああなれたらみたいな?」

「ブふぉ!?」

「おい楽よ動揺しすぎ、ククククク。あ、お腹痛い。」

「集め。というかあのプレゼントは今更だけど…あれはなあ…。」

「まあいつか必要になるもんやしなあ。楽にはまだ早いから気にすんなって。」

「お前もまだ早いだろ。」

「くくっ、まあそうだけども。あ、そうだ。貴一って1人暮らししてるじゃん?」

「ああ、そうだな。それで?」

「万理花ちゃんよく貴一の家に泊まりに行ってるらしいよ。」

「恋人やし普通じゃないか?」

「お前桐崎さんとはニセコイの関係だけどそういうイベントあったか?」

「うーん、あんまりないかもそういえば。まあ偽者だしなあ。」

「でも、その関係も悪くないんだろ?」

「悪くはねえよ。」

「桐崎さんと小野寺。どっちの事が今好きなんだ?」

「いきなりなんだよ。いや、俺は小野寺一筋…あれ、なんでここであいつの顔が出てくるんだ!?」

「ハハハっ!まあたくさん悩むことだな若者よ。」

「全くなんだってんだよ、っていうか話脱線してるし。」

「確かに。話は戻るけど貴一ってさ。」

「どこか大人びてるよな。」

「そう、それ!」

「だからさもしかしたら…」

「大人の階段を登っていると?」

「いやエスカレーター?」

「どんだけ早いんだよ!いや、そっちの意味じゃなくてだな。」

「ちょっと何言ってるかわかんないです。」

「もしかしたらその可能性もあるわけで次会うときは師匠もしくは先生と呼ぼうと思うんだ。」

「やめたほうがいいと思うぜ。からかうと十中八九腹パンくらうぞ。」

「男には引けない、引くわけにはいかないときがあるんだ。」

「こんなくだらないことにこだわる必要はないと思うけどな。」

「下ネタとか猥談とか貴一大好きだもんなそういえば…。」

「あー懐かしいな。3人で家に泊まった時は本当にひどかったな。」

「あーあったなあそんなこと。でも楽しかったなあ。」

「だな。また夏休み集まろうか。お宝鑑賞会ってことで。」

「ひどいタイトルだな。あ、貴一からメールだ。なになに…。」

『おっ…』

 

メールに書いてあった文字は「今日男になります。bY貴一」と書かれていた。

 

「いや、元から男じゃんか。」

「そうじゃない、そうじゃない楽よ。」

「ん?」

「まあいっか。がんばれ貴一よ。」

「なんだ集。まるで戦場に赴く息子を見送る母親みたいな顔をして。」

「妙に具体的な例えをありがとう楽よ。」

 

と、本人がいないことをいいことにいろいろと語る男子二人なのであった。

 

 

 

 

場面は変わってこちら二見の自宅。万理花とともに帰宅しゆっくりとしていたのだが万理花が開口この言葉を告げる。

 

「実はこっそり誕生部プレゼントを用意していましたの。」

「な…ん…だと!?」

「いや、驚きすぎでしょ。」

「やるじゃん万理花。あやうく惚れ直す所だったわ。」

「惚れ直しはしないんですわね。これですどうぞ貴一さん、誕生日おめでとうございます。」

 

そう行って綺麗にラッピングされた箱を渡すのだった。

 

「ありがとう万理花。まだ誕生日にはなってないんだけどな。」

「細かい事は気にしないでいいでしょう。ほら開けていいですよ?」

「お、おう。」

 

綺麗に包装、ラッピングされた箱を丁寧に解いて開けていく。そして視界に入るのはコーヒーカップだと!?

 

「WEDGWOOD来たコレ!ありがとう!コーヒーカップ新しいの欲しかったんだよ!」

「喜んでもらえてよかったですわ。実は二つありまして1つは私が使うことになりそうですわ。」

「ちゃっかりしてるなー、でもペアってなんかいいね。」

 

コーヌコピア。上品で素敵なデザインでお洒落だねえ…。

 

「では、さっそく使いましょうか。」

「お?いいねえ…。」

「私がコーヒー淹れてきますわ。ホットですか?」

「もちろん、ブラックで。」

「ふふっ。かしこまりましたわ。」

 

そう言って台所に向かっていく万理花の後姿を眺めながら、今このなんでもない時間に幸せな気持ちを沸々と感じるのであった。

やっぱりコーヒーはブラックだよね。

 




とりあえずここまで。コーヒー飲んできます。

う~冷えるなあ。あと今年も2週間ないですね。
あっという間だったなあなんて。

感想、批評お待ちしております。

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