2度目の高校生活   作:くるぶしおかか

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では続きです。感想、批評お待ちしております。



52話

銀髪のヒットマンの後輩、ポーラとわかれてから、帰宅中にある人に電話をかける。

 

 

「もしもし今大丈夫?…うん、え、これから?了解。待ってるから。春ちゃんも来れそうなの?わかった。じゃあよろしくね。ではまた。」

 

ちなみに電話の相手は涼である。急遽これから春ちゃんと共に家に来ることになった。万里花との件の報告も兼ねて直接話しておきたいと思ったからだ。

後日でもいいよと提案をしてみたのだが今日行きますと決まったのだ。

 

二人が来るまでに軽く部屋を掃除したり夕食を作りながら来訪を待つのだった。しばらくすると玄関からピンポンと音が鳴り、覗き穴で念のために確認してみて後輩コンビだったので扉を開けて二人を招き入れる。

 

「こんばんは貴一先輩。」

「急にすみません貴一先輩。」

「いや俺も急に連絡したしね。おあいこだよ。ささ、入って入って。」

『おじゃましまーす!』

 

そして二人を部屋に招き、

 

「二人とも夕食食べた?」

「いえ、まだです。」

「私もー!」

「じゃあ食べていきなよ、パスタ作るから。」

「おっ!ありがとうございます!」

「じゃあいただきましょうか。」

 

三人分のパスタを作り最適の湯で時間すなわちアンダンテで仕上げる。あれアンダンテ、アルデンテだったかな、なんかそんな感じだったような気がする。響って重要だよね、そこに意味はあまりないのだけれども。

 

『いただきます。』

 

三人一緒に手を合わせて声を揃えて唱える。

 

「うん、美味しい!」

「さすがですね。」

「まあ簡単に作っただけだけどね。なら良かったよ。」

 

そしてパスタを食べながら雑談を交わしつつの食卓。途中で涼がこう一言切り出してくるのだった。

 

 

「それで話ってなんなんです貴一さん?」

「ですね、気になります!」

「実はね…昨日万里花に告白したんだ。」

「…ほうほうそれで。」

「え!?万里花さんに!?それでどうなったんですか!?」

 

そう言って興味津々な様子で返事を待つ後輩二人組み。

 

「…OKもらいました!」

「ほうほう、おめでとうじゃないですかあ。」

「貴一先輩おめでとうございます!」

「あ、ありがとう。…うん。」

「万里花さん悲しませたら許しませんからね。」

「貴一先輩やっぱり万里花さんのこと好きだったんですね。」

「うん、肝に銘じておきますので。うん、そうだったんだ。」

「あの、貴一先輩…。」

「どしたの春ちゃん?」

「私も…貴一先輩のこと好きだったと思います。どこか頼りになるお兄さんみたいな感じもあったけど異姓として好きでした。今更ですけどね、ハハハ。」

「春ちゃん…。ありがとうね。そう思ってくれていたなんて嬉しいよ。」

「春でいいですよ。これからも仲良くしてくれますか?」

「もちろん。自分でよければ。これからもよろしくね。」

「ええ。」

「まあ私たちは新しい恋でも探しますか、なんてね。」

「風ちゃん…。まあそんなところかなあ。出来るかわからないけど。」

「とにかく!浮気なんてしたらボコボコにしますから。」

「こわいよ涼、顔が。しないって絶対!」

「念のために指切りしますかお兄ちゃん。」

「だれがお兄さんだっ!」

「ノリわるいなーこの馬鹿兄は。」

「春も中々やるねー。イエーイ。」

「イエーイ!」

 

目の前ではしゃぐ後輩たちに翻弄されながら、いや違うな。振り回されながらも楽しい時間を過ごすのであった。

そして夕食を食べ終え少し時間が過ぎた後、二人はそろそろ家に帰るそうで、

 

「帰り送ろうか?」

「いえ、二人一緒に帰るので大丈夫ですよ。」

「そうだね風ちゃん!じゃあ貴一先輩また学校で!」

「うん、またね!おやすみー!」

『おやすみー!』

 

そう言って帰る二人を見送るのであった。

 

 

 

 

貴一先輩の家から出て帰宅中。やっぱり二人付き合ったんだね。まさか貴一さんがこんなに早く告白していたとはちょっとびっくりしたなあ。ちゃんと言えたんだねとどこか安心しました。隣には春がいます。するとこちらを見てこう告げてきました。

 

「ねえ風ちゃん。」

「どうしたの春?」

「なんなんだろうこの気持ち。万里花さんと貴一先輩が付き合うことは嬉しいことなのに…なんだか心がきゅっとしめつけられるよ。」

「そっか。そうだね、それが失恋ってやつだよ春。」

「そっか、これが失恋ってやつなんだ。」

「春、後悔してるの?」

「ううん。貴一先輩のこと好きになって良かったと思う。まあ今もまだ好きなんだけどね。中々切り替えなんてできないよ、やっぱり。」

 

そう言って言葉を発しながらも目元が少し涙ぐんでいる春の姿を視線に捉えると、おもわず抱きしめたくなった。だから勢いよく抱きしめたのだった。

 

「春~~~~!」

「ふぁ!?風ちゃん!?」

「いいんだよ我慢しなくて。」

「え?ん…グスっ。うわーーん!」

「よしよし春は良い子、良い子。」

 

そっと優しく頭を撫でていると段々落ち着いていく春。

 

「んんっ、ありがとう風ちゃん。なんだかすっきりしたよ。」

「そっか。」

「ねえ風ちゃん。」

「どうしたの?」

「付き合うってどういうことなのかな?」

「うーん、手をつないだり?」

「つないだり?」

「キスしたり?」

「キス!?」

「それから…。春にはまだ知るのははやいか。」

「えーーー。風ちゃん!」

「冗談だよぉ。そうだね…それからごにょごにょ…。」

「うんうん。え、え!?そんなことするの!?付き合うってそういうことなんだ。なんていうかすごいね!」

「そういうこと。」

「なんか…でもいいね、そういうの。いつか好きな人と出来るのかなあ…。」

「うん、春ならきっと出来るよ!だってこんなに可愛いんだから!」

「私って可愛いのかなあ…ありがとう!風ちゃんもね!」

「ありがと。まあ私は好きな人が出来るまで保留かなあ。あ、そうだ一条先輩はどうなの?」

「一条先輩!?ああ、あの人は…ないかな。それにお姉ちゃんが好きな相手だしね。」

「ふーん、そうなんだあ。小咲さんかあ~でも一条さんって彼女さんいるよね?あの金髪美人さん。」

「だよねー。彼女いる人にアタックできる性格ではお姉ちゃんないと思うんだけどね。」

「何か理由があるのかもね。」

「例えば?」

「いや、わかんないけどね。」

「もう、風ちゃん。ふふっ。」

「まあ…頑張っていきまっしょい!」

「おー!」

 

 

 

初恋、そして失恋。ここまでいろいろなことがあったけれど少しは前より成長できた気がします。身体的なことではなく精神的な面で。

 

「今日負けたことがいつか自分の財産になる。」そんな名言のある漫画を貴一さんの部屋で読んだっけかな。懐かしいなあ…。それにしても万里花さんうらやましいなあ…お幸せにね二人とも。

 

 

 

 

 

ある日の休日。私は今ある場所に赴いているのだが、

 

「貴一さん、そんなに固くならなくても大丈夫ですよ?」

「いや、なんか緊張しちゃってさ。」

「いいですか、本当に切羽詰まったときにこそ、適当でいいんですよ。」

「適当?」

「結果はそう変わらないならいっそ適当にやるくらいの方が案外うまくいったりするときがあるんですよ。」

「ふーん、そういうもんかねえ。わかった!ゆる~く構えていくか。」

 

首をコキコキと鳴らしながら身体の間接を解して腕をぷらーんと脱力する。

 

「そうですその意気ですわ。」

「ども。そういえば万里花の家に行くのすごい久しぶりだな。」

「そうですわね、いつも貴一さんの家ばかり行ってましたから。」

「1人暮らし万歳ってやつだしなぁ。よし、それじゃあエレベーターのボタン押すね。」

 

この高層マンションの最上階が丸々橘の家だからなあ。おそらく別荘もまだまだあるのだろうけれど。これだから金持ちは半端じゃないっすね。

 

「相変わらず、すごいところだな。」

「貴一さん見てください!人がまるで」

「ゴミのようだだろ?知ってる。」

「もうっ。最後まで言わせてくださいよ。」

 

そう言って頬を膨らませてプンプンとする相方を見ていると、なぜかリラックスするのであった。

 

「あえて断る。よし、着いたか。ふ~~~。」

 

まずは深呼吸。高ぶる気持ちを落ちつかせて万里花と共に玄関に入る。

部屋の奥にちょうど万里花の親父さんの姿が視界に入った。相変わらず迫力のある顔だなあ、ありゃ何人か殺ってそうだな。いや実際はしてないだろうけども。

 

「マリーば、帰ったか。お、二見のせがれもか。ゆっくりしていきなさい。」

「あ、どうもです。おじゃまします。」

「お父様!今日は大事な話があるんです!」

「ん?そうか、とりあえずこっち座って話聞こうか。」

 

親父さんに案内されて広いリビングでソファーに座り、隣に万里花、向かいに万里花のお父さんという配置だ。

 

「実はですね…。」

「お父さん!」

「だれがお父さんだ。」

「あ、すみません。実はですね先日から万里花さんとお付き合いさせてもらっています。」

「ほう…それはよか。…マリーは強か女ぞ。」

「ええ、よくわかってます。お付き合いしたということで一度ご挨拶をと。」

「そうか。マリーばよろしく頼むぞ。」

「はい!もちろんです!」

「んで、式はいつ挙げると?」

「お父様気が早いですよ!」

「18歳にならないと結婚式挙げれませんね。」

「貴一さんそうじゃないでしょう。」

「え?」

「二見君、君さえよければ婿に来るばい。」

「自分でよければ喜んで!」

「貴一さん!?気が早すぎますよ!」

「いやーでも本心だよ?」

「貴一さん!?」

 

 

そう言って顔を真っ赤にさせながらテンパる万里花。親父さんの前だというのに気にならないのだろうか。

 

「ハハハハハ!マリーばそんな顔久しぶりに見たばい!」

「もうお父様!」

「マリーのこと頼んだぞ。今まで色々万里花には縁談とかあったが全部断っておくけ安心せい。千佳にも話通しとくけ。」

「お母様…。」

「さすがお嬢様。縁談とかあったんだ。」

「まあ関係ないですけどね。」

 

そう言って優しく微笑む姿を見てちょっと見蕩れていたのは内緒だ。よし、あの台詞を言ってやるぞ、心に決めたぜとっつあん。

急に立ち上がり声量を上げてこの言葉を送るのだ。

 

 

「お父さん!娘さんを僕にください!」

「お前に娘はやらん!」

「ぷっ。」

『ハハハハハ!』

「いやー一度こういうのやってみたかったばい。」

「ぼくもです。」

「なんなんですのこの男達は。打ち合わせでもしてたんですの?」

「いえ、全く。まあそういうことなんで見守ってもらえたらと思います。」

「ああ、もしマリーば傷つけたらわかっとるな?」

「は!はい!心得ております!」

「ぷぷっ、貴一さんウケますわ。ププッ。」

「万里花め。」

「そうだ今日はここでご飯食べて帰んね。」

「いいんですか!?やったー!」

 

おもわずガッツポーズをしてしまった単純な私。

 

「別に今日泊まってもいいんですよ貴一さん。」

「そういえば以前からマリーば君ん所に泊まり行ってたけども、健全な付き合いしとるわな?」

「もちろんです清く正しく美しくが私のモットーですから。」

「アハハハハ!なにそれー、おかしいですわ!改めて考えてもそれはないですわ!」

「万里花笑い過ぎやって。」

「くくく。せっかくやけ今日は泊まっていきなさい。」

「いいんですか!?じゃあお邪魔します。」

「本田に着替えなど用意させるけ。ゆっくりしていきなさい。」

「わざわざすみません。」

「ではお父様、私たちは部屋に戻りますね。行きますよ貴一さん。」

 

そう言って手を引いて誘導する万里花。

 

「お、おう。では親父さん。また。」

 

そう言ってリビングから移動して万里花の部屋に入ってまずは一息深く深呼吸をする。

 

「ふぁあ~~緊張したあ。」

「そうはあまり見えませんでしたけどね。」

「いやいや~。それにしても相変わらず広い部屋だな。」

「そうでしょう、このベッドなんて特に。」

「でかいな…。おもわずダイブしたくなるくらいに。」

「お風呂入ってからにしてくださいよ?」

「わ!わかってますよぉ~。」

「なんか今日お泊りになりましたね。」

「まあ恋人だし別に普通じゃない?」

「そうですわね。ねえ貴一さん。」

「ん?どうした?」

「…したいです。」

「えー昨日もしたばっかじゃん。えー。」

「意地悪しないでくださいよぉ。」

「可愛いやつめっ。このこの~!」

 

そう言って万里花の頭をわしゃわしゃと撫でる。

 

「もうっ!」

 

なんとまあ可愛い反応をしてくれるのだか。

 

「でもさ昨日ので腰とか筋肉痛なのだが。」

「誤解を招く言い方はやめてくださいまし!そこまでしてないでしょう!」

「ですよねー。」

「ほら、いきますよ?」

「俺の彼女がこんなに可愛いわけがない。」

「急に何言ってるんですか?やっぱり頭打ちましたか?」

「ハハハ大丈夫だって。それにしても万里花がまさかキス魔になるとはね。」

「だれのせいですか、だれの。」

「私でしたね。」

 

そう言って二人、目をつぶりそっとキスをしてお互いの唇の感触を堪能しつつ、途中から舌を混じり合わせお互いの体温をじかに感じながらしばらくちょっとした効果音をたてながら甘い時間を過ごすのであった。時に優しく時に激しく無我夢中になっていたのは仕方がないだろう。

 

キスは一見気持ちのよい行為だが、口内の菌を交換してしまい免疫力が低下した際にしてしまうと後々体調を崩す可能性があるとかないとか。そんなことは全くもって脳内にはなく、ゆっくりと抱きしめながら二人だけの時間を過ごすのであった。しばらくして唇を離してぷはぁっと声をたて、万里花にどや顔でこう告げるのだ。

 

 

「ふふっ。これが大人のキスよ万里花。」

「いや誰ですか。…ふぅ。」

「俺様の美技に酔いな!」

「あなたに跡部様はハードル高すぎて草生えますね。」

「知ってる。…ま、まだまだだね。」

「なにそれ。その顔マジいらっとしますね。」

「えーー。」

「貴一さんは本当に変態なんですから。」

「いや、いつもしたがるんは万里花からやし。」

「そ!そそそんなことないです!」

「ふ~~ん。」

「そのにやにや顔やめてくれません?」

「む・り。」

「こいつっ。」

 

そう言ってまたキスをせがもうと身体をこちらに傾けてくる万里花。

口元にそっと指を当ててストップさせて一言。

 

「もうすぐ夕食だから、また後でね。」

「むむむ。し、仕方ないですわね。」

「よしよし良い子良い子。」

 

そう言って優しく小さい子をあやすように撫でると、

 

「こども扱いしないでくださいましっ。」

 

と、ジト目でこちらを覗いてくるのが日課になりつつあるのであった。

 




あまり話が進んでいないという。
とりあえずここまでです。

感想、批評お待ちしております。
次のジャンプが楽しみでありんす。


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