更新できなかったよちくしょう。
とうとう自宅で暖房解禁に。サムスンサムスン。
では続きです!
感想、批評お待ちしております!
「わぁー先輩の匂いだー!きゃー!」
と、隣で馬鹿みたいにはしゃいでいる可愛い女の子は彩風涼15歳。ぴっちぴちの女子高生だ。表現が古いだって?答えは聞いてない。今は自分の愛用のグレーの上下のスウェットを着用している。サイズが合わなくてちょっとだぼだぼとしているのが、なんだか小動物っぽくて可愛いなぁなんて思ったり。
今日帰宅中に偶然会いそのまま急遽家に泊まる事となったのだが、さっきまで一緒にお風呂に入ったばかりということで妙に意識してしまっている。あの艶やかですらりとしたボディを思い出すとまたうっかり鼻血が…おっと、何も考えないようにしよう。そして横で衣服をくんくんと嗅いでいるのだこの子は、もしかして変態さんなのだろうか。
「あんまり嗅がないでよ、なんか恥ずかしいから。」
「にしし、だが断ります。」
「むむ。まあ…いっか。」
「そうそう人生諦めが肝心ですよ。」
「何言ってんだか。」
「馬鹿言ってんじゃないよ~」
「馬鹿言ってんじゃないわ~」
「いや、古いし。風ちゃんなぜ知ってるし。」
「名曲じゃないですか。」
「まあ、そうだけども。」
それからまったりと二人でテレビ番組を見ながら適当に雑談をしたりお互いに身体をマッサージしたりと有意義に時間を過ごすのであった。
「じゃあそろそろ寝ようか。」
「ですね。」
「じゃあ布団持ってこよっかなと。」
「いえ、その必要はないでしょう。」
「ん?それはつまり…」
「そういうことです。」
「まあプラマイ…プラかな。」
「ふふっ、なんですかそれ。」
「なんでもないさあ。さあどうぞ。」
まず先に自分がベッドに入り、布団をめくり風ちゃんを招き入れる。すっとするすると横に入り川の字の体勢になっている。
「失礼しま~す。こうしてるとなんかどきどきしますね。」
「だね。どきがむねむね~。はいじゃあ電気消すよ~。」
「うわあ適当だー。はーい!」
「あれがデネブ、アルタイル、ベガ。」
「そう君が指差す夏の大三角って、ばかっ。」
「ふふ、残念そこはただの天井でしたと。」
「そりゃ何も見えないよ。意味がわからないよってやつだな。」
「ですね、ねえ貴一先輩。」
「ん?どしたん風ちゃん?」
「私のことは涼と呼んでください。」
「え?ん…おっほん!んんっ!す…涼。なんかこそばゆいな。」
「ふふっ、何かこう名前で呼ばれるとこうなんか照れますね。」
「このこのー照れてんのこかこのやろー。」
脇腹を指でつついてからかってみると「ひゃ!?」っとビクンといい反応を見せる涼。こいつの反応可愛いなあなんて思いながら遊んでいると身体をこっちに翻して来て上にもたれかかるような体勢になった。
「風ちゃん、重い。」
「風じゃなくて涼ですよ。あと、重くなんてありませんそれは幻想です。」
「その幻想はぶち壊そうと思ったけれどやっぱりやめとくわ。」
「なんですかそれ、ねえ貴一さん。」
「どしたよ、そう改まってさ。」
「私ってスタイル良いと思いますか?」
「最高ですっ!…ハッ!?しまった!」
「ふふふ、ありがとうございます。もう…先輩可愛いなあ…」
「年上をからかわないの。」
「ついですよー。あ、思ったのですが先輩は私のことどう思ってるんですか?」
「急にどうしたよ。そうだな…。年下の無垢な可愛さと、まるで年上のように振舞う小悪魔さを持ちながらスタイルもよく魅力的で妙な色気を持っていて、性格もおっとりしていて気配りもできて一緒にいて自然でいられて楽しいとかかな。」
「妙に具体的に言ってくれて嬉しいですね。ベタ褒めじゃないですかぁ。」
「まあ正直に言うとこんな感じになるわ。逆に涼は俺の事どう思ってるの?あと、さっきから腰をカクカクしないでね、絶対わざとだろうけど。」
「うーん、なんのことかわからいなあ…わぁいやらしい。」
「こいつめ、まあそういう所も嫌いじゃないんだけどな。」
「なんですかそれ、もしかして口説いてるんですか?」
「さあねい。てか茶番はいいから答えなよー。」
「仕方ないなあ。もう先輩は欲張りさんなんですから。」
「いらっ。」
「ふふっ、冗談ですよー、」
そして少し言葉を発するのにタメをつくって、何かを決意したようなきりっとした表情でこう告げたのだ。暗くてよく表情が伺えないのだけれども。
「そうですね…貴一さんはとんでもない人です。」
「ふぇ!?」
「スケベで、変態で、ロリコンで、それにエッチで、でもお人好しで、お節介で、鈍くて理不尽で優しくて、いつもいつも私の心を惑わせて」
「…そんなあなたのことが好きです。」
自分の上に覆いかぶさりながら胸の内の気持ちを打ち明ける涼。まさかこうやって直接好意をぶつかられるなんて思わなかった。真っ暗な部屋でその言葉を発している表情は良く見えないけれどきっと…。こうして本音で打ち明けてくれたのだから誠意を持って応えよう。ありのままの自分の気持ちを。
「ありがとう涼、本当に嬉しいよそう思ってくれていたなんて。」
おもわず即答で返事をして僕もだよと衝動で言いかけそうになったが突然脳裏に映ったのは万里花の笑顔と今まで過ごした思い出だった。確かに風ちゃんのことも可愛くて魅力的で好きだと思うし、春ちゃんの元気で純粋な笑顔も好きだ。でも、きっと自分の心はいつしか万里花で満ちていて、自分のことは鈍くないなんて思っていたけれどそんなことはなかったみたいだ。結局誰かに好意を向けられて初めて自分の本当の気持ちに気付けたのだから。
「ありがとう。こうして打ち明けてくれて。でも他に好きな人がいるんだ。涼のことも好きだよ。でももっと好きな人がいるんだ。優柔不断な奴だと思って罵ってくれてもかまわない。でも自分の気持ちには嘘はつけないから。ごめん。」
「…私じゃダメなんですか?」
そう言って胸に向かって力弱く震えながらポンポンと叩くのだった。
「…ごめん。」
「私、裸見られたのに…。」
「ごめん。」
「ぶちころしますよ?」
「ごめん。」
そう言って弱弱しく震えながら言葉を発する涼。これ以上辛そうな表情は見ていられない。こうなったのは自分のせいだから。身体を起こしてぎゅっと力強く抱きしめる。ああ最低だよなあ俺って。
「ごめん。今までいろいろ恥ずかしい思いもさせたと思う。殴ってくれてもかまわない。ってグハッ。」
お腹になかなか重たい、いいパンチがはいった。まさかこんなにいきなりもらうなんてびっくしたよ涼。
「先輩は馬鹿です。こんな良い女を振るなんて。」
「ああ全くその通りだよなあ。」
「先輩の変態、スケベ、女たらしっ。」
「うん。そうだよね。」
「それでもそんな貴方に惚れてしまったんですけどね。」
「涼…。」
「ちょっとすみません。胸をお借りしますね。んっ、ぐすっ、」
自分の胸で小さく泣きながら腕に包まれている涼。今はなにもしゃべらずに落ち着くまでそっと背中を撫でながらしばらく過ごすのであった。
こうして傷付けてしまい泣かせてしまうなんて全く自分はひどい奴だよな、なんて考えながら、でも自分の気持ちには嘘はつけないと自問自答しながらそっと抱きしめるのであった。。
「すみません貴一さん。もうだいぶ落ち着きましたから。」
「うん、…そっか。」
「結果は残念でしたけれど告白したことに後悔はありません。もしかして先輩の好きな人は万里花さんですか?」
「…うん、そうだよ。」
「そっかあ、やっぱり敵わないなあ…」
「やっぱりわかっちゃうか。」
「いつも一緒にいましたもんね。ねえ貴一先輩ひとつ我侭を聞いてもらっていいですか?」
「うん。いいよ。」
「少し、眼をつぶってもらっていいですか?」
「そんなこと?うん、わかったよ。」
そして、眼をつぶって数秒後に何か唇に熱っぽい感触が広がってきた。頬に流れる雫はおそらく涙なのだろう。しばらくそのままそっと触れたままの優しいキスをされるのであった。
「すみません我侭聞いてもらって。初めての相手は先輩でいたかったんです。」
「いやいや俺が傷つけてしまったし。お願いなら出来る事ならかまわないよ。」
「すみません…もう一回してもいいですか?」
「お、おう。もうラストだからね。とまらなくなって流れに身をまかせて傷つくのは結局、涼なんだから。」
「わかりました。では…。」
そう言ってまた眼をつぶり、唇にまた感触が、優しいキスだったのだが、いきなり勢いよく唇の間に舌が入り、口内を掻き回していく。情欲に身を流されそうになりそうだった、理性という名の壁がいざ打ち破らんとなっていたのだが何とか耐えることが出来た。きっと涼は少し自暴自棄になって勢いに身を任せているのだろう。歯止めが利かなくなって後々後悔するのは彼女だ。だからきちんとブレーキをしなくてはと考える。
「んっ…ん。ん!?」
「んっ、貴一先輩ぃ、んっ…ぷはっ。」
「んっ、もうダメだよ、風ちゃん。」
「んっ、んんん?私としたことが。とても気持ちよかったのでつい…。」
「俺の初めてのキスが…。」
「あれ、貴一先輩初めてだったんですか?…コホン。んっ、お前の初めてのキスは万里花ではない!この涼だ!」
「ぷははっ!なんだよそれ、おっかしいなあ。」
「ふふっ、なんだかすっきりしました。」
「そっか。なら良かったよ。」
「後々後悔するでしょう、こんな良い女を振る事を。」
「ああ、全くだ。俺にはもったいない女性だよ。本当に。」
「罪な人ですね先輩は。まあ貴一先輩が振られた時は缶コーヒーくらいおごりますよ。」
「なんだそりゃ。まあ、その時はおごってもらおうかな、。まあないけども。」
「へー、自信あるんですか。自惚れですね。」
「なんかあれだね、一気に遠慮がなくなった感じというか。」
「まあこうなったのは先輩のせいですから。」
「でも、こういう涼もなんかいいかもな。あとありがとうね。俺のこと好きでいてくれて。」
「もう過去のことですよ。」
「なんだかなー。」
「初めは先輩のこと警戒してましたけどね。」
「えーマジ?そんな風に見えなかったけどなあ…。」
「わたしの春を毒牙にかけたんじゃないかって思ってましたから。」
「ゆるゆりかな。そんな風に見えないでしょう、ほらどっから見ても紳士だよ。うん。あれ違う?違うのかなあ…。」
「紳士とかそれはないわー。」
「えー、涼さん毒舌すぎんよ。」
「自分の気持ちも曝け出しましたから今更恥ずかしがることないですしね。」
「強い子だな…。」
「もうあれですよ、貴一先輩もフラれちゃえって思うくらいしたたかですよ。」
「おいおいなんだそりゃ。」
「でもまあ…これからも仲良くしてくださいね先輩。」
「うん、これからもよろしくな。」
「まあ先輩の初めての相手は私ですが。」
「なんかいやらしく聞こえるから人前で言わないでよね。」
「うーん、どうしよっかなー。」
「おいおい。」
「じゃあそろそろ寝ましょうかね。」
「だな。やっぱり横に布団敷く?」
「いえ、手間ですしこのままでいいですよ。今日は慰めてもらわないと明日からきついよー、うわーん。」
「そこまで言えるなら大丈夫でしょう。おやすみ涼。」
「ええ、おやすみなさい貴一先輩。」
部屋の暗さにも慣れてきて横にいる涼のうっすらと表情が見えたのだが少し涙を流しながらもどこかおだやけかで自然な笑顔だったような気がする。
人が誰かを好きになる感情はとても素敵で綺麗なものばかりではなく辛く悲しいこともあったり、人を弱くしたり強くしたり様々だ。そんな言葉を並べたところでひよっこの自分には到底把握なんてできないだろう。
ひとまずわかることは私二見貴一は橘万里花のことを愛していると。こう自覚してあいつの前に出て普段どおり接することが果たして出来るのだろうか。
こんなことで悩むなんて思春期かよ。年をこれでもそこそこ取ってきた、時間もそれなりに過ごしていて精神年齢はそれなりだと思っていたのだけどな。まるで…初恋のようなそんな気分だ。
「これが恋…か。」
「先輩、何か言いました?」
「いや、なんでもないよ。」
「ふふっ、変な人ですね。あ、いつもか。」
「こいつは…全く。」
そう言って隣の可愛い顔の額を軽く小突いて夢の世界に飛び立つのであった。
「もう寝ましたか。綺麗な顔してるだろう、寝てるんだぜ?って何言ってるんだろ私。あ~あ、ふられちゃったか。やっぱり万里花さんには敵わなかったか。でも先輩のこと好きになって良かったです。いろんなことに気付けたし成長できました。先輩との日々は楽しくて新鮮で…でもやっぱりせつないなぁ。うん、やっぱり好きだなあ、諦めきれるかなぁ。」
そう言って横で寝ている貴一先輩のおでこに軽く口付けして就寝するのであった。
とりあえずここまで。
なかなか難しいなあ…
これが若さか。
感想、批評お待ちしております。