いぬやしき、シドニア新巻きたこれ!
なんやかんや9000文字近くに。
今までで一番長いという…
では続きです!
感想、批評お待ちしております。
それはある日の学校での休憩時間のことだった。
「ねえ、二見君。私、最近太ってきたと思う?」
そう、自分の席に座っている私の耳元で小さな声でしゃがみながら唐突に身体のことを聞いてきた小野寺さん。ここで紳士なら「そんなことないよ。」と爽やかに返事をするのだろうが、この私は一味違うところを見せてあげましょう。
エンターティナーとしてゆずれないものがあるのだ。
「うーん、普段別に小野寺の身体をじっくり見ていないしなぁ。」
「あれ?なぜかいかがわしく聞こえるんだけど。」
「そう思うあなたがいかがわしいのです。まあそれは置いといて。」
「どう…かな?大丈夫かな?」
「いや充分細いと思うけど。むしろもっと食べろっていいたいくらい。」
「そうかなあ!良かったぁ。」
不安そうな表情から一転してパッと周りに背景に華を咲かせそうな笑顔を見せる。
「ねえ念のために、ちょっと触っていいかな?」
「ふぇ!?…い、いいよ。」
了承をもらったのでお腹周りをふにゅふにゅと触ってみる。少し調子に乗って軽くつまんだりして遊んでみる。途中に「ひぅ…!」なんて擬音語が頭上から聞こえてきたが特に気にしないことにするよ。
でもここで安心させるのは楽の役目の気もするなあ、反応も面白そうだしなとつい悪戯心に目覚めてしまいお腹の感触を確かめながらこう告げるのだ。
「うーん、でもこう触ってみるとちょっと気をつけた方がいいかもな。」
「やっぱり!?」
「ぽいーー、まあそんな気にすることないさあ。」
そして席に座りぐ~~~とお腹の音を鳴らしたりするのをゲホゲホと咳をしてごまかす姿を可愛いなあなんて遠めに眺めるのであった。終いにはお腹をドスドスと突きお腹の音を無理やりに止めようと懸命に頑張るいじらしい小野寺さんであった。
「貴一さん。さっきは小野寺さんに何をしていましたの?」
「ん?万里花か。ん…眼だけが笑っていないような…何か顔がこわいような。」
「ふふふ、気のせいですわよ。」
「いやあ、小野寺がね最近体重のこと気にしてるらしくてさ、大人の対応をしてたのさ。」
「そうなんですの。でもお腹を触る必要はなかったのでは?」
「そこはあえてね。確認って大事だと思うのだよ。」
「ものは言いようというわけですわね。」
「じゃあ万里花のお腹周りもチェックしようかなー。」
そう言ってにやにやとした顔で手をわきわきとさせるのだが、キッ!と睨まれて
「そうはさせませんわっ!!」
と、威嚇して身構えてくるのであった。
「クフフ!」
「フフフ!」
「なあ万里花、今日放課後時間ある?」
「ん?大丈夫ですけどどうかしたんですの?」
「こないだ言ってた遅めの誕生祝いさしてくれや。」
「お!良いんですか!?」
「もちのろんさ。駅前に新しいケーキ屋さんが出来たらしいんだ。そこ行こうぜ!」
「そうなんですの!?良いですね!」
「あそこのモンブラン食べたかったんだよなー。」
「ふふふ、甘いものお好きなんですの?」
「まあねい、たまに食べるからいいんだよ。」
「いつもブラックコーヒーばかり飲んでますから、あまり甘いのは好きじゃないかと思ってましたわ。」
「時々変り物を入れていくのが大人なのさ。」
「ちょっと何言ってるかわかんないです。」
「せやかー。」
「せやな。」
そういえば小野寺も誕生日が6月だったような…前に春ちゃんが言っていたような気がする。春ちゃんと協力して誕生日サプライズとかもありかもしれないなあ。去年は知らなくて祝えてなかったしなぁ。
時間も夕方になり授業も終えて万里花と二人並んで下校中だ。そして駅前のケーキ屋さんにあっという間に到着した。最近オープンしたばかりということで中々の行列となっている。
「ここが新しく出来たケーキ屋さんですの?」
「そうそう。どれどれ…ほうほう…中々賑わってますなあ。」
「ですわね!楽しみですわ!」
注文の順番待ちをして、ようやくレジ前に到着。
「大変お待たせしました。ご注文はお決まりですか?当店でお召し上がりますか?」
「はい!」
「好きなの頼みなよ万里花。今日は俺のおごりさ。」
「ありがとうございますね。じゃあ私はこのショートケーキを。」
「じゃあ自分はモンブランで。飲み物はアイスコーヒーとミルクティーでお願いします。」
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ。」
「ケーキと飲み物持っていくから先に席を取っててくれな。」
「了解ですわ!勤めを果たしますわ!」
「なんだその口調は。じゃあまかせたね。」
「はーい。」
そしてケーキと飲み物をカウンターで受け取り万里花が取っておいた席に向かう。
「おまたせっ!」
「乙です。それじゃあ早速…。」
「ちょっと待ちなお嬢さん。先に言わせてくれ。遅くなったけど誕生日おめでとう万里花。」
「ありがとうございます!」
「まあプレゼントとかはないんだけどな。」
「ふふふ。そこまで欲張りではないですわ。その気持ちだけで嬉しいですよ。」
「金持ちだもんなあ万里花の家。」
「否定はしませんけどね。」
「じゃあケーキいただきますか。」
「ですね。」
「君の瞳に乾杯。」
「は?」
「なんでもないです。それじゃあ…」
「「いただきます!」」
さて、実食です!
「うん、甘かっ!モンブラン甘ッ!美味いけど甘ッ!」
「モンブランですもの。甘いに決まってますよ。」
「だよなー、万里花のケーキも美味そうだな…。」
「ふふっ、じゃあちょっと食べます?はい、あーーーん。」
そう言ってケーキをフォークでさしてこちらの口元にケーキをそっと運んでくる。これはあれじゃないか!カップルがよくやるはい!あーんってやつじゃないか、こう人目のある所で出来るのか!?いや、多分誰にも見られていないはずだ、きっとそうだ!そう思い込むんだ!見られているなんて思うのは自意識過剰ってやつだぜ。
「あーーん。」
パクッと口元に運ばれたケーキを口に含む。
「う、美味い。」
「そうでしょう、フフっ、どうしたんです顔を赤くして。」
「いや、なんていうかねえ…万里花も俺の食べるか?」
「良いんですの?」
「もちろん!お返しさ!はい、あーーーん。」
そしてモンブランにフォークをさし万里花の口元にケーキを運ぶ。ちょっと悪戯しようかな。パクってする瞬間にフォークを少し引いてかわす。空振りに終わって間の抜けた表情の万里花は可愛すぎて鼻血が出そうだったよ。
「もうっ!貴一さんってばっ!」
頬を膨らませてプンプン怒っている。
「ごめんごめん、次はしないから。はい、あーーん。」
「はむっ、甘!でも美味しいですわね!とういかこれって…」
何かに気付いたのか顔を真っ赤に染め上げてテンぱる万里花。
「こここここ、これって!!」
「どうしたよ万里花。とりあえず飲み物飲んで落ち着こうか。」
「は、はい…。」
「わかるぜ万里花。食べ比べって恥ずかしくなるよな。バカップルかよって。」
「そそそそうですわね!!こ、これって、か、間接…。」
後半ちょっとぶつぶつ言っていて聞き取れなかったのだがまあいっか。これってあれだよな間接キスってやつか。こどもじゃないので特に気にしない私。飲み物とかも誰が口をつけたかどうかなんて特に気にしないタイプなのだ。決してぺろぺろしたりする変態仮面とかではないのでそこは強く言っておきたい。
そしてケーキを食べ終えて店から出る。
「今日はありがとうございました貴一さん。」
「まあ俺もここに行きたかったし丁度良かったしな。」
「ふふっ、そうですか。では、また学校で!」
「ああ、じゃあまたな!」
そして万里花と別れて家に帰るのであった。
今日の夕食は何にしよっかなーなんて考えながらいつもお世話になっているスーパーで買い物に。どうしようかなー卵がなくなってたから買わないとな。卵といえばそうだな…そうだ!今日は親子丼にしよう!天つゆもなくなりかけてたよな確か。鶏肉~。
「貴一先輩っ!」
後ろから女の人の声が聞こえてきたぞ、はてどなたかなと振り返ると
「ん?風ちゃんじゃん。ここで会うとは奇遇やね!」
「ですね!ちょっとお菓子を買いに来てました。」
「お菓子て。ぷぷっ。」
「そこ!なんで笑うんですか!」
「いやあなんとなく。」
「もうっ。今日は先輩1人なんですか?」
「たいてい、いやほとんど1人なんだけどね。」
「いっつもだれかといると思ってましたよ。万里花さんとか。」
「そんなことないさあ、1人暮らしライフエンジョイしてまっせ。」
「ハハハ!そ、そうですかぁ、じゃあ今日お邪魔しよっかなぁなんて。」
「ふぇ!?マジ?」
「マジですよー。ダメですか?」
「いやいや良いけどさ。掃除出来てたかなあ…。ちょっと先に確認させてね。」
「Hな本でも散らかってたり?」
「違うからねっ!あ、そうだ良かったら夕食食べて帰る?」
「いいんですか!?」
「もちろん。まあ親に連絡入れた方がいいんじゃない?」
「そうですね、連絡しておきます。今日は先輩の家に泊まるので帰りませんって。」
「ぶっ!!内容変わっちゃってるよ。」
「まあ、言うだけ言ってみますね。…もしもしお母さん。えっとね…うん…わかってるって…はーい。OKもらいました。」
「それでいいのかお母さんっ!」
「言質は取りましたよ。」
「なぜに、したり顔なのかな、可愛いからいいけど。」
「ふふふ、パジャマとか借してもらっていいですか?」
「ええよー、制服もすぐ洗濯して乾燥機かけたらいいでしょう。」
「ですね!それじゃあお邪魔しまーす!」
「ちょっと五分だけ待ってね、軽く部屋確認するから。」
とりあえず先に部屋に入り状態を確認。最近掃除がおろそかになっていたので慌てて綺麗に片付けたり、パソコンの検索履歴を消去したりと小細工をしながらファブさんを周りに拭きかけて室内の香りをよくしたりした。
「すまんね待たせて。どうぞ。」
「お邪魔しまーす!」
そう言って風ちゃんを玄関に迎いいれる。
「普通にお部屋綺麗じゃないですかー。あ、ファブリーズの香りだ。」
「やっぱわかるよね。荷物預かるよ。」
「どうもです。」
「ここにまとめて置いておくから。とりあえずゆっくりくつろいでてや。飲み物は自由に冷蔵庫のやつ飲んでいいからさ。」
「はーーい!」
まずはご飯が炊き終わるまでにある程度の作業を済ませようか、親子丼とサラダ、たこわさと汁物。これでいいや。
「風ちゃんお待たせ~!」
「なにからなにまですいません!」
「いいよお客様なんだから。」
「それでは…」
「「いただきます!」」
「貴一先輩って普通に料理できるんですよね。」
「まあ1人暮らしももう1年ちょいになるからね。さすがに慣れたよ。」
「ですよねー。親子丼美味しいです!」
「なら良かったよ!」
「「ごちそうさまでした!」」
「じゃあ後片付けは私にさせてください!」
「いいの?」
「はい!貴一先輩はゆっくりしててください。」
「ほーい。まあお風呂だけ洗っておくか。じゃあまかせたよ。」
「はーーい!」
そして、皿洗いなどを風ちゃんに任せてその間にお風呂掃除をしたり、コーヒーを飲んでゆっくりくつろいでいた。
「ふぅ…終わりました。」
「ありがとね風ちゃん。後でお風呂先に入っていいからね。」
「やったー!!」
「何その反応、可愛いなおい!」
「知ってます、なんてね。あ、そうだ貴一先輩ちょっと勉強見てもらっていいですか?」
「ええよー、役に立てるかわからんけどね。」
ということで風ちゃんの家庭教師に今日だけなることに。
「数学なんですけど…。」
「数学ならいけるぜ!ほほう、どれどれ…。ここはこうかなあ。」
「なるほど、ありがとうございます貴一先輩。」
「先生と呼びなさい彩風さん。」
「はい先生!」
「よしよしよく出来ました。」
そう言って風ちゃんの頭を優しく撫でる。
「えへへへ。」
「あと分からないところはありますか?」
「そうですね、こことか…。」
「ここはこのように。うん。じゃあ使う公式が同じだからこれ解いてみて。」
「おーーなるほど!よし、やるぞー!先生ありがとうございます!お礼にお背中流しますよ?」
「ハハハ、お礼はいいよ。彩風さんの成績が上がることが一番だからね。」
「先生のガード固いなあ。次のテスト結果は期待してくださいね。」
「期待してるよ。うん。この口調疲れたな元に戻るぜ!」
「家庭教師プレイは終わりですか?」
「プレイて。なんかいかがわしいな。」
「ですね。そろそろお風呂入りますか。さあ行きますよ貴一先輩!」
「せやなー、って、ばかっ!」
「えーー、どうしたんです貴一先輩?」
「あれおかしいのはこっちなのか。」
「ほら!いきますよ!」
そう言って自分の手をとり脱衣場に向かって連れていかれるのであった。」
「あーーーれーーー。」
「じゃあ貴一さんはこのハンドタオルで目隠ししてください!」
「なんでだよ!」
渡されたタオルを床にパンッと軽く叩きつける。
「えーー。」
「じゃないよね!目隠しして転んだら危ないじゃないか!」
「そこですか!?」
「そこ大事でしょ。目隠しは却下ね。」
「むーー。」
「一緒に入ろうなどと無理することないさ。恥ずかしいでしょ?」
「ふふふふ言いましたね。あまり私をなめないでくださいよ!私の戦闘力は…」
そう言って制服をがばっと脱いで下着姿になる風ちゃん。オレンジ色の上下の下着で髪の色と合わさってとても魅力的だ。可愛いは正義だよね!眼の保養になりますな。つい見惚れていたのは秘密である。
「ふぇえええ!?」
「さあさあ先輩も脱いでくださいな!」
「風ちゃん、ちょっと落ち着こうね。ね?」
「私はいたって冷静ですよ、はーーい、ばんざーーい!」
「ば、ばんざーい。」
「貴一、脱衣しまーす、ぱんぱかぱーん!」
「ぱ、ぱんぱかぱーん?」
ばんざいして上の服を一気に脱がされる私。なんだこれなんだこれ?
「さあさあお次は下ですよ、ぐへへへ。」
「ふ、風ちゃんどうしたの、酔ってるの?」
「いえいえ普通ですよ。もうじらさないでくださいよ。さあさあ。」
「わ、わかったから!自分で脱ぐからね!先、行きまーす!」
「は、はやい!」
ズボンと下着をさっさと目にもとまらぬスピードで脱ぎ去り先に浴室に赴く。とりあえず髪から洗いますか。髪を濡らしてシャンプーを手にとり髪を洗っている時にガラガラと浴室の扉を開く音が後ろから聞こえてきた。
「お、お待たせです。」
「ん、本当に来たのか。」
「ですね。髪洗いますよ?」
「マジ?」
「ええ、まかせてください。…気持ちいいですか?」
「うん、よか。よきかな。」
「ふふっ、どこの方言ですか?」
「うーん、知らん。」
「知らないのかよっ!まあそれは置いといて、かゆいところはありますか?」
「頭頂部かな。」
「ここですか?どうです?」
「うん気持ちいいね。人に髪洗ってもらうのってなんかいいな。」
「そんなものですかねえ。じゃあ流しますね。」
「ほーい。」
髪を流し終えて、
「次は身体ですね。」
「それでは背中はお願いします!」
「はーい!」
ということで背中を洗ってもらうことに。前は自分で洗うに決まってるだろう!させてたまるかってのっ!恥ずかしいわっ!
「どうでしょう?」
「最高だよ…。」
「ふふっ、なら良かったです。」
「次は交代ね。」
「え?私もですか?」
「当然だよねっ。」
「むむむ…いいでしょう、かかってきなさい!」
「いや、なんだこれ。じゃあいくね。」
とりあえずターンフェイズで場所を交代する。
こうして後ろからまじまじと風ちゃんの背中を眺めてみると、きめ細やかな綺麗な肌、普段は片側を結んでいる髪も解いてストレートな綺麗な茶髪。それにうなじ。と魅力的だ。脱いだら意外と胸もあるし、年下ながら妙な色気を備えもっている兵。おもわず後ろから抱きしめたいくらいだ、全裸で。全裸だけど。
髪をそっと手に取りつぶやく。
「きれいな髪だよね風ちゃんの。パサつかずまっすぐで潤ってるというか。」
「ふふふ、急にどうしたんです?」
「なんでもなーい、じゃあ洗うね。」
「はーーい!」
ゆっくりと丁寧に根元から先までワシャワシャと泡立てていく。
「お客さんかゆ~いところありますか?」
「うーーん、特にないですね。」
「そうですかあ、力加減はどうですか?」
「丁度いいですぅ。」
「それじゃあ流しますね~。お次はボディですね。」
「か、からだは自分で洗いますよー。」
「そうはさせないよ、ちゃんとお返ししたいからね。」
「本音は?」
「知らない方がいいわ。」
「この変態っ!」
「にししし。じゃあいきますよー。」
「くっ!もう好きにすればいいじゃない!」
そういうことで上からゆっくり丁寧にボディタオルを泡立てて優しく洗っていく。
「わあーー肌スベスベだぁ。」
「もうやめてくださいよぉ…。」
胸も意外と大きいんだよね。
「ねえ、前も洗っていいかな?」
「さすがに前は恥ずかしいですよぉ…。」
「もうすでにだいぶ恥ずかしい状況にはあるけどね。お互いすっぽんぽんだし。軽くタオルはしてるけどさ。」
「そうですけどぉ…。マジですか?」
「まあね。なんか洗ってたら楽しくなっちゃって。」
「ハハハ、なんですかそれっ!じゃあ…いいですよ?」
「じゃあ、ちょっと前に周るね。」
そして後ろから正面に向かい合う全裸の男女。
このときの自分の浅慮な考えで行動したことを後々後悔することになる。ギリシャ神話に登場する怪物、ゴルゴン三姉妹の末裔、青銅の腕と黄金の翼を持ち髪の毛が蛇になっている。彼女を直視したものは恐怖のあまりからだが硬直して石になってしまうという。急に何を言っているんだとおもうが、どうやら俺もどうかしていたようだ。
つまり彼女のメデューサには要注意しなくてはということだ。見続けるとおもわずカチンコチンに、いや俺のエリンギが石にされてしまうぞ!と警戒し無心になることに努めた。
「なんかすごい照れくさいですね。」
「だな。なぜだろうすごく緊張してきた。」
「貴一先輩そう言わないでください、余計意識してしまいますから。」
「じゃあいくよ…。」
「や、優しくしてくださいね。」
「ぶはっ!!」
「ちょ!先輩!どうしたんですか!?」
「破壊力ありすぎだよ風ちゃん。あ、鼻血が。」
「大丈夫ですか!?」
「うん、大丈夫。では気を取り直して…。」
「ん…っ。そんなにまじまじ見ないでくださいよ。」
「いや、なんていうか綺麗だななんて。」
「え!?あ、ありごとうございます?」
「ぷははっ!ん、くくく。じゃあいくよ。」
「はい…。」
すごい緊張するな、無心になるんだ。そう、明鏡止水だ。いやらしい事を考えるなよ二見貴一、いいか絶対だぞ!もしここでテントなんて張ってみろ、台無しだぞ。そう、無心になって身体を洗うんだ。トラウマを思い出し高ぶる衝動を抑えるのだ。綺麗なバストにくびれ、腰のラインが最高、下半身もすらっとしており太ももの感じが大変素晴らしい。常時、煩悩に悩まされながらも一仕事を終えるのであった。
「ふぅ……。」
「あったまりますね…。」
お互い特に広くない浴槽に入り詰め詰めで入っている。
「あははっ!」
「急にどうしたんです貴一先輩?」
「なんというかこの状況になるのは予想外というか、なんていうかおかしくって。」
「変な先輩。でも最初の時より落ち着きました。全裸ですが。」
「もう全部曝け出しちゃったね。全裸やし。」
「これは責任を取ってもらうしかないですね。」
「いや、これは風ちゃんが招いたことだからね。」
「ですよねー。」
「まあ俺に出来ることなら応えるよ。」
「ふふ、そうですか。じゃあ今ハグしてください。」
「え、今、ナウ?」
「ナウ?」
「ナウです。」
「いいでしょう…ふー!ユーキャンドゥーイット!我が命に代えても。」
「なんかうざいです。」
「ぐはっ!」
ちゃぷんと水音を立てながらゆっくりと狭い浴槽内でハグをする。足を伸ばした体勢で足の上に風ちゃんが乗ってまるで対面座位のような体勢になって抱きしめる。胸板にあたる柔らかい感触を確かめながら平静を保つように、リラックスしようと意識を全開にする。
「貴一先輩、心臓バクバクしてますね、ドキドキしてます?」
「そりゃあ当然だよ。」
「でもなぜか落ち着くなぁ…。」
「そういうもんかねえ。」
「さあどうでしょう、あれ?何か固いものが…あっ。」
「………。」
「貴一先輩?」
「いや、仕方ないというか、いや仕方ないんだよ、仕方ない。」
「興奮してるんですか?」
「もうやめて風ちゃん。」
「でもそう思ってもらえるのも嬉しいかもです。」
「落ち着け貴一、ビークール、いつだってこれまで冷静にやってきただろう?」
「先輩、顔真っ赤にして可愛いなあ。」
「の!ののののぼせそうだからだよ!そろそろあがろうか。」
「その状態でですか?」
「もうお嫁にいけないっ!」
「嫁じゃなくて婿ですよね、ぷぷっ。そうですね、そろそろ出ましょうか。」
さすがにこうして一緒にお風呂入るのはさすがにハードルが高すぎたよ。いきなりすぎるよ。風ちゃんとの距離がいきなりこういう形で縮まるなんて、あの柔らかい胸の感触とか忘れられないよ、あと全裸の姿を。…絶対これ後々悶々とするやつじゃないか。まったくとんだ子悪魔だよあの子。
「貴一先輩の服おっきー!」
「だぼだぼだねえ。」
「身長差ありますからねー。わー!先輩の匂いだー!」
「嗅がないの!洗剤の香りだから、多分。」
「お風呂上りはーーーー」
「「むさしの牛乳!!」」
「「かぁ~~っ!!」」
「「うめ~~!!」」
「「ハハハっ!!」」
お風呂上りの牛乳ってどうしてこうも美味しいのだろう。
この味クセになるぜ。こうやってクールぶってみたものの恥ずかしい所を隣の奴に見せてしまうとは…まさかこの展開は想定外だったよ。嫌じゃないけどさむしろばっちこいって言う所なのだけれど。まだ夜は長くなりそうだ。風ちゃんはどう思っているのだろうか。いや、大事なのはそこではない。自分がどう思っているのか、どうしたいのか考えた方が得策だな。
「貴一先輩っ!」
「ん?」
「呼んでみただけです。」
「なんだそれ。」
まあ、今は深く考えずに自然に過ごそうと思うのであった。
マリーが一番個人的に好きなのだけれども
風ちゃんもいいななんて思う自分が…。
とりあえずここまでで!
感想、批評お待ちしております!