2度目の高校生活   作:くるぶしおかか

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「橘万里花さん、クランクアップです!」
万「今までありがとうございました!引き続きニセコイを楽しんでもらえたらと思います!」

私「……なんだこれ。」


すみません、では続きです。
感想、批評お待ちしております。



44話

「「いただきます!」」

 

両手を合わせて二人でいただきますと言葉を発する。ちなみにメニューはハンバーグとサラダ、ご飯、味噌汁だ。ちなみにハンバーグにはケチャップをかけている。サラダはゴマドレッシングをチョイスしました。

 

「うん、美味しいですわね。」

「だな。二人で料理するとあっという間に出来るよな。」

「ですわね。次は豆腐ハンバーグとか和風おろしハンバーグもありですね。」

「いいね!ってかさ思ったんだけどさ。」

「どうかしましたか?」

「いやあ改めて高校生として女の子をこう普通に泊めるってどうなんだろうって。」

「別に気にすることないでしょう。」

「万里花がそう言うならそうするけどさ。それにしても、こうしてみると俺ら恋人みたいだよな。前にも言ったような気がするけども。」

「恋人!?ブはッッ!!」

 

 

飲んでいるお茶を噴出す万里花。そこまで動揺することないのに。噴出したお茶が顔にかかったじゃないか。こんなんじゃご褒美にはならないよ。頬を滴るお茶が冷たいよ。

 

 

「あーーお茶がーーー目がーー目がー!!」

「自業自得ですわ。」

「まず謝ろうかお嬢さん。冗談で言っただけなのに。」

「わかってますわ!不意打ちなのが問題なのです!」

「ふーん、そういうもんかねえ。でもさ案外うまくいきそうな気がするような。」

「そげなこと急に言われても困るばいっ!」

 

顔を真っ赤にして反応するお嬢さん。なにこいつ可愛いなおい。

 

「いや例えばの話なんだけど…。」

「でも貴一さんとなら…。」

「何小言でぶつぶつ言ってるんだ?そこまで本気にすんなよー。」

「ぶうぇ。…ま、全くもうですよ貴一さん!」

「ごめんごめん。とりあえず風呂洗ってくるわ。」

「よろしくです!」

 

さあて風呂場と浴槽を念入りに掃除しますよー。これから女子が入るのだからね。いつも綺麗にしておりますがこの時は特に念入りにします。そういう気遣いが大切だって母親が言っていたような気がするのだ。

綺麗に掃除したあと風呂の浴槽にお湯を貯める。

 

「先に入っていいぞー万里花。」

「はーい!」

「覗きはだめですよ?」

「はいはい。」

「それとも一緒に入ります?」

「出来もしない事口にしないの。」

「言いましたわね!?そういう貴一さんは平気なんですの!?」

「まあ私、大人ですから。ガキに裸見られても何も感じません。」

「言いましたわね!この私のパーフェクトボディを見てガキだと言えますか?」

「まあ身長は低いけど出る所は出て引っ込む所は引っ込んでいるエロい身体かもな…。」

「ななな何てこというばい!!この変態っ!エロ親父!」

「残念ながらそれは私にとっては褒め言葉です。」

「手強いですわね!」

「いいからさっさと風呂行ってきなさいな。」

「むう…わかりましたわ。」

 

そう言ってぶつぶつ呟きながら風呂に入っていく万里花。覗きなんてしませんよ?レディーファーストってやつさ。私、こうみえても紳士なので。

 

 

しばらくすると風呂から上がってきた万里花。ちなみにパジャマの上下の服は部屋にある自分の衣服を渡している。やや火照った表情と濡れた髪がなんといいますか。そのけしからん姿を視界に納めることにしよう。

 

「相変わらずだぼだぼですわね。」

「万里花小っせえからしゃあない。」

「これでも150cmはありますからね!チビではありませんよ。」

「へー。女子の平均より低いだろうけどな。まあ俺からしたら低いのさ。」

「男女では違いますしね。」

「だな。俺もそろそろ風呂入ってくるわ。あ、そうだ。洗濯物は洗濯機に入れといてな。」

「はーーい!」

 

ようし私も風呂に入りますか。万里花の残り香で味わおうかって、おいおいっ。そんなものは風呂場には存在しないのだ。服を脱ぎ捨て洗濯機に放り込み風呂場にはいる。

そして身体を洗い終えて浴槽にゆっくりと身体を浸ける。

 

「くううーーーー。」

 

あったかいなあ、やっぱり疲れを取るにはシャワーだけでは物足りないよね。

ゆっくりと湯船に浸かりリラックスするのであった。

 

「ふう~あがったあがった。」

「貴一さんっ、髪が濡れてますよ!こっちに来なさい。」

「へーい。母ちゃん。」

「だれがおかんですかっ!」

「じゃあこっちに座ってくださいな。」

「ほーい。」

「髪濡れたままでいるのはよくないんですからね。」

「ドライヤーのかけすぎもよくはないんじゃない?」

「でも乾かさないよりかはマシだとは思いますわ。」

「そうだな。じゃあ頼むわ。」

 

後ろからドライヤーをかけてもらい髪を乾かしてもらい肩をマッサージしてもらう。いつの間にかこれも習慣になってきている。

 

「へいへいお客様。どうですか?」

「ああ、悪かねえぜ。」

「もちろんです、プロですからっ。」

「でもやっぱりいい感じだわ。万里花ちゃんテクニシャン。」

「おだてたってなにもでませんからねっ。」

「ちぇーーっ。」

「相変わらずごつごつした身体ですよね。」

「そこは筋肉質と言ってくれないかな。」

「ふふふ。だが、断る!」

「どこで覚えたのやら。」

「そこの漫画からですわ!」

「俺のせいか!」

「フフフっ。」

「ありがと。気持ちよかったわ。じゃあ交代しよっか。」

「ええ、お願いしますわ。って、なんですのその指使いは!そこはかとなくいやらしいですわっ!」

「勘違いでしょう。まったくませたガキだなー。そんな風に見えるなんてやだわーいやらしい子。」

「むむむ!とりあえず歯磨き行ってきますわ!後でお願いしますわ!」

「そかそか。じゃあ俺も歯磨きしよっと。」

 

 

二人並んで歯磨き。なんだこの同棲してるカップルみたいな感じは。実はもう付き合ってるのかな?いや、どちらかが告白した訳ではないのだからよくわからないな。今の距離感とやらは。心地よいのがさらにたちが悪い。このままずるずる流れていくのはよくないのだろうか。けじめって大事なのかなあと葛藤するのであった。

 

 

「まあ明日も学校やし早く寝る事にするか。」

「ですわね。ほら貴一さんこちらにどうぞ。」

 

先にベッドに入って布団をかぶっている万里花が布団を少し持ち上げてスペースを作ってくれている。ちなみに枕は二人分ある。

 

「ありがと万里花。」

「いえいえ。じゃあ電気消しますわね。」

「ほーい。」

 

という訳で照明の電気を消して室内は真っ暗になりました。

 

「ねえ貴一さん。」

「ん?どうした?」

「楽さんの記憶喪失のことですが大丈夫ですかね?」

「大丈夫やと思うよ。案外すぐ元に戻ったりして。」

「相変わらずポジティブですわね。」

「うだうだ考えたところで状況も変わらないしね。案外ちょっとしたきっかけで思い出すと思うよ。」

「例えば?」

「ゴリラのぬいぐるみとか。」

「アハハ!そんなまさかー。」

「いや…これが案外当たりそうだわ。この勘は当たりだと確信している。」

「エスパーですか。まあなんとかなるってことですわね。あの楽さんもアリっちゃアリですけどね。」

「まあ普段と全然違ってびびったわ。」

「ですよねー。おもしろかったなあ。」

「おいおい。じゃあ寝るか。」

「あ!マッサージしてくださいまし。忘れてましたわ。」

「えー今更?」

「お・ね・が・い。」

「うわーあざといわあ。まあ良いけどさ。ってか暗いけどこのまま?」

「あえてこのままで。」

「間違えて変なとこ触ったらごめんね。」

「うわー絶対確信犯でしょ。」

「まさか~はい、うつ伏せになってね。」

 

 

布団をめくってうつ伏せになっている万里花のお尻の上に腰を軽く載せて、肩から段々下に向けて両手でほぐしていく。視界が暗いせいか「んっ…」「あんっ」などと音声がついてくる。わざとなのかマジなのかわからないが何かいやらしい感情に…なりそうだった。

 

「はんっ…」

「ねえ、万里花。」

「ん。はあ、はあ。なんですの?」

「ねえわざとだよねそれ?」

「全く貴一さん、貴方って人は。」

「普通に健全なマッサージしてただけだよね。まぎらわしいからやめなはれ。」

「可愛いいたずらでしょう。」

「いや、かわいくねーし。」

 

そう言うとうつ伏せから振り返って仰向けになる万里花。両手で自分の首に手を回して顔を近づけてくる。部屋は真っ暗だがだんだん暗闇に慣れてきたのでうっすらと表情が伺える。睫毛長いなー、いや暗くてやっぱりよく見えないや。

 

「ほーら、よーくみてください。」

「暗くてわかんねーよ。」

「かわいいでしょ?」

「はいはいかわいいよ。」

「ならよろしい。」

「てか、この体勢はまずいでしょ。」

「え?……うぇ!?」

 

仰向けになっている橘の顔の横に両手をベッドに乗せ、首に手を回されているせいか顔の距離がとても近い。ちょっとすべったらキスしそうだ。そう言うと慌てた万里花の前蹴りがお腹にスパーキング。

不意打ちだったので「モアイ!」と変な声が漏れてしまったのは仕方がないだろう。漏れてないからね?大事なことなので。

 

「おいおい、痛いじゃないか。」

「すみません、つい。」

「ついじゃないよ、全くもう。」

 

そう言って蹴りを入れたお腹に手をそっとスリスリとなでてもらった。ちょっとこそばゆいなおい。なでながら、

 

「いたいのいたいのとんでけー。」

「こどもかっ!」

「ほら、痛みもとんでいきましたわ。」

「わー、本当だ。ありがとう万里花もん!」

「語呂悪いですわね!」

「茶番はいいからそろそろ寝ようぜ。」

「ですね!おやすみなさい!」

「ああ、おやすみ。」

 

ぐるぐる転がってきてこっちにタックルをかましてくる万里花さん。

 

「そんなくっつかれると寝れないんだけど。」

「いやですの?」

「あーー、もうわかりましたよ。こうすればいいんだろ?」

 

そっと頭を撫でながら軽く抱きしめる。やっぱりいつまでもこの曖昧な関係はよくないよなー、こいつの心情は把握できないんだよなあ。悪い印象は絶対ないとは思うけども。

 

 

「甘えん坊だよなお前ってさ。」

「むーー、こども扱いは気にいりませんわね。」

「ハハハッ!」

「どうしたんですの?急に笑い出して。頭ぶつけました?」

「いや違うからね。なんでもないさ。」

「変な貴一さん。」

「じゃあ本当に寝るから。おやすみ万里花。」

「ええ、おやすみなさい貴一さん。」

 

そして二人いつの間にか夢の世界に旅立つのであった。

 

 

翌朝、先に眼を覚ましたのはどうやら自分のようだ。隣の腕の中で眠っている茶髪の女の子を起こさないように手を離して朝食を作ることに。朝はやはり和食で。卵賭けご飯に味噌汁、鮭の塩焼きだ。刻み海苔をパラパラと卵かけご飯に振り掛けて完成だ。さてと、お嬢様を起こしに行きますか。

 

「おーーい、いつまで寝てるんだ。起きなさいな。」

「むにゃむにゃ、貴一さんそこはちがいますよーむにゃむにゃ。」

「コイツ一体どんな夢を見ているのだろう…とりあえず起こさないとまずいよな。」

 

両手でほっぺたをかるく両側から引っ張ったり変顔を作ったり遊んだりしていると目を覚ましたようだ。

 

「何してるんですの?」

「いやー、なかなか起きないから起こしてあげようかなと、てへっ。」

「イラッ、ですわね。朝からやってくれますわね。」

「でも可愛かったぜ!」

「か、かわ!?ま、そんなこと言ったって許してあげるほど甘くないですからねッ!」

「ちぇーー。」

 

 

その後二人で朝食を食べ制服に着替え準備をしながら一緒に学校に登校する。さてさて今日も1日がんばっていきまっしょい。

 

 

「んでまだ記憶は戻ってないわけね。」

「何かきっかけがあればと思うんだけどね。」

「そう言うことなら私も協力を惜しみませんわ。」

「私もお嬢の頼みとあらば当然です。」

「皆で一条君の記憶を取り戻そうね!」

「ところで桐崎さん、なぜ眠そうなのですか?まさか昨日…。」

「おい万里花、そこは触れたらダメじゃないか、察するんだ。」

「ないない何もないわよ!!」

「「へーー。」」

「…しかしきっかけといっても具体的に何をすれば良いのでしょう。」

「私が聞いたことあるのだと親しい人との最初の出会いを再現して見せたりとか?」

「へー、なるほど。」

「まあいいんじゃないかな。」

「適当にたたいてたら思い出すだろうに。」

「貴一さんと楽さんでは根本的に違いますわ」

「へー、どう違うのかなあ。」

「禁則事項ですっ!」

「こいつめーー。」

「きゃーーー。」

 

 

「あの…これは一体、何をしようとしてるのですか?」

 

楽の両手を鶫と万里花がガシっと抑えている。

 

「まあ茶番に付き合ってやってくれや。」

「は、はい…二見さん。」

「えーっと、この辺でいいかな。…いいよ、千棘ちゃん!」

「…うおおお!!」

 

そして勢いよく塀を持ち前のぶっ飛んだ身体能力で飛び越えてくる桐崎さん。かつての初対面のイベントを同じように起こして記憶を取り戻そうという作戦だ。

 

「…とおっ!」

「りゃ!」ドギャンと効果音が響いた、あれ絶対事故だよね。冷静に考えてみると通り魔と言われても違和感を感じないくらいだ。

キューって眼を回して軽く気絶している楽。そりゃそうなるわな。

 

「どお?何か思い出せた?」

「あのこれは一体…。」

「いや…あんたが何か思い出せるように私たちの出会いを再現したんだけど…。」

「こんな鮮烈な出会い方だったんですか!?」

「わ、悪かったわね。先に言ったら意味ないと思って。」

「いえ、大丈夫です。だって僕のためにしてくれたことなんでしょう?それより桐崎さんにケガがなくてよかったです。」

 

そう言ってニコって笑う楽。女子陣がめっちゃうろたえてえるー!くっそウケるんですけど!?お腹が痛いです。

 

「ハハハハ!いやあこれは中々。」

「貴一の旦那、笑いすぎですぜ。」

「集よ、これは笑わずにはいられないってやつだよ。」

「最高にハイってやつですかい?」

「それは違うよっ!!」

 

 

「じゃあ次は小咲ちゃんはどう?」

「えっ!?」

「小咲ちゃんと楽って中学の時会ったのよね。どんな感じで出会ったの?」

「え、えっとね…。」

 

なぜかもじもじして顔を真っ赤にする小野寺さん。するとるりちゃんが、

 

「この子と一条君の出会いはね、小咲が食堂であっつあつの中華丼をブチまけたことがきっかけなのよ。」

『それは熱ぅ…』

「なんか意外な出会い方してたんだね小咲ちゃん。」

「ここだけの話、わざとでしょ?」

「そんなわけないじゃん!二見君の意地悪。」

「ごめんごめん。中華丼持ってくるから許してヒヤシンス。」

「再現する気!?ダメだからね!」

「ちぇーー。」

 

 

それから鶫も最初の出会いを再現したのだが自爆するのであった。アーメン。

「かってに終わらすな貴一よ。」

「すまぬ。」

 

 

とりあえず何か出来る事はないか小野寺の家で第一回楽の記憶を取り戻そう会議を開催するのであった。

 




とりあえずここまで。

果たして原作のマリーの出番は訪れるのか…
マリーに恋してるんですよと言わせるなんて…

いろいろ思うことはありますが先が楽しみですね。

感想、批評お待ちしております。

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