2度目の高校生活   作:くるぶしおかか

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おはようございます。
勢いで打てたので投稿。

清清しい天気ですね。
それではゴルフのほう行ってきます!では!

感想、批評お待ちしております。


27話

 

冬休みも終わり3学期になりました。学期が始まっていきなり席替えをするらしい。

席替えかといえば、あいつもこいつもあの席もただひとつ狙っているんだよ、このクラスで一番の美人の隣を~って奴だよね。え?古いって?少し黙ろうか。

 

みんなライバル、命がけさ。運命の女神様よこの僕にほほえんでおくれ。勉強する気もしない気もこの時にかかっているからさ。もしダメだったらグレちゃぅかもよ。だから出来るなら後ろの席にしてくださいな。

 

このクラスで美人って言ったらまあヒロイン勢だよね。隣は別に誰でもいいけど後ろならどこでもいいというスタンスである。

そしてクジを引き、なんと後ろの席を確保して優越感に浸っていたのだが「やり直ししよーよ。」「俺ももっと後ろがいい~」「俺の周り全然女子いないじゃん。」

 

は?舐めてるの?やり直しなんか認めたらキリねえんだよ、文句垂れやがって絞めたろかと内心ボロクソ言っていたり。せっかくの良いポジションを変更なんて認められるわけが……

「いいわよーー?」

「ええーーー!?」

「生徒の自主性を重んじ的な?」

 

おい先生。自主性とはなんぞや、問いただしたいよ全くもう。ほら見ろやり直し認めたから何度もやり直す羽目になったじゃないか。時間の浪費だよこれ。そして繰り返され最終的に楽は後ろで隣に桐崎さんと小野寺の両手に花状態ってやつだ。うらやましいだなんて思わないからねっ!

 

ちなみに自分の席は窓側の端、前から4番目と中々後ろのいいポジションだった。意外だったのは隣が橘だったからだ。こいつかよと思ったが口には出さないようにしよう、口ミッフィーだね。

 

「まさか貴一さんが隣とは。よろしくお願いしますね。」

「まあ、しゃあなしな。」

「ノリが悪いですわね。」

「まあ、楽の隣取れなくてドンマイっ。」良い笑顔で答える。

「くっ!でも負けませんわっ!」

「がんば。まあ、よろしくな万里花。」

「!?よ…よろしくですわ。」

 

 

そして日々、いつも通りの日常を過ごすのであった。

1月は本当にあっという間だった。時々軽音部に足を運びギターを借りて練習をしたり、たまにピアノを弾きにいったり、図書館で小説を読破しようとしたりと平凡だが楽しい日常が流れていった。

 

カレンダーを捲り二月になり最後の寒さの追い込みの時期になり、もうすぐいまわしき風習が始まるのだ。

 

もうウンザリなんだよ、義理だの本命だのくだらねえやり取りしてるバレンタインという悪習そのものが!もうみんなで一斉にやめるべきだろこんな茶番!来年からチョコ贈ったやつももらった奴も全員死刑でファイナルアンサー!?

 

「とりあえず落ち着け貴一。」

と、後ろから頭にチョップを入れてきたこの男の名は舞子集。

「ああ悪い、口に出ていたかな。」

「ちょっと出てたぞ、まあ貴一はチョコもらえるじゃん!」

「もらえるかなあ、もらえたらいいなーとは思うけどバレンタインなんて本当いらないわマジで。まあもしチョコあげたいっていうならもらってあげてもいいけどみたいな?」

「めんどくせえなこいつ。」

 

今は学校に向かって登校中なのだ。勘の良いみなさんなら気付いただろう。今日が2月14日だということを…!!

校門を超え靴箱の方に入る時に前方に楽の姿が。そわそわしながら靴箱を開けている。どうやら中に何もありませんよって奴みたいだ。横にいる集と顔を見合わせ楽のところへ向かう。そして楽の肩にポンと軽く手を置き、

「期待したな?貴様…。」

「してない、全然してない。」

「まあ楽は心配しなくてももらえるだろうよ。」

「そうかなあ。」

「なあ楽よ、本当はチョコめっちゃ欲しいんだろ?ん?」

「そりゃあ、もらいてーよ。誰でもいいからくれねーかななんて。今まで女の子にもらったことなんて一度もないし。」

「それは意外だな。女の子はってことは男からはもらってるってこと?」

「ああ、組の男どもからな。」

「なるほど、まあドンマイ。でもまあきっともらえるはずさ、間違いない。なあ集。」

「ですな。にししし。」

 

なんて会話しながら教室に入るとあからさまにそわそわしている男達。やっぱりこの世界でもそうなのねと感心したり、やはり廃するべきだと思っていたのだが、

「あの二見君!はいチョコ!」

「お!?いいの!?ありがとー!!ちゃんとお返しするから!」

「うん!楽しみにしてるね。」

「二見さん、良かったら受け取ってください!!」

「よっしゃあ!!いただきます!ちゃんとお返し作るんで!」

「二見さんって料理得意なんですよね。お菓子も作れるんですか?」

「出来るよー。最近はプリンとか作ったよー。」

「マジっすかー、じゃあお返し楽しみにしてるんで。では!」

「ありがとねー!」

 

なんと早速他のクラスの吹奏楽部の人達からもらうとは有難い。糖尿病には気をつけようね。それからクラスメイトの人達からも何個かもらったので気分上々である。

男たちから怒りの視線が向けられるのは仕方がないだろう。まさか自分がこうもチョコをもらえるなんて予想外なのであったから。

 

「ヒューヒューさすが貴一、モッテモテ~」

「いやいやそれほどでも。これはお返しには力入れないとね。」

「やる気スイッチ入ってしまったか。」

「まあ義理でももらえるのは嬉しいな、やっぱり。」

「うらやまですなー、ほら見てみ、あの楽の恨めしそうな視線を。」

楽に親指を上げてグッドの指のポーズをとる。大丈夫さきっともらえるさとアイコンタクトを送る。伝わるかどうかは定かではないのだけれども。

 

と、廊下の方に視線を向けてみれば橘が楽の等身以上もはや倍くらいの大きさのチョコ像を運んできたのだ。あれ全部食ったら間違いなく…死ぬな。

あまりの形相に楽もびっくりして逃げ出してしまったようだ。そして後ろから小野寺も追い掛けているようだった。

 

それから小野寺のチョコが割れたり橘のチョコが割れたり桐崎のチョコは味がうーんってなったりするのだろう。手作りチョコってあれだよね、既製品をわざわざ溶かして用途に合わせて手順が変わる感じで手間かけてるんだよな。そしてあれからそれなりの量のチョコをもらい、自分が意外に少し人気があったのはびっくりしたのだ。

もうひとつ予想外だったのは、

 

「貴一さん、随分チョコもらったみたいですわね。」

「まあね、橘もちゃんと楽に渡せたか?」

「ええ。少しトラブルはありましたが食べてもらいましたわ。」

「あれはさすがにでかすぎだろ、お前よく作れたなあんなの、クハハハハハ!」

「笑いすぎですわ!それでですね、義理チョコですわ。仕方なくあなたにもあげますわ。」

「仕方なくかー、ありがと。いただきますわ。」

そう小さな箱に綺麗にラッピングされたチョコを渡されたのだ。

「勘違いしないで欲しいですが、義理ですからねっ!」

「はいはいわかってますよお嬢様。」

「なら良いですわ。」

 

そう言って振り返り去っていく橘の頬はどこか赤みを帯びていたのだった。

 

そして放課後になりさて帰りますかということで校門を出ると見覚えにある二人組みに遭遇した。どうやら出待ちしてくれていたようだ。

 

「あれれー、風ちゃん春ちゃんじゃん、どうしたの?」

「なにがあれれーですか。先輩。」

「春、この人は分かって言ってるのでしょう。あえてね。ふふふ。」

「なんだろう、この私分かってますよ感。」

「とまあそれはさておき、バレンタインということで。」

「「どうぞ!!」」

二人から同時にそれぞれチョコを受け取る。

「よっしゃあーー!!!やったぜぇ!!うりゃあ!バレンタインこのやろー!」

「すごい喜びようですね!」

「作った甲斐がありましたね。」

「え?手作りなん?」

「はい!」「ですね。」

「それはまた嬉しいね。お返し期待しててね。」

「「はい!!」」

 

 

今は3人で帰宅中。二人を家まで送っている最中だ。

「そういえば先輩って今日学校でチョコもらったんですか?」

「え、うん、まあね、本当びっくりだよね。」

そう言って手提げ袋に入っているチョコが入った箱たちをチラっと見せる。

「多い!貴一先輩モテてるじゃないですか!いつもあんなこと言ってるのに。」

「あんなこと?一体何のことかなー、わからないなー。」

「リア充爆発しろでしたっけ?」「そう、それよ春!」

「いやーまあびっくりだよ、今までバレンタインとかなくなればいいと思ってたし、悪しき風習だと。今日でまあ少しは認めてやらなくもない…みたいな?」

「どの口が言ってるのかなー?」

そう言って両手で両側のほっぺをつねる風ちゃん。距離近いから、やばいって。

「わー風ちゃんがいちゃいちゃしてる。」

「ねえ、これがいちゃついてる様にも見えるとでも?」

「え?違うんですか?」

「え、なにきょとんとしてるの?くそ可愛いなおい…、ち、違うわ!」

「可愛いだなんてそんな……。」

「うわあ何て都合の良い耳しているのか。あとわざとだよねそれ。」

「二人ともべったりしすぎです!」

 

そう二人の間に割り込む春ちゃん。身長が低いので尚更そのしぐさが可愛い。なにか保護欲にかかれるようなそんな危険な……うん、自重しよう。

それから真ん中が春ちゃんになり、その両手をそれぞれ自分と風ちゃんと繋いでいる状況になっている。これで風ちゃんも身長が高かったら二人で手を上げて真ん中を持ち上げるシュールな図に出来るんだけどなあと、くだらない事を考えていた。

 

「ふふふ。」

「どしたの風?」

「なんかねこう歩いてると春が私たちのこどもみたいに見えてきて。」

「わー!私をこども扱いして!」

「春ちゃんみたいな娘出来たら、彼氏とか認めないだろーな。絶対。」

「先輩、親馬鹿になりそうですね。」

「二見先輩までノッてきちゃいましたか!」

「春もこんなに大きくなって。」

「そうね、あなた。」

「春。家に帰るまでご飯は我慢だよ?」

「友達と遊ぶときは暗くなるまでにちゃんと帰るのよ?」

「それお母さんお父さん!なんなの二人とも!」

「まあ、春ったらいつのまに突っこみなんて覚えたのでしょう。」

「こどもは親の知らないところでいつの間にか成長するものなのかもしれないねえ。」

「も~先輩~」

「ごめんごめん、なんかつい楽しくなっちゃったから。」

「ごめんね春。私も、反応が面白くてつい…。」

「まあ、良いんですけどね。これは貸しにしときます。」

「ちゃっかりしてるねー春。ふふ。」

 

 

「二見先輩って一人暮らしされてるんでしたっけ?」

「そおだよー。」

「今度お邪魔しに行ってもいいですか?」

「まあ、いいけどさ。別に面白いものなんてないぞ?普通普通。」

「でも男子ってベッドの下にエッチな本置いてるんじゃないでしたっけ?」

「先輩!そうなんですか!?」

「いや、それ古いし違うからね。今は大体デー……こほん。…全くそんなものある訳ないですよ。」

「あるんですね?」

「あるんだ!?」

「…はい。」

「好きなジャンルは?」

「風ちゃんちょっと口閉じようか?」

「ジャンルってなんなんですか!私、気になります!」

「春ちゃん。まだ知る必要なんてないからね。うん。」

「ジャンルっていうのは例えば…」

「言わせないよ?」

手のひらで口を軽くおさえてふごふごしている風ちゃん。可愛いけど危険だ。

 

「うぉ!?」慌てて手を口から離す。なんか手のひらがひんやりしたぞ。舌先で手のひらをなぞってくるとはびっくりしたじゃないか。てへぺろって顔をしてる、ペコちゃんか!

あと、ちょっとなんかえろいなおい!

 

「まあそういうことさ春ちゃん。」

「いや、わからないんですけど。」

「春。いつか知る時が来るわ。だからまだいいのよ。」

「でも風ちゃん知ってるんだよね?」

「いえ私なんて全然。二見先輩と比べたら。ほら、男の人って狼だって前話したよね?」

「うん、女子会の時に。」

「女子会だと!?」

「先輩反応しすぎです!」

「先輩は狼のなかの狼らしいです。ソースは小咲のお姉ちゃん。」

「小野寺が!?なん……だと!?」

「先輩そうなんですか!」

「否定はしないけど。」

「「否定しないんだ」」

「逆に清清しい…のかな。」「どうなんだろう…。」

 

 

「今日はチョコありがとねー。チョコだよね?」

「チョコですよー。」「っふふ。」

「お返し期待しときな!今日はわざわざありがと!じゃあまたね。」

「先輩も気をつけて帰ってくださいね。」「またねです!」

「ほーい。」

 

 

「先輩行っちゃいましたね。」

「だね。美味しく出来たから大丈夫だね!」

「二人でお菓子作り楽しかったよね!」

「風ちゃんすごい張り切ってたもんねー。」

「春だってそうじゃん!このこのー。」

「ちょ、風ちゃんめ。やったなーー。」

そう、バレンタインでお菓子作り。女子校通いで毎年やっていたけれど今年は特に作るのが楽しかったなあ。誰かに食べてもらいたいとか喜んでもらいたいとかいろいろな思いがチョコに込められているからなのだろうか。

 

 

「それにしても」

「どしたの風ちゃん?」

「先輩チョコもらいすぎではないかな。」

「お姉ちゃんが言ってた通り地味に人気あるの本当だったんだね。」

「解せぬ。」

「いや、解せぬってぷぷっ、あははっ、お、おなかいたい。」

「まあ本命チョコは私たちだけでしょう。」

「そうかなあー。」

「負けないから、もちろん春にもね。」

「私だって負けないからね。」

「早く同じ高校通いたいなあ…。」

「JKいいよねー。」

「JKて。」

「あとブルマが良いのだけど今は絶滅しているらしい。」

「ソースは?」

「先輩。」

「「ぷぷっ。」」

 

「アハハ、なんで好きになったのかな?」

「理屈じゃないんじゃない?」

「なんか風ちゃん大人だ!」

「春はまだまだこどもね。」

「タメだよね!」

「まあお返しとやらを期待しましょう。」

「そうだね!」

「お返しなら物ではなく愛が欲しいわ。」

「なんかすごい重いんだけど!」

「最近見た深夜ドラマの台詞だよ。」

「夜更かしはよくないよ!」

「もー春は真面目でかわいいなあ!」

そう私に抱きついてくる風ちゃん。

「風ちゃん!?」

「いやーほんと、春は可愛いなあ!」

「嫌じゃないけど、恥ずかしいよお…。」

「そこで照れるのもまた可愛いなあ!」

しばらく離してくれない風ちゃんなのでした。

 

 

へいへいキマシだ、悪かねえぜ。

先輩ならこう言うだろう。あれ、なんか悪い意味で染まってきているような…

うん、気にしないようにしましょう。

 





とりあえずここまで。
バレンタイン…悪しき風習だな。あれほど無駄にざわざわして心を
傷つけるイベントはやはり……
FFF団を頼るしかないか。

感想、批評お待ちしております。

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