原初の機体と神才のインフィニット・ストラトス   作:赤目先生

17 / 19
どうも皆様、Blood BorneのDLCが楽しくてしょうがない、赤目です。

今回から臨海学校です。この話書いてる途中で、一夏にちょっとだけ殺意が湧きました

それではどうぞ!


第十四話:臨海学校 一日目

~マキナside~

 

「海っ!見えたぁ!」

 

 臨海学校中の宿泊地、花月荘に向かう途中のバスの中。長いトンネルを抜けた先には、広大な海が広がっていた。私の隣の席には本音がいる。が、当の本音は私の肩に頭を乗せて気持ちよさそうに寝ている。その頭を起こさないように、丁寧に撫でる。

 

 なんだか、私まで眠くなってきたわ。さっきまで……なんとも……なかったのに………………

 

 

マキナと本音が、互いに頭を寄せ合い寝ていたのを、一組の生徒に写真を撮られたのは、言うまでもあるまい

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「それでは、ここが今日から三日間お世話になる花月荘だ。全員、従業員の皆さんの仕事を増やさないように注意しろ」

『よろしくお願いしまーす!』

 

 千冬の言葉に続いて全員で挨拶する。私はご主人様以外に敬語は使わないから、口パクになってしまうけど。その代わりにお辞儀は丁寧にしている。

 

「はい、こちらこそ。今年の一年生も元気があってよろしいですね」

 

 と、着物姿の女将さんが丁寧にお辞儀を返してきた。挨拶が終わったので、旅館に入ろうとしていると、一夏が

千冬に頭を押さえられている。まあ、関係ないか。

 

「マッキー、一緒に部屋行こー」

「ええ、いいわよ」

 

 本音とは同じ部屋になったから、一緒に部屋まで行くことにした。ちなみに四人部屋で、残り二人は、ナギとさゆかだ。

 

「そういえば、マッキーの水着ってどんなやつー?」

「それは、後からのお楽しみにしておいてちょうだい」

 

 はーい、と袖の余った右手を振り上げながら返事をする本音。暫く歩いていると、目的の部屋の前に着いた。中に入ってみると、結構広い部屋だ。床は畳で、中央にはテーブルがあり、ふすまや障子などが使われており、純和風といった部屋だ。

 

 部屋に荷物を置き、必要な物だけを持って更衣室に向かう途中。ぼーっと突っ立ている一夏と箒がいた。何か見ているようだけど……

 

「どうしたの二人とも?」

「あ、ああ、マキナか。これなんだけど……」

 

 一夏がこちらに振り向き、見ていたものを指差す。そこには、

 

「ウサミミと、スパナ?」

 

 道端に生えたウサミミとスパナがあった。しかも「どっちか引き抜いてください」という張り紙がしてある。

 

「ウサミミの方は予想が付くのだが、スパナの方が分からないんだ」

 

 まあウサミミは十中八九、束でしょうね。スパナの方も分かっているので、そのことを伝えると、

 

「じゃあ、いったい誰なんだ?」

「私のご主人様でしょうね」

 

 もったいぶる必要もないから、早速ネタ晴らし。すると、スパナが埋まっていた方の地面が盛り上がってきて、

 

「ひどいよマキナ!そんなすぐに晴らしちゃうなんて!」

 

 地面の中からご主人様が出てきた。服や髪には、まったく砂がついていない。

 

「ですが、引き伸ばしても面倒なだけだと思いますが」

「確かにここで紹介した方が、いいだろうけどさー」

「な、なあ、その人は?」

 

 私がご主人様と話していると、一夏が聞いてきた。あまり邪魔しないでほしいわね。

 

「マキナ、あまり不機嫌そうな顔しないの。それじゃあ私自ら教えてあげよう!」

 

 拡張領域からクラッカーを一つ取り出し、紐を引っ張って鳴らす。私の急な行動に二人が驚いている。

 

「私の名前はマクスウェル。知っての通り、篠ノ乃束以外でISコアが複製できる天才だよ。マキナとは、家族の関係だよ。趣味とか別にいいよね。はい、自己紹介お終い」

 

 少し早口で自己紹介をしたご主人様。二人の反応は、意外とフランクな話し方だったからか、驚いているようだ。

 

「それじゃあ、私はやることあるから、また後でねー」

「それでは、また後程」

 

 そう言ってご主人様を見送る。見えなくなったので、更衣室に向かおうと振り返ると、二人がさらに驚いた顔をしている。

 

「どうしたのよ、二人とも」

「いや、マキナって敬語使えたんだなって思って」

「しかも、急にいつもの話し方に変わったから、さらに驚いたぞ」

「私が敬語を使うのは、ご主人様に対してだけよ。ほら、さっさと行くわよ」

 

 二人を置いて先に歩を進める。暫くして更衣室にたどり着くが、中には誰もいない。少し遅かったかしら。まあ、今日一日は自由行動だから、いいのだけれど。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

「マッキーこっちだよー!」

 

 水着に着替えて浜辺に出た私は、簪と一緒にパラソルの下にいた本音に呼ばれ、二人の間が空いていたので、そこに座る。

 

「マキナ、その水着似合ってるね」

「そう?ありがとう」

 

 私の水着は、黄色の様な金色をした首や腰の辺りで紐を結ぶビキニタイプの水着だ。ちなみに簪は泳ぐ気は無いのか、白い薄手のワンピースを着て、脇には麦わら帽子が置いてある。本音は……黄色のネズミだ。ネズミの着ぐるみだ。まあ予想通りである。

 

「おーい、マキナー!」

 

 声のした方を見ると、一夏が近付いて来ていた。

 

「一緒にビーチバレーでもしないか?」

 

 そう言われて少し考える。二人から離れてもいいかしら?

 

「私たちなら別にいいよ」

「そうだよ~マッキーも遊んできなよ~」

「二人がそう言うなら行ってこようかしら」

 

 二人から許可も下りたので、一夏に付いて行く為に立ち上がる。

 

「………………」

 

 一夏がこっちを見ながら固まっている。

 

「おりむー、あんまり見てちゃ駄目だよー」

「織斑君、女性の体を見つめたら駄目」

「わ、悪い!」

 

 二人が凄く恐い顔をしながら一夏を睨むと、すぐさま目を逸らす。なんだ、見惚れてたのね。

 

「ほら、さっさと行くわよ」

「お、おう」

 

 一夏の腕を引っ張りながら進む、一夏の監視目的なのかは分からないが、本音と簪の二人も付いて来ている。

 

 

「遅いぞ一夏」

「な、なんで織斑先生が相手に」

 

 コートの中には黒いビキニを着た千冬がいた。千冬チームは、清香、癒子で、私のチームは一夏、シャルロットと組んだ。

 

「七月のサマーデビルと呼ばれたこの私の実力を見よ!」

 

 まずは清香のサーブから始まった。コート際を狙ったサーブをシャルロットが、ネット際に帰す。

 

「一夏」

「任せ……ろっ!」

 

 一夏のスパイクが空いていた場所に入る。

 

「よっし!」

「ナイス一夏!」

 

 まずはこっちの点だ。このままいけるといいけれど、

 

「行くぞぉ!」

 

 一夏のサーブが相手コートの中央に入る。それを癒子が取り、清香が上げ、そして、

 

「ふんっ!」

 

 千冬の殺人スパイクが私目掛けて飛んでくる。それをレシーブしようとするが、後ろに押されて後退する。最後は受け切れずに、見当違いの方向に弾き、私も弾かれて、そのせいで転がってしまう。

 

「なかなかやるわね千冬」

 

 少し転がった後に受け身を取って起き上がる。一夏が顔を赤らめて逸らしてるけど、何かあったのかしら。

 

「マキナ前、前隠して!」

 

 簪に言われて視線を落とすと

 

「!?」

 

 な、なんで上の水着が外れてるのよ。胸を腕で隠して周りを見渡すが、無い。水着が無い。

 

「マッキーこれ早く付けてー」

「あ、ありがとう本音」

 

 本音が拾ってくれた水着を急いで付ける。流石にこれは恥ずかしいわ……

 

「ごめん、私、ちょっと落ち着いてくるわ」

 

 本音と簪が付いてこようとするが、それを手で制す。こんないつも見せないような姿、誰にも見られたくないわ。……もう見られてるけど。

 

 千冬が私の痴態を見れたからか、笑いを堪えてるわね。後で、覚えてなさいよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ビーチがよく見える崖の上に

 

「うおおおおおおおおお!!!マキナのレア顔キターーーーーーーーーー!!!」

 

超高性能カメラで、写真を撮っている神がいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時が過ぎ、夜。大広間をいくつか繋げた大宴会場で、IS学園の生徒は夕食を摂っていた。この旅館は、臨海学校中のIS学園が貸し切りにしているので、他の客に迷惑が掛かる心配はない

 

「昼も夜も刺身が出るなんて、豪勢ね」

「しかもおいしいよね~」

 

 本音が私の隣に座り、一緒に食べている。純国産の魚に加え、山葵が練り山葵じゃなくて、本山葵なのも随分と気前のいいことだ。

 

 少し周りを見渡してみると、一夏の隣に座っているセシリアが、足を痺れてさせて小刻みに震えている。さらに、シャルロットが山葵をそのまま食べて涙目になっている。

 

「マッキー食べさせてー」

 

 とそこで、本音が和服の袖を引っ張り、食べさせてほしいと言ってきた。

 

「ほら、口開けなさい」

「あーん、ん~!おいしい~!」

 

 頬に手を当て、ほにゃ、っとした顔をして嬉しそうにしている。それを見ると、無意識に本音の頭に手が伸びて、撫でてしまう。本音はさらに嬉しそうな顔をして、私に擦り寄ってきた。

 

 なんだか一夏のところが騒がしくなってきたわね。あ、千冬が怒鳴り込んできたわ。今までの喧騒が少し止んだわね。もう少し、この騒がしくても楽しい空間が、続いてほしかったけれど、残念ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~NOside~

 

皆が寝静まった頃。誰も起きている者がいない中、マキナは旅館の裏にある、林の中に来ていた。なぜこんな時間に、こんな場所にいるのかというと

 

「ちょっと遅かったね、マキナ」

「申し訳ありません。本音たちと話していたので」

「いいよいいよ。マキナも成長してる、っていう実感が湧くからね」

 

今の会話を聞く限り、マクスウェルがマキナを呼び出したようだ

 

「話、というのは、やはり……」

「うん。あのメールのことだよ」

 

あのメール、とは数日前に届いた、誰が出した物か分からないメールのことだろう

 

「あの話、本当なのかな」

「アイツがあの様な真面目な文面で送ってきた、ということは事実だと思います」

「やっぱりそうだよね~、残念だな、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もう帰らないといけないなんて」

 

もう帰る。どこに、と聞きたくなるが、この二人が帰るとなると、元の世界の事だろう

 

「ええ、私も、ようやく大切な人間を見つけたというのに。もう、帰らないといけないなんて……」

 

マキナは悲しげな顔をしている。が、涙は出ない。機械であるマキナは、感情こそあれど、涙なんかは出ないのだろう

 

「アイツが来るのは、明日か明後日だから、それまでマキナは楽しんできなよ」

「そうさせていただきます……」

「それじゃあね」

「………………」

 

マキナが返事をしないなんて珍しいな、そう思いながらマクスウェルは軽い足取りで暗闇に消える。マキナは、マクスウェルとは違い、かなり重い足取りで旅館に戻る。

 

 

皆との別れの時間は、すぐそこまで迫ってきている――――――――――――――――




今回はいかがでしたでしょうか? そろそろ第一部最終回が近いです。 後もう少しですが、最後までお付き合いいただけると、幸いです。


感想・意見・その他諸々があれば、感想欄に書いていただけると嬉しいです。


それではまた次回

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。