原初の機体と神才のインフィニット・ストラトス   作:赤目先生

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今回は繋ぎの回の様なものなので、今までよりちょっと短いはずです。

なので前書きで書くことも無いです。それではどうぞ


第十一話:原初の機体の兎との戯れ

~マキナside~

 

 デュノア社のニュースが放送された翌日の月曜日。今は朝のSHRがあと少しで始まる時間だ。ほとんどの生徒が教室に入って友人と喋ったりして、各々が自由なことをしているが、未だにシャルロットが教室に来ていない。

 

「お前達!いつまで喋っている!早く席に着け!」

 

 千冬が教室に入ってきて一喝すると、訓練でもされているかの様な速さで席に着くクラスメイト。千冬の後に続き、真耶がやつれた顔で教室に入ってきた。

 

「今日は転校生を紹介します……いえ、紹介は既に済んでいるというか……とりあえず、入ってきてください」

「はい」

 

 真耶の言葉に返ってきた声は、聞いたことのある声だった。

 

「シャルロット・デュノアです。改めて、よろしくお願いします」

「えーと……デュノア君は、デュノアさん、ということでした」

 

 クラスの事情を知っている者以外は、驚いた顔をしている。

 

「え?デュノア君って女だったの?」

「おかしいと思った。美少年じゃなくて、美少女だったわけね!」

 

 クラスが騒然とするが、

 

「もしかして、昨日のニュースと関係してるの?」

 

 この一言でクラスが皆黙ってしまった。腕を組んだままで、千冬が説明を始める。

 

「デュノアは、自身の親の会社に利用されていたが、それも昨日で終わった。今日からは普通の生徒として過ごすことになった。不要な詮索はしないように!」

 

 言いたいことは言い終わった千冬は、残りを真耶に任せて静かにしている。さてと、次に問題を起こすとしたらドイツの軍人ね。一応、注意はしておこうかしらね。

 

 

 

 

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 今日の授業が終わり、放課後。今日は特にやることも無いから、部屋に戻ろうとすると。

 

「マキナ、一緒にアリーナで特訓しようぜ」

 

 と、一夏が声を掛けてきた。少し考える。今日は暇だから別にいいだろう。

 

「いいわよ。暇だから付き合ってあげる」

「サンキュー助かるぜ」

 

 一夏が笑顔で返事をしてくる。

 

「それで、今日使えるアリーナって、どこだったっけ?」

「それなら確か―――「第三アリーナだ」

「「うわぁ!!」」

 

 一夏が場所を聞き、シャルロットが答えようとした所で、急に会話に入ってきた箒に驚く二人。

 

「そんなに驚かなくてもいいだろ……」

「ご、ごめん箒」

 

 あまりにも驚かれたせいか、落ち込んでしまっている。とそこで、

 

「なんか今、第三アリーナで専用機持ちが、模擬戦してるらしいよ」

「本当!?見に行こ見に行こ!」

 

 専用機持ちの模擬戦ねぇ……なんか嫌な予感がするわね。

 

「一夏、私は先に行ってるわね」

「おう。わかった」

 

 一夏に先に行くことを伝えて、早足で第三アリーナに向かう。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 アリーナの観客席に到着したとき、既にそこには鈴音とセシリアが、ラウラに一方的に攻撃を受けている所だった。見たところ、ラウラのISには傷が付いていない。逆に鈴音とセシリアのISは傷だらけだ。これ以上攻撃を受けたら、命に係わるだろう。

 

(仕方ないわね)

 

 そう思い、ISを展開し、四つのビットにエネルギーを溜める。アリーナのシールド越しに、ラウラに狙いを付ける。そして、撃つ―――――

 

「!!」

 

 放たれたビームは、アリーナのシールドを突き破り、ラウラ目掛けて近づいていくが、途中で気付かれ避けられてしまう。突き破ったシールドからアリーナに入り、ラウラと二人の間に入る。

 

「大丈夫かしら二人とも」

「マキナさん……」

「アンタ……何しに来たのよ……」

「助けに来てあげたのよ」

 

 後ろから余計なお世話だのなんだの聞こえてくるが、今は無視。それよりも

 

「オリジン!貴様はまたしても邪魔をするか!!」

「あら、ごめんなさいね。邪魔になってるなんて思わなかったわ」

「貴様ぁ……!」

 

 矛先をこちらに向けさせるためにわざと薄笑いを浮かべながら挑発する。ビットを二つ、鈴音とセシリアを庇う様に装甲を広げて配置する。

 

「さて子兎さん、ハンデを付けてあげるから、かかって来なさい」

「馬鹿にして!後悔させてやる!」

 

 ラウラがプラズマ手刀を展開し、こちらに突っ込んで来る。今回は遊ぶだけだからこちらも突っ込む。

 

「ハァッ!」

 

 ラウラはプラズマ手刀を振るってくるが、その全てを避けつつ、拳や脚で反撃を喰らわせていく。逆上して冷静さを失っているのか、AICを使ってこない。……本当に軍人なのかしら?

 

 と考えたところで大振りの攻撃が来る。

 

「がら空きよ」

 

 振り終わりの大きく開いた脇目掛けて蹴りを喰らわせ、大きく後退させる。

 

「くっ!」

「もう少し冷静になったらどうなの?」

「うるさい!」

 

 聞く耳持ってないわね。まだ突っ込んでくるのでこちらも突進して迎撃に出るが―――

 

「捕まえたぞ!」

「あらら。捕まちゃったわ」

 

 ようやく冷静になったのか、AICを使い、こちらを拘束してくる。ラウラが得意気な顔になっているが、まだ詰めが甘い。

 

「側面不注意よ」

「何を言って―――!!」

 

 ラウラの視界から外していたビットを左右から押し潰すように打ち付けるが、既の所で避ける。ラウラが私から離れたおかげでAICが解除される。

 

「次こそは!」

「そこまでだ!!」

 

 再度、プラズマ手刀を構えるラウラだが急に構えを解いた。声のした方を見ると、千冬がいつもの黒スーツ姿で立っていた。その少し後ろには、ISスーツ姿の一夏とシャルロットもいた。

 

「模擬戦をするのは構わんが、アリーナのシールドを破壊するのは感心しかねる。どうしても戦いたいなら、学年別トーナメントで決着を付けろ」

「……教官がそう仰るなら」

 

 ラウラがしぶしぶといった感じだが、ISを解除する。

 

「織斑先生と……まあ今はいい。オリジンもそれでいいな?」

「ええ。いいわよ」

「では、学年別トーナメントまでの死闘を一切禁ずる。解散!」

 

 私がそう答えると、千冬はアリーナにいる生徒たち全員に向けて言った。ラウラが去って行くのを確認し、一夏とシャルロットにセシリアを、私は鈴音を担ぎ、医務室に向かった。

 

 

 

 

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 ラウラとのお遊びから数日経ったある日。学年別トーナメントは、前回の襲撃を考慮し、より実戦的な戦闘を想定して、タッグトーナメントになった。そして今日は、そのタッグの発表の日だ。本音が一緒にやろうと言ってきたが、今回は簪と一緒に出てもらうことにした。

 

 ちなみに簪は今回、訓練機での出場になっている。専用機である打鉄弐式は、トーナメント明けには完成するようだ。なんともタイミングが悪いことだろう。

 

 閑話休題、本音を断った理由は、私がこのまま誰とも組まずにいたら、面白いことが起きそうな予感がしたからだ。私は機械のくせに、よく勘が当たる。

 

 そしてタッグ発表とトーナメントの各一回戦の発表会場に、私は居る。しばらくすると一夏とシャルロットが来た。この二人は鈴音とセシリアを運んだ後に組んだようだ。鈴音とセシリアはというと、ISのダメージレベルCのため、今回のトーナメントには不参加になっている。

 

 ようやく発表の時間だ。電光掲示板には―――

 

『第一回戦、織斑 一夏&シャルロット・デュノア VS ラウラ・ボーテヴィッヒ&マキナ・オリジン』

 

 これは面白いことになったわね。本当に勘が当たったわ。隣を見ると二人が口を開けて呆けている。

 

「それじゃあ二人とも、試合では全力で戦いましょう」

「ちょ、ちょっと待てよ!なんでマキナがボーデヴィッヒと」

「私は誰とも組まなかったから、抽選でこうなったのよ」

 

 一夏が納得がいかないような顔をしている。シャルロットは勝てるかどうか不安ってところかしらね。

 

「二人とも自信が無いようだから、勝てるヒントを教えてあげるわ」

 

 そう言うと二人が顔を近づけてくる。そんなに聞きたいのね……

 

「二人がかりでこられると私も厳しいかもしれないわよ」

 

 それじゃあね。と言ってその場から手を振りながら去る。トーナメントまでまだ時間はあるから、それまでに対抗策を練って、勝てるぐらいになってもらわないと、困るのよね。すぐに片が付いてしまうから。ふふっ、楽しみね。

 

 

 

 

 

 

~ラウラside~

 

来週行われるタッグトーナメントで、まさか一回戦からアイツと対戦とはな。私には運も味方しているようだ。まっていろよ織斑一夏!

 

 しかし、ペアがオリジンとだとは思いもしなかったな。同じペアでは奴を倒すことはできないが、まあいい―――いや待てよ…………くくく……この方法があったな。その為には、まずは相手の出方を伺うことにしよう。

 

 これで二人纏めて八つ裂きしてくれる!

 

「ふふふ……あはははは……あーはっはっは!!」

 

この時ラウラは何を考えたのだろうか。それは誰にも分からない―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにこの時の高笑いを一年一組の生徒である、布仏本音に面白いものを見た、といった様子で見られていたことを、ラウラは知らない




今回はどうでしたでしょうか?次回はトーナメントですよ!トーナメント!

今回は一人称でプチ戦闘描写を書いてみましたが、難しいですね。次回は三人称に戻したいと思います。

誰かの視点でも三人称になるのでご注意ください。

それではまた次回!

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