原初の機体と神才のインフィニット・ストラトス   作:赤目先生

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お待たせしました!第十話です!2、3話後って言ったやつ誰だ。私ですね。今回はシャルの問題を解決する回です。正直こんなものでいいのかは分かりませんが、私の頭じゃこんなのが限界です。

ソレデハドウゾ


第十話:霜の巨人

~マキナside~

 

 シャルル、否、シャルロットを自身のことを打ち明けてから数日たった日曜日。私はIS学園の食堂で、一夏、シャルロットと一緒に朝食を摂っていた。今食堂のテレビにはニュースが流れている最中だ。

 

「そういえば。前言ってたなんとかするってのは、どうなったんだ?」

 

 と、和食定食を食べている一夏が聞いてきた。

 

「それなら昨日終わったみたいよ」

「え!?そんなに早くに!?」

 

 と、パンにジャムを塗りながら驚くシャルロット。

 

『続いてのニュースです』

 

 と、さっきまでやっていたニュースが終わり、次にのニュースに移り変わった。普通のニュースなら誰も見向きもしないだろうが、今回は違っていた。なぜなら―――

 

『昨日未明、デュノア社が謎のISに襲撃された事件についてです』

 

 大手IS企業の襲撃事件なのだから。

 

「「「「「えええええええええええええええ!!!」」」」」

 

 食堂にいた生徒と教師、調理師たちも驚いていた。あの千冬ですらこの事は予想外だったらしく、席を立ち上がり口を開けて呆然としている。

 

「お、おいマキナ。何したんだよ」

「そ、そうだよ。いったい何したの?」

 

 周りに聞こえないように小声で話しかけてくる二人。

 

「私は何もしてないわよ。何をしたかは知ってるけど」

「何したの?」

「ここでは喋れないから、後で私の部屋に来てちょうだい」

 

 そうこうしていると、ニュースの続きが始まった。

 

『デュノア社の被害は、職員、12名と、社長のアドルフ・デュノア氏、社長夫人のアニエス・デュノア夫人両名が遺体として発見され、重軽傷者も多数発見されました』

 

 食堂に衝撃が走った。今のニュースを聞いて、生徒たちがざわめく。ある者はなんでこんなことが起こったのかと、ある者はどこの誰がやったんだろうと、そしてある者はシャルル君大丈夫かな、と。

 その言葉を聞き他の生徒たちもシャルロットの方を見てくる。

 

『それと同時にデュノア社が賄賂、横領、その他の数々の不正行為も発見されました』

 

 それを聞いて周りの生徒たちがさらに騒ぎ出す。

 

「それじゃあ、私の部屋でまた」

 

 周りに聞こえないようにシャルロットと一夏に耳打ちし、私は部屋に戻った。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 朝食を摂り部屋に戻ってからしばらくすると、一夏とシャルロットが部屋にやってきた

 

「よく来たわね二人とも」

「マキナ、デュノア社に何したの?」

 

 部屋に入り誰も入ってこないように鍵を閉めた途端に、シャルロットが聞いてくる。

 

「私は何もしてないわ。ただ、ご主人様に助けてもらっただけよ」

「それじゃあその人は何をしたんだ?」

「それを今から話すのよ」

 

そう言うとマキナは昨日の夕方に聞いたことを、二人に話し始めた。

 

 

 

 

 

 

~マクスウェルside~

 

 やっほー!画面の前の読者諸君。久しぶりだね、マクスウェルだよ!タイトルが『原初の機体と神才』ってついてるのに私の出番がほとんど無いのはなんでだろうねー?

 

 まあいいや!今回はマキナから頼まれてシャルロットとかいう子を助ける為に、デュノア社に対してあんなことやこんなことをしようと思ってるよ。

 

「さあ!今回の襲撃で使うのはこの子だああああああ!!」

 

そう言ってマクスウェルが近くにあった、布を被った何かの姿が現れる。

 

そこにはメインカラーに青、水色を基調とした全身装甲の機体が佇んでいた。両手の指先には、敵を切り裂く、というより無理やり引き裂く為の爪が付けられており、首の付け根からは、鞭の様なものが伸びている

 

鞭には突起が付いており殴るための武器となっている。この機体はマクスウェルがISとしてではなく、ドライバとして作った物である為、移動手段は足に付いているローラーを使っての移動となっている。ちなみにただのドライバではなく、自立型ドライバである

 

今回は閉所での戦闘を想定しており、元のサイズとは大きさが違うが、それでも生身の人間からすれば、十分脅威に成り得る大きさである

 

「名前は何にしようかなー?」

 

 うーん……どうしようかなー…………そうだ!北欧神話の巨人から取って

 

「今日から君の名前はヨトゥンだ!」

 

 うんうん。我ながら良い名前が付けれたよ。それじゃあ早速、機体テストも兼ねて、デュノア社に行きましょうかね~

 

マクスウェルはヨトゥンを粒子化させ、いつも持っている巨大なスパナに収納させた。そして移動用のISを身に纏い、フランスのデュノア社へ向かって飛んで行った

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「ここがデュノア社か~」

 

 ISのステルスモードでフランスに来た私は今、デュノア社の正面玄関の前のビルの屋上にいる。現在の時刻は、午後一時。襲うなら確実に社員もいる時間帯で襲う。今日は社長も、その夫人も会社にいることは事前に調べがついている。

 

「性能テストも兼ねてるから、すぐに警備が来てくれる正面から行かせますかー」

 

 そう言ってスパナを一振りすると、どこからともなくヨトゥンが現れる。

 

「それじゃあ行ってらっしゃ~い!」

 

 その言葉を聞いたヨトゥンは前傾姿勢になり、正面玄関をぶち抜いて突入していく。

 

「ミッションスタート」

 

無機質なマシンボイスが玄関に響くと同時に、侵入者に対するサイレンが鳴り響く

 

「さて、どんなものかな」

 

デュノア社を見ながら舌なめずりをする。その顔は、面白いものでも見ているかの様に、歪ませ、嗤っていた

 

 

 

 

 

 

~NOside~

 

今回のミッション内容は、社長と社長夫人に加え、シャルロットに危害を加えた職員12名の殺害だ

 

「データ照合開始」

 

ピピッという機械音が鳴ると、職員の顔を見回し目標を探している

 

「目標発見。撃破シマス」

 

ホールにいた40代と思われる人物を発見する。その途端、ローラーダッシュで一気に近づきながら右手を引き、力を溜める。そして射程圏内に入ると速度を乗せた右が振り抜かれる

 

「撃破完了。ターゲット残リ13」

 

ヨトゥンの右腕が職員の胸を貫く。腕を引き抜いた後には大きな丸が開いていた

 

「コノ場デノ目標ノ反応無シ。移動開始」

 

ヨトゥンが移動を開始する。移動しながら部屋内部へスキャンを掛ける。五つ目あたりで目標の反応を検知したヨトゥンは、ドアを吹き飛ばしながら部屋に突入する。中にはまだ若い女性がいた

 

「目標発見。撃破シマス」

 

同じセリフを吐いたヨトゥンは、上半身を振り回し、首にある鞭を振るう。振るわれた鞭は、女性の首に襲い掛かり、巻きついてきた。ヨトゥンは右手で鞭を引っ張り、その力に抗うこともできず、女性の体は宙に浮く

 

次の瞬間には、女性の首と胴体が別れていた。ヨトゥンの横に振り抜いた左手には女性の頭があった

 

「撃破完了。ターゲット残リ12」

 

その後、一階に目標はいないことを確認した後、ヨトゥンは二階に昇り、廊下に出る

 

「いたぞ!侵入者だ!」

「撃て!撃ちまくれ!」

 

そこにはサブマシンガンを持った警備員と職員合わせて五名、待ち伏せていた

 

「目標2ツ発見。撃破シマス」

 

ヨトゥンは職員二名に全速力で近づき、頭を鷲掴みにして廊下の突き当たりの壁に激突させる。もちろん生身の人間が耐えきれる訳も無く、無残にも頭が潰れて原型を留めていない

 

その後、目標を次々を殺していったヨトゥンは、社長室の扉の前にいる。ちなみに、部屋のロックはマクスウェルがハッキングして、出られないようになっているので、二人がこの部屋にいるのは確定している。

 

ヨトゥンが部屋に突入しようとした時、レーダーに一つのIS反応が現れる。それを確認して反応のあった方を向くと、ラファールリヴァイブを纏った女性がいた

 

「大人しく投降しろ。さもなくば撃つぞ」

「障害ヲ発見。無力化シマス」

 

その言葉を聞いた操縦者は右手にショットガン、左手には近接ブレードを展開する。現在地は社長室前の廊下だ。地上戦用に作られたヨトゥンに利があると思われる

 

先に動いたのはヨトゥンの方だった。前傾姿勢になり、突進しながら両手を構える。もちろん近づいてくるのをただ待ってくれる敵ではない。近づいてくるのと同時にショットガンで迎撃する。しかし、今は防御力のあるIS『打鉄』の装甲より厚いヨトゥンに、その程度の銃弾では傷一つ付けることができない

 

その間に操縦者に肉薄したヨトゥンは、切り裂くように右手を振るう。操縦者はショットガンを盾代わりに前に翳したが、それを貫いてきた腕を避けられず、シールドエネルギーが削られる。ヨトゥンは追撃を仕掛けるが紙一重で避けられる

 

「掠めただけでこんなに!?」

 

シールドエネルギーの数値を見ると、50以上は減っていた。掠めるだけでこの威力なのだ、直撃したら絶対防御の発動は免れない。そう思った操縦者は右手に新しく物理シールドを展開する

 

シールドの展開を確認したヨトゥンは、先にシールドから潰そうとし、鞭を振るう。操縦者も当たるまいとして、シールドで防御するが、鞭が当たった所が拉げてしまい、後数回しか使えないようになってしまった

 

操縦者は盾を拡張領域に収納すると、もう一本、新たにブレードを展開する。守るより攻めた方が良いと考えたのだろう

 

同時に動き出した一人と一機は自身の獲物を扱い、高速で打ち合っていく。ヨトゥンの装甲は徐々に傷ついていき、操縦者の方はシールドエネルギーが削れていく。先に限界がきたのは操縦者の振るうブレードだった。ヨトゥンの苛烈な攻撃に耐えきれなかったブレードは、刃の部分が粉々に砕ける

 

次の武器の展開も間に合わずヨトゥンの攻撃をまともに受けてしまう。吹き飛ばされたISのシールドエネルギーは残り二桁しかなかった。止めを刺そうとしたヨトゥンに対し、名も知らぬ操縦者はヨトゥンの振るう右手に合わせて拳を振るう。ヨトゥンの拳と打ち付けあった操縦者の右肩が外れる。しかしISのパワーアシストを借りた拳は、ヨトゥンの拳に皹を入れ、火花を散らせていた

 

ISが解除された女性は死を覚悟したが、一向に何もしてこないヨトゥンに疑問を浮かべる。次の瞬間、ヨトゥンは―――――

 

「無力化ヲ確認。任務ヲ続行シマス」

 

社長室に歩を進める。女性は悔しそうに唇を噛み締め、血を流していた

 

社長室のドアを突き破り部屋に突入したヨトゥンは、部屋の隅で怯えて縮こまっている二人を発見した。データを照合してみると、社長と夫人で間違いないようだ

 

「最終目標ヲ発見。撃破シマス」

 

ヨトゥンは二人に向かってゆっくり歩き始めた

 

「頼む助けてくれ!何が望みだ!金か?権力か?なんでもくれてやるから助けてくれ!」

「アンタこんなことしてタダで済むと思ってるの!?今なら見逃してあげるから助けてよ!」

 

二人は自分の命惜しさに命乞いをしてくるが、自立兵器であるヨトゥンにはそんなものは意味が無い。二人の眼の前まで来たヨトゥンは、両手を振り上げ―――――

 

そのまま二人に向けて振り下ろす。指先に付けられている爪により、二人の体には深く抉れた爪痕が五本ずつ残る。そこに見える景色は、まだ微かに動いている心臓と真っ二つに折られた数々の骨、その他の内臓が見える

 

『ヨトゥンお疲れ様~それじゃあそこの窓から飛び降りてきてー』

 

マクスウェルからの通信を受けたヨトゥンは、そのまま窓を破り地上に落ちる。地面に着地する前にその場にいたマクスウェルがスパナを振ると、ヨトゥンの体は粒子化され、収納される

 

「さてと今回の戦闘データを纏めて、おっと、その前にデュノア社の不正を報道陣にリークしないと。その後にマキナに報告かな」

 

そう言ってマクスウェルは、来るときに使ったISを身に纏い、自分の家に向かって飛ぶ。数十分後、フランス特殊部隊がデュノア社に突入し生存者を保護し、死体を処理したそうだ

 

 

 

 

 

 

~マキナside~

 

「と、いうのが昨日ご主人様から聞いた話よ」

 

 話が終わった後の二人の様子は深い闇の様に暗かった。もちろん殺され方までは正確には話していない。一夏は、自分の友人の大切な人が殺人者だということに驚き、シャルロットは、嫌い、嫌われていたとはいえ、身内が死んだから落ち込んでいるのだろう。

 

「それじゃあシャルロットは、今後の身の振り方でも考えていなさい」

「身の振り方?」

 

 落ち込んで暗い声のまま、シャルロットが聞いてくる。

 

「そうよ。明日には自分のことを打ち明けた方がいいと思うから、何かそれらしい言い訳を考えておきなさい」

 

 顔を俯かせたまま何も言わないシャルロット。まあいいわ。

 

「後、教師と生徒会長は味方につけておきなさいよ。楯無の方は私から言っておいてあげるわ」

「…………わかった」

 

 今にも消えそうな声で返事をしてくる。部屋を出た私は、楯無に会うために生徒会室へ向かう。明日からどうなるのかしらね。




今回はいかがでしたでしょうか?うまく書けてたらいいんですけど……
次回からはラウラのなんやかんやを書いていきます。
ヨトゥンの武器とかは作者が勝手に想像したものです。
マクスウェルのISは名前も無い、移動用の物です。

それではまた次回!

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