白き妖犬が翔る   作:クリカラ

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番外編 予告-第2弾-

 

 

 

 

――――――舞台は、第5次聖杯戦争

 

 

 

 

 

――――――聖杯を巡り争うのは、選ばれた七人の魔術師(マスター)

 

 

 

 

 

――――――彼らに与えられた駒は、歴史に名を遺した英雄の具現化たる七騎の英霊(サーヴァント)

 

 

 

 

 

――――――主人公は半人前の魔術師……と言いたい処だが、この世界は違う

 

 

 

 

 

――――――『雪の妖精』イリヤスフィール・フォン・アインツベルン

 

 

 

 

 

――――――『正義の体現者』『救世主』殺生丸

 

 

 

 

 

――――――この物語(Fate)は、彼女と一匹の妖犬によって織り成される

 

 

 

 

 

――――――新たな運命の夜(stay nigkt)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

此処は、御三家の一つである『アインツベルン』の本拠地がある城の場内。

現在この場では、召喚魔術の最高位である英霊(サーヴァント)降臨の儀式が行われている。

 

儀式を取り行っているのは、今回の聖杯に選ばれた魔術師(マスター)の一人であるイリヤスフィール。

彼女はアインツベルンが鋳造したホムンクルスであり、過去最高傑作の出来である。

 

そんな彼女は、アインツベルン現当主のアハト翁が用意した聖遺物を

その手にしながら少しの不安を感じていた。

 

何故、不安を感じるのか?

答えは簡単だ、此れから呼び出す英霊に問題があるのだ。

 

呼び出す英霊が召喚に応じるかどうか、その部分が一番の問題になっているのだ。

 

今回で聖杯戦争も5度目、御三家の一つであるこの家系も数百年単位でこの戦争に参加している。

そんな彼らが、召喚に応じるかどうかの博打英霊を呼ぼうとしているのにも、勿論理由がある。

 

召喚に用いれる遺物がコレだけしか無い。

……仕方が無かったんだ。

第4次と第5次の間の期間がたったの10年しか無かったのだ。

 

冬木の聖杯戦争は主に約60周年の周期で訪れる大魔術儀式であり、

此れまでの第4回まではその周期で訪れていたのだ。

 

だが、今回は10年と云う短い期間に急遽変更になり、英霊由縁の遺物を見つける時間がなかった。

一応は、ギリシャ大英雄を召喚できる遺物を取り寄せていたのだが、

運が悪かったのか手に入れる事は叶わなかった。

 

其処で、ユーブスタクハイト改めアハト翁は城にある物を片っ端から探した。

そして探し出したのが、その問題の英霊に由来する遺物である。

 

その聖遺物は、日本の着物と呼ばれる物の切れ端であった。

何処か上品な印象を与えられるそれで召喚出来る英霊は、世界に於いて一人……いや、一匹だ。

 

英霊の真名は、殺生丸。

出生は聖杯戦争の開催地である日本であり、その伝承は世界各国に及ぶ。

 

聖杯はキリスト由来の物である事から西洋の英霊、

具体的には宗教に携わっている西洋圏の者たちしか呼べない。

日本でも、近世に入った頃には宗教の影響を受け始めたので

それ以降に生まれた日本の英霊は召喚可能なのだ。

 

だが神秘はより古い時代の方が高い、それ故 近代の英霊を積極的に呼び出そうとするのは余りない。

その点、殺生丸は日本の英霊でありながら召喚の条件はクリアしている。

推定されている誕生年代も神話に近く、神秘は日本で呼べる英霊としては

最高にして最強のサーヴァントになるだろう。

 

こんな説明を聞いたら、絶対に彼を召喚した方が良いと誰もが言うだろう。

アハト翁もこの聖杯戦争に参加した当時からその様な考えをしていた。

 

だが、かの大英雄は召喚に応じないのだ。

何度も召喚するのに、その呼びかけにウンともスンともしないのだ。

 

第1回目は御三家全てが彼を召喚しようとした。

結果は全敗。

第2回目は御三家+他の参加者4組の正しく全参加者が召喚しようと挑戦した。

結果は惨敗。

第3回目は御三家以外の4組がまた挑戦した。

結果は無残。

第4回目は誰も召喚しようとはしようとはしなかった。

 

この結果から解るとおり、彼は何故か召喚に応じないのだ。

英霊も聖杯と云う優勝賞品を目当てに戦争に参加するので、

願いが無い存在は抑々召喚が出来ないだろう。

 

だが、彼は召喚に応じはする筈なのだ。

彼が一番大切にした存在の為に(・・・・・・・・・・・・・・)……

 

それ故、この城にもその時に使った遺物が残っているのだ。

アハト翁は無いよりはマシだと考えて、コレを召喚の触媒にしようとした。

 

召喚が不発に終わる様なら、次は時間が許す限り新たな聖遺物を探せば良いと開き直ったまでだ。

 

だからこそ、イリヤは不安を感じていた。

自身が考える復讐の第一歩が、不発から始まるなど冗談じゃない。

 

そんな考えがある彼女だからこそ、今回の召喚には不安と同時にヤル気を出していた。

未だ、誰も召喚した事が無い大英雄を自分が召喚してやる……と彼女は挑戦魂を露わにしている。

 

そして、その時が訪れた。

 

 

 

 

 

『素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。

 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ』

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

 繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する』

 

『――――――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ』

 

『誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。

 汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――――!』

 

 

 

 

 

白き貴公子が、其処には存在していた。

 

長い銀髪、触媒に使用した物と同じ着物姿。

フワフワしている大きな毛皮。

腰と背中の計3本の刀。

 

そして、人類を超越している圧倒的な存在感。

想像していた域を優に超えた、真正の化物。

 

遠くで召喚を観ていたアハト翁は、まず何事かと慌てて召喚された存在を観察した。

今迄、一度たりとも召喚されなかった英霊だ。

まず偽物の可能性を疑い、その眼を疑惑の色にしていた。

 

だが、此れまで英霊と呼ばれる存在を何度か観てきた彼は、理解してしまった。

ソレが本物だと云う事実に……

 

アハト翁にその後の記憶は無い。

彼は歓喜の余り気絶してしまったのだ。

 

そんな爺の寸劇などは眼に入らない彼女は、目の前の存在が口を開くのを待った。

そして、透き通った声がイリヤの耳に聞こえてきた。

 

「――召喚に応じ、参上した。

 私を呼んだ魔術師(マスター)はお前か?」

 

「――うん…じゃなくて! ええっと…私が貴方のマスターである、

 イリヤスフィール・フォン・アインツベルンです…ですわ!」

 

「――私の名は、殺生丸。

 此れより我が身は、お前と共にある」

 

「……あっ! えっと……此れから宜しくね、殺生丸」

 

「……ああ、私に全て任せろマスター。

 必ず、聖杯を……いや、まずはマスターの中にある聖杯を如何にかしよう」

 

「――なっ!?」

 

イリヤは此れからの事について彼と相談する算段を頭の中で考えていた。

だが、彼が言った言葉に声を失った。

 

「――私は、魔術師(キャスター)としての適性も持ち合わせている。

 マスターと契約と云う形で繋がっている今の状況なら、ある程度は把握できる」

 

「――――――」

 

彼女は言葉が出なかった。

この英霊は、ここまで規格外なのかと……

 

「――貴方、役割り(クラス)は何なの?

 その口ぶりだと、キャスターでは無いようだけど……」

 

「――――――」

 

イリヤの眼には確りと彼のパラメーターが表示されていた。

驚異的な事に、合計がオールA以上と云う結果を叩き出していた。

 

その数値に、4騎士では先ずは無いと考えて3騎士の内の剣士(セイバー)を思い浮かべた。

セイバーのクラスなら、この数値に納得がいくからだ。

 

そんな考えをしていた彼女は、何時まで経っても

自身のクラスについて話さない彼を不審に思っていた。

そして、彼は重いその口を開いた。

 

「――救世主(セイヴァー)

 

「……セイヴァー? セイバーじゃないの?」

 

「…………そうだ」

 

「ふ~ん」

 

イリヤは意外に感じたが、寧ろ納得してもいた。

こんな凄い存在じゃ、通常のクラスは合わないなと考えたのだ。

 

だが、彼を観ているとその事実に凄く嫌がっているのが何となく分かった。

顔色は変わってないが、雰囲気で何となく察せる。

 

イリヤはそんな彼の姿を見て、このサーヴァントとは上手くやっていけるかなと考えだしていた。

自分たちと同じように嫌いなものがあるのだと知れると、彼の存在を身近に感じられたのだ。

 

「ねぇ、殺生丸?」

 

「――何だ、マスター?」

 

「――そのモフモフ触らせて!」

 

「――肩にある毛皮(コレ)の事か?」

 

「そうそう! そのモフモフ触らせて!」

 

「……はぁ、仕方がない。――特別だぞ?」

 

「ヤッター!」

 

彼女はそう云うと、彼のソレにダイブした。

コレには殺生丸も驚き、彼女を抱きかかえる態勢に成ってしまった。

まあ、彼女はそんなのお構いなく毛皮に顔を埋めているのだが……

 

先ほどまでは、殺生丸に対して気丈に振舞おうとしたのにもう終わっていた。

彼からして見れば、自身のマスターが無邪気に振舞う方が嬉しかったので如何でもよかった。

 

こんな始まりだったが、彼と彼女が紡ぎだす奇跡の物語には丁度良かったのかも知れない。

彼らには、この位のほのぼのとした空気が合っている。

 

 

 

 

 

――――――運命の歯車が動き出す

 

 

 

 

 

――――――本編とは違う、もう一つの聖杯戦争

 

 

 

 

 

――――――『Fate/stay night 番外編-第2弾- もう一つの運命』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――なっ! 何なのよ!あの化け物は!』

 

『凛! 今は逃げるぞっ! 私たちでは勝ち目は無い!

 衛宮士郎! 貴様もセイバーを連れて離脱しろっ!』

 

『――アーチャー! 彼からは逃げられませんっ!

 此処で戦うしか、生き残る道は無いっ!』

 

『何を言ってるんだっセイバー! アーチャーの言うとおり、此処は一端退くんだっ!』

 

『――お困りの様なら、手を貸して遣るぜ。嬢ちゃんと坊主』

 

『――その顔を観るのは久しいな「クランの猛犬」』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――懐かしき、顔ぶれとの再会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……まさか、この様な状況になろうとは』

 

『私は別に構わないが、コイツ(ランサー)と組ませるのはだけは勘弁願いたいのだが……』

 

『――ほぉ? 何ならテメェからこの槍の餌食にしてやっても良いんだぜ? アーチャー』

 

『――ふむ、次元を超えてこの秘剣を師匠とまた競えるとは……正に奇跡よな』

 

『アサシン、山門から動かして上げたのですからその分はちゃんと働きなさい』

 

『――桜が、望むなら……私は何も言いません』

 

 

 

 

 

『――壮観だな。全サーヴァントが集結し、力を合わせるなど……

 だがな、気づいているか?コレだけの戦力を集めながら尚、この身には届かないと……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――在り得ない、共闘

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やっちゃえ! セイヴァー!』

 

『――ああ、マスターの命を遂行しよう。

 我が名は、殺生丸!

 貴様を倒す――イリヤスフィール・フォン・アインツベルン最強の使い魔(サーヴァント)だ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――最強は、現在(いま)此処に!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………ネタ、第2弾だよ!

 

 




只のネタですのでスルーして下さって結構です

イヤマジで!

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