白き妖犬が翔る   作:クリカラ

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タイトル通りです。
戦いは次回に持ち越しです

……戦闘はどう書けば良いのかさっぱりです。
いっそキンクリでも良いかなと考えてみたり……

今回の内容を言うと3話の終わりから4話までの話と、
4話の終わりから5話の遠坂邸までに続く話です

あと今回の内容は作者自身、少し詰め込み過ぎたかなーと思ったので
その辺りはご容赦下さい


間桐陣営の内情

 

 

 

 

 

―――始まりは、殺生丸が自身の真名を告げた後のお話

 

 

殺生丸は自身の真名を明かした際に、彼らに桜の現状を分かり易く整理して話を聞かせていた。

 

「……つまりお前が言っている事が本当だとしたら、

 時臣は桜ちゃんを助ける為、間桐に養子として出したのか?」

 

「――ああ、蟲の資料を読んだ限りでは桜の魔術属性は架空元素。

 これは魔術家の保護下に属していない者が持っていた場合、

 魔術協会に封印指定とされホルマリン漬けの標本に飾られる代物だ。

 私自身も魔術で調べたがこれは間違いない。

 仮に、魔術に関わらない様に今後過ごしたとしても異端は異端を惹きつけ合う、

 その素質を持ち合わせるだけで厄介ごとに巻き込まれるだろう」

 

雁夜は、殺生丸の話を聞いて遣る瀬無い思いを抱いていた。

やっと臓硯から解放され、後は葵の下に帰すだけだと考えていた彼は、

殺生丸からそんな話をされても信じきれなかったのだ。

だから彼は縋る想いで、他の打開案を出していた。

 

「……魔術回路ごと壊してしまえば……」

 

「戯け、貴様は魔術を正しく学ばなかったからその様な事が言えるのだろうが、

 魔術回路とは体の臓器と一緒だ。

 それを無暗に壊そうとするなら、体にどの様な影響が出るか分かったものでは無い」

 

「……それなら! 封印すれば何とか……」

 

「もし感情の高ぶりや外的要因で外れた場合どう対処する?

 その場に魔術を知る者が対処できれば良いがそう都合よく往くまい。

 魔術の失敗は死に直結する、対処法を知るのと知らないのでは成果は

 随分と変わってくるだろう。

 それに最初に言った筈だ、異端は異端を引き寄せる。

 桜ほどの才能になると決して裏の事情に関わらずには居られない筈だ」

 

これは、永い年月を過ごした殺生丸だからこその答えだ。

平和に過ごしていても、異端(向こう)側からこちらにやってくる。

世界の理不尽と云うのを彼はその眼で多く視てきたのだ。

 

「……」

 

そして、この話は雁夜にとっても例外じゃない。

彼はジャーナリストとして世界中を歩んでいたがその最中、

魔術絡みの騒動に何度か巻き込まれた経験があった。

 

桜がそんな目に遭うのは避けたかったが、それでも彼女には魔術などに関わらず

平和に暮らして欲しいのだ。

雁夜は何とか桜を元の日常に帰そうと思考を巡らせてたが、

それは桜自身によって止められた。

 

「……雁夜おじさん、もう…いいんだよ?」

 

「桜ちゃん! 君は幸せを願っても良いんだ! だから諦めないでくれ!」

 

「……違うのおじさん。桜はもう幸せなんだよ?」

 

「何を言ってるんだ! また葵さんとも凛ちゃんとも会えるんだよ?

 ジジイも兄貴も居なくなって桜ちゃんの邪魔をする存在は無くなったんだ…だから!」

 

「……私ね、殺生丸さんから聞いたの。

 桜を助ける為に今まで頑張ってくれたんだよね?

 だからね?

 桜は……助けようと頑張ってくれた雁夜おじさんが居てくれるだけで幸せなんだよ?」

 

「!!」

 

彼は、今迄の事を桜が知っている事に驚いた。

その情報を教えた自分のサーヴァントに怒鳴り声を上げた。

 

「殺生丸! お前…」

 

「――桜にも知る権利はあろう。それに私が改めて伝えずとも蟲から教えられていた様だ」

 

「なっ!」

 

それでは今まで隠していた事は全て無駄だったと云うのか…と、彼は言葉を失った。

その姿を見た桜は、雁夜に自身の気持ちを伝えた。

 

「雁夜おじさん、私……魔術を学びたい」

 

「なっ何を言ってるんだい桜ちゃん! 君は今までその魔術に苦しめられてきたんじゃないか!」

 

「うん、おじさんの言ってる通り私は今まで痛い想いしか魔術ではしてこなかった。

 でも、殺生丸さんが正しい魔術を教えてくれるって約束してくれたの。

 だから魔術をちゃんと扱える様になって、おじさんのお手伝いをしたい」

 

「……またお前の考えか」

 

雁夜は若干キレていた。

だがそんな彼にも殺生丸は冷静に対処した。

 

「――雁夜、貴様は確かに人として正しい考えをしている。

 だが、こと魔術の世界に置いてその甘い考えでは守りたいと思った存在を一番に死なせるぞ」

 

「……そんなのこと……俺が一番よく分かってるさ……」

 

そう、彼も分かっている。

ここまで説明され、殺生丸が自分たちの為に最善を尽くそうとしているのは理解しているのだ。

 

だが、感情がそれを拒み続けていた。

自分や桜を苦しみ続けていた魔術にこれ以上、彼女を関わらせたくなかった。

 

故に彼は、ここまで頑なに拒んでいるのだ。

しかし、そんな雁夜もついにはその提案を受け入れた。

それは桜の安全を第一に考えての事だった。

 

「――桜ちゃん、これだけはおじさんと約束して欲しい。

 絶対に無理だけはしないって……約束してくれるかい?」

 

「――うん、約束する。雁夜おじさんを困らせる様なこと、桜は絶対しない」

 

「……良し! なら俺から君にもう何も言わないよ。

 でも、困ったことがあったら何でも言ってくれ、おじさんが全力で力になるから」

 

「……ありがとう…雁夜さん(・・)

 

「? 桜ちゃん、いま何か言ったかい?」

 

「ううん、何も言ってないよ?」

 

「そっか? なら聞き間違いかな……」

 

「……ふふっ」

 

こんな遣り取りを得て、間桐陣営はその絆を強固なものとしていった。

 

 

 

 

 

次に、聖杯戦争の参加についての有無は参加する方針となった。

色々と考えた結果、この戦いは避けられないものだと結論を出した為である。

 

「――まずは聖杯戦争に参加している他陣営の情報だ。

 一つ目は知っての通り、御三家である『遠坂』現当主の遠坂時臣。

 次にもう一つの御三家『アインツベルン』からの参加予定である『魔術師殺し』衛宮切嗣。

 時計塔でロード・エルメロイの二つ名で知られるケイネス・エルメロイ・アーチボルト。

 最後に遠坂時臣を師範とした魔術師弟関係である聖堂教会の元『代行者』言峰綺礼」

 

殺生丸は、聖杯戦争に参加するに当たって臓硯が調べていたことを改めて、

マスターである雁夜と桜に情報として聴かせたが、

やはり雁夜に聖杯戦争を降りてもらうのは今は危険だと判断した。

 

彼はこんな戦い早く退場した方が二人の身も安全になると初期は考えていた為、

早々に雁夜の令呪で自害でもしようと考えたがそれを思い留まり現状を再確認した。

 

まず、雁夜の命は長くない。

聖杯戦争に参加する際に無理な魔術行使を受けた所為で、寿命は既に一月も持たない状態だった。

これは桜も悲しむ為、何とかしなければと彼は考えた。

 

次に参加資格を失ったからといって、彼らに危害が及ばなくなるのか……と改めて考えた。

マスターの資格を失った場合、他の参加者から身の安全を確保する為に、

中立である冬木教会に保護を求めることが出来る。

だが、中立だからといって其処が絶対に安全だと考えてはいけない。

寧ろ、(原作知識)に書いてあることが起こるなら安全ではない。

 

遠坂時臣は何とか説得すれば良いかも知れないが衛宮切継は駄目だ。

この男は目的の為になら手段を選ばない存在だ。

それに言峰綺礼も覚醒した場合には、面倒な存在となる。

こういった者たちが一番厄介なのだ。

 

それにキャスターにジルが召喚されるとしたら、友として出来れば止めて遣りたい。

彼は後年に青髭と呼ばれる存在になる前は、

祖国の為に…そして誓いを奉げた彼女の為に戦い続けた男だ。

そんな彼を殺生丸は、自身の手でどうしても助けたかった。

 

殺生丸は雁夜の寿命とキャスターの件が無ければ、

ホントに自害をして雁夜と桜の二人を冬木の地から逃がしていた。

この地から抜け出せれば、二人の生存を確かなものとする事が出来たからだ。

 

だが、キャスターをどうにかしなければ桜の姉である凛にも被害が及ぶ可能性があった。

そして雁夜が死んだ時に桜が一人取り残される状況は見過ごせないのだ。

 

雁夜も殺生丸の話を聞き色々と考えてくれた結果、彼の提案を受け入れた。

召喚されてから自分たちの事を第一に考えてくれる殺生丸に、自分たちの命を託したのだ。

 

そして殺生丸は方針としてまず、協力者を得ようとマスターに進言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在、間桐家には4人の人物が存在していた。

魔術師(マスター)の間桐雁夜、その使い魔(サーヴァント)である殺生丸。

間桐の養子になった間桐桜、殺生丸()が連れて来たキャスター(サーヴァント)のジル・ド・レェ。

 

 

 

 

 

殺生丸がジルを元の状態に戻し、ここまでに至った経緯を説明しよう。

 

まず殺生丸は雨生龍之介が殺害した夫妻を甦らせ(・・・)

その後は殺害現場を魔術で手早く処理し、ジルを伴い間桐邸へと帰還した。

 

彼は事前にこの様な結果になると雁夜たちに伝えていたが、やはり驚きはあったらしい。

それは、サーヴァントの召喚と呼び出される英霊の真名を事前に知っていたことについてだ。

 

情報源について殺生丸は話をはぐらかしたが、

それでも何とか雁夜の信用を勝ち取ることに成功し、

ジルを間桐家まで連れて来たのだ。

 

何故ジルを仲間に引き入れたかについての理由は、雁夜たちの安全を確保すると同時に、

聖杯戦争を円滑に進める協力者の存在が必要不可欠だと考えたからだ。

 

 

―――戦争に安全など存在しない

 

 

それは超越者となった殺生丸には一部の例外を除きほぼ起こり得ないことだが、

彼の周りに居る存在にもそれが適応する……と云う訳では無い。

 

確かに殺生丸の実力なら他の存在を圧倒してマスターの安全を確保するなど容易ではあるが、

予想を上回る事態にも備えがあれば尚 安心と云った思惑が彼には基本的に備わっているからだ。

……ビビりの感性がここでも発揮されてたのだ。

 

そんな理由でジルは間桐家へと連れて来られた。

無論ジル自身を助けたかったのも理由にはあるが、今の彼は雁夜の使い魔(サーヴァント)なのだ。

マスターの為に手を尽くすのは、サーヴァントとしての務め。

そんな考えの下に殺生丸(オリ主)は行動している。

 

殺生丸は帰還した後にジルに協力して貰える様に頼む考えだったが、これが少し厄介だった。

ジルは初め、自身が青髭として呼ばれたことを恥じて自害しようとしたのだ。

 

それを何とか食い止めて、何とか協力してくれるよう頼みこんだ。

それでもジルは自分の存在が相当許せなかったらしく、

こちらの説得を中々聞き入れてくれなかった。

 

だが桜はそんなジルを見かねて、彼にこんなことを言った。

 

「……ねえ、ローブのおじさんは何でそんなに自分のことを嫌ってるの?」

 

「……御嬢さん、私はね…とっても悪い人間なんだ。

 現世(ここ)に居たら、いつか君みたいな子に酷いことをするかもしれない。

 だから、私みたいな悪人は皆の前から消えたほうが良いんだ……」

 

ジルは悲しい顔で彼女にそう告げた。

それは大切な存在を失って自分が信じていたものが嘘だと思い込み、

道を踏み外してしまった彼だからこその言葉であった。

 

そんなジルに桜はこう告げた。

 

「……おじさんは悪い人なのかも知れないね。

 でも、そんなおじさんでも殺生丸さんは信じてるよ?

 だって言ってたもん、アイツは絶対に悪い奴じゃないって。

 ……少し、ほんの少しだけ道を誤ったんだって。

 だから雁夜おじさんと私におじさんのこと信じてほしいって」

 

「………………」

 

「だから、私も雁夜おじさんも信じてるんだ……おじさんは絶対良い人だって!」

 

桜は自分を助けてくれた殺生丸に感謝していた。

そしてそんな彼が言った言葉を彼女は純粋に信じた。

この英雄は自分たちの味方になってくれると……

 

英雄ジル・ド・レェにとって子供とは愛すべき存在であり、

自分たちが守るべき存在だと考えていた。

祖国を守る戦いにおいても、彼らの笑顔を第一に考えて彼は戦い続けた。

 

そんな英雄は、聖女ジャンヌ・ダルクの死と共に消え、

代わりに青髭と呼ばれる存在に成り果てた。

 

だが、彼はそれでも英雄なのだ。

いつかその身が地獄に堕ちると分かっていても、子供に求められれば立ち上がる皆の英雄(ヒーロー)だ。

 

桜の言葉を受けて、彼は覚悟を決めた。

浅ましいこの身を必要としてくれる存在が居るのならばと!

 

「――私はいつか地獄に堕ちるでしょう。

 されど、この時ばかりは貴方たちと共に戦わせてください。

 ――――――この身が燃え尽きるまで!」

 

 

―――こうして間桐陣営に新たな戦力が加わった。

 

 

 

 

 

そして現在に至り彼らは、今後のことを話し合っていたのだ。

 

「――まず、雁夜と桜には私の魔術で体の状態を正常な域にまで戻そう」

 

「?! そんな事が可能なのか!」

 

「――ああ、雁夜は急造で仕立て上げた所為で体はボロボロの状態だ。

 まずは体に巣食う蟲を全て排し、寿命は私が可能な限り伸ばそう。

 次に桜は、蟲が間桐の水属性に変えようとして乱した流れを正常にすれば戻る筈だ」

 

殺生丸は雁夜と桜の状態を通常に戻そうとしていた。

この提案に雁夜は喜んだが、次にそれによって起こる魔術供給の不足についての懸念が発生した。

だが、それについても殺生丸には対策があった。

 

「魔術供給の問題は大丈夫だ。

 マスターとは別に魔力供給源として魔力炉を作り、

 それを用いて魔力パスの分割を行い雁夜の負担を極力避ける」

 

「そんなことも出来るのか?」

 

「……私が世界を旅していた時、外界の魔力(マナ)を効率良く吸収する植物が居てな、

 それを今まで育てていたのだ。

 アレを地下の蟲蔵に設置すれば、この地のマナを効率良く集める。

 そして植物に魔力パスを繋げて分割の魔力供給源とすれば、

 雁夜への負担はほぼ無くなるだろう」

 

その言葉を聞いて雁夜は一先ず安堵した。

自分の所為で殺生丸が負けてしまったら、今迄のことが台無しになるからだ。

 

次にジルについての話になった。

ジルはキャスターとして召喚された為、

ステータスなどがセイバーとして呼ばれた時の状態より大きく劣っていた。

殺生丸は腰に差している刀で虚空を切り裂き、その裂け目から何と武具と旗を取り出した。

表れたそれらを見て、ジルは思わずと云った顔になった。

 

「! それは私の武具に……貴方の旗…ですか?」

 

「そうだ、これは生前お前が使用した物と同じ武装だ。

 忘れたか?お前たちの隊が使用していた装備は私が鋳造していただろう。

 これもその時の一部だ。

 ……それとこの旗は本来 私の物だが、お前ならば使いこなせるだろう」

 

そうして殺生丸は彼に防具と剣、そして旗を渡した。

ジルは懐かしむようにそれらを受け取った。

 

雁夜はその光景を見て、殺生丸の伝承の一つを思い出していた。

 

「……確かお前って、色んな物を作ってたんだよな?」

 

「――ああ、御節介な鍛冶妖怪の爺にそう云った指導を受けていたからな。

 外界の旅に出た際は、珍しい素材で武具や道具などを自前で作成したものだ」

 

殺生丸は懐かしい思い出を語るように雁夜に話した。

それが終わると彼は、ジルに武具の説明をした。

 

「それには加護や硬化、早駆けのルーンなどが刻み付けてある。

 武装するだけでステータスの向上が見込める筈だ」

 

「……我が友よ、感謝する」

 

「ふん、これらが無ければ始まらないであろう」

 

ジルは自身の友に感謝した。

だが、次に殺生丸はとんでもないことを彼に告げた。

 

「――そして……ジルには桜と再契約をしてもらう」

 

「「なっ!!」」

 

「……わたし?」

 

殺生丸の提案に雁夜とジルは驚愕し、桜は少し驚いていた。

そして直ぐに男二人から反対の意見が上がった。

 

「殺生丸! 桜ちゃんを聖杯戦争に参加させるつもりなのか!」

 

「見損ないましたよ殺生丸! この様な幼子に戦えと言うのですか!」

 

普段の殺生丸なら二人の意見に同意するが、それらを無視して言葉を続けた。

 

「――桜の素質は雁夜の倍処かそれ以上だ。

 いまの二重契約の状況より、桜を身近で守るサーヴァントの方が何かと都合が良いだろう」

 

「でも…彼女はまだこd「雁夜おじさん、私マスターになりたい」……さくらちゃん」

 

雁夜が情けない表情と声を上げているが、桜はそれを無視してジルにお願いした。

 

「ジルさん、私のサーヴァントになって下さい」

 

「……桜ちゃん、マスターは危険なんだよ?それでもやるのかい?」

 

「……私はもう…逃げたくないんです。

 雁夜おじさんは私を助ける為にいっぱい痛い思いをしたの。

 ――そんなおじさんを今度は私が助ける番なんです。

 だから…お願いします! 私に彼を助ける力を貸して下さい!」

 

「……桜ちゃん」

 

雁夜は桜を呆然と眺めていた。

彼女の何かが変わったと彼は眠りから覚めた後に薄々感じていたが、いまはっきりと理解した。

 

彼女は前へ進もうとしているのだ。

何も出来なかったあの頃を越えて、自分の足だけで未来()に一歩一歩進んでいるんだ。

 

ジルが雁夜に目配せを送ってどうするか聞いてきた。

それに対して彼は……力を貸してやってほしい有無を伝えた。

 

彼女が選んだ未来()を自分は全力でサポートすれば良いんだ。

雁夜は桜の成長を優先することにしたのだ。

 

ジルはその判断に驚いたが同時に納得した。

彼らの間には強い絆があるのだと……

 

……彼女()を視ていると、頑固者(ジャンヌ)を思い出す。

そんなことを考えたジルだったが、いまは桜の誓いに応えるのが先だった。

 

「――解りました。その契約を受けましょう」

 

その言葉に桜は嬉しそうにしていた。

そして彼らの問題も解決した所で、殺生丸が再契約のやり方を彼女に教えた。

 

「――桜、今から私が行う詠唱を続けて言うんだ」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

―――『告げる』

 

 

―――『汝の身は我の下に、我が命運は汝の剣に』

 

 

―――『聖杯のよるべに従い、この意、この理に従うのなら』

 

 

―――『我に従え!ならばこの命運、汝が剣に預けよう!』

 

 

 

 

 

「―――英霊ジル・ド・レェの名に懸け誓いを受けましょう!

 貴女を我がマスターとして認めます、桜―――!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――此処に七人目のマスターが誕生した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そして時空は、前回の戦いに戻る

 

 




一応、作者が考えたジルのステータス表を載せときます





【クラス】キャスター
【マスター】間桐桜
【真名】ジル・ド・レェ
【性別】男性
【身長・体重】186cm・91kg
【属性】秩序・善
【ステータス】筋力C 耐久D 敏捷D 魔力D 幸運E 宝具C

【クラス別スキル】
『陣地作成(-)』
令呪で理性を得た代償に陣地作成スキルは失われている。

【保有スキル】
『精神汚染(-)』
令呪で理性を得た代償に精神汚染スキルは失われている。

『芸術審美(-)』
令呪で理性を得た代償に芸術審美スキルは失われている。

『軍略(C)』
多人数を動員した戦場における戦術的直感能力。
自らの対軍宝具行使や、逆に相手の対軍宝具への対処に有利な補正がつく。

『黄金律(B)』
人生においてどれほどお金が付いて回るかという宿命を指す。

『狂化(EX)』
理性と引き換えに驚異的な暴力を所持者に宿すスキル。
任意による発動が可能。

【宝具】
螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)
ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:100人
由来:魔術師フランソワ・プレラーティーがイタリア語に訳した『ルルイエ異本』
現在の彼では使用不可能となっている。
仮に使用出来たとしても、彼は二度とこの魔導書を開くことは無いだろう。

神聖たる旗に集いて吼えよ(セイント・ウォーオーダー)
ランク:C(本来はB) 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
由来:百年戦争の最中において聖女と妖犬の二人と共に、常に掲げていた勝利の旗。
彼がキャスターとして召喚された場合には持ち合わせないが、
セイバーとしての彼が呼び出された場合はこれが宝具と化す。
性能は、自身に対しての守り(耐久)を捨て、攻め(筋力)に転じるもの。
耐久のランクを下げると、筋力にその分のランクが上乗せされる。
その効力は最低ランクのEまで下げられる。
これは殺生丸の旗を使用した場合に発生する効力であり、彼本来の宝具を発動した場合には、
筋力・耐久・敏捷の3つのパラメーターをデメリット無く1ランク上昇させる。

Weapon(ウェポン)
『剣・防具』
殺生丸から渡された武具を装備した場合、
筋力・耐久・敏捷の3つのパラメーターを1ランク上昇させる。





……あれ?殺生丸が作成した武具の方がジルの宝具より強いや……

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