黒子のバスケ~ヒーロー~   作:k-son

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いきなりですが、リコ目線です。

オリ主の過去をさらっと流します。


私とアイツ 前

リコ side

 

 

---回想---

 

 

 

私と英雄は、付き合いが長い。

 

互いの実家が近かったので、よく遊んでいることが多かった。

 

 

 

世間一般の女の子の遊びとはあまり縁が無く、

 

物心ついた頃には、父の職場であるスポーツジムで過ごしていた。

 

 

 

英雄も柔術を習っていたこともあり、体を動かすことが好きだったようで、ジムを遊び場扱いにするという、不思議な状況が出来上がっていた。

 

 

 

 

お互い小学生になったある日、英雄は私の父にこんな相談を持ちかけた。

 

 

 

「NBAせんしゅになるには、どうすればいいですか?」

 

 

 

私の父は面白半分で適度なメニューを組み、やらせてみた。

 

それを軽々とこなしたことを父は驚いていた。

 

 

 

その後、地元のクラブに入りバスケと柔術、その合間に父の無理なく無駄なくのメニューという、殺人的な日々を過ごすようになっていった。

 

それとは別に、元日本代表だった父に技術面での教えを請い、小学校の休憩時間ですら友達を引っ張りバスケをし、家ではNBAのビデオを見ているらしい。

 

そのせいで、NBAの選手のものまねをしてくるようになった。

 

 

 

「マジック・ジョンソンとか言われても、小学生の女子にわかるかー!。」

 

 

 

うんざりした。あの頃は、相当うんざりしていた。

 

・・・今思えば、超が付くほどの大馬鹿だと確信できる。

 

ちなみに、ものまねの精度はすごかった。ただ、その後のドヤ顔が腹立つ。

 

 

 

1度好きな理由をきいてみると

 

 

 

「楽しいから。それに、じゅうじゅつって、1人じゃん?みんなで戦うところとかワクワクするよ。」

 

 

 

と、言うことらしい。

 

柔術は常に、1対1の戦い。

 

英雄にとって、集団競技は憧れだったのかなと思った。

 

 

 

 

 

 

2年が経ち、

 

 

 

 

 

 

私が小学5年生・あいつが小学4年生の年に、クラブのレギュラーとして出場するようになっていた。

 

それまで応援に行ったことが無かったので、父を連れ応援に行ったのだが・・・。。

 

 

 

 

始めてみた英雄のバスケは、

 

 

 

 

-----衝撃的だった。

 

 

 

 

相手のチームは当然ながら全て2歳うえの小学6年生であるにもかかわらず、決して引かず堂々とプレーをしていた。

 

小学生時の2歳の差は想像以上に大きく、体格・スタミナの載積量など、成長期の違いは間違いなくあるはず。

 

 

 

それ以上に印象的なのは、あの楽しそうな笑顔だ。

 

小学生である以上、技術の差はそこまで無い。

 

シュートを決められたり、ドリブルを止められたりすることもある。

 

それどころか、チームがピンチに陥ったりしても少しの陰りすら見せない。

 

 

 

派手なプレーとは言えないが、圧倒的な存在感を放つ。

 

 

 

当時の私は父の影響があったため、それなりにバスケについて知識があった。

 

それでも、これほど観ていて、面白いと思ったのは初めてだった。

 

 

 

 

それからも英雄は、飽きることなくバスケ馬鹿を貫いていた。

 

休日に小学校の友達数人と遊んでいたら、急にいなくなっていたので

 

 

「どこいってたの?」

 

 

と、聞いてみると。

 

 

「なんか、外にバスケットゴールがあった。」

 

 

と返ってきた。

 

 

「・・・ちなみに、なにしてたの?」

 

 

「バスケ。」

 

 

「うん。知ってる。」

 

 

「なんか、知らない奴がいてさぁ。ボロボロに負けちゃったんだよねぇ。」

 

 

「へぇ。あんたが一方的になんて・・・。どんな子?」

 

 

「う~ん。ガングロ?」

 

 

「なにそれ・・・。」

 

 

 

等という事もあった。

 

 

 

 

 

更に月日は流れ、

 

 

 

私は中学に進学していた。

 

 

同時に身体能力が数値化してみえるようになり、父の仕事を手伝うことも増えてきた。

 

 

そういえば、中学のバスケ部に所属していた同級生の日向君という男の子が、父のジムに通っていた。

 

 

気が付くと、既にあのバスケ馬鹿と知り合っていたらしく、

 

 

名前で呼び合うようになっていた。っていうか、感染してた(バスケ馬鹿菌に)

 

 

 

あのバスケ馬鹿・・もとい英雄は、最上級生となりチームの柱になった。

 

身長も165cmといつの間にやら伸びており(・・・あれっ?身長いつ抜かれたんだろ??)

 

私の父に1 on 1の相手をしてもらうべく、付き纏うようになり

 

 

 

「ねぇ。おじさん。勝負してよ~。」

 

「あぁ?めんどくせぇな・・・、今忙しいんだよ。」

 

「いいじゃん!それに、本当に忙しそうだったら話しかけないよ。」

 

「なんだと!俺が暇そうに見えるのか!このクソガキ!!」

 

「たのむよ。俺の専属トレーナーにしてあげるから~。」

 

「それじゃあ、今と変わらねえだろうが!」

 

 

 

 

と、ジム内に口論する。2人をよく見かけた。

 

結局、『週に1度時間を作る』で落ち着いたらしい。

 

 

 

 

 

彼の名は、各地に広く知られ、

 

 

後から聞いた話だけど、あの『帝光』から声がかかっていたが断ったらしい。

 

 

理由を聞いたら

 

 

 

「1回見に行ったんだけど、なんか楽しくなさそうにだったから」

 

 

 

とのこと。

 

 

私は、耐え切れず吹き出した。

 

 

 

誰にも負けないくらい、バスケが好きなくせに

 

 

誰にも負けないくらい、バスケが上手くなりたいくせに

 

 

そんな馬鹿みたいな理由超強豪校からの誘いをで断ってしまったのか、と。

 

 

 

 

また春が来た。

 

英雄は本当に、私と同じ中学に進学を決めた。

 

 

 

今ウチのバスケ部には、ジムによく来る日向君。その流れで、知り合った伊月君。

 

そこにあいつがやってくるのだ。

 

 

 

今後のバスケ部に期待してやろうと思っていた。

 

 


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