現在、空き教室で会議中
「インターハイ予選で勝ち上がっていく為に何が必要か?そして、必要なものをそろえる為にどうすればいいかを考えていきましょう。」
議長をリコに決まり進行される。
「練習しかねえだろ。です。」
「そりゃ当たり前よ。そこに関しては、私が管理してるんだから。練習以外で、もしくは新しい練習の提案でもいいけど?」
面倒臭そうに話す火神に一括し、全体に問いかけるリコ。
「ハイ!リコセンセ~。」
英雄が元気良く手を上げている。
「...。誰かなんか無い~?日向君はなんかない?」
さらっと流される。
「そうだな。今日感じたことは今後練習としてどうやるのか?」
日向は空気を読み、’あのパス’の練習方法を確認する。
「それはね、ミニゲームの最中にプレーしながら感じたこと・疑問をその都度話し合って理解度ど深めるようにするのよ。」
「それって効率悪くないか?」
「承知の上よ。その後にしっかり、紅白戦もやるからそこで確認したことを実践して。」
「わかった。」
「ハイ次。」
「あの...リコ姉?手、挙げてるんだけど?」
「伊月君は?」
「あぁ...。(いいのか?)相手チームへの偵察とかはどうする?以前とは状況が違うしな検討してもいいんじゃないか?」
伊月は横目で英雄を見ながら質問する。
「そうね...。そろそろトーナメント表が発表されるから、必要があれば直ぐに動けるようにしたほうがいいかもね。申し訳ないけど1年生の中から選出させてもらうから、その1人と私が偵察に行くってことで。」
「「「分かりました。」」」
1年生(火神・英雄除く)が返事をする。
「で、何?」
遂に無口になってしまった英雄に目を向ける。
「ドライっすね。えっとまず、他の『キセキの世代』の情報とか知りたいかな~。なんか記録とかってないの?」
「どう?黒子君。なにか言えることある?ちなみに東京には、秀徳に緑間が入ったそうよ。」
そこにいる全員が黒子に目を向ける。が、
「そうですね。緑間君は帝光中のNo1シューターです。多少の距離があってもシュートを落としたところを見たことがありません。映像記録とかは持ってないです。」
「ふ~ん、他には?」
「3P以外では、身長もあってドリブルで抜くこともできるのでそうそう止められないと思います。」
「緑間ね、っへ!おもしれぇ!!ぶっ倒してやる!!」
『キセキの世代』のことでまた火がつく火神。
「OK~。他の選手については、後々でいいや。で、次なんだけど。ディフェンスパターンを増やしたい、特にゾーンでのものを。」
緑間のことは一時置き、戦術面での提案を始める英雄。
「新しいディフェンスって、予選までもう時間がないぜ!?」
日向が英雄の言葉に待ったをかける。
「なにか理由があるのね?」
対照的にリコは冷静に返す。
「ウチは基本的にマンツーを主体にしてる。でもインサイドがウチに比べて強いところはいっぱいある。それにウチの『ラン&ガン』をするならゾーンの方が利点が多い。」
「インサイドか...。」
「それに、水戸部さんはゾーンの方が合ってる気がするよ?」
「で、具体的には?」
「う~ん。ホントはいろいろ状況に合わせて切り替えるのが理想なんだけど...。今1番必要だと思うのは『1-3-1ゾーン』だと思うよ。」
「『1-3-1』か」
「そうそう、これだとゾーンでも3Pのチェックもできるよ。鍛えればマンツーと違ってそうそう抜かれることもない。どう?」
「「「...。」」」
バスケ部一同は考え込む。
「いいわ。やってみましょう。みんなはどう?異論があればはっきり言って。」
「「「...。」」」
「当然、スパルタで体に叩き込むからそのつもりで!配置については考えておくから。」
「「「....。(や、やべぇ)」」」
メンバーはブルーな未来予想図を見てしまった。
「そろそろいい時間ね。じゃあ今日はここまでね。自主連はいいけど無理して、怪我しないようにね。」
「「「お疲れした~。」」」
「すいません。」
英雄が教室から出ると黒子に呼び止められた。
「ん、な~に?」
「練習付き合ってもらっていいですか?今日の感じを忘れたくないんです。」
「OK~!じゃあ直ぐ行こうか。火神はどうする?」
「俺も少しやって帰る。」
結局バスケ部全員が体育館で練習していた。
「いや、今のはこっちじゃね?」
「でもシュート狙えたぜ?」
先程行ったプレーについて徹底的に討論している。
「あの~すいません。ちょっと聞きたいことがあるんですけど。」
英雄が割ってくる。
「何秒あればシュート打てます?」
「「「はぁ?」」」
「スクリーンも効率良くするんだったら、何秒マーク外せたら精度の高いシュートが打てます?」
「そんなの考えたことないし。」
「じゃあ今度計っときます。最低でもその時間はファイトオーバーとかさせないようにしますから。」
「おぉ。」
「あ、話を割ってすいませんでした。」
「おう。じゃあ続きいくぞ!」
状況を変えて、また戦術理解度を高めていく。
「火神~。ちょっといい?」
「なんだよ?」
「試したいプレーがあってパス受けてくんない?」
「別にかまわねーよ。」
「じゃ速攻からの流れでよろしく。」
英雄の前に火神が走っている。英雄は腕をしなるように振りながらパスを出す。しかし、どう見ても見当違いの方向で火神を並走するようなパスだった。
(ミスか?)
火神を含め周りもそう思っていた。が、
ギュン
バウンドした瞬間、ボールの軌道が変わって火神に向かう。
「うお!!」
顔面ギリギリで受け、声をあげる。
「なんだ...今のは?」
一同騒然。
「ど~お?びっくりした?」
「あぶねーだろーが!」
「火神ならギリとれると信じてたんだよ?」
「ってゆーか、今どうやった!?」
「投げる瞬間に手首でチョイって。」
「いやわからん...。」
「俺間接とか柔らかいから、手首なんかもほら。」
といいながら、自分の掌を手首にピッタリ付けてみせる。
「うわぁなんかグロイ...。」
「ちょっ!!ひどくないですか!?」
見ていた日向らは、顔を顰めるように見ている。
「へぇー。やるじゃねぇか!」
「でしょ♪テツと組めばパスに関して怖いものなしになるし。」
「そういやまだ相手してねーだろ、いい機会だ1 on 1で勝負しろ。」
「OKOK。やろーか。あ、テツも後でシュート練習しよ。」
「わかりました。」
「おっし。こい英雄!!」
反対側のハーフコートでは日向と伊月が練習しながら、様子を見ていた。
「すげぇな...。」
「ああ。やっぱあいつも...。」
「それは中学の時から分かってたことだろ。」
「そうだな...。でも『キセキの世代』とは何か違うよな。」
「あいつは、バスケの全てが好きなんだ。チームプレーも個人プレーも駆け引きも関係なく。」
「そりゃお前もだろ?」
日向が火神と英雄を見ながら語る。
「知ってるか?あいつが今まで見たバスケの試合のDVDの本数。」
「1万本だ。」
「!!!」
「サッカーをしてた頃は、深夜の公園でDVDのイメージを元にバスケをしていたらしい。電灯すらついてない状態でな。」
「...。」
「あいつは間違いなく逸材だ。カントクがいうには、まだバスケとサッカーの感覚のズレがあるらしいから別メニュー中心なんだとさ。」
「なるほど、そうゆうことか...。英雄の奴、楽しそうだな。」
「ああ、ああいうところが’違い’なのかもな...。」
「読み~!」
英雄は火神の進行方向に先回りしてゆく手を阻む。
「っち。(なんだやりにくい)だったら!」
火神は無理やりジャンプシュートを打つ。当然英雄もブロックに飛んでいる。火神は着地した瞬間、リングに走り出す。1人アリウープだ。
英雄も着地して直ぐに、動き出す。正確には、着地してからの反応は火神より早い。
火神は、マークが外せず無理な状態で跳ぶ。食らい付いた英雄も跳びリバウンド勝負になる。
高さで有利な火神がボールを真上に捉える。そこに英雄の腕が伸びてきて火神の腕の内側を添えるように、ボールを弾く。英雄のチップアウトにより火神のオフェンスは防がれた。
「くっそなんて動きをしやがる。」
「いや~火神の相手は疲れるわ~。今日はこんなとこで勘弁して。」
「っち、しょーがねぇ。次は決める。」
「そうそう、聞いときたかったんだけど?」
「なんだよ?」
「ゾーンディフェンスしたことある?」
「あるにはあるが...。」
「だよねぇ、アメリカだものねぇ。よしわかった!ゾーンの練習は火神に厳しくシゴくようにリコ姉に言っとくから。じゃ。」
「待て!ふざけんな!!」
火神は呼び止めるが、英雄は無視し黒子のところへ。
黒子は1人で先にシュート練習をしている。
「調子はどう?」
「そうですね。ボチボチって感じです。」
そう言いながら、次々にシュートを打つ黒子。
「脇が空いてるよ。」
「あ、ありがとうございます。こうですか?」
「そうそう、フォームは良くなったけど少し力みが入ってる。」
「難しいですね。」
「とにかく打ちまくる。俺がリバウンドに入るから。」
「ありがとうございます。」
「いいのいいの、俺も練習になってる訳だし。」
「シュートが入らないからなんですけどね。」
「おっと、キッツいねぇ。まあ『今は』ってことで。」
「そうですね。じゃあどんどんいきます。」
結局、自主練習はいつもと同じ時間まで行われた。
先日の練習試合の疲れはなんとやら。
リコは先に自宅にもどり、チームのスケジュールを見直していた。
今日のミーティングによりやることが増えた為、ずっとパソコンに向き合っている。
「...『1-3-1』ね、さすがにバスケ馬鹿なだけあるわ。」
バスケ漬けの1日は今日も過ぎていく。
前々から思っていたことをネタにしてみました。
じわじわ、黒子をカスタムしていくつもりです。