里を捨てた少年   作:落ち葉崩し

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第35話 任務遂行

夜が来る。任務の時間だ。

 

「ヒナタ、白眼であの城の中を見てくれ」

 

カカシの指示にヒナタが頷く。

 

「白眼」

 

白眼を発動し、日向が大きな建屋の中を見渡す。

 

「中は2階、1階、地下があります。そして地下には井戸につながる抜け道のようなものがあるみたいです」

 

ヒナタの情報は続く。

 

「1階に18人、2階に5人、地下に5人、見張りが門の前に1人と玄関に1人います」

 

そう告げるとシカマルが話す。

 

「まずは門のやつを俺が影真似で止める。その間に我愛羅はそいつの口と動きを封じられるか?」

 

我愛羅は頷く。それを見たシカマルは動き出す。

 

門の近くの木に身を隠し、見張りに向かい影真似の術を繰り出し、我愛羅がすかさず砂で捕縛する。

 

そしてシカマルはそのまま元の位置に戻り、我愛羅は砂で締め付け気絶させるとその場で待機した。

 

そして作戦が開始する。

 

我愛羅とユカタ、それにシカマルは玄関前の忍を捕縛したのちに、門の外に檻を作り閉じ込める。それに対しユカタは、調合しておいた即効性の混沌薬や、麻酔薬を打ち込み意識を失わせた。

 

シノはシカマルとともに動き蟲を使い、シカマルに最新の情報を与え続けた。

 

ヒナタはカカシに帯同し、敵の正確な位置を伝え、作戦の時を待つ。

 

「サイ、作戦開始だ、空を飛べる動物を出してくれ」

 

陽光の言葉に際はすぐさま応じる。

 

「鳥獣戯画!」

 

5話の大きなワシが現れると、マツリ、テンテン、サリがまずは飛び乗り、次いで陽光とサイも飛び乗る。

 

「俺たちが屋敷に突入したら作戦通り周りを全て爆破して逃げ場をなくせ。そして1箇所だけ穴を作るんだ、場所は作戦の通りやればそこに我愛羅にいたちがいる。わかったな?」

 

陽光の言葉に3人は頷く。

 

「マツリ、燃え始めたら風遁の術で炎の勢いを強くしてくれ、逃げる際、俺と畑カカシの水遁の術で道を作りながら行くから遠慮するな」

 

マツリも頷き作戦が開始する。

 

「サイ、屋敷に入ったら俺が1階、お前は2階だ。ヤバくなったら逃げろ」

 

「わかりました、それでは生きましょう」

 

陽光とサイの乗ったワシは上空高く舞い上がると一気に加速して屋敷に突っ込む。それを見た3人の乗ったワシたちも飛び上がり、上空で停止する。

 

「サリ!貴女は屋敷の手前側、私は奥側にありったけの起爆札付きクナイを打ち込むわよ!」

 

「はい!」

 

2人は同じような巻物を取り出し、巻物から忍具を口寄せして取り出しては投げ続ける。

 

 

ドドドドドドドドドドーン!!!

 

その爆音と同時に屋敷の中でも爆発音がではじめた。

 

「はぁぁぁ!」

 

地下ではテマリが鉄扇を扇ぎ敵を薙ぎはらう。カンクロウは傀儡を使い敵に対して攻撃を行う。リーも体術で応戦し、カカシはこの中では圧倒的で、1VS2の状況である。

 

サイは2階の敵の前で立ちはだかり、1階に降ろさないように階段の前に陣取り戦闘を続けている。

 

そして1階では。

 

「風遁・旋風手裏剣!」

 

1対18のはずが、次々と倒されていく仲間をみて、戦慄が走る。

 

「お前ら、侮るな!こいつ強えぞ!」

 

そう言うと頭らしき人間の指示で術を繰り出してくる。

「水遁・水龍弾の術!」

 

水の龍が陽光を襲うが陽光は避けて術を繰り出そうとする。

 

 

が、印を結び終わる前に敵の攻撃が来る。

 

「雷遁・走雷光」

 

先ほどの水の龍を伝って雷が向かってくる。

 

「ぐぁぁ!」

 

陽光に直撃するが、それが水に変わる。

 

 

「何、水分身だと!?」

 

そして陽光は敵の後ろに現れる。

 

「そんな術、俺には通用しない!」

 

右足にチャクラを溜めて回転蹴りを繰り出す。 壁を突き破り我愛羅たちのいるところに吹き飛ばした。

 

「さぁて、こっからは本気だ」

 

目で追えないような速さで複雑な印を結ぶ。

 

「流遁・嵐朧波!」

 

陽光の手からありえない量の水が渦を巻きながら敵を吸い寄せ流れに巻き込む。そしてそのまま壁にぶつかり、敵が折り重なるように倒れる。

 

立っているのはあと5人。

 

「くそ、なんだあいつは!おいお前ら、散解して逃げろ!」

 

 

そうすると皆壁をぶち壊し、また階段を下り、地下道から逃げようとする。陽光は2階にいるサイの援護に走る。到着するとサイは捕まっており、2人は伸びており3人はサイを連れて窓から逃げていく最中だった。

 

「流遁・激流爪!」

 

後ろからサイを抱えている忍に狙いを絞り、乱回転する水の刃で敵を切り裂く。

 

そして腕からサイを救出すると我愛羅に向けて投げ飛ばす。それを我愛羅は砂で受け止め、ユカタに医療忍術を施させた。

 

「よお、テメェラ全員捕まえてやるよ」

そう言うと抜け忍たちに向けて術を発動する。

 

「爆遁・旋風爆」

 

逃げんと陽光から離れて行っていた2人を、白い光が包み、中から悲鳴が聞こえる。

 

あの光の中では爆風がつむじのように渦巻き、2人はあの中で錐揉みしながら爆発を受け続けているのだ。

 

その時悲鳴が起こる。

 

「きゃーー!」

 

上空を見ればマツリが盗賊の頭につかまっていた。

そして盗賊には羽があり飛んでいる。

 

「お前ら、よくもやってくれたなー!まずはこいつを殺してやる!そしてお前ら誰一人生きて帰さんぞー!」

 

そう言うとマツリの首を締める。

 

マツリは苦悶の表情を浮かべ耐えているが時間の問題だった。

 

『九喇嘛、1本だ』『わかった、好きに使え』

精神世界で九喇嘛の尻尾が1本ナルトに移った。

 

「マツリに汚い手で触るな」

 

頭は振り向く。声が聞こえた方に。そして驚愕する。先ほど下にいたはずの男が既にここにいるのだから。

 

その瞬間マツリを掴んでた腕が千切れた。鋭い刃で切られたかのようにすっぱりと切れていた。

 

「グアァォ!腕が、うでがぁ!」

 

激痛に耐えられず、飛ぶことができなくなった敵は落下していく。そこにマツリを受け止めたまま、にらみつけ、追撃を加える。

 

「死ね、クソ野郎!」

 

ただの蹴り、周りから見ればそう見えるだろうが、その蹴りには九喇嘛の莫大な量のチャクラが凄まじい速さで回転しながら激突する。敵の体から鮮血が溢れる。そして勢いを増して地面に激突した。

 

そして陽光はまだ息がかなり荒いマツリを抱え、我愛羅たちの待つ場所に戻ると、マツリをユカタに任せる。

 

「ユカタ、マツリを頼む」

 

ユカタは頷き、治療を開始する。

 

「畑カカシ、中に数人敵を残してきた。回収を手伝ってくれ」

 

「了解」

 

カカシとともに燃え盛る屋敷の火を消しながら進む。

 

気絶させていた敵を担いでもどると、マツリもサイも意識を取り戻し、2人を待っていた。

 

「こいつらで全部だな、カカシ先生」

 

シカマルの問いにカカシは笑顔で頷く。

 

「みんな流石だな、誰もかけることなく、任務を遂行できた、お手柄だ!」

 

カカシが微笑むとシノが言う。

 

「半分以上の敵を陽光が倒していた。流石だ」

 

その言葉の後にテマリが釘をさす。

 

「でもあんた、最後のはやりすぎだよ?一番情報持ってる可能性が高い頭を殺しちゃったんだからね、反省なさい」

 

「すまねぇってばよ、でもマツリが危なかったし、それにマツリが触られてんの見てなんかイラっとしてさ、ついやりすぎたってばよー、ごめん」

 

その言葉にマツリとテマリは反応を示す。

 

「ふーん、ま、他の奴らは生け捕りにできたし、後は回収に来る予定の暗部に引き渡して終了ね」

 

テマリは少し嬉しそうにつぶやく。

 

ハナビも心なしか嬉しそうだった。

 

『ナルトくん、すごく強くなってる。私たちなんてまだまだだ。もっと、もっと強くならないと』

 

ヒナタはナルトの姿を見て、さらに修行を頑張らないとと決意を固めた。

 

それは木の葉の6人全員が考えていたことでもあった。

 

 

 


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